安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(73)

《【闇のTPP】漂流から座礁へTPP。トランプもヒラリーも批准反対で》

昨日、本「リベラル広場」で安倍政権が環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案を、4月本格審議を目指しているものの、米国大統領選の民主党有力候補ヒラリーも共和党有力候補トランプとも『TPP反対』を表明していることで「漂流するTPP」を報じた。しかし「漂流するTPP」どころか「座礁したTPP」が、より色濃くなってきており、改めて安倍政権も農林・水産業者への参議院選挙対策以外「今国会早期TPP批准・同関連法案成立を目指す」積極的意義は見出せない。これに対する「第二弾!もう実施できないTPP(孫崎亨さん:経済・外交等評論家)」を紹介する。

<TPP米国批准はもうない。大統領選挙で自由貿易批判。トランプTPP反対。ヒラリーも民主党内強い反対。米側報道で検証。>

A:評価

・米国では多くの人々は経済的に苦境、

・その理由を自由貿易で職が奪われたと考えている。

・TPPはさらに職を奪うシステムと位置付けられている。

・大統領選中、TPPは批准できない

・さらにトランプはTPPに強く反対。彼は実施しない。

・ヒラリーはそもそもTPP推進者。これだけ民主党内で反対が強くなった状況で、TPPを押し通すのは極めて困難。

・TPPはほぼ死に体。

B事実関係

1:3月9日付CNN「トランプとサンダースが米国(民)の経済上怒りを如何に利用したか(How Trump and Sanders tapped America's economic rage)の主要点

・トランプとサンダースは政治の両極にあるが、経済的に剥奪されたとの気持ちを代弁している。

・両者はグローバリズムで脅かされ、自由貿易の利益に疑問を持ち、自分と縁のないエリートが彼らの生活と展望を害しつつ経済を支配していると信じている広大な米国の人々を代弁している。

・これらが両者をクリントンや既存勢力に対抗させるまでにしてきた政治的環境である。経済的不安こそ、両者の成功の背景にある。

・大不況から7年後の今、賃金は上昇せず、格下の就職しかできない。中産階級を引きずり下ろした構造的経済問題は化膿したままだ。

・大学費用は増大し、基本的生活水準はより費用がかさみ、いい仕事は以前よりも不安定だ。多くの者は経済の回復は、いつ自分の所に来るのだと問う。Felicia Wongは「我々は新しい時代にいる。人々は経済に不安を持ち、活動の場は公平な競争の場;ではなく、ルールを決めているのはエリートの利益だと感じている」と述べている。

・トランプとサンダースはここに向かって話している。

・トランプはワシントンとアウトサイダー(移民や仕事を奪う中国人、日本やベトナムで米国の官僚をちょろまかす者)を攻撃している。

・トランプは自分のホテル用に米国製TVを買えないという。【韓国製】

・共和党のミシガン選の出口調査で、55%が貿易で米国の職が奪われたと述べた。ミシシピーでは58%が職が奪われたと言い、その54%がトランプに投票した。

・民主党のミシガン選で57%が貿易で米国の職が奪われたと述べた。

・北米自由貿易強敵、TPPがヒラリー攻撃の的である。

・今ヒラリーはTPP反対である。

2:ウオール・ストリート・ジャーナル紙「TPPに逆風、米国で政治的後押し失う」の主要論点(By BOB DAVIS 2016 年 3 月 10 日)

・歴代の米共和・民主両党の大統領はこれまで何十年もの間、米国と世界の市場開放に努めてきた。

・しかし今では両党共に自由貿易への反感が勝り、環太平洋経済連携協定(TPP)の年内批准は、ままならぬ状況。

・多くの民主党員は、これまでの複数の自由貿易協定について、工業地帯の中西部を中心に多くの雇用を奪い賃金を押し下げていると批判。中西部地域は日本やメキシコ、中国といった比較的、低コストの製造拠点からの競争に長い間、打ちのめされてきた。

・8日のミシガン州とミシシッピ州の予備選で大きな驚きの一つは、貿易を巡る懸念が共和党有権者にどれほど大きく影響しているかということ。これは貿易制限の緩和から恩恵を受けるのが誰かを巡り、右派の心の奥で懐疑心が広がっていることを示す証拠。

