リベラル勢力総結集で政権交代!(287)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【癌と協働】癌患者が就労するときに知っておきたい医療サイドからの7つの提言:▽インタビュー‐林直子教授(聖路加国際大学)》
乳癌を中心とする最先端の癌医療を行う聖路加国際病院を付属施設に持つ聖路加国際大学で、癌看護・緩和ケアの教育、研究に携わる林教授に、医療サイドから見た癌と就労について話して頂いた。
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─長期的な治療を必要とする癌患者の復職は、増えているのでしょうか。
A:復職というより、休職をしないで済むように治療と仕事のバランスを極力調整するという考え方が今は重要視されています。できる限り今までの生活を変えず、日常生活に癌治療を並走させていく事が大事です。かなり前であれば、癌といえば致死的で急性期的な治療を必要とする印象がありました。しかし今や多くの癌は慢性・長期的に治療していく病気です。
もちろん中には短期決戦せざるを得ない癌もありますが、癌治療の指標の一つである5年生存率はドンドン高くなってきています。5年どころか、10年後の生存率まで見てみても、あまり変わりはありません。癌全体でも6割以上の方が生存するような状況になってきています。
癌は、慢性疾患として一生付き合っていく時代なのです。
手術が必要で日常生活から隔離せざるを得ない状況のときはお休みも必要ですし、癌の種類やタイプによって異なる場合もありますが、基本的には今までの生活に強弱をつけながら、その中に療養を組み込んでいく形が主流になりつつあると思っています。私共の病院でも「癌と共に、ゆったり生きる」という考え方が浸透しています。就労の場において先ず大事なのは、職場の皆さんが「癌イコール死ではない」という意識を持つ事です。
<どんどん変わる癌の常識>
2012年に「第2期がん対策推進基本計画」が発表され、就労世代の癌患者を国として支えていこうという流れになりました。癌診療連携拠点病院には必ず癌相談支援センターがなければならないと定められており、療養生活全般のセカンドオピニオンを含めて、医療者と企業、そしてソーシャルワーカー等が連携して相談を受ける流れになっています。
そして癌相談支援センターでは、その病院の患者でなくても、誰もが相談できるという体制が取られています。しかし癌相談支援センターのことは、あまり知られていません。
癌専門ではない病院の看護職は、そこまで知らないかもしれません。癌の常識はドンドン変化しています。例えば本庶佑先生のノーベル医学生理学賞受賞によって免疫療法が注目されるようになり、適用範囲が広まってきました。また、いわゆる「緩和ケア」の範囲も変わってきています。以前であれば、緩和ケアといえば終末期の症状コントロール治療のことを指しましたが、今は「癌になったら緩和ケア」というスローガンが掲げられるほど、病期に関係なく積極的な緩和ケアを行っています。私共の大学でも、学部生達が緩和ケア普及のためのブースを学園祭で設置しました。癌治療は積極的な治療か緩和ケアかの択一ではなく、根治が望めなくても状態の維持へ、そして症状コントロールはいつでも、へと変わってきたのです。
<病院によって開きがある治療>
聖路加国際病院では、オンコロジーセンターの中に癌を専門とする看護師がいます。
大学院を経て認定試験に合格した癌看護、遺伝看護、リエゾン精神看護の専門看護師の他、化学療法、乳癌看護を専門とする認定看護師等が沢山いて、ナースクリニックを設けています。患者さんは各々の癌のプロフェッショナルに接し、相談する事ができる訳です。
─知識豊富で聞き取りも上手な医師や看護師に巡り合えなかった場合、癌と宣告された人が、最初に何をすべきでしょうか。
A:壮年期の患者さんは情報収集が上手な印象があります。例え地方に住んでいたとしても、インターネットを介して最新の知識を得ることができます。公的機関のサイトにアクセスすれば、癌拠点病院の相談支援センターに関する情報に辿り着けるでしょう。また主治医は、もちろんご存知ですから、近くの癌相談支援センターについての情報を教えてもらってください。大事なのは、初めから仕事を辞めるという選択肢を取らないことです。
そして仕事を続けながら治療を進めるには、どうしたらよいか、主治医に相談しましょう。今までの仕事を続けられるかどうかは、癌種や仕事の内容によって違い、人各々です。
例えば右乳癌で乳房切除術と腋窩リンパ節郭清を行った場合、術後は右腕に負担をかけないような配慮が必要になります。週1回投与の化学療法を受ける患者は、その日だけ治療の日とし他は出勤する、放射線治療を受ける患者は、治療期間中は連日治療後に出勤する等、仕事との関り方は随分、違ってきます。治療と仕事の兼ね合いをうまくつけられるバランス、仕事と治療を並走させる事ができる着地点を、患者さんとその家族が医師、看護師と共に話し合えるといいですね。その中でも患者さんに一番近い存在は看護師です。
特に外来の看護師には、ハイレベルなスキルが求められます。殆ど一期一会のような状態で、「この患者さんと、どう関わるべきか」を感じ取らなければならない。
病院選びの際、外科手術の件数が多い病院等を参考に決めるケースも多いでしょう。
もちろんそれも大事な指標です。でも癌治療は手術では終わりではありません。
長期フォローの質を維持するためにも、外来看護が非常に重要なので、外来で訪れたときの看護師の印象等も病院決定のポイントにしてください。
<医療者を「使う」という意識を>
─病院を選ぶ際、癌患者に求めることは。
A:病院に行く前に、聞きたいことをリストアップしておいてください。医療者に会ったときに、取り乱してしまったり、泣いてしまったりするかもしれません。優先順位をつけて、聞きたいことをリストアップしておくと、きちんと相談することができます。
また聞いたことは必ずメモを取ること。診察の場では動揺してしまってメモを取れないという方が意外と多いのです。でも医療者側は、患者さんが目の前で手帳にメモを取っている様子を見ると「きちんと説明しなければならない」という意識が高まります。
