リベラル勢力総結集で政権交代!(200)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【反「天皇制度」】「強い力」への反逆という理想に生きた金子文子/鈴木 裕子(早稲田大学ジェンダー研究所招聘研究員、同大学文学学術院教員)》
金子文子は、少女期を植民地朝鮮で暮らし、朝鮮人への苛酷な仕打ち、虐待、搾取を目の当たりにし、植民地支配、更に帝国主義の基盤となっている「国体」の矛盾を鋭く衝いた。
その思想と行動を追い学ぶ。
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金子文子(1903~26年)が死去してから92年余りが経過するが、文子の願いとは逆に日本と韓国・朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」)との間には様々な未解決の問題・難問がある。文子が若年とはいえ、近代日本の膨張主義・侵略主義・植民地主義を「推進」するために大きな役割を果たした近代天皇制国家について、明快な分析をし、優れた表現を残した事は画期的な意義をもつ。このような視点・思想を持ち得たのは1912年、父方の叔母夫婦の「養女」候補として朝鮮に渡り、植民者家庭の一員となり、日本植民者が朝鮮人に対してどのような苛酷な仕打ちをしたのか、明敏な文子が実際に見聞・体験したことが大きいと考える。現実をみる冷徹な眼力があった。文子は植民者意識丸出しの祖母・叔母達の朝鮮人への蔑視意識、同じく在朝日本人でありながら貧しい生活を強いられている人々への差別意識を見て取り、大きな疑心と反感を持たざるを得なかった。
植民者家族の跡取りに相応しくないとして「養女」失格となった文子は、祖母・叔母から「女中」同様な酷い扱いを受け、何かにつけて暴言を吐かれ、暴力さえ振るわれた。
冬の寒さの中、戸外に捨て置かれ、食事さえ与えられなかったこともある。
辺りを彷徨う内に知り合いの朝鮮人の女将さんに「また御婆さんに叱られたのですか」「お昼ご飯、頂きましたか」と言われ、文子が朝から食べていないというと、女将さんは「まあ、可哀そうに!」「麦ご飯でよければ、おあがりになりませんか」と声を掛けてくれた。この時の事を文子は自叙伝『何が私をこうさせたか』(2017年)の中で「朝鮮にいた永い、永い七か年の間を通じて、この時ほど私は、人間の愛というものに感動したことはなかった」と綴っている。酷い仕打ちに耐えられず、僅か12歳足らずの文子は、一旦は自殺を試みるが、「世にはまだ愛すべきