リベラル勢力総結集で政権交代!(362)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【日韓対立】日本が歴史認識の問題と向き合うことが第一歩:日韓請求権協定とは?/新潟国際情報大学教授—吉澤文寿さん》
昨秋、韓国の大法院が日本企業に元徴用工への賠償を命じる判決を出した。
日本政府は「日韓請求権協定で解決済み」と繰り返し、報復措置ではないと嘯きながら、韓国への半導体材料の輸出規制に続き、輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」からの除外にまで踏み込んだ。国家間の協定で個人の請求権が消滅しないことは自明だが、日韓の国交が回復した際に結ばれた「日韓請求権協定」とは何か。「現在の日韓関係で問題になっていることの基礎は、日韓会談で既に議論されていた」という、日韓条約や諸協定の成立過程に詳しい吉澤文寿さんに話を聞いた。
<昨年出た韓国大法院判決のポイント3つ>
昨年、韓国の大法院(日本でいう最高裁)が新日鐵住金(旧日本製鉄)および三菱重工業に対して、原告が主張していた「日本政府の韓半島に対する不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制労働被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」を認定して、賠償命令を出しました。
判決のポイントは、植民地支配の不法性と日本企業の反人道的な不法行為を認定したこと、被害者である原告の個人請求権を認めたこと、そして、この慰謝料請求権が「日韓請求権協定」の適用対象に含まれていないと確認したこと、の3つです。
「日韓請求権協定」の適用対象に含まれていない-という事は、韓国政府の外交保護権も存続しているという事です。しかし韓国政府は交渉の場で徴用工の問題を日本政府に働きかける事はしておらず、今回は日本政府ではなく日本企業への賠償命令なので外交保護権を行使しなくてもいいと判断しているのではないでしょうか。大法院判決に対して安倍首相は「国際法に照らして有り得ない判断」と全否定し、賠償命令を受けた日本企業に応じないよう要請するというところにまで踏み込んでいるのが今回の特徴かと思います。
そして外務省はホームページに「ファクトシート『旧朝鮮半島出身労働者に関する事実とは?』」というものをアップしています。これを丸々信じてしまうと、大法院判決は「65年の日韓請求権協定に反して」おり、「日韓関係の法的基盤を覆す」ものであって「国際秩序への重大な挑戦」ということになり、人々の「嫌韓意識」は高まるだろうと思います。
日本政府が、ここまで「日韓請求権協定」に拘り、第3条に則して仲裁委員会設置まで言い出したのは今回が初めてでしょう。
<「完全かつ最終的に解決された」内容とは?>
日韓関係の基盤になっているのが、1965年に結ばれた「日韓基本条約」と、これに付随する「日韓請求権協定」等の諸協定です。これらによって請求権や漁業、「在日韓国人」の法的地位、朝鮮由来の文化財等の問題が一応「決着」しましたが、合意できなかった問題も多く、特に日本の植民地支配を巡る歴史認識については合意できないまま、国交正常化を優先し、65年に交渉を終わらせました。今、問題となっている「完全かつ最終的に解決された」「いかなる主張もできない」という文言は、請求権協定の第2条に記されています。
そして「完全かつ最終的に解決された」請求権の内容を知るには、協定締結時の合意議事録を見る必要があります。
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日韓請求権並びに経済協力協定、合意議事録(1)1965年6月22日
2 協定第二条に関し、
(a)「財産、権利及び利益」とは、法律上の根拠に基づき財産的価値を認められる全ての種類の実体的権利をいうことが了解された。
(g)同条1にいう完全かつ最終的に解決された事となる両国、及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及び、その国民の間の請求権に関する問題には、日韓会談において韓国側から提出された「韓国の対日請求要綱」(いわゆる八項目)の範囲に属する全ての請求が含まれており、従って同対日請求要綱に関しては、いかなる主張も為し得ない事となる事が確認された。
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「完全かつ最終的に解決された」のは、52年から始まる会談で韓国側から示された「韓日間財産及び請求権協定要綱」(対日請求8項目)を指しており、この中で「個人請求権」と呼べるものは、第2項と第5項です。第5項の「被徴用韓国人未収金」は「未払い賃金」、「戦争による被徴用者の被害に対する補償」は、日本の法令を準用して主張されました。
財産や通貨、未払い賃金、恩給等の権利等々を韓国側が請求したのは、日本側が「植民地期における法律関係を前提にした請求でないと議論しない」という考えだったからです。