心配事と共に、仕事との兼ね合い等も相談して、誠実に答えてくれる医療者を選ぶのが大事です。医師は個々の患者にとり、最適な治療プランを提示しますが、最終的にどんな医療を選択し、仕事と、どう向き合っていくかを決めるのは患者さんです。
選択のためには、知識が必要になります。医療的な部分は医師に、経済的なことはソーシャルワーカーにと、相談できる窓口を知っているだけでも手術後が違ってきます。
患者の認識が進めば、医療者はより治療に専念できるようになります。
今、特に初診は丁寧な先生ほど時間がかかってしまっています。そこで患者さん自身が自分事として癌に関する知識を準備できていれば、医療者は患者さんが目指す状態をサポートする事に集中できます。患者自身が療養生活を切り開いていけるよう、医療者が専門家として最先端の知識を提供するという、理想の状態が叶えられるのです。
医師の言う通りに治療をこなしていくだけではなく、自分の健康問題を解決するために医療者を「使う」のだという意識を持ってもらいたいと感じています。
─産業カウンセラーやキャリアコンサルタントは、相談者としてがん患者にどう接していけばよいのでしょうか。
A:その方にとって仕事が、どれだけのアイデンティティーを占めているのかを、よく見定めるのが大事です。仕事に対する向き合い方を、きちんとカウンセリングし、またある程度経済的なベースを確保できるような働き方の可能性を提案してほしいと願います。
その人が自己実現のために働いているなら、緩急をつけたり場を替えたりしつつ社会と繋がっていけるやり方を模索していった方がいいですし、経済的基盤を得るためだとしたら、やはり何としても仕事を手放す訳にはいきません。その人にとっての仕事の位置づけをよく理解してカウンセリングしてほしいと思います。更に本人から了解が得られれば情報を共有して、企業全体でサポートしていく体制を整えていってください。
職場の中にロールモデルがいれば、癌を抱えながら働くとはどういうことか、ある程度の予測がつくと思います。すると告知を受けたときの捉え方が全然違うでしょう。
癌に関する情報への親しみやすさを職場で確保するのは、サバイバーとして生き抜いていく上で重要です。
─医療者と企業の考える「働ける状態」のギャップはどう埋めていけばいいでしょうか。
A:産業医・産業保健師の方が、癌患者の情報を医療機関と共有できるよう働きかけるのが望ましいと思います。病状が明らかになる事で人事上不利になるのではと恐れる人がいますが、国の方策では、そういう事は避けるべきとされています。患者さん自身も、人事に詳しく説明できるような社会になってほしいのです。その基礎として、うまく労働と療養が両立できるようにという意識を、産業医も産業保健師も持ってもらえるといいと思います。
<手術後は通勤や食事も大変>
─手術後、復帰をしようという人が念頭に置いておくことは何ですか。
A:初めから以前と同じように働こうと考えないでほしいということです。
もちろん通院しながら働かなければならないという事情もありますが、術後は思った以上に体力が落ちている状態です。働く以前に、職場に辿り着くまでが重労働になります。
復帰まで家の周りを散歩したり、駅の階段を上り下りしたりしながら、自分の体力が、どこまで回復しているかを確かめてください。傷を抱えて満員電車に乗るのも大変ですし、消化器系を手術した人にとっては、ランチタイム内にお昼ご飯を終えるのも一苦労かもしれません。また家事をしながら仕事をしている人であれば、家族のサポートや、家事サポートサービス等の社会資源に頼れないかを検討してほしいと思います。
疲れが一気に出ないよう、職場復帰には準備体操と助走が必要だということを、医療者側からも十分に伝えられるようになりたいものです。
☆がん宣告を受けた方に伝えたいこと7ヵ条
①今の生活を維持することを第一に考えて
今は外来で癌を治療していく時代。必ずしも仕事を辞める必要はありません。
②自分にとって仕事とは何かを考えて
アイデンティティー維持や経済的な基盤の確保に、仕事は重要な意味を持ちます。
自己実現のために仕事をしたいなら、時短等で今の仕事を続けられないか、上司に相談すべき。経済的基盤の確保を最重要視するなら、異動希望も視野に入れ、その職を手放さない方法を考えましょう。
③癌相談センターに行ってみて
拠点病院の中には癌相談支援センターがあり、その病院の患者でなくても受け入れてくれます。自身の癌との付き合い方、仕事の維持の仕方、生活プログラムの作り方、経済的基盤確保の方法等について相談できます。
④自分事として癌と向き合うため、正しい知識を持って
理想の状態を叶えるために医療者を使うという意識を持てるくらい、癌についての知識を持ちましょう。ネットでの情報収集も有効ですが、個人の体験を一般化するような記事や、弱みに付け込む悪徳商法的なサイトには気をつけましょう。
⑤病院を選ぶときは外来に注目して
癌治療を進める際、外せない要素として、外来が優秀な病院が挙げられます。
実際に診察を受ける等して医者や看護師の力を見極めましょう。
⑥診察前には聞きたいことをメモしていって
診察時に慌てないよう、事前に聞きたい事をリストアップし、優先順位をつけておきましょう。
⑦医師の説明は手帳に書きとって
医師に限らず、人は目の前でメモを取られると「適切な事を言わなければ」と、発言により真剣になります。(基本文献-日本産業カウンセラー協会JAICO/推奨:産業カウンセラー民守 正義)
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《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
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◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
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(民守 正義)
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