安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(72)

《【闇のTPP】漂流するTPP。それで何故、急ぐ?TPP承認案と関連法案》

一昨日、本「リベラル広場」で環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案を閣議決定した事を報じた。両件案は、今国会での協定承認と法案成立を目指すという。

両件案細部は一昨日原稿を再度、一読して頂くとして今、両件案成立を何故、急ぐのか。

一昨日原稿にも記載したが「発効には参加国全てが2年以内に国内手続きを終えるか、域内のGDP85%以上を占める6カ国以上の国内承認が条件で、必然的に12カ国のGDPの約8割を占める日米の承認が必須となる。しかし、その米国は大統領選で民主党有力候補ヒラリーも共和党有力候補トランプとも『TPP反対』を表明している。その意味でも国内農林・水産業者の反対を押し切って、かつ先述した総選挙公約違反を犯しても今国会早期TPP批准・同関連法案成立を目指す」積極的意義は見出せない。これに対する私なりの「安倍内閣の目論見」を分析・記載したが、孫崎亨さん(経済・外交等評論家)の見解文章も見つけたので、それを紹介する。

<TPP批准は米国大統領選で反対の声で漂流中。それでも国会批准を急ぐ、日本の馬鹿さ加減>

A:評価

・今米国大統領選挙の予備選が進行中である。

・この中、鮮明なのは「白人男性の連邦政府への不信」で生活悪化への不満が強い。この不満には、職が失われているとの思いがある。

・米国は、これまで北米自由貿易を結んできた。その柱の一つは米国資本が海外に進出し、それを保護する態勢にある。その意味では米国国内に職が減少しているのは自由貿易政策と関係がある。

・ミシガンでサンダースがヒラリーを破った要因の一つが、ヒラリーが過去TPP推進派であったことが指摘されている。

・こうした中で、ヒラリーも現在のTPPには満足できないと反対の立場を表明している。

・トランプの支持基盤は「怒れる俳句人男性」であり当然、TPP反対である。

・こうした中、日本は8日、国会承認求める議案と関連法案を閣議決定をした。

 米国の批准が本年十難しい中で、「馬鹿か」と思われる動きである。

・菅官房長官は、閣議後の記者会見で「わが国が率先して動くことで、協定の早期発効に向けた機運を高めていきたい」と述べている。日本が率先して批准したら、米国国内情勢を変えられるとでもいうのか。

B:関連事実関係

TPP 国会承認求める議案と関連法案 閣議決定(NHKニュース)

政府は8日の閣議で、日本が輸入する農林水産品等の95%の関税を撤廃する事等を明記したTPP=環太平洋パートナーシップ協定の国会承認を求める議案と、協定発効後の農家への支援索等を盛り込んだ関連法案を決定。TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡って、日本やアメリカなど参加12カ国は先月、協定文書に署名し、協定の発効に向けて国内手続きを進めることに。TPP協定には、日本が輸入する農林水産品や工業製品等9321品目の内、95%に当たる8862品目で関税を撤廃する事等が明記されていて、政府は8日の閣議で協定の国会承認を求める議案と、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめた関連法案を決定。この内、関連法案には協定発効後、牛肉と豚肉の生産者が赤字経営になった場合に、赤字額を国と農家で作る積立金を使って補填する制度を法制化し、補填割合も引き上げる内容等が盛り込み。

また音楽や書籍等の著作権の保護期間を著作者の死後50年から70年に延長する事や、営利目的で著作権を侵害した場合には作者等の告訴がなくても起訴できる非親告罪の対象に。政府は議案と関連法案を今の国会に提出し、速やかな承認と成立を目指すことに。

閣議で安倍総理大臣は「TPP協定は、21世紀型の新たな共通ルールをアジア太平洋地域に作り上げ、自由で公正な1つの経済圏を構築する試みだ。人口8億人という巨大市場を作り出すアベノミクスの成長戦略の切り札だ」「早期の協定の発効と関連法案の成立を目指したい。重要なことは国民の支持を得ることであり、法律案の趣旨を理解頂けるよう、国民に分かりやすく説明する努力をお願いしたい」。

