リベラル勢力総結集で政権交代!(342)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【NHK-国民収奪】肥大化するNHKの飽くなき野望:スマホやパソコン保有者にも受信料の義務化を視野/明石 昇二郎(ルポライター)》
改悪放送法が5月、国会で成立した。NHKのテレビ番組が早ければ年内にもスマートフォンやパソコン等で視聴可能になる。NHKはネットユーザーからも受信料を取る“野望”を膨らませている。
***************************************
NHKの番組がインターネットでも見られるようになる事で、NHK受信料の徴収は可能なのか─。それを考える上で参考になりそうな判決が今年3月12日に最高裁で確定した。
テレビのワンセグ放送を受信できる携帯電話を持っている者は日本放送協会(NHK、上田良一会長)と受信契約を結ぶ義務があるとしたのだ。その法的根拠は、テレビを設置した者は、NHKと契約しなければならないとする「放送法」である。放送法64条はこう定める。「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」しかし地デジのハイビジョン放送が12セグメント(フルセグ)を使い、解像度がおよそ200万画素であるのに対し、1セグメントだけ使うワンセグ放送はその27分の1の7万6800画素しかない。つまり画質には雲泥の差がある。それでもNHKは同額の受信料を取るのだという。かつて受信契約には白黒テレビ用の「普通契約」とカラーテレビ用の「カラー契約」があり、受信料にも、かなりの差がつけられていた事を、NHKはすっかり忘れてしまっているようだ。せめて画質が悪い分、値段を12分の1なり27分の1にする割引料金を設定するのが筋だろう。ただNHKの「公共放送」としての公共性や公平性を考えるなら、ワンセグ放送の視聴はラジオ放送と同様、無料で十分だと筆者は思う。
それでもNHKは、最高裁のお墨付きを得た事で、受信料の未契約世帯やテレビのない世帯の携帯電話ユーザー、そして未契約世帯のカーナビユーザー等に対し、意気揚々と受信料を請求していくのだろう。だがNHKの“野望”はそれだけに留まらない。次なる獲得目標は「ネット受信料」である。5月29日、NHKの全てのテレビ番組をインターネットに24時間同時配信する事を認める改訂放送法が、自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会、希望の党、社民党等の賛成多数で可決され成立した。これまでは、災害報道やスポーツ中継等に限り、ネットへの同時配信が認められていたが、同法改悪により、全ての番組をネット配信できるようになった。NHKでは、テレビで放送する番組をインターネットにも同時に流すことを「常時同時配信」と呼んでいる。「20代~50代では、テレビを殆ど見ない、または全く見ない視聴者・国民が増加しており、1日当りのテレビ視聴時間は、特に若年層ほど短い傾向にある。また年代が低くなるほど、インターネット利用者の割合が大きいとする調査結果も出ている」テレビを全く見ない人の事を「視聴者」とは呼べない。
ところで、この文章は、NHK受信料制度等検討委員会が2017年7月に答申した「常時同時配信の負担のあり方について」(答申)の中の一文。答申と共に公表されている参考資料によれば、テレビを見ない人の割合は2010年時点で5%ほどだったのが、2015年には10%にまで跳ね上がったのだという。テレビを見ない若い人達が増えているという事は、彼らにとってテレビは必要とされていない─という事に他ならない。
答申でも触れられているとおり、テレビは視聴者を減らし続けている。そこでNHKは、テレビを持っていなかったり、テレビを全く見ない、もしくは見なくなったりした人々を念頭に、前掲の「常時同時配信」計画を進めている。若者達の重要なインフラであるインターネットにテレビ番組を流し、ついでにNHK受信料も頂こう─という構想だ。
