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《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【企業「ハラスメント」】知っておきたいハラスメント:危機管理から考える/増沢 隆太(人事コンサルタント・東北大学特任教授)》

  人事・経営コンサルタントであり、ハラスメントの専門家として様々な企業で問題解決に従事し、協会等でもハラスメントに関連する講演をされている増沢氏。
 企業の危機管理という側面から見たハラスメントについて、事例を元に解説して頂いた。
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 ハラスメントが許されない事は誰でも解っています。ハラスメント対策とは、「ハラスメントがだめなこと」を周知するのではなく、「ハラスメントとされる行為が何であり、何故ハラスメントと見なされるか」という考え方を身につけることが大切です。
 会社など組織環境で働く以上、必ず人との接点があります。それは誰もがハラスメントを受けたり、自分が行う可能性をもっている事を意味します。個人の価値観が激しく多様化する現代社会では、相手の価値観の否定や自分の価値観の強要はハラスメントとされる可能性があります。こう説明すると、「それじゃ、部下の指導もしていけないのですか?」と質問する人が出てきます。もちろん部下の指導がハラスメントなのではありません。
 ハラスメントについては、犯罪性の有無によって線を引くことができます。
 単に「嫌な思いをした」というだけでは、犯罪かどうか判断するのは難しいですよね。
 しかし犯罪的な行為かどうかの判断は可能だと思います。
【事例1】2018年、オリンピック日本代表にもなった女子体操選手に対するコーチの暴力行為が問題視された問題で、コーチ自身も暴力を認めた。しかし選手本人は「コーチと一から出直し、再出発したい」とコーチへの信頼と希望を表明した。
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 この事例がパワーハラスメントなのかという問題は、テレビ等で、かなり取り上げられました。結論から先に言えば、これはパワハラです。「人を殴ってはいけない」というのは、刑法で明確に線が引かれています。親であれ、教師であれ、「親だから殴っても良い」「信頼に基づく『愛のムチ』は認められる」といった主張は通りません。ハラスメントの定義の基本は法律にあります。日本に住んでいる以上、コンプライアンスはどんな組織でも無視することはできないので、ここがファーストステップだと思います。特に刑法に違反するのかどうかは、明確に見極められるでしょう。暴力だけではなく、刑法には名誉毀損もあるので暴言も禁止です。そして重要なことは、お互いの信頼関係や愛情の有無は、ハラスメントの判断には全く関係がないということです。つまり事例1のように選手とコーチとの信頼関係があったとしても、殴っている行為自体が犯罪であり、ハラスメントなのです。
 実はハラスメントで、被害者側に問題意識がない事はよくあります。
 特別な関係性を被害者側も受け入れてしまっている場合、二人きりの空間で起こった、外に漏れようがないことなら、発覚することすらありません。あくまでも公的な場、例えば職場など第三者が現場を見ている状況で行われた場合なら対処ができます。
 事例1の場合も、大きな体育館での行為であったため、パワハラだという声が上がったことで発覚したわけです。職場では親子だろうと師弟関係だろうと、人を殴って良い訳がありません。職場のような公的な場面においては、暴力も、暴力ではなくとも人格を否定する暴言も、全て許されないのです。

【事例2】部下の仕事ぶりの酷さに激高して、「おまえ、こんな事も分らないのか、そんな学歴だからダメなんだ」と言ってしまった。
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 部下が失敗したときでも、上司は何も言ってはいけないのかという極論をよく耳にします。もちろん、そんな筈はありません。業務上正しい事を発言すること自体、何ら問題がないのです。こうした疑問を持ったときに思い出してもらいたいのが、「正当業務行為」という法律用語です。これは一見、犯罪のように見えたとしても、業務として正当に認められる行為のことです。例えばプロレスラーがリングで闘うのは仕事なので、試合中にケガをさせても傷害罪や暴行罪には問われません。しかし路上でケンカして相手をケガさせたら犯罪となります。同様の理屈で仕事上の間違いを正すのはハラスメントになりません。
 工事現場の作業で生命の危険があるとき、思わず怒鳴ってしまったとしても、そうした緊急時の対応なら問題ないでしょう。ただ、そこに仕事以外の価値観を付け加えるのはパワハラとなります。事例2のように学歴を揶揄したり、「なんでこんな間違いをして生きていられるのだ」というような業務と関係ない、人格の否定や暴言は許されません。
 業務達成という目的が明確で、業務遂行のための指示や指導、注意であれば問題はありません。そうした業務目的から外れる表現がないように気をつけましょう。
 カッとなり冷静さを失うと、つい出やすくなるものです。
【事例3】部下の女性に、「今日は肌艶がいいね」と言ったら、「それはセクハラですよ」とキツイ声で言われてしまった。褒めるつもりだったのに…。
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 セクハラが難しいのは、二人の関係性が犯罪のような明確でない領域を含むからです。
 ただ判断が難しいケースでも業務というラインを引いておけば、正しい行動を選択できます。職場で「あなた格好いいね」「あなた可愛いね」は、それが善意であったとしても、どう考えても業務に関係ないはずだからです。セクハラの定義の一つに地位を利用するといったものがありますが、現在は地位を盾に関係を迫るといった話は、あまり聞きません。
 むしろ現場で問題になっているのは、善意のつもりでセクハラをしてしまうこと。

