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《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【ワンオペ育児】ワンオペママは頑張っている/藤田結子さん(明治大学商学部教授)へインタビュー》

【用語解説-ワンオペ育児】配偶者の単身赴任等、何らかの理由で1人で仕事、家事、育児の全てを、こなさなければならない状態を指す言葉である。母親1人を指す場合が殆どで、「ワンオペ育児ママ」という派生語もある。「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略で、コンビニエンスストアや飲食店で行われていた1人勤務のこと。1人で全てをこなす過酷な状況から、それを行っていた企業がブラック企業だとして社会問題となった。
   こうしたブラック企業の「1人で全てをこなす」状況と近いことからネットを中心に、この言葉が使用されるようになった。
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 「ワンオペ育児」という言葉を社会に広めた研究者であり、一人での育児の大変さに警鐘を鳴らし続けている藤田先生にワンオペ育児の背景について伺った。
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─現在、育児の真っただ中にある母親達の実情は、どのようなものでしょうか?
A:母親達は、とても頑張っています。近くに親が住んでいたり、家が裕福だったりのラッキーな人もいますが、近くに親も親戚もいない、お金もないというのが今の30代の平均像。シングルであれ、共働きであれ、今の母親達は、ごく普通に子育てするために働いています。本当に皆、頑張っていると思う。ずーっと働いています。朝5時に起きて子供の面倒を見て、保育園に送ってから仕事に行って、夜は父親が帰って来ないから、お風呂に入れてご飯を食べさせて、両親も近くにいないから頼れず、翌日も一人でそれを繰り返して、それを受け入れて皆、頑張っているのです。一番、大変なのは一人親です。
一人親にも、いろいろなタイプがあって、けっこう裕福な一人親もいるでしょう。
離婚して実家の近くか、実家に住んで両親がバックアップする場合等ですね。
親のところに住んでいるから困窮していないようなケースです。しかし地方から出て来て自分で家賃を払ってやっている人はキツイ。3組に1組は離婚する時代なので、これから一人親は増えてきそうです。
─50代以上の育児と今の時代の育児とではどのような違いがあるでしょう。
A:先ず出産しても仕事を辞めない人が増えています。今50代以上の方は、主に雇用機会均等法施行以前の方達です。男女が平等の立場で働くのでなく、会社における働き方、処遇に格差がありました。自ずとキャリアパスも今とは違ってきます。就職し20代で結婚して子供が生まれて仕事を辞め、暫く子育てに専念した後、パートで仕事復帰するというのが一般的でした。また90年代以降女性の大学進学率が上がっていて、現在は5割近くが進学していますが、今50~60代の方達の大学進学率は1~2割ぐらいでした。
 今でいう「総合職」という働き方、即ち出産後も働き続けるというキャリアパスそのものが稀でした。もちろん育児休暇制度もありません。今、幼児を育てている世代は30代前半がメインです。第一子の誕生が30歳位です。特に、この5年くらい、出産しても辞めない人が増えて来ています。4割近くが働き続ける。その背景には、出産しても働き続けるというキャリアパスができたことがあります。ただ夫の賃金が上がらないという切実な理由もあります。

