リベラル勢力総結集で政権交代!(332)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【マネジメント戦争機械小史】「科学的管理法」から「マネジメント装置」へ/廣瀬 純(龍谷大学経営学部教授)》

 現場とマネジメントの分離は、19世紀のテイラーによる「科学的管理法」に遡る。
 労働者の「怠業」克服として開発され、現場の具体的現実に呼応しないその手法が今日、抽象的な装置として、現場を覆い尽くしている。
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 私は、大学で仏語や映画論を教えているが、所属は経営学部で、初年次教育等で同学部生と接する機会も多い。起業を目指す者は僅かで、大半は既存企業で従業員として働いてゆく将来を思い描いている。彼等は、しかし生産や販売に現場で直接従事する「労働者」になるのを望んでいる訳ではない。彼等が展望しているのは、現場(ライン)の外から現場の「マネジメント」、即ち、生産や販売の計画立案及び組織化(マーケティングも含む)を行なう職種(スタッフ職)だ。私の属する経営学部では実際、会計科目も含めて、「管理」や「マネジメント」に関わる授業が多く展開されている。経営学部生たちの将来展望、また、これに対応する諸大学経営学部での科目展開で前提とされているのは、現場とそのマネジメントとの職能上の分離である。この分離は一般に、19世紀末に米国のエンジニア、フレデリック・テイラーが考案し、自ら実践した「科学的管理法」にまで遡るとされる。
 テイラーは、機械工見習いとしてそのキャリアを開始するが、エンジニア資格の取得後、工場でリーダーを任され、労働者達の「怠業」に直面する。彼は、この怠業が、生産計画立案や現場組織管理を現場自身に委ねる内部請負制に起因する「組織的怠業」だと考えた。
 その解消のために、テイラーは、計画立案や組織化の権限を現場から奪い、現場から独立したオフィスを設け、そこに集めたエンジニア達に同権限を移す。今日の経営学部が、その存立基盤としている「計画と執行との〔職能上の〕分離」、賃労働内でのスタッフ職とライン職との分割は、従って確かにテイラーと共に始まったと言える。

 しかし注意すべきは、経営学部生の卒業後のキャリアとして今日想定されているものが、テイラーその人によって辿られた、それとは同じでないという点だ。テイラーは、長らく工員として、次いでリーダー工員として現場で働き、現場を離れた後も、あくまでも自らの現場経験を踏まえつつ、エンジニアとして生産計画や組織化に携わった。これに対して、諸大学経営学部が世に送り出す卒業生達は、企業入社直後の短い実習期間を除けば、現場を知ることもないし、エンジニアでもない。今日の企業(特に大企業)では実際、多くの場合、現場経験も工学的専門知識も有さない者達が、生産や販売の計画を立て、それらの現場の組織化に従事している。「計画と執行との分離」は、以上のように、両者間の有機的連関を失ってもなお、今日まで維持されている。その端緒もまた、既にテイラーその人の歩みに見出せる。テイラーは、鉄鋼数社で働いた後、コンサルタントとして独立し、様々な業種の生産現場のマネジメントに携わった。即ち彼は、自分が現場を知らない業種(製糸業等)にも、鉄鋼業での現場経験に基づいて開発したマネジメントの諸手法を応用したのであり、まさに「科学」の名において、それらの手法の現場横断的な汎用性を確立したのだ。マネジメントの科学としての「経営学」の誕生である。資本フローのグローバル化、工場移転、生産・流通網の大規模化、企業のグループ化、下請システムの拡張、サプライチェーンの柔軟化等によって今日、現場(ライン)とマネジメント機能(スタッフ)との隔たりは、地理的にも、人間関係的にも、拡大の一途を辿っている。最も大雑把に言えば、南の貧困国におかれた工場のそのマネジメントが、北の富裕国に位置するオフィスからなされるといった仕方で、今日の「ライン&スタッフ」体制は構築されている。フランスの大企業や官公庁、コンサルティング会社等でスタッフ職に従事する人々への大規模な聞き取り調査を踏まえて、社会学者マリ=アンヌ・デュジャリエが2015年に発表した『具体性から切り離されるマネジメント─新たな労働管理に関する調査』(未邦訳)は、書名が語る通り、現場の具体的現実と無関係に構想され実践される今日のマネジメントと、その従事者達の主観性とを論じた研究書である。デュジャリエは、フランスの賃労働者全体においてスタッフ職従事者の占める割合が、80年代以降一貫して増加傾向にあることを確認し、彼らを「計画立案者」と命名した上で、その職務について「様々な装置の実装を通じて他人の活動に遠くから働きかけることで、雇用主の利益のために、雇用主が量的に定めたパフォーマンスを向上させること」に存すると規定する。ここで言われる「装置」とは、個々のマネジメント手法のことである。
 「装置」について著者が強調するのは、それらが現場毎に開発されるものではないという点だ。「計画立案者達の主たる活動は、新たな装置を構想する事ではなく、標準化されたものを装置市場で調達し、それらを適用する事にある」。他方「〔数量化された〕パフォーマンス」とは、生産・販売コスト削減とベネフィット(利益)増大の事に他ならない。
 従って個々の雇用主や企業によって異なるものではなく、常に自己増殖を求める資本のその一般的性格に帰されるものだ。資本一般からの要求に応える事が問題になっているからこそ、個々の現場毎に特別な装置を開発するのではなく「目標による管理」「バランスト・スコアカード」「ベンチマーキング」「企業資源計画」「リーン生産方式」「カスタマー・エンパワメント」等といった標準装置を、個々の現場の具体性とは無関係に、若干の変数調整だけで、使い回すことが可能となるのである。デュジャリエは、しかしまた、計画立案者達の多くが、自分達と現場との隔たりに十分自覚的であることも見逃さない。