 悪意がないからこそ危険なのです。関係性をよくしよう、潤滑油と思って余計な一言を発してしまうケースです。事例3も業務に関係あるのかを考えれば、口に出していい言葉かどうかがわかるでしょう。性的マイノリティのにように、様々な価値観も重視される環境となった今は、異性間だけでなく同性同士でもセクハラには留意が必要です。
 また性的マイノリティに関わりなく、同性同士で、例えば「アイツは女好きだ」等と性的誹謗を吹聴するような事もセクハラに該当します。特に結婚や出産といったプライバシーについては価値観だけでなく、身体上の理由や様々な個人的背景があり、「一般論」やアドバイスを含め、同性間でも十分留意が必要です。
【事例4】上司から「スタッフが少ないから妊娠は1年待ってほしい」と言われていたが、妊娠を告げると罵倒された。
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 事例4のようなマタハラは、妊娠や育児によって従業員が抜けると、同じ部署で働いている人に負荷がかかってしまうという背景があります。特に人手が足りない企業だと、産休・育休を嫌がる上司もいるようです。そもそも法律で産休・育休が認められている以上、会社は組織として、誠実に対応する義務があります。組織が積極的に現場に介入しないと、職場の当事者間では、産休で欠員を起こした事に攻撃の感情を出してしまう人も出る可能性があります。しかし当然権利である産休を取る人の責任ではなく、それは人が足りなくなるタイミングが分かっていたのに放置した組織の責任なのです。実際、人員の補充が難しい企業もあることでしょう。しかし人手不足状況を現場に丸投げして放置するといった対応は、絶対に許されないことです。
【事例5】仕事は見て覚えるものだと思っているから、部下には特に指導しなかった。
 提出の書類についても、できが悪かったので「やり直し」と、ただ突き返したら社内で問題になった。
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 ハラスメントを生みやすい価値観についても注意をする必要があります。

 私が「昭和の価値観」と呼んでいるものですが、事例5のように「背中を見て覚えろ」といったような、明確な指示なく仕事を強制するもの。つまり修行的な仕事のやり方は、限りなく難しくなってきています。実は私自身、新卒で超零細企業に勤めていたので、社員教育等、全くありませんでした。ですから勝手に見て覚えたのです。名刺の渡し方すら来社する人の振る舞いを見て学びました。こんな報告書は読めないとばかりに、上司から何も言わずに突き返されたりといった事もありました。当時は、それがハラスメントだとも思わなかったし、そもそもハラスメントという言葉すらなかったのです。
 ただ、こうした修行の結果として自分の実力はついたので、当時は怒りを覚えた上司に対しても、今は感謝しています。しかし現在では、こんな振る舞いはハラスメントになります。部下が理解出来ないなら、丁寧に説明しなければいけません。
 私のような世代の方の中には、違和感を感じる方もいるかもしれませんが、社会規範が変わったことを理解する必要があります。
【事例6】部下に指導をしていたが、長時間話し合ったのに、全く反省の色が見られないので「おまえなんか死んでしまえ!」と叫んでしまった。その音声がネットに晒されて炎上。会社に抗議の電話がガンガンかかってきた。
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 事例6のように不用意な発言がネットで拡散する危険性については、誰もが想定しておくべきでしょう。不用意な、問題発言の前後も含めて、全てを聞いて貰えれば意図が分かる筈といった言い分は通用しません。愛情から言ったとか、信頼関係からの言葉だといった言い訳も無力です。全体ではなく問題発言の部分だけを切り取られ、拡散してしまうからです。
 今やスマホのおかげで、誰でも、いつでも録音・録画できるし、写真も撮ることができるのです。常に証拠が取れる時代になった事は認識しておく必要があるでしょう。
 「炎上」と呼ばれる状況は殆どインターネットが関わってきます。「ネットマナー」「ネチケット」等と呼ばれるスタンスは、こうした問題への対処として参考になります。
 ネットに晒されて炎上するかどうかの判断基準の一つは、ネットマナー等で言われているように、自分の振る舞いや発言を自宅の玄関先に発表できるかどうかです。
 実名で誰に聞かれても恥ずかしくない言動であることが重要なのです。