・共和党の指名獲得に向け先頭を走るドナルド・トランプ氏は、TPPをはじめとする貿易協定に強烈な反対を表明。民主党指名を狙うバーニー・サンダース上院議員も同じだ。民主党指名争いで優勢のヒラリー・クリントン氏も現在、TPPに反対の意向を示している。

・ミシガン州とミシシッピ州の予備選ではトランプ氏が大勝したが、特に貿易について懐疑的な有権者の間では、他候補との得票差は全体の差を上回った。ミシガン州民主党予備選でも、貿易問題を巡る苛立ちがサンダース氏に僅差での勝利をもたらした。

・ミシガン州予備選での出口調査によると、貿易協定によって国内の雇用が失われると考えている有権者からの得票率は56%対41%でサンダース氏がクリントン氏を上回った。

・民主党はTPPなどへの反対で主導権を握り、新興諸国での安い労働力によって生産された輸入品のため、米国では数百万の雇用が失われていると主張している。自由貿易に対する民主党内の支持は年を追うごとに低下している。下院では昨年、政府に貿易交渉権限を委ねる貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)をオバマ大統領に与える法案に賛成票を投じたのは、民主党議員では28人だけだった。NAFTAでは民主党議員の102人が賛成票を投じていた。

・それほど目立ってはいないが、共和党有権者の貿易に対する支持も低迷している。

ファストトラック法案を巡る採決直後の2015年6月にウォール・ストリート・ジャーナルとNBCニュースが共同で実施した世論調査では、自由貿易が米国にマイナスになるとの回答が全体では34%対29%の割合で上回った。しかし共和党支持者の方が民主党支持者よりもずっと否定的だった。共和党有権者では、自由貿易が米国にマイナスとの回答が38%対28%で上回った。一方、民主党有権者では貿易が役に立つとの回答が35%対29%で上回った。

・トランプ氏は、メキシコや中国、日本との貿易交渉で米国が不利を被っていると繰り返し主張している。

・8日夜の予備選の結果では、現在の環境で共和党の議会指導者たちがTPPの年内の議会通過を求めることがいかに難しいかが浮き彫りになった。

・民主党が激しく反対するTPPは、共和党の支持のおかげで昨年、何とか、揉み消されずに済んだ。しかし共和党の支持は、ここ数カ月間で大幅に弱まっている。(紹介文献:孫崎享のつぶやき/紹介文献以外:文責管理者-民守 正義)

<何故、急ぐTPP審議?参院選で農業関係者の反発懸念>

政府は閣議決定・国会提出した環太平洋連携協定(TPP)の承認を求める議案と11の関連法案について、国会会期末である6月1日までの成立を目指すこととしている。

だがTPPの発効に不可欠な米国議会の承認は、大統領選が本格化した現段階で目途が立っていない。日本がTPPの議論を急ぐ事に有識者から批判の声が出ている。TPPがカバーする範囲の広さから関連法案は、著作権の保護期間を50年から70年に延ばす著作権法の「改正」案や、国内の畜産農家の経営を守るための「法改正」など多岐に亙る。論点は多いが政府は一括法案の形式をとった。法案の早期成立を目指す狙いがあるためとみられる。(「戦争関連法」で味を占めたようだ)複数の法案を一纏めにできるのは「各々の趣旨や目的が同じだったり、密接に関わったりする場合に限られる」というのが、これまでの政府の立場。菅義偉官房長官は8日の記者会見で「改正事項は、いずれもTPPの内容に直接、対応するための措置だ」と話し、閣議決定は従来の方針に沿っているとの考えを示した。しかし日本が急いでもTPPの発効が早まる訳ではない。TPPは参加12カ国の中で、最大の経済国である米国の議会が承認しなければ発効しない取り決めだからだ。

その米国の大統領選では有力候補とされる民主党のクリントン氏や共和党のトランプ氏はTPPに反対の立場をとる。一方、日本では衆参両院が特別委員会を設置し、4月から審議を本格化させる。政府・与党が成立を目指す6月1日まで2カ月ほどの時間しかない。