菅官房長官は、閣議の後の記者会見で「ニュージーランドでの署名式の際にも、発効に向けて各国が責任を持って国内手続きを進めていく必要性が確認された。我が国が率先して動くことで、協定の早期発効に向けた機運を高めていきたい」。(紹介文献:孫崎享のつぶやき/紹介文献以外:文責管理者-民守 正義)

《【腐蝕する安倍内閣1】難航する丸山議員「奴隷発言」議事録》

本「リベラル広場」でも既に報じた自民党-丸山和也参院議員の「オバマ米大統領を念頭に『黒人の血を引く。奴隷ですよ』等発言(参院憲法審査会)」について議事録から削除する手続きが難航している。丸山議員は発言を撤回し、議事録からの削除を申請したが、参院の規則が発言趣旨を変えるほどの削除を認めていないからだ。参院規則は議事録の削除・修正について「字句に限るものとし、発言の趣旨を変更することができない」と定めている。今回の場合、唯一の方法は柳本卓治審査会長が職権で削除を決める場合だが、通常は与野党の代表者が合意して削除するため、職権による削除に野党が反発するのは確実だ。自民党議員からは「参院選前に憲法審査会で事を荒立ててほしくない」と懸念の声が漏れている。管理者は、事は「差別的発言」だが、その事を与野党が認めた上で議事録は事実として残しておいた方がよいと考えるが、もう少し憲法審査会論議を見守りたい。

それよりも丸山議員自身は「誤解を招く発言」は認めているが「差別的発言」自体は否定しており、まだ「奴隷発言」の差別性が解っていないようだ。なお大手マスコミは殆ど報じていないが、現に米国オバマ大統領は「私が奴隷なら米国は日本人を米国の家畜にしてやる」と米国メディアに発表し外交問題になりかけた事があったようだ。

そこで何故、この発言が「差別を助長する発言」になるのか改めて掲載したい。

<差別を差別と自覚できないところに丸山議員の人権感覚のなさがある>

先ず「偏見」の源泉には心理学的に「事実認識の誤り」と「社会的・歴史的・成育歴・環境的に特定の人々を見下したり、穢れ意識等が刷り込まれている場合」とに大別され、この二つの源泉が複雑に絡み合って「差別意識」を構成している場合が多い。とりあえず「事実認識の誤り」のみの場合、その謝った事実認識を是正されるだけで「なーんだ」と「偏見」意識も除去される場合が多い。その意味で何事にも予断的推測等をできるだけ排除し、科学的・唯物論的・具体的実証等に基づいて思考するよう努める事が重要である。

次に「社会的・歴史的・成育歴・環境的に特定の人々を見下したり、穢れ意識等を刷り込まれている場合」について言えば、例えば「黒人は元奴隷で貧しく粗暴な人達」とか「被差別部落の人々は乱暴で穢れている」とか「障害者は(人生観・感情等)暗い」等々、現実社会を生きていく中で、無意識的に刷り込まれた誤った認識と合わさった「偏見」で、これらの「偏見・誤った認識に基づく不当待遇・不合理な扱い等」が「差別待遇」となるのである。この「刷り込まれた偏見」の場合は、本人には、なかなか主観的に自覚できず、むしろ、その「偏見意識」が本人にとっては「信条・信念」に近いものまで高められ、反発さえ招きかねない場合も多い。これら「差別の心理学」で丸山議員の「差別的問題発言」を検証すると、先ず「オバマ大統領は黒人で元奴隷」は全くの事実誤認でオバマ大統領自身も含め、元奴隷でない黒人は幾らでもいる。更に百歩譲って、仮に「先祖が奴隷でも大統領になった」ことのみ言いたかったのであれば「先祖が奴隷でも大統領になるようになった米国。でも、なお厳しい黒人差別が歴然とある米国」と正確に全体を言わないと「偏見の助長」になる事は火を見るより明らかである。このように「丸山議員-差別的問題発言」を検証すると「黒人の先祖は皆、奴隷」という誤った事実認識を助長・吹聴したこと、米国をはじめとした「黒人差別」に対して「怒りと黒人差別撤廃」の意識が滲み出ているほどの発言というよりは、明らかに「黒人差別を肯定的or助長的」にダラダラと述べているに過ぎない。故に概して「ズバリ露骨な差別発言」とまで言わずとも、少なくとも「差別と闘う立場」というより「差別に対して無知+傍観的以上に助長的」であったことは間違いない。なお「差別と闘う立場」以外は「傍観的であること」も含め「差別を助長する立場」に組することを断言しておく。(文責:管理者-民守 正義)