そもそも植民地支配が合法か不法かで日韓の認識は平行線だったので、「完全かつ最終的に解決された」とされている「8項目」と昨年、大法院判決で認められた、不法な植民地支配を前提とする日本企業の行動に対する慰謝料請求権とは、異なる概念だという事が言えると思います。最終的に日本は韓国に対して10年間で無償・有償で5億ドルを支払うことになりましたが、3億ドルの無償供与は現金ではなく、「日本国の生産物及び日本人の役務」であり、日本企業も利益を得たということです。「日韓請求権協定」の前文には、「請求権に関する問題を解決すること」と「両国間の経済協力を増進すること」が併記されています。つまり「請求権を解決するために経済協力を行なう」のではないという事です。日本政府も「純粋な経済協力だ」と答弁し「植民地支配に対する賠償金という意味ではない」と説明しています。
<65年日韓国交正常化から現在までの動き>
では65年以降、どういう動きがあったのか。韓国政府は無償・有償の5億ドルを基に、特に生産物を韓国で売却する事でウォンを創り、それを元手に死亡者弔慰金や財産補償金等、非常に不十分ながら補償を行なう訳ですが、生存者へは何も補償しませんでした。
2005年に日韓会談関連の外交文書が公開されるのですが、これは90年代以降、日本軍「慰安婦」問題や強制連行など戦争犯罪による被害者達が声を上げ、裁判を闘い、運動を続けてきた成果です。2000年代以降、韓国でも、これらの問題は「日韓請求権協定」で解決済みと言われるようになるのですが、こうした動きに対して韓国の被害者達が確認訴訟を起こし「請求権協定で解決済みだという根拠は何だ?根拠となる文書を開示せよ」と運動を始めます。
その結果、韓国政府が先ず5件の文書を開示し、それを受けて当時の盧武鉉政権が05年8月に外交通商部が保有する文書を全て開示しました。05年に韓国政府は、日韓会談で日本軍「慰安婦」や在韓被爆者については話し合われていないと明言し、解決されていないという立場を明確に示しました。私は、この頃から始まる一連の過程が、今回の大法院判決に繋がっていると思います。朴槿恵政権が徴用工裁判に介入し、司法の判断を妨げたとされる司法壟断(ろうだん)問題に対して、文在寅大統領は「積年の弊害を清算する」として、三権分立の原則に従って対応しています。文大統領は大法院判決を行政の立場として積極的に活用してはおらず、正常なあり方に戻そうとしています。
<「日韓会談文書」の公開によるインパクト>
日本でも韓国の動きを受けて、強制動員被害者と日本の市民らが「日韓会談文書・全面公開を求める会」を立ち上げました。情報公開法に基づく開示請求をしたところ、タイトル以外、真っ黒で出てきたのですが、3回の裁判を経て、日本側の文書も大分、開示されました。
開示された文書の「懸案対日請求権の経緯及び解決方針に関する参考資料」(1959・1・31)を確認すると、請求権問題に関する「我が方の法律論は、膨大と予想された韓国側の賠償的要求を封ずるためと請求権の相互放棄を提起する事は国内補償問題を誘発するとの懸念から出たものであり、米国政府の見解を待つまでもなく立論にも無理があるのを免れなかった」とあります。請求権交渉で韓国側が「8項目」を提示したのに対して、日本側は、在朝日本人私有財産に対する請求権を主張しました。講和条約第4条b項にあるとおり、日本は、南朝鮮を占領した米軍政府が日本人財産を処分した事を承認しているので、韓国側は大いに反発しました。
立論に無理があると分かっていながら、韓国側の請求を放棄させるため、そして国内の補償問題をも回避するため、最初から無理な主張をしていたのです。外務省のホームページや「ファクトシート」には、合意議事録(1)2-(g)や講和条約の第4条b項は示されていません。こうした事が、現在の日本におけるミスリードを助長していると言わざるを得ません。
<被害者らの苦痛が実質的に治癒してこそ>
実は世界史的には、21世紀になって、ようやく植民地支配責任が本格的に問われ始めたと言えます。2001年に南アフリカ共和国のダーバンで「人種主義・人種差別・外国人排斥・関連する不寛容に反対する世界会議」が開催され、奴隷制度や植民地主義等が人道に反する罪であるとする「ダーバン宣言」と行動計画が採択されました。これを契機として、世界各地で植民地支配責任を問う動きが出ています。20世紀後半から、植民地支配された国々が独立を果たし、その国々が国連にも加盟し、国際社会において発言力を高めていく中で、植民地支配の責任問題が提起されてきました。日本と韓国については、こうした事態に先駆けて交渉が行なわれた訳ですが、やはり植民地支配に関わる問題は、むしろこれから21世紀的課題だと思います。日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉も継続しており、大法院判決を受けて、植民地支配に対する歴史認識が交渉の場で問われることになるでしょう。歴史認識の問題を放置してきたからこそ、現在のような最悪の日韓関係に至っていると考えます。
歴史対話を怠って「未来志向」を目指すやり方は、もはや手詰まりではないでしょうか。
植民地支配の不法性の認定や謝罪は、日本側にしかできないことです。
三一節記念式で文在寅大統領が語った「過去は変えることはできませんが、未来は変えることができます。歴史を鏡にし、韓国と日本が固く手を結ぶとき、平和の時代がはっきりと私達の側に近づいてくるでしょう。力を合わせ、被害者達の苦痛を実質的に治癒するとき、韓国と日本は心が通じる真の友人になることでしょう」というメッセージが、一人でも多くの日本人に共有されてほしいと思います。
■よしざわ・ふみとし:新潟国際情報大学教授。専門は朝鮮現代史、日朝関係史。
「日韓会談文書・全面公開を求める会」共同代表。(基本文献-社会新報)
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