リベラル勢力総結集で政権交代!(367)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【公正採用】生徒・学生・市民が就職差別を見抜き自分を守るために/中内 康博(全国大学同和教育研究協議会)》
<はじめに>

 「何が就職差別となるか、どのような応募用紙が適正か」という就職問題は、1950年代から70年代にかけて、中学及び高校の教師が、同和教育運動や部落解放運動と連携して、地方公務員試験や国家公務員試験の就職差別と正面から闘い、差別を防ぐ制度として基礎を築いたものです。ここでは、その柱となった「応募用紙」の改革や、「就職差別につながる14項目」から「14事項」について、「憲法」や「職業安定法」「男女雇用機会均等法」等の法令を根拠に、生徒・学生・市民の皆さんが就職差別を見抜き、自分を守るために何が出来るか、その基礎知識について解説します。

<太平洋戦争・敗戦後の中学生の就職問題は>

 戦後の教育は、男女共学の6・3・3制の民主教育に改革されますが、戦争の被害が大きく、家族を亡くした子供や、家事労働を支えて学校に行けない中学生が多数いました。
 1950年代では、不就学・長期欠席の中学生は、全国で「70万人から100万人に達する」と言われ社会問題となっていました。そのため郷里で就職出来ない中学生は、都会で集団就職する姿が見られ、雇用主から「金の卵」と言われました。その一方で被差別部落(以下・部落と略称)の中学生、貧困家庭や両親が居ないか、一人親の中学生が、あからさまに就職差別を受けていました。この実態の中で高知県では、中学教師が保護者と共に立ち上がり、憲法第14条の「差別の禁止」、第27条の「勤労の権利・義務」の条文と正義感で、市町村議員を説得して議会決議をしてもらい、この決議を看板に掲げて、県教育委員会に訴えます。
 そして教育委員会の中に、1957年「高知県就職対策協議会」の設置を実現して、就職差別反対闘争を行うようになります。このような地方の闘いを受けて、全国同和教育研究協議会は、1963年に「進路保障協議会」を設置して、文部省の推進する「進路指導」の概念を乗り越えて、就職差別を防ぐ「進路保障」を主張して、この取り組みを全国に広げていきました。

<『部落解放運動』と『同和対策審議会答申』>

 1960年代は部落解放運動が大いに高まり、国策樹立大行進が行われた時代です。
 65年8月には『同和対策審議会答申』が出されて「同和問題の解決」は、「国の責務」であり、同時に「国民的課題」と位置づけられます。そして1968年には、当時の労働者が「同和地区新規学卒者に対する職業紹介要領」を通達します。この翌年の69年には『同和対策事業特別措置法』が公布され、学校では同和教育主任が置かれ、高校教師の中でも就職差別に反対し、「進路保障」を闘い抜く活動が広がりました。

<『大阪府統一用紙』から『近畿統一用紙』へ>

 大阪府では同和教育を進める教員と、公共職業安定所職員が連携する取組みに発展し、企業の作る応募用紙は、差別項目が多い『社用紙』であると批判して、差別を防ぐための応募用紙を考案します。1970年に発案された『大阪府統一用紙』は、翌年の71年になると近畿・四国地方にも普及したため、『近畿統一用紙』として広がり、大きな成果を上げます。
 兵庫解放教育研究所『就職差別反対闘争』(1975年)によると、70年に神戸市人事委員会が行った公務員採用試験では、「身上調書」に「親の職業・資産・自宅付近の地図」を書かせて「興信所に身元調査」をさせていました。これがなぜ就職差別になるか、教師と運動団体が糾弾した結果、母子家庭の生徒1名を含む部落出身生徒6名が採用されました。
 この同じ年に兵庫県人事委員会の就職差別事件も起こります。2次試験の面接で「容姿・態度・表現力」が5段階で評定され、その面接の直前には、「家族の年齢・職業・勤務先・本籍・職歴・逮捕歴・自宅までの地図・死亡した家族の病名・死因」等々まで書かされました。その結果、部落出身生徒が不合格となったため、糾弾側が、「面接および身上書」の差別性について厳しく追及した結果、これを「合否判定の資料から削除する」「採用試験制度を見直す」と約束して、部落出身生徒、貧困家庭の生徒、母子、父子家庭の生徒の多数が合格しました。

<国家公務員を採用する人事院就職差別事件>

 1971年に発覚した人事院近畿事務局による就職差別は、73年の人事院本院交渉まで続く差別糾弾闘争となります。闘いが長引いた原因は、1968年の国の労働者の通達、「同和地区新規学卒者に対する職業紹介要領」まで無視したからです。人事院は「身元調査は人事院規則で認められている」と、かたくなに主張して、部落出身生徒が不合格にされた事、更に「志願者調査」として「家族の職業・収入・健康状態・住所の略図・住宅状況」を書かせて「身元調査をするのは、税金で公務員を雇うためであり、人柄と生活環境は切り離せない」と差別体質を露わにしたからです。そのため部落解放同盟中央本部・同兵庫県連・同神戸市協・兵庫高教組は、その差別体質を全面的に否定して、激しく糾弾し、その不当性を明らかにしました。その結果、「戸籍抄本は取らない・全日制・定時制の区別を削除する・戸籍筆頭者氏名を削除する・学歴調査をやめて近畿統一用紙を採用する」と回答して、政府内や全国都道府県知事とその人事委員会に通達することになりました。
 この結果、「近畿統一用紙」は「全国高等学校統一用紙」となり、これに準拠して、中学生のための「職業相談票乙」及び市民のための「JIS規格履歴書」も、ほぼ同時に改められました。そして1975年から続く「部落地名総監差別事件」の渦中、1983年『新規大学等就職予定者用標準的事項の参考例』の応募用紙が作られました。
 その後も具体的項目として応募用紙の改善が進みます。