《【腐蝕する安倍内閣2】驕れる安倍自民党-なぜ不用意発言が飛び出すのか?》

それにしても、かくも世論を逆撫でする不用意な発言が何故、次々と飛び出すのか。

この点について安倍政権に一定の距離を置く自民党のベテラン議員は「党内には今、安倍一強体制にアグラをかいた『気の緩み』が蔓延している。しかも思慮を欠いたオソマツな発言には、日頃から思っている事が、つい出てしまったというよりは、日頃から言っている事が、そのまま出てしまった-という側面もある。表に出ているのは氷山の一角だよ」と断じた上で、次のように実態を暴露するのだ。「特に目に余るのが、安倍チルドレンを中心とする若手議員や、安倍さんに強い共感を抱く一部の中堅議員。実際、彼らが密室に3人も集まれば、国民や野党をコケにしているとしか思えない大暴言大会になる-と聞いている。今後また、こうした暴言の一端が公の場面で飛び出すのではないかと、私は心配だ‥‥」このベテラン議員によれば、彼らが固執等を貸し切って開く夜の酒席等では、次のような会話が展開されることも決して珍しくはないというのだ。

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若手A 安保関連法案の強行採決の時もそうだったけど、何をやっても安倍さんの支持率はビクともしないねぇ。さすがだよ。

若手B 落ちっこない。安倍さんが一言「次の春闘でも賃上げを」とでも言えば、世論なんておもしろいようにコロッと変わる。国民なんてちょろいものだ。

若手A ちょろい、ちょろい。国民のレベルも、その程度ということだよな。

中堅C 今、安倍さんが解散を打っても、自民党は圧勝するのじゃないか。維新との合流問題で揉めている民主党はアホだし。

若手B 民主党なんて、ほっといてもなくなる。消滅は時間の問題だよ。

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 有名な和歌の一節ではないが「忍ぶれど色に出でにけり」どころか、日頃の暴言三昧が必然的に舌禍事件を招いているのだ。実は先の丸川環境大臣の反放射能派発言にも、同様の素地を指摘する声がある。甘利元大臣の後任大臣に就任した石原伸晃大臣は環境相時代、汚染土等を処理する中間貯蔵施設の建設を巡り「最後は金目でしょ」と発言して、福島をはじめ国民的な猛批判を浴びた。だが米軍普天間基地の辺野古移設問題も含め「最後は金目」とのホンネを陰で口にする議員は少なくないというのだ。安倍総理に近い中堅議員も次のように指摘する。「あくまでも水面下での話だが、若手のイケイケ議員の中には『沖縄の米軍基地を含め、迷惑施設の建設については、最終的にカネの話になる。ゴネ得を許さないためにも、(地元住民に)釘を刺しておくのはいい』等のホンネを漏らす者もいる。