 この自覚にも関わらず、彼らが現場の現実を省みることなく既存装置の流用に終始する理由を、彼女は、コンサルティング会社を例に、次のように説明する。「コンサルタント達は、他人に処方したのと同じものを、自分達の会社にも適用する。単純作業の細分化による労働の合理化である」。計画立案者達は、自身もまた、「パフォーマンスの向上」という資本からの要請の下にあり、それ故に、現場に処方する同じ装置を自分達自身の「現場」にも適用せざるを得ないということだ。抽象化され標準化された装置の汎用それ自体が、それらの同じ装置の効果として生じているのである。「パフォーマンスの向上」や「経済的現実主義」といった旗印の下で、どの現場の具体的現実にも呼応しない抽象的な装置が、あらゆる現場を覆い尽くしている。真の対立は、従って計画立案者(スタッフ)と現場執行者(ライン)との間にあるのではない。雇用主も含む全ての人の生の具体性と、彼らの生を装置の抽象性(「科学」「合理性」)の内に捕獲しようとする資本との間にこそある。
 「科学的管理法」導入以来、資本はマネジメント装置を己の戦争機械としたのであり、それらのマネジメント戦争機械の展開によって、人々の生の具体性のその一切を「怠業」の名の下に攻撃し、あらゆる現場に「競争的ホモ・エコノミクス」を創出する事で、自己増殖を図ってきたのである。(基本文献-週刊金曜日/推奨:産業カウンセラー民守 正義)


《【改竄命令を追認定】近畿財務局職員自殺は「労災」森友改竄問題で認定:過重な公務と因果関係》

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、決裁文書改竄を強要されたとのメモを残して昨年3月に自殺した近畿財務局の男性職員(当時54歳)について、近畿財務局が公務員の労災に当たる「公務災害」と認定していた事が8月7日、分かった。認定は昨年冬。
 肉体、精神面での過重な公務との因果関係があったと判断したとみられる。
 財務省は調査報告書で、文書改竄は当時理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官(61)が方向付け、本省が財務局に指示したと明記していた。今回の認定は本省幹部が遺族を訪ねて報告、謝罪したという。財務省理財局は、国有地の大幅な値引きが報道で知れ渡った後の2017年2月下旬~4月、近畿財務局に指示し、決裁文書から安倍昭恵-首相妻に関する記述や政治家秘書らの働き掛けを示す部分を削除した。この時期に男性職員は担当の管財部に所属していた。毎月100時間に及ぶ残業実態を親族に漏らしていたとされ、17年夏頃から体調を崩し休職。改竄が発覚した直後の昨年3月7日、神戸市の自宅で自ら命を絶った。調査報告書は個人を特定しなかったが、管財部職員らが改竄指示に抵抗、反発した経緯や、本省からの照会や取材対応で「多忙を極めた」ことを指摘。こうした経緯を踏まえ、公務災害と認定したようだ。財務省は個別の認定案件の詳細を明らかにしていない。
 財務省は昨年、14件の改竄を確認し、佐川ら20人を処分した。佐川らは有印公文書変造・同行使容疑等で大阪第1検察審査会の「不起訴不当」議決を受け、政治的に起訴を免れた。(基本文献-毎日新聞/管理者:部分編集)