しかし、である。テレビから離れていった人達からもカネを取り立てようというのだから、押し売りとさして変わらない。放送だけでは早晩立ち行かなくなるという、NHK経営陣の危機感の表れとも言えるだろう。答申は言う。「放送の常時同時配信は、NHKが放送の世界で果たしている公共性を、インターネットを通じても発揮するためのサービスと考えられ、インフラの整備や国民的な合意形成の環境が整うことを前提に、受信料型を目指すことに一定の合理性があると考えられる」(「答申」要旨より)これが、NHK「ネット受信料」導入の根拠とされている。キーワードは二つ。「公共性」と「国民的な合意」だ。
NHKがテレビ番組をインターネットにも同時に流す事に「公共性」があるのなら、国民が合意した場合に限り、「ネット受信料」制度の導入は道理に叶うと言っている。
しかし国民の合意を得られる保証は今のところ全くない。そもそもネットの世界における「公共性」とは、どんなものなのか。その定義が定まらない事には「合意」のしようもない。NHKの番組をネットに流しさえすれば、直ちに公共性が発生するというものでもない。
それに公共性があれば情報を一方的にネットに流す事でカネを取ってもいいという決まりもない。公共性のある情報をネットで発信しているのは、行政機関をはじめ、既に様々なところがある。但し、それはどれも無料だ。希少な電波を割り振って使う「放送」と、特別な認可を必要としない自由な「ネット通信」とでは、その成り立ちからして全く異なる。
ネット後発組のNHKだけが特別扱いされなければならない道理はない。
「NHKのネット番組」に公共性はないと国民に判断されれば、「ネット受信料」構想はたちまち水泡に帰すことになる。そうした面倒な議論を棚上げにしたまま答申では、パソコンやスマートフォン、タブレット等のインターネット接続端末を持っている者、全てに費用負担、即ち受信料を求める案も検討されている。NHKは「答申」資料の中で、「単にパソコン・スマートフォン等のネット接続機器を持っているだけで負担をお願いする、という事は考えていない」としているが、ワンセグ放送導入時、同放送のみを受信する人もNHK受信契約が必要になるとの報道を全く見かけなかった上に、NHK自身も積極的に周知しなかったことを考えると、「今は考えていない」くらいに受け止めておいた方が無難である。
気になる「常時同時配信」の受信料の額だが、答申では、「なるべく放送の、それとの差をつけないことが望ましい」としており、現在は月額1310円、年額1万4545円(共に振込用紙での支払額)の「地上契約」と同程度になるらしい。その上で、受信料を払わずに視聴する「フリーライド」は断固として阻止する構えのようだ。答申にも「フリーライド(費用を負担せずに視聴すること)を抑止する」との文言が登場する。
しかし放送法を改悪し、放送とネットの両刀使いで、あまねく日本中から受信料を取る事が可能になった暁には、それは、もはや「受信料」ではなく事実上の税金となる。
となればNHKは「公共放送」と名乗る事はできなくなり、放送にネットが合流した「国営メディア」と化す。無料、あるいはNHKオンデマンドのような随意契約(NHKが言うところの「有料対価型」)の形で当初はスタートさせ、追って受信契約を義務付ける仕組みへと移行させることも検討されている。その“こけら落とし”イベントとして想定されているのが、来年の7月から8月にかけて開催される予定の東京オリンピック・パラリンピック。
NHKでは、遅くとも今年中には「常時同時配信」をスタートさせる意向である。
NHKは、テレビの難視聴地域の解消にも一役買っている。「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように」(放送法15条)するという公共放送の理念の下、離島や山間部等で近くの送信所や中継局がなく、地上波が見られない地域のため、衛星放送を活用する等して放送電波を届けている。衛星放送がなかった時代は、とにかく送信所や中継局を作り続ける他なく、NHKの技術スタッフらが文字どおり汗を流していた。
山間部にあるNHK送信所の保守作業には現在も人力で行なわれているものがあり、そうした作業の模様を伝えるNHKの広報動画はNHKのウェブサイトで見るができる。