もっと鼻っ柱の強いのになると『福島はどうせ元には戻らない。汚染されているところに汚染土を置くのは当然』等と口走る議員も。薄氷を踏む思いで安倍政権を支えてきた一人として、こうした考え方をホンネとして抱く同志の存在は残念でならない」【管理者:「甘利」の「涙の記者会見」で逆に内閣支持率が上がったという。そういう政治を「情」で見る国民の政治意識のチョー低い意識があるのも事実。そんな政治音痴と真剣に政策で政治を考える国民と「同じ一票」には私も腹が立つ。この知的レベルの低い少なからぬ国民の政治意識を払拭しないと絶対、日本の政治はよくならない。私個人としては政党の政策のみで判断材料とする「完全政党名-記名選挙」が本来的で望ましいと思っている。政治に重要でないと言い切らないが、人間性・人柄は二の次・三の次だ】(エキサイト/管理者一部編集)

【ご案内1】

政治家に放送法の遵守を求める視聴者の会: 岸井さん応援署名に続く第二弾!

「【高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール】を応援します」署名に賛同を!→https://goo.gl/TNskKX

 2/29にTBSの岸井さん・金平さんはじめ6人のジャーナリスト達が高市総務大臣の停波発言に抗議する記者会見を行いました。現役のキャスター達が、こうした会見をするのは、非常に勇気あることだと思います。これで他のジャーナリスト達も後に続くのか、政権のメディア圧力は異常だという声を大きくしていけるのかが今、問われています。ただ残念なことに、この会見を伝えるテレビニュースの多くは、短いものでした。報道ステーションもNEWS23も、短く伝えてコメントもありませんでした。これは視聴者が応援するしかありません。署名という目に見える形で、テレビ局に「高市発言はおかしい」という声をつきつけましょう。電波は、放送は、メディアは国民のものです。政府や、大臣や、総務省のものではありません。

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※2/29の会見で、岸井さん応援署名を岸井さんご本人が紹介してくれました!署名用紙も手に持って。その部分を書き起こしましたのでご覧ください↓https://goo.gl/O7blS

【ご案内2】

「沖縄に『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」

◎活動のご案内と寄付のお願い

  *詳しくは【サイト/[島ぐるみ会議]http://shimagurumi.org/】をご覧ください。

【ご案内3】[ナビラ募金への御協力のお願い]

パキスタンでの戦争やテロによって教育を受けられなくなったナビラさんの兄妹たちが、教育設備の充実したペシャワールの「Smart School等」で寄宿舎生活により教育を受けることができるよう「ナビラ募金」を起ち上げ、早急な支援を実施していくことといたしました。年間で二百万円ほどの資金が必要です。募金先は、三菱東京UFJ銀行赤坂見附支店、普通預金口座0280580「一般社団法人現代イスラム研究センターナビラ募金」。

問い合わせは当センター☎042(426)8280までお願いいたします。多くの皆様にご賛同頂き、ご協力を賜りたく思います。[一般社団法人 現代イスラム研究センター]

*なお「現代イスラムセンター」理事長 宮田律さんは「リベラル広場」にも友好関係で、以前も投稿していただき、イスラム諸国の平和立国としての日本の価値と非武装・非軍事援助の重要性を「戦争関連法」反対の中で力説しています。

【ご案内4】

ラッキィ池田さんと踊って憲法学んじゃおう!

日 時:2016年4月2日(土)午後3時~午後4時45分

(開場:午後2時30分)

会 場:大阪弁護士会館2階ホール(大阪市北区西天満1-12-5)

定 員:600名(事前申込制・先着順)

     (但し大人のみ、子どものみでのお申込みはできません。)

参加費:無料

大阪弁護士会主催 あすわか共催

お申し込みは、こちらから[http://www.osakaben.or.jp/event/2016/2016_0402.php]

【ご案内5】

[動画]「韓国人です。いっしょにハグしませんか?」と、京都で呼びかけてみたら…

[http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/004d86e724dc88b155bd1cadb25f8c3b]

ぜひ、ご覧ください。感動しますよ♪

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(民守 正義)