リベラル勢力総結集で政権交代!(238)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【「安保」憲法違反】伊達判決」から60年:それでも日米安保条約は憲法違反/水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授》

  60年前の1959年3月30日、「日米安保条約は憲法9条に違反する」という、画期的な判決が東京地裁(伊達秋雄裁判長)で下された。検察は最高裁に「跳躍上告」し、最高裁は「統治行為論」もどきの論理で逃げて、地裁に審理を差し戻したが、「安保条約は違憲」という判決の問題提起は今も生きている。
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 「それでも地球は動く」。イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが異端審問(宗教裁判)の際に呟いたとされる言葉だが、「安保条約による米軍駐留は憲法9条に違反する」と主張する事も「安倍一強」の今の日本では、これに匹敵する勇気がいるのかもしれない。
 1950年代、旧安保条約に基く米軍駐留が、司法の場で正面から争われた事件があった。
 砂川事件である。米国は、大型機の離発着可能な滑走路を求めて、東京の立川飛行場の拡張計画を打ち出した。農地が強制収用されることになり、北多摩郡砂川町(現・立川市)では、町議会が全会一致で反対を決議。町議会議長を闘争委員長として、農民と共に基地拡張に抵抗した。労組や学生も支援して大きな運動に発展していった。その過程で事件は起きた。1957年7月8日、反対派の農民・学生らが、たまたま基地境界の簡易柵が倒れたので、基地内に4.5メートルほど立ち入ったところ、この行為が、安保条約に基づく刑事特別法2条(施設・区域を侵す罪)違反とされ、7人が起訴されたのである。
 本来なら軽犯罪法1条32号(立入禁止場所への立入り)違反の軽微な事件で終了するところだが、検察官は米軍基地という事で伝家の宝刀を抜いた。これに対して弁護団は、刑事特別法を基礎づける日米行政協定(現在は日米地位協定)と安保条約それ自体の違憲性を主張して争った。裁判所としては、事案を形式的に処理し、罰金の判決を出して終えることも可能だった。そうすれば、砂川事件の名前で後世に残る事もなかっただろう。
 だが一審の東京地裁(伊達秋雄裁判長)は1959年3月30日、(1)憲法9条は自衛権を否定するものではないが、自衛戦争も自衛のための戦力の保持も許さない、(2)我が国の安全保障は、国連の安保理がとる軍事的安全措置等を最低線とする、(3)我が国が合衆国軍隊の駐留を許容することは、指揮権の有無等に関わらず、憲法9条2項により禁止される陸海空軍その他の戦力の保持に該当する、(4)合衆国軍隊の施設・区域の平穏が一般国民と同種法益よりも厚い保護を受ける合理的理由は存在しないとして、被告人全員に無罪の判決を言い渡した。
 裁判長の名前をとり「伊達判決」という。検察官は高裁に控訴するという通常手続きをとらず、直接最高裁に対して跳躍上告を行なった。これは超異例の措置だった。
 同年12月16日、最高裁大法廷(裁判長・田中耕太郎長官)は、(1)憲法は自衛権を否定しておらず、無防備・無抵抗を定めたものではなく、他国に安全保障を求めることを禁じていない、(2)憲法9条2項で保持を禁止されている戦力とは、「我が国が主体となって指揮権・管理権を行使できる戦力」をいい、駐留米軍はこれに該当しない、(3)日米安保条約の憲法適合性については「高度の政治性」を有することから、「一見極めて明白に違憲無効」と認められない限り司法審査になじまない、(4)安保条約は、違憲無効であることが一見極めて明白であるとは到底認められない、と判示して、一審判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。
 差し戻し審で、被告人の罰金刑2000円が確定した(1963年12月7日)。