《【欺瞞「安倍語」攻略】「悪夢のような民主党政権」より自民はマシ?実態隠す「安倍語」の攻略法:上西充子・法政大教授と考える》

<「ご飯論法」生みの親>

 論点をすり替えたり、他党を攻撃したりする「安倍語」が、参院選でも飛び交った。
 例えば「あの民主党政権時代に戻っていいのか」との趣旨の演説だ。実は、この演説自体「安倍語」に操られている-。「ご飯論法」の生みの親、法政大教授の上西充子さんは、そう指摘する。
【安倍演説】あの悪夢のような民主党政権が(2009年に)誕生した。決められない政治。
 経済は失速し、後退し、低迷した=2月10日、自民党大会:枝野(幸男)さん、民主党の。あれっ、民主党じゃなくて今、立憲民主党ですね。どんどん変わるから覚えるのが大変=7月6日、滋賀県草津市で参院選の応援演説:この選挙では年金も大きなテーマであります。野党は残念ながら具体的な提案はせずに不安ばっかり煽っている=7月20日、東京都千代田区で参院選の応援演説
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 東京・秋葉原での光景を覚えている人も多いだろう。参院選の最終日。
 安倍(欺瞞)首相は「安定した政治を守ってください」と声を振り絞り、年金問題では「野党は残念ながら具体的な提案はせずに不安ばっかり煽っている」と批判した。
 時計の針を戻せば、安倍(欺瞞)首相は2月の自民党大会で「あの悪夢のような民主党政権。経済は失速し、後退し、低迷した」と述べ、参院選の演説でも「あの民主党政権」というフレーズを繰り返してきた。上西さんは、これらの演説に「呪いの言葉」が含まれていると説明する。呪いの言葉とは「相手の思考の枠組みを縛る言葉」と言うが、どこに「呪い」があるのだろう。【安倍政権の支持者は、演説を聴いて『そうだ』と納得するだろう。確かに野党が勢力を伸ばすと、政局が不安定になったり、法案審議が滞ったりするのは当たり前。だからこそ『改革』という。その『改革』の一定の混乱を『悪夢』と恐れる気弱な人は、当然に『改革への拒否感』の感情が生じる】だが見落としてはいけないことがある。
 例えば金融庁の審議会が作成した、老後資金として公的年金以外に「30年で2000万円必要」と記載した報告書の受け取りを、麻生太郎副総理兼金融担当相が拒否。
 野党が予算委員会の開催を要求しても、与党が拒んで議論を避けた事実に演説は触れていない。だが「あの民主党政権」と幾度も聞くと「暗い3年間ではなかったのか」との「呪い(亡霊)」が彷徨いだす。そこを上西さんは「相手の土俵に乗せられています。貴方は、公文書改竄が、まかり通る現政権を、そのまま容認するのですか」と切り返す。
 森友学園問題では安倍(欺瞞)首相の妻-昭恵らの関与が焦点となったが、財務省官僚が公文書を改竄して名前を消す等した。防衛省の自衛隊イラク派遣の日報でも改竄が明らかになった。実質賃金の推移を巡るデータが恣意的に操作された疑いが浮上し、国の統計の信頼性も揺らいだ。上西さんは言う。「数々の実態を覆い隠し、有権者の思考を『自民党の方がマシだ』に向かわせようとする『呪いの言葉』が『あの悪夢のような民主党政権』という表現なのです」確かに「悪夢のような民主党政権」というが、東北大震災もあった中で、「具体的に『特段に悪政だった』と言われる具体事例を述べよ」と言われて、羅列的に述べられる人は殆ど、いないのではないか。まさに「呪い」のイメージのみである。