となると「常時同時配信」が始まり、ネット受信料が、あまねく徴収されるようになれば、NHKは公共放送の理念の下、日本中のインターネット環境の保守にも取り組まざるを得なくなる。果たしてNHKに、その覚悟はあるのか。それをやらずにネット受信料だけ頂こうというのでは、きっと国民から、「NHKのネット番組に公共性はない」と、烙印を押されることだろう。更にNHKが放送法を根拠にネット受信料を徴収するためには、最低でも同法の64条を改正する必要がある。つまり「協会の放送及び配信を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と、その放送の受信及び配信についての契約をしなければならない」と、文言を改めなくてはならない。最高裁判決がワンセグ携帯のみでもNHKと受信契約を結ぶ義務があるとしたことと、放送法改正によって「常時同時配信」がNHKの業務となったことを踏まえれば、NHKにはワンセグ放送の難視聴地域をなくす義務と、NHKの番組ネット配信が滞るような事態が発生した場合には、それを解決する義務があることになる。
NHKに聞いた。質問及びNHKからの回答は次の通りである。
★NHKへの質問内容
1、NHKは「答申」資料の中で、「単にパソコン・スマートフォン等のネット接続機器を持っているだけで負担をお願いする、ということは考えていない」としていますが、その考えは今後も変わることはないのでしょうか。
2、「常時同時配信」が始まり、ネット受信料があまねく徴収されるようになった際には、NHKは公共放送の理念の下、日本中のインターネット環境の保守に取り組むのでしょうか。
3、インターネットは現在、NHKと無関係な民間事業者が通信回線の維持管理を行なっていますが、通信回線の障害や通信環境の悪化などで、ネット配信のみで視聴している世帯に対し、NHKの番組配信が滞った場合、どのような対応を想定していますか。
【例1】民間事業者の通信回線の故障によって数時間~数週間見ることができなくなった世帯の場合。
【例2】通信速度が遅く、配信された番組のダウンロードに数時間~数日かかるような事態に陥った世帯の場合。
4、NHKが放送法を根拠にネット受信料を徴収するためには、最低でも同法の64条の「放送を受信」という文言を、「放送及び配信を受信」と改める法改正をする必要があると思われます。NHKでは、どのようにお考えですか。
5、全国のワンセグ難視聴地域は現在、どれくらいあるのでしょうか。ワンセグのみでもNHKと受信契約を結ぶ義務があると、今年3月の最高裁判決は言っておりますが、この判決を踏まえると、ワンセグの「難視聴」問題を解消するのはNHKの義務だと思われます。
NHKでは、どのように考えていますか。そして具体的にはどのように「ワンセグ難視聴問題」の解消に取り組んでいますか。
6、答申の中でも触れられております、インターネットの世界における「公共性」とは、どんなものなのでしょうか。NHKが考える定義を教えて下さい。
7、答申はネット受信料の導入に関し、「国民的な合意形成の環境が整うことを前提」としていますが、NHKが考える「国民的な合意形成の環境が整うこと」とは、どんな状態になることを指すのでしょうか。そして「国民的な合意形成の環境が整うこと」を、どのような手段で確認するのでしょうか。
★NHKからの回答
以下、回答します。ご質問の前提として引用されている、NHK受信料制度等検討委員会の諮問第1号に対する答申(「常時同時配信の負担のあり方について」平成29年7月25日)は、委員会の見解として示されたものであり、NHKの考え方を示したものではありません。
その上で、以下の通り回答致します。改正放送法によって実施が認められた、NHKの放送番組のインターネットでの常時同時配信は、今の受信料制度の下で、放送を補完するものとして、受信契約世帯に対し追加負担なく提供するものです。このためテレビ放送を受信できる機器をお持ちでない方の場合、例えば、お持ちのスマホやタブレット、パソコンがテレビ放送を受信できる機能を持たないのであれば、受信契約の対象となりません。