 砂川事件については、時間の経過に注目して頂きたい。一審判決が出たのが3月30日、それを破棄する最高裁判決が出たのが、同じ年の12月16日である。この時期は、安保条約改定に向けて日米間の詰めの協議が行なわれていた。新安保条約が署名されるのは、1960年1月19日である。もし検察官が東京高裁に控訴していれば、最高裁判決は条約の署名後にずれ込み、条約の憲法正当性が問われ続けただろう。伊達判決が9カ月足らずで破棄された理由が、2008年4月になって、米国の秘密指定解除文書によって明らかとなった。資料(極秘公電)を見ると、伊達判決が出された当日から、在日米国大使館が実に奇妙な動きをしていた事が解る。
 判決が出された3月30日夜7時52分、米国大使館は国務長官宛に緊急電を打ち、東京地裁が米軍駐留を憲法9条違反とする判決を出した事実を伝えている。電報の差出人はマッカーサー駐日大使。連合国軍最高司令官だったダグラス・マッカーサー元帥の甥である。
 同大使は、翌31日朝8時に藤山愛一郎外務大臣と会い、判決に対しては「二つの可能性がある」として、高裁に控訴するか、それとも最高裁に跳躍上告するかと迫った。
 岸内閣の閣議が始まるのは午前9時である。検察独立の原則があり、捜査や起訴・不起訴の決定、上訴の有無などは検察官が決める。一審が無罪判決を出した以上、検察官としては当然、高裁に控訴して有罪をとりにいく。だが例外的に、刑事訴訟法46条は、最高裁に「法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」に関して、「裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる」という権限を与えている。跳躍上告である。4月3日、検察官は最高裁に跳躍上告を行なった。だがマッカーサー大使は更に異様な動きを続ける。4月24日、大使は田中最高裁長官と「私的な対話」(private con-versation)を行なう。極秘公電には、田中長官が大使に対して、「少なくとも数カ月(at least sev-eral months)で判決が出る」と語っている。大法廷での審理、しかも安全保障や条約が論点となった初めてのケースである。そう簡単に結論は出せないはずなのに、長官は「数カ月以内」、つまり1959年中に結論を出すという「約束」を米国大使にしている。
 公電を見ると、大使は公判期日や上告趣意書の期限に至るまで事細かく国務省に報告している。一地裁が出した一つの判決に対してここまでやるか、の世界である。

 伊達判決が如何に米国にとって厄介な存在だったのかが解る。12月16日、最高裁は一審判決を破棄し、地裁に差し戻す判決を出す。田中長官は大使との「約束」通り、米軍駐留を違憲とする地裁判決を葬った。判決は直接、米軍駐留を「合憲」とはしていないものの、「高度の政治性」のある国家行為に対して司法は抑制的な態度をとることを打ち出しつつ、実際には、「超高度の政治性」を発揮したわけである。判決の1カ月後の1960年1月19日、新日米安保条約が署名された。この砂川事件最高裁判決の政治性は、半世紀あまり後に再び発揮される。
 2015年6月8日、安倍(戦争)首相は、集団的自衛権の行使を合憲とした「7.1閣議決定」と、それに基づく戦争関連法案について、「砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にする」と強弁した。「我が国の…存立を全うするために必要な自衛の措置を執り得る事は国家固有の権能の行使として当然」という判決の一節が根拠である。
 『朝日新聞』6月11日付社説は「また砂川とは驚きだ」というタイトルで違和感を露わにした。判決のどこをどう読んでも、集団的自衛権行使を容認する論地を導くことはできない。
 砂川事件は、安保条約に基づく米軍駐留の合憲性が問われた事件であって、自衛隊の合憲性はおろか、集団的自衛権行使の事は全く論外だったからである。
 高村正彦自民党副総裁(当時)は、私を含む憲法研究者の批判に対して、「100の憲法学説より一つの最高裁判決だ」として、最高裁砂川事件判決を何度も持ち出した。
 伊達判決が60年前に明確にした「安保条約に基づく米軍駐留」の憲法的論点は、依然として解消していないどころか、「グローバル安保」の展開により深刻な事態に立ち至っている。
 伊達判決の意義は依然として失われていない。(週刊金曜日/管理者:部分編集)