<権力者の「ストーリー」に気付いて>

 上西さんが生み出した「ご飯論法」を振り返ろう。簡単に説明すると「朝ご飯食べた?」と聞かれ、パンを食べたのに「ご飯は食べていない」と答えて質問に真正面から答えない話法だ。昨年の国会審議で、労働問題の専門家として上西さんは、政府が提出した働き方改革関連法案(奴隷的労働法制)をウオッチしていた。政府は、残業代が一定額に固定される「裁量労働制」の適用範囲の拡大や、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設を目指した。野党が過労死の増加に繋がると反発すると、政府側は論点を、ずらす答弁を繰り返した。誠実に答えない政府側の話法を、上西さんが朝ごはんを巡るやり取りに例えてツイート。これが「ご飯論法」と名付けられた。
 更に街頭で国会審議の映像を流し、野党に問題を追及されても政府側が正面から答えない構図を可視化する「国会パブリックビューイング(PV)」を提唱した。
 行動は、これに留まらない。「この社会の中には、声を上げる人を貶め、言葉で支配しようとする人がいます。そこでツイッターに『私達を萎縮させる言葉が意図的に広められている中で、別の言葉が必要です』と投稿しました」この呼び掛けに集まった様々な事例を基に、上西さんは今年5月、「呪いの言葉の解きかた」と題した本を著した。
 同書では「呪いの言葉」が「政界」に留まらず「労働」「ジェンダー」等の分野でも蔓延っている事例を示す。その一つが労使関係。残業代を払おうとしない上司が「嫌なら会社を辞めればいい」と部下を切り捨てたりする言葉だ。「違法残業をさせている本質を隠して『なぜ辞めないのか』という方向へと相手の思考を縛ります。言われた側は『辞めることができたら苦労しないのに』と心理的葛藤を強いられがち。こうなると、上司の思う壺。力を持つ者が、悪意を持って相手を黙らせるのが『呪いの言葉』の特徴の一つです」
 上西さんは本の中で、切り返し方を指南する。方法の一つが「呪いの言葉」の世界から抜け出すために「貴方(上司)は残業代を払いたくないのですね」「違法だという認識はありますか」と問いを投げ返す事だ。そうする事によって、問題は上司側にある事を示すのだ。
「問題の構造が正しく可視化され、『言葉の秩序』が回復される事によって、呪いの言葉を打ち破る事ができるのです」上西さんは、相手を怯えさせ、萎縮させる「呪いの言葉」に対抗する言葉の重要性も説く。その一つを「灯火の言葉」と名付けた。
 こんなエピソードを引き合いに出す。上西さんが働き方改革関連法案(奴隷的労働法制)の不備や「ご飯論法」でマスコミ対応に追われていた時。馴染みの医師が「いい仕事をしたね。世の中の役に立ったね」と、上西さんの言動を肯定してくれたのだ。

 心に灯が灯ったようだった。「相手を肯定的に認めること、そしてそれを言葉にして届ける人が増えることで、その言葉を受け取った人が力を得て、社会を変えていくことができる」と上西さん。「呪いの言葉」が蔓延る中、即効性はないかもしれないが、これが対応策と考えている。因みに管理者が一々「(奴隷的労働法制)」を挿入しているのも安倍の言う「印象操作」ではない。むしろ「安倍の『呪いの言葉』の呪縛からの解放」のためだ。
 再び安倍(欺瞞)首相の選挙演説での問題点を考えたい。「立憲民主党」を「民主党」と繰り返し言い間違え、「枝野(幸男)さん、民主党の。あれ、民主党じゃなくて今、立憲民主党ですね。どんどん変わるから覚えるのが大変」と話しては聴衆の笑いを誘っていた。
 枝野氏が「一種の選挙妨害だ」と批判した事が伝わると、安倍(欺瞞)首相は「毎回毎回変わっていると、覚えようがないじゃありませんか。怒るのだったら変えないでもらいたい」と言い返すような演説もあった。上西さんは「首相のこの演説に『相手を認める』姿勢を読み取ることはできません。マイナスの印象を植え付けるため、意図して間違っているように聞こえます」。では、このような「安倍語」にどう対峙していけばいいのだろう。
「権力者がどんな『ストーリー』を私達に信じさせようとしているのか、まず気付かなければなりません。そして『異なる物語』が存在する事を知る必要があります。そのためには、様々な意見や情報に接して、自らの物差しを鍛えるしかない」何が真実か見極めるのが難しい現代。言葉に込められた「呪い」に気付くのが第一歩なのかもしれない。(参考文献-毎日新聞/文責:民守 正義)
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(民守 正義)