 日本が手続きを急ぐ背景にはTPPを参院選の争点にしたくないという自民党の意向がある。あるベテラン議員は「農業関係者の反発は根強く、TPPが中ぶらりんのまま参院選に突入して突き上げられる事態は避けたい」と語る。衆参同日選も囁かれる中、自民党の危機感は強い。これに対し大妻女子大の田代洋一教授(農業経済学)は「国内農業へどれだけ打撃があるか分からないのに拙速に決めるべきではない」と批判。東京大の時実象一非常勤講師(著作権法)も「著作権法はいったん変えたら修正は難しい。スケジュールありきでなく議論を尽くすべきだ」と警鐘を鳴らす。(東京新聞/管理者一部編集)

《【虚像のアホノミクス1】大企業の景況感、3四半期ぶりマイナス1~3月》

財務省と内閣府が11日発表した1~3月期の法人企業景気予測調査は、大企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)がマイナス3.2だった。マイナスは3四半期ぶり。世界的な株安や円高の進行で、企業が景気の先行きに慎重になっている。2016年度の設備投資は15年度比で6.6%減るとの見通しだ。指数は自社の景況が前期に比べ「上昇」したとの回答割合から「下降」の割合を引いた値。調査基準日は2月15日で、資本金1千万円以上の企業1万2832社から回答を得た。石原伸晃経済財政・再生相は11日の記者会見で「世界的な規模での(市場)混乱が影響している」と指摘した。大企業のうち製造業はマイナス7.9と3四半期ぶりのマイナス。原油安で化学工業が減収になり、食料品製造業も競争激化で業況が厳しい。非製造業はマイナス0.7で、7四半期ぶりのマイナスだ。市場混乱で金融機関の収益が悪化する懸念があり、海運業も荷動きが鈍っている。中堅企業のBSIはマイナス2.8、中小企業はマイナス16.6だった。設備投資は15年度の8.8%増から16年度は6.6%減となる見通し。製造業は自動車関連の投資一服で15年度の11.1%増から1.7%増に鈍る。非製造業も卸売業等の投資が減り、7.6%増から一転11.3%減となる見通しだ。毎年1~3月期に出る翌年度の設備投資見通しはマイナスになる傾向があるが、落ち込み幅は大きく、企業の投資意欲の減退が窺える。景況感の回復は遅れそうだ。

大企業の景況感の先行きは4~6月期はマイナス2.2と2四半期続けてマイナスになり、7~9月期にようやく5.6とプラスに浮上する予測となっている。(日本経済新聞)

《【虚像のアホノミクス2】グラフで鮮明:アホノミクスで消費の冷え込み“最速最大”》

8日発表された2月の消費動向調査。メッキが剥がれても「アベノミクスで民主党政権より景気は良くなった」「給料が増えた」と言い張る安倍(経済音痴)総理。だが数字は正直だ。毎月の消費支出金額、つまり家庭が「1カ月で使うお金」は、民主党時代との比較はおろか過去15年間で見ても、第2次安倍政権での減り方が最も激しい事が分かった。

 過去15年の毎月の消費支出のデータを分析したのは、シグマ・キャピタルのチーフエコノミストT氏だ。消費支出金額は季節的な要因による変動が激しいので、今年1月の物価水準を基準として各月の消費支出から物価変動の影響を除いて実質化し、12カ月前からの平均(12カ月移動平均)の推移を描いている。それによると2人以上世帯の実質平均消費支出は、安倍政権がスタートした12年12月は29万9087円だったのに、今年1月は28万5351円に減っている。3年1カ月で1万3736円、4.59%の減少である。因みに民主党政権下では09年9月から12年12月にかけ、29万5801円から29万9087円へと逆に3286円(1.11%)増えている。そして、これが決定的なのだが15年前の小泉政権発足時の01年4月の実質消費支出は31万9418円。今年1月と比べると実に3万4067円(10.67%)も減ってしまった。安倍政権下の支出金額が最も少なく、減少のスピードが速いことはグラフで一目瞭然だ。何故ここまで庶民はモノを買わなくなってしまったのか。