視聴者のコンテンツ視聴や情報の受け取り方が多様化する中、テレビを持たない方に対して、公共性の高い情報やコンテンツを届けていく事は、NHKが信頼される「情報の社会的基盤」という役割を果たしていく上で、重要な課題だと認識しています。こうした観点から、「放送と通信の融合時代」に相応しい受信制度のあり方については、研究が必要な課題だと考えています。常時同時配信のサービスは、放送を補完するサービスとして実施するもので、NHKの必須業務ではない事から、通信回線の保守作業や輻輳等による障害への対応は、通信会社等が行うものと考えます。なお視聴する人が大幅に増える事が予想される場合等は、NHKが配信する動画の画質を下げる等の対応をする事にしています。
NHKが考える「公共」のあり方については、NHKの現3か年経営計画において、「正確、公平・公正な情報で貢献」「安全で安心な暮らしに貢献」「質の高い文化の創造」等、6つの公共的価値として明記しています。放送を太い幹としつつ、インターネットも活用し、正確で迅速なニュースや質の高い多彩な番組をできるだけ多くの人にお届けする事で、こうした「公共的価値」の実現を追求し、放送法で求められる健全な民主主義の発達や文化水準の向上等に寄与していきたいと考えています。なお仮定に基づくお尋ねや、法改正についてのお尋ねに、NHKとしてお答えする立場にはありません。以上です。
***************************************
答申は「委員会の見解として示されたものであり、NHKの考え方を示したものでは」なく、「仮定に基づくお尋ねや、法改正についてのお尋ねに、NHKとしてお答えする立場にはありません」という。だが答申は空から勝手に降ってきたものでもなんでもなく、「常時同時配信の負担のあり方」についてNHK会長が諮問した事に対する答申なのである。
まるで他人事のように扱うのは如何なものか。とはいえ、この回答からは、ネット受信料は今後の「研究が必要な課題」としNHKでは考えていることや、常時同時配信はNHKの必須業務ではなく「放送を補完するサービス」であり、通信回線の障害への対応は「通信会社等が行うもの」と考えていることが窺い知れる。しかし質問5の「ワンセグ難視聴問題」は、「仮定に基づくお尋ね」でも「法改正についてのお尋ね」でもない。
よって再回答を求めたところ、次のような回答があった。「ワンセグは、固定受信と比較して電波の受信レベルが低くても受信する事が可能である事や、個別の受信機の場所や性能、受信方法等による受信状況を正確に把握する事が難しい事等、基本的には、その機能を備えた携帯端末等の移動体による受信(受信する方の移動を前提とする放送の受信)である事をご理解ください」つまり「難視聴地域をなくす」事に取り組んでいないようだった。
ワンセグ放送が見られない離島や山間部や地下にお住まいのワンセグユーザーは、NHK受信契約を結ぶとNHKから、どんなことをしてもらえるのだろうか。
「放送を補完する」NHKの常時同時配信は、過剰なサービスである。NHKの番組をテレビで見ている人には、そもそも必要ないからだ。それこそNHK側の勝手な「仮定に基づく」ニーズに他ならない。しかもネット環境の保守からは「補完するサービス」だとして言い逃れをする一方、当初は放送を補完するサービスとして始まったはずのワンセグ放送は、いつの間にか「必須業務」へと格上げされ、NHKと受信契約を結ぶ義務があるのだという。
自らの都合で「必須業務」と「補完業務」を使い分けるNHKは、言葉遊びをしているようにしか見えない。ネット受信料の徴収は、一時的にはNHKの経営を安定させるかもしれない。が、テレビ離れそのものを食い止める方策ではない。(基本文献-週刊金曜日)
***************************************
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
*出版実績:『公正採用と採用選考・応募と人権のハーモニー』絶賛発売中!
(求人・就職活動中の方には必見!)
◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp(なおツイッターでの投稿は①匿名性が高いこと、②ウイルス対策上等、業者助言により一切、開封・受付いたしません。)
(民守 正義)
0コメント