 世帯収入が十分でないため、片働きだと子供二人育てるのは厳しい。
 女性が働いて得られる賃金は平均して200~300万円台。それと夫の賃金を合わせないと大都市圏では家賃や生活費が賄いきれない傾向にあります。保活をして共働きをしないとやっていけない、この層が子育て世代の典型なのです。次に教育によりお金と時間をかける時代になってきた事が挙げられます。多くの方が未就学児から習い事をさせています。
 ここ10年くらい親の教育不安が高まっているという調査があります。背景にあるのは自己責任を問われる新自由主義時代の到来です。しっかり教育をしないと子供の将来が不安だという親が増えているのです。新卒一括採用、終身雇用、年功序列賃金という日本型の雇用が崩れつつあります。正規雇用が減って非正規雇用が増えており、雇用者全体の4割に達しようとしています。先々どうなるか分からないという状況の中で、例えば英語を習わせる等、しっかりと子供を教育しておきたいという意識が高まってきているのです。
 これは「教育ママ」と言われる人達に限らず、広く母親全体に見られる傾向です。
 もう一つ、昔と今の子育て環境の違う点として地域のサポートがない事が挙げられます。
 昔は専業主婦が多かったし、子供が生まれて直ぐに仕事に復帰するという事もなかったので、80年代位までは子育てのコミュニティが地域毎にありました。母親達が井戸端会議をしている周りで3~4歳位の子供達が遊んでいるという光景が見られました。
 しかし今はゼロ歳児から保育園に預けて仕事復帰するお母さんもおり、そういった母親のコミュニティみたいなものが、できにくくなっているのです。そもそも何故ゼロ歳児から預けるのかというと、育児休業期間中は母親自身で子供の面倒を見たいので保育園に預けるのは1歳の誕生日を過ぎてからという母親が多く結果、ゼロ歳児の方が入園しやすくなり、保育園に落ちて仕事を失いたくないと考える母親がゼロ歳保育を選ぶのです。
 いずれにせよ母親達の多くは我が子が1歳の時点で職場復帰しているため、子育てのコミュニティが地域にできにくいのです。多くの母親達が職場復帰してしまうと、行政の子育て支援拠点である「子育てひろば」等に行くなりして自分から声をかけないと仲間が作れず、能動的じゃない母親は孤立しがちです。昔は皆が早い時期に仕事復帰するような事は無かったので仲間が出来ました。出産する年齢も20代後半から30代と世代が近かったので仲間が作りやすかった。今はアラフォーの高齢出産も増えて出産年齢に幅があります。そんな訳で母親達が自然に溜まるような状況が多くはないのです。頼りになる人と、ママ友の両方がいない。
 仲間がいれば父親がいなくても孤独にならずにするのですが、地方から出て来て、親はいないし、仲間はいないし…という状況に一部の母親達は置かれているのです。

─家事と育児を母親が一手に引き受けている、あるいは引き受けさせられている状況はなぜ生まれるのでしょう。
A:最近の女性向けメディアには女性からの「イクメン批判」が、よく見られるようになりました。イクメンを自称する男性は多いのですが、彼らは言うほど女性の家事育児を減らす事に貢献していないという実態が明らかになってきたからです。実際、育児をしている父親達は、子供との「遊び」はよくするものの、「世話」はあまりしないという傾向が多くの調査で明らかになっています。夫婦の育児家事分担は共働きで8:2から10:0ぐらい。
 殆ど母親がこなしています。母親も仕事に出ているのに、この状態です。
 その理由の一つは夫の方がお金を稼いでいるということです。給与格差の背景には男女の賃金格差があり、女性が派遣等で職業を転々とせざるを得なかった社会状況があり、賃金が安いこと、キャリアアップができないことに対する当人の諦めもあります。その結果、家事育児を受け入れ、その辛さに耐えています。母親の給料が高いと父親の家事育児分担率も上がる傾向にあります。それでも、ある程度稼いでいる女性でも多く分担しています。5:5はゼロに等しいです。家庭によっては妻が稼ぎ、家事育児も妻のパターンもありますが、それは妻に手に職がある場合が殆どです。収入が高く、キャリアもある母親達は家事育児の偏重に怒っています。そして、それ以外の母親達は、ただ耐えている場合が多いのです。
─母親たちは経済的なことや論理的なことなどの複合的な要因で追い詰められているように思えます。彼女たちが活き活きと働く時がくるのでしょうか?
A:例えばベビーシッターに預けて働くという方法がありますが、日本にはベビーシッターに任せることへの罪悪感があります。母親規範とでも言うべきものが彼女らの中に存在します。
 ベビーシッターに預けることはシンガポール、アメリカ、ヨーロッパでは普通ですが、日本では、それは悪い母親なのです。高学歴で大企業勤務でシッターにかける収入があっても真面目な母親が多いので、そういう手抜きはしにくい。男性並みに働きながら、丁寧な子育てをしている人が多いです。あるいはお弁当。欧米ではジップロックにパンとチーズとポテチを詰めて完成ですが、日本では、お弁当はちゃんと作ってあげたいと皆さん言います。
 専業主婦でないにも関わらず、自分に課す家事のレベルが高いのです。