T氏はこう言う。「安倍政権がやっていることは近隣窮乏化ならぬ、自国窮乏化です。円安で輸出を増やそうと、異次元緩和で通貨安戦争をしかけた。しかし円安による輸出増で国内を潤すという経済成長戦略は、とっくに賞味期限切れ。モノだけでなくヒトもカネも国境を越えて移動するボーダーレスの今は通用しない。むしろ円安政策は日本国民の実質所得を減らし、消費を減らす帰結をもたらした。この先、所得が増えるとは誰も期待していない。将来が不安で消費を控え、どんどん貯蓄傾向が高まっているのが現状です」

同調査でも消費者心理を示す消費者態度指数は前年比2.4ポイント低下の40.1。2カ月連続で悪化した。この調査は、向こう半年間の購買意欲などの見通しを指数にしたものだが、指数を構成する4つの指標すべてが悪化した。(日刊ゲンダイ/管理者一部編集)

【ご案内1】

[安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める関西市民連合 街宣]

《日時》

3月21日(月・祝)13時〜@梅田ヨドバシカメラ前

《スピーカー》

野党各党、ママの会、学者の会、SEALDs KANSAIメンバーなど

【ご案内2】

政治家に放送法の遵守を求める視聴者の会: 岸井さん応援署名に続く第二弾!

「【高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール】を応援します」署名に賛同を!→https://goo.gl/TNskKX

 2/29にTBSの岸井さん・金平さんはじめ6人のジャーナリスト達が高市総務大臣の停波発言に抗議する記者会見を行いました。現役のキャスター達が、こうした会見をするのは、非常に勇気あることだと思います。これで他のジャーナリスト達も後に続くのか、政権のメディア圧力は異常だという声を大きくしていけるのかが今、問われています。ただ残念なことに、この会見を伝えるテレビニュースの多くは、短いものでした。報道ステーションもNEWS23も、短く伝えてコメントもありませんでした。これは視聴者が応援するしかありません。署名という目に見える形で、テレビ局に「高市発言はおかしい」という声をつきつけましょう。電波は、放送は、メディアは国民のものです。政府や、大臣や、総務省のものではありません。

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※2/29の会見で、岸井さん応援署名を岸井さんご本人が紹介してくれました!署名用紙も手に持って。その部分を書き起こしましたのでご覧ください↓https://goo.gl/O7blS

【ご案内3】

「沖縄に『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」

◎活動のご案内と寄付のお願い

 *詳しくは【サイト/[島ぐるみ会議]http://shimagurumi.org/】をご覧ください。

【ご案内4】[ナビラ募金への御協力のお願い]

パキスタンでの戦争やテロによって教育を受けられなくなったナビラさんの兄妹たちが、教育設備の充実したペシャワールの「Smart School等」で寄宿舎生活により教育を受けることができるよう「ナビラ募金」を起ち上げ、早急な支援を実施していくことといたしました。年間で二百万円ほどの資金が必要です。募金先は、三菱東京UFJ銀行赤坂見附支店、普通預金口座0280580「一般社団法人現代イスラム研究センターナビラ募金」。

問い合わせは当センター☎042(426)8280までお願いいたします。多くの皆様にご賛同頂き、ご協力を賜りたく思います。[一般社団法人 現代イスラム研究センター]

*なお「現代イスラムセンター」理事長 宮田律さんは「リベラル広場」にも友好関係で、以前も投稿していただき、イスラム諸国の平和立国としての日本の価値と非武装・非軍事援助の重要性を「戦争関連法」反対の中で力説しています。

【ご案内5】

ラッキィ池田さんと踊って憲法学んじゃおう!

日 時:2016年4月2日(土)午後3時~午後4時45分

(開場:午後2時30分)

会 場:大阪弁護士会館2階ホール(大阪市北区西天満1-12-5)

定 員:600名(事前申込制・先着順)

     (但し大人のみ、子どものみでのお申込みはできません。)

参加費:無料

大阪弁護士会主催 あすわか共催

お申し込みは、こちらから[http://www.osakaben.or.jp/event/2016/2016_0402.php]

【ご案内6】

[動画]「韓国人です。いっしょにハグしませんか?」と、京都で呼びかけてみたら…

[http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/004d86e724dc88b155bd1cadb25f8c3b]

ぜひ、ご覧ください。感動しますよ♪

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(民守 正義)