《【「障害者差別+準強姦」幇助判決】障害者-性被害:守らない「法秩序」》

 軽度の知的障害がある吉田えみさん(23)=仮名・神奈川県在住=は、特別支援学校高等部に通っていた時、男性教諭(当時20代)から性的な被害に遭った。
 男性教諭は「背が高くてかっこいい先生」。バレンタインデーにチョコを贈ったのを機に手紙のやりとりが始まった。部活の帰りに男性教諭に「送っていくよ」と言われ車に乗せられた。「家に来ない?」。誘われるままについて行くと関係を持たされた。
 関係は数カ月間続いたが、ある時、男性教諭のアパートに2人で入るところを知人に見られ、発覚した。えみさんは誘われると断るのが苦手だ。「私のことを好きでいてくれると思っていたのに…。見つかった途端、態度が冷たくなり体が目的だったと気づき、ショックだった」と話す。男性教諭が加害事実を認めたことや、えみさんが教諭とのやりとりをノートに詳しく記録していたことから被害事実が認定された。男性教諭は懲戒免職になり県青少年保護育成条例違反で略式命令を受けた。えみさんの場合は有罪だったが、知的障害者が性暴力被害者の場合、立件が見送られる事も多く、無罪判決が出る事も多い。
 福島地裁郡山支部で昨年9月、知的障害を抱える当時13歳の少女と性交したとして養父が監護者性交等罪で起訴された事件で、無罪判決が下された。養父は性交の事実はないと無罪を主張していた。判決によると、少女は中学校で教諭に生活状況を聞かれた際、前日に養父から外出先の車内で性交をされたと打ち明けた。産婦人科医は診断で少女の性器に「慢性的な性的接触の痕跡」があったと指摘。車内から養父の精液が検出された。
 一方、検察官の取り調べや証人尋問では、少女の供述が変遷。須田雄一裁判長は判決で、当日の養父の携帯電話の位置情報履歴から「性交等の機会があったとは考えにくい」とし、少女が「(中学)教諭の質問の仕方に影響を受けて事実と異なる供述をした可能性を疑わざるを得ない」と述べた。検察は控訴を断念し、無罪が確定した。障害者の性被害に詳しい杉浦ひとみ弁護士は「知的障害者や幼児の場合、被害に遭っていたとしても日時の記憶は曖昧な事が多い。推定無罪の原則で検察側に厳格な立証が求められる中、有罪のハードルは非常に高い」と話す。少女には、捜査段階で検察官らが回答を誘導しないよう「司法面接」を実施。だが、その前に中学校での聞き取りで、性交の有無を教諭の方から尋ねていた。
 判決は、少女は「胸やお尻、股間の辺りを触られた」と自分から訴え出たものの「(中学)教諭が尋ねるまで、性交に該当するような表現をしていなかった」と誘導を受けた虞を指摘した。福島県教委義務教育課はこの点を深刻に捉え今年3月、「子供から性的虐待の訴え(相談)があったときの学校の対応」と題した文書を県内の全公立小中高校計約740校に配布した。繰り返し聞く事は避ける、性器の名称を言えない時は体の絵を職員が指し子供に名称を言わせる―など対応を具体的に示した。文書の原案を作った安部郁子福島大特任教授(福祉臨床心理学)は「司法面接の導入が進む一方、最初に被害を聞くことの多い教員らが被害状況を詳しく聞き取ろうとして、被害者が自分の記憶を他者の推測と混同してしまうことがある。一刻も早く司法面接に繋ぐという認識を教育現場にも広めなければ」と話す。
 日時等の記憶が曖昧になる原因は他にもある。安部特任教授は「継続的な性的虐待は、道端でレイプされるような被害と異なり、決まったパターンで同じ人物から行われる事が多い。子供には食事や入浴と同じくらい日常的な記憶になり、何月何日だったかは意味を持たない。それを司法の場で特定するのは難しい」と話す。知的障害者の弁護を多く担当する黒岩海映弁護士は子供への配慮としてできた司法面接を「障害のある大人の被害者についても知的レベルや障害の特性に応じて、取り入れる事を検討すべきだ」と提案する。「日時や場所の特定が苦手、誘導に乗り易いといった知的・発達障害の特性を十分に踏まえた捜査が必要。裁判所も十分に理解した上で審理にあたる体制を作る事が司法の場の合理的配慮として求められる」と注文する。九州のある特別支援学校は性教育に力を注ぐ。