 但しネット炎上を無闇に怖がる必要はありません。というのもインターネットには一定の自浄作用があり、誤解や言いがかりによる批判は、逆に、その批判を発信した者への攻撃となって返ってくる可能性もあります。ハラスメントへの危機管理という点では、非常に過激な人がいるという点にも注意してください。ハラスメントかどうかはケースバイケースだと思いますが、多くの人が流せるような言葉に引っかかってしまう人がいるということです。
 例えば「バカ」と一言いっただけで出社できなくなった部下へのハラスメントは成立するのかといった問題について、難しい問題を孕むだけに上司の立場になった人は考えておくべきでしょう。それに加えて炎上するときは、調子に乗ってしまった場合が多いことも知っておいてください。上から目線で相手をバカにしている態度に、ネットの読者は反応します。
 例えば「俺が言い負かしてやった!どうだ!」というような態度や、自分の虚栄心、満足感での発言は炎上を呼びやすいです。上司という立場は部下より地位や収入が高いので、そもそも嫉妬心を煽りやすい構造になっています。ネットのネガティブなエネルギーは、読者の正義感と嫉妬心によって増大していくので、「立場の上の人が悪事を働く」といった構図は、誤解であっても批判を呼びやすいといえます。最後に組織としてのハラスメント対応機能について述べます。ハラスメントを相談する部署は必ず複数、設けて下さい。
 窓口が1つしかないと、その窓口でハラスメントが起きた時に対処ができません。人事部門と総務部門、あるいは人事部門と社長直結といった必ず2つの通報系統を用意しておくこと、加えて行政機関の労働相談等の活用も重要です。
 また告発してきたハラスメント被害者を押さえ込むような事は、もちろん言語道断です。
 会社など所属組織が揉み消しに入った事が外部に漏れれば、正に炎上へ一直線のリスクとなります。罰すべきはハラスメントであって、インターネットやSNSといった個人が世界に対して意見表明できる環境ができた今は、脅しや力づくの揉み消しは組織の致命傷となり得ることを自覚して下さい。もう一つ。特にセクハラ等では、告発者に感情移入しすぎて、告発内容を一方的に全て鵜呑みにするような事がないよう注意して下さい。
 告発者を嘘つき扱いするなど論外ですが、かといってハラスメント行為が真実かどうかも確認できない内から、行為者を犯人扱いすることも、パワハラの一つとなり、より問題の重大化・混迷化する能性大です。ともすれば組織全体が浮き足立ちかねない事態であっても、ハラスメント担当者は、常に冷静に、客観的に情報を集め、吟味し、コンプライアンスを忘れることなく臨まなければなりません。コンプライアンスは被害者だけでなく、告発された行為者に対しても同様です。ハラスメント対策は、組織の危機管理であり、危機とは「必ず発生するもの」です。「あってはならない」という精神論は危機対策になりません。
 あくまで組織管理の一環として、組織の危機への対処であるという意識を持って臨んでいくべきです。(基本文献-日本産業カウンセラー協会JAICO/管理者:部分編集/推奨:産業カウンセラー民守 正義)
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《-ヒロシマの継承と連帯を考える<核と人類は共存できない>》

◎日時:2019年8月6日(火)開場12:20/開会12:50
◎場所:広島YMCA国際文化ホール
◎参加費1000円(高校生以下・福島避難者-無料)
◎内容
 ●平和講演「ヒロシマ、フクシマ、原発再稼働」講師:河合 弘之さん
    (弁護士・映画監督・脱原発弁護団全国連絡会-共同代表、等)
 ●被曝証言-切明 千枝子さん
 ●沖縄から-高里 鈴代さん
 ●うたと演奏-SETOMAYU(せとまゆ)さん
 ●福島、被ばく・避難-水戸 喜世子さん/安倍 ゆりかさん
 ■まとめ-米澤 鐡志(広島・電車内被爆者)
 ■コーディネーター‐河野 美代子さん(広島被曝二世・産婦人科医)
◎主催:8・6ヒロシマ平和の夕べ
 ●連絡先:〒730-0031広島市中区紙屋町2-2-25大野ビル5F河野クリニック気付
      ℡090-2063-9452/Fax050-3730-6587/E-mail【86h@heiwayube.org】


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*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
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                  (求人・就職活動中の方には必見!)
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(民守 正義)