 これが変わっていくのは、社会的に責任のあるポジションに就く女性が増えて、給料が高くなって、働き方の仕組み等に女性が意見を述べる事ができるようになる必要があります。
 現状は子育てをしていない人達が世の中の仕組みを決めているから、なかなか改善されません。働き方の仕組みが変わって女性が稼ぐようになると、男性がもっと家事を分担するようになり、家の中でのパワーバランスが変わってきます。そうすれば子供も産みやすくなり、育てやすくなると思います。女性活躍と一口に言っても女性が活躍する世の中になるためには、色々な要因に手をつけなければならない。いろいろな要因がつながって活躍を阻害しているのです。
─世界各国の男女平等の度合いを示した「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は調査対象144カ国中114位です。ランク上位にいる国の母親達の働き方はどのようなものですか?
A:ランキング上位にはヨーロッパの国々が名を連ねます。これらの国々では日本ほど長時間労働が蔓延していません。EUでは残業時間が少なく、その上限は月32時間とされています。
 日本では「働き方改革」といいながら残業時間の上限は繁忙期に最大で月100時間未満まで認められています。従って、これらの国々ではパパが育休を取るし、残業がないので午後7時頃には帰ってきます。その結果、お父さん達は平日でも3時間くらい家事をこなしています。
 因みに日本は1時間ぐらいです。またベビーシッターを雇いやすい状況になっていたり、法的なサポートがあったり、いろいろな社会制度が整っています。
 日本は、どちらかにしなければいけません。ヨーロッパのように労働時間を短くして、家事育児を自分達で分担できるようにするか、そうでなければ保育園に預けやすくする等の社会制度、環境を整備するか。今の日本は、どちらも選択できません。また、これらの国々では雇用形態の格差もあまりありません。同一価値労働賃金で、終身雇用や年功序列もなく、働き方の仕組みが違うので、女性が働きやすいシステムになっているのです。
 日本は一度、辞めたら再雇用はパートで低賃金の仕事しかない場合が殆どですが、欧米では再就職しても同じような仕事を同じようなポジションで続けることができるのです。
─産業カウンセラーが母親達の相談を受ける場合の心構えがあればお教え下さい。

A:一番、良くないのが「頑張れ!」と励ます事です。「昔は出来たのだから、あなたもできるはず」もダメ。やっている仕事は非正規雇用で一人前ではないし、育児にしても、忙しさもあって親の時代に比べて丁寧に出来ていないという負い目を感じている母親が多いです。
 そのようにできていないと思っている人に対して「頑張れ!」と励ますと、彼女達を精神的に追い込んでしまいます。「もっと人に頼りなさい。あなたは十分頑張っているのだから、それでも及ばないことがあればサポートを頼んだ方がいいですよ」という方向に導いた方がよいでしょう。先ず母親を受け入れて話を聴いてあげて、「自分で全部やろうとしなくていいのですよ」と…。職場では時短や子供の病気等への対応による休暇等で仕事ができていないという負い目があり、家庭では家事が昔の専業主婦ほどできていないという負い目があり、両方とも完璧にはできていないだけで十分頑張っているのに自分はダメなんじゃないかと思っている人が多い。過去の日本でも、共働き先進国である西欧諸国でも、今の日本の母親達ほど一人で家事育児を、こなしている母親は、そういなかったはずです。家事育児は、もっと手抜きしていいのです。共働き社会の先輩である欧州やアジアの国々は、家事育児の要求レベルが日本ほど高くないし、他人にやってもらってもいます。中国では親戚に助けてもらっているし、欧州ではベビーシッターを頼んでいるし、父親も参加しています。かつての日本の専業主婦と同等の家事育児を、こなしている上に仕事もしているというのが今の日本の母親達なのです。(JAICO日本産業カウンセリング協会/推奨-産業カウンセラー:民守 正義)
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(民守 正義)