<徳島県高校教師による『就職差別につながる(される)14項目』の整理>

 『徳島県同和教育協議会五十年記念誌』によると「1971年同和教育主任が置かれ、本格的な取り組みが始まった。(中略)その後、面接試験等で何が差別になるかということが問題となり、徳島県高等学校同和教育研究会南部支部を中心として兵庫県の資料や主事会での検討の結果、『就職差別につながるとされる14項目』が決定され、1974年公共職業安定所から『企業の皆さんへ』と題する文書が各企業に送付され、差別選考をしないよう指導がなされた」と記録されています。

<禁止された14項目を列挙すると>

1戸籍謄(抄)本.2(差別に繋がる)社用紙の作成.3身元(家族)調査.4家族の職業、家族関係、家族の健康.5家族の地位、学歴、収入.6家族の資産.7住居状況(部屋数、間取り、道具類、道順).8宗教.9支持政党.10生活信条.11尊敬する人物.12思想.13本籍.生まれ育った場所.14作文(生い立ち、私の家族、父を語る等の生活環境に関すること)となっています。この「14項目」は、旧労働省から現在の厚生労働省の2007年まで続き、大いに効果が見られたので、全て生かして表記を工夫し、3事項を追加して、2008年には、次のような「14事項」として再編されました。
〈現在の『就職差別につながる恐れのある14事項』について(禁止事項)〉
〔本人に責任のない事項〕
1 「本籍・出生地」に関すること
2 「家族に関すること」(家族の職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
3 「住居状況」に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
4 「生活環境・家庭環境など」に関すること
〔本来、自由であるべき事項〕
5 「宗教」に関すること。6 「支持政党」に関すること
7 「人生観・生活信条など」に関すること。8 「尊敬する人物」に関すること。
9 「思想」に関すること
10 「労働組合(加入歴や活動歴など)」「学生運動などの社会運動」に関すること
11 「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること
〔採用選考の方法に関する事項〕
12 身元調査などの実施。
13 高等学校統一用紙や新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例、JIS規格の履歴書に基づかない事項を含んだ応募用紙(社用紙)の使用
14 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
◎受験時の健康診断書提出という違反は、大学等の就職室が知らずに企業向け求人票用紙に、この項目を残しています。そのためこの違反は70%を超えると推測されます。

<男女雇用機会均等法による差別の禁止事項>

○性別によって差別することは、男女雇用機会均等法第5条で禁止されています。
1募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること。2募集・採用の条件を男女で異なるものとすること。3採用選考において能力や資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱をすること。4募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること。5募集・採用に関する情報提供について男女で異なる取扱いをすること。6性別を問わず、性的な質問・言動等を行うこと(いわゆる「セクハラ面接」)
○また性別以外の事由を要件とする措置であっても間接差別となる恐れのあるものについては禁止されています。ア.募集・採用に当たって労働者の身長・体重・体力・容姿等を要件とすること。イ.コース別雇用管理における総合職の労働者の募集・採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることを要件とすること。
 以上の就職差別につながる禁止事項は、同時に求職する生徒・学生・市民の皆さんが自分を守るための大切な法的根拠です。中学・高校新卒生には、教師が責任を持って教えて、就職試験を受験すると直ちに生徒に就職差別につながる『受験報告書』を書かせて違反があると、教師と教育委員会職員、ハローワークの職員が合同で違反企業を行政指導して就職差別を防ぎました。これにより中学・高校新卒生徒に対する就職差別は激減しました。
 しかし厚生労働省・文部科学省は、大学等の学生や教職員(市民)には、何が就職差別となるか、その基礎知識を現在でも指導していません。その理由は、「学生は高学歴である・卒業時に大人である・大学には自治がある」という文句です。そのため全国人権教育研究協議会は、2012年「職業安定法の何処に学生を別にすると書いてあるか!」と詰問しましたので、「労働局を通じて取り組みます」と言い方を変えました。しかし、全国の大学等の就職室の教員・職員に「公正な採用選考資料」を配布していないので、学生への就職差別に関する基礎知識は周知されず、学生の就職差別は垂れ流しの状態です。
 そのため全国大学同和教育研究協議会では、ヤフーのインターネットに『全国大学・高専学生の就職差別を防ぐには』【https://yutan0571.wixsite.com/daigaku-kouseisaiyo】を掲載し、これを検索すると、応募用紙『新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例』及び、再就職や市民も使える『JIS規格履歴書』用紙、受験後の『就職差別についての受験報告書』用紙もダウンロードできます。インターネットで全国の学生が就職差別や違反を見抜く基礎知識を学び、大学等の就職室から都道府県の商工労働部及び労働局のハローワークに訴えて、求職者とも具体的問題事象について、本人とも協議・連携して解決に向けた取り組みも行う事としています。(管理・運営:同協議会事務局・本ブログ管理者-民守)
 滋賀県の労働行政におかれましても、労働局と共催で、『仮称・滋賀県内大学等就職対策協議会』を結成して、大学等の教員・職員の研修会及び学生の就職差別事件の解決に取り組まれますよう、お願い致します。(発行元「じんけん」滋賀県人権センター/本ブログ管理者(同協議会事務局・採用コンサルタント)民守 正義:部分修正・編集)

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