 知的障害や発達障害のある女子生徒が、男子生徒や会員制交流サイト(SNS)上で繋がった男性に「裸を見せて」と言われて簡単に応じてしまう等、問題が起きたからだ。同校の女性教諭は「性教育は生き方を教えること。生徒を性犯罪から守るためにも必要だ」と話す。
 校内に「性教育推進委員会」を作り、性暴力から身を守るすべとして「嫌なことは嫌だと言っていい」「怖いと思ったらその場から逃げていい」「心配なことがあれば相談する」と生徒に指導してきた。「どんな人にも優しくしないといけない」「断って逃げたら失礼だ」と思い込んでいる生徒がいるからだ。海外では性犯罪の処罰規定で、被害者が障害者の場合、罪が重い国がある。フランスは、強姦罪は15年の拘禁刑だが、被害者が「身体障害や精神的な欠陥によって著しく脆弱な状態」等の場合、20年の拘禁刑。
 英国は「精神障害が原因で拒絶できない者と性的活動を行う罪」がある。
 米国や韓国は加害者が被害者を保護する立場等の場合、より重い刑を科す。
 性暴力の根絶を目指すNPO法人「しあわせなみだ」(東京都)の中野宏美理事長は「日本の刑法の規定や裁判のルールは、障害者が犯罪被害者となる事を想定していないと言わざるを得ない」と話す。刑法に相手が障害者である事に付け込んだ性犯罪に対する処罰規定の創設を求めている。司法面接-検察、警察、児童相談所の各代表者が原則1回の面接で、事件に遭った子供から話を聞き取る方法。繰り返し被害状況を語らせず、答えを誘導せず子供に自発的に話して貰う事を重視する。基本的に録音・録画される。

<障害児への司法面接:米国に学ぶ>

 児童虐待の防止に取り組むNPO法人チャイルドファーストジャパン(CFJ、神奈川県)は、児童虐待対策が進む米国の、障害がある子にも適用できる司法面接手順や性的虐待への対応を学ぶ研修プログラムを2010年から実施。全国の検察官、警察官、児童相談所職員、医師、看護師ら延べ626人が受講した。プログラムに障害児は「健常児と同様に司法面接を受ける権利を持ち、そのための配慮を十分に行わなければならない」と明示。 聴覚障害児に手話通訳をつけたり、知的障害者には精神年齢に応じて質問の難易度を変えたりする事も学ぶ。研修を手がける内科医の山田不二子CFJ理事長は「どんな子にも対応できるよう関わる大人がスキルを学び、子供が安心して話せる設備を整える必要がある」と話す。

<海外の障害者に対する性犯罪処罰規定の例>

○米国カリフォルニア州
被害者が精神障害、発達障害、身体障害のため法的に同意する能力を欠いており、行為者がそのことを知っていて性交した場合、強姦罪になる(配偶者を除く)
○英国(イングランド及びウェールズ)
故意の性的な接触を、被害者が精神障害が理由で拒絶できず、加害者がそれを知っていた場合、「精神障害が原因で拒絶できない者と性的活動を行う罪」が成立
○フランス
暴行、強制、脅迫、不意打ちにより実行する性的挿入行為は性質の如何を問わず強姦で15年の拘禁刑。身体障害、身体的・精神的欠陥により著しく脆弱な状態にあることが明白な者への強姦罪は20年の拘禁刑
○韓国
障害者施設の職員が、保護・監督している障害者に対し強姦や強制わいせつの罪を犯した場合、1.5倍まで刑を重くする(法務省の資料などを基に作成)(基本文献-毎日新聞)
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《憲法と性的マイノリティ~憲法が導く虹色の視点~》

*本セミナーの正式名称は《憲法とLGBT~憲法が導く虹色の視点~》であるが、ここで「LGBT」は誤用かつ差別的であるため、管理者責任で「修正」した。

◎第一部:講演-「LGBTってなんやねん~私は私、あんたはあんた」
 ●講師:仲岡 しゅん弁護士(大阪弁護士会)
◎第二部:パネルディスカッション
 ●ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)
 /村木 真紀さん(虹色ダイバーシティ理事長・代表)
 /仲岡 しゅん弁護士(大阪弁護士会)
◎主催:大阪弁護士会
◎日時:2019年5月11日(土)午後1時~午後4時(開場:午後0時30分)
◎場所:大阪弁護士会館2階ホール
◎参加費:無料◎事前申込:5月7日まで(定員600名)


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(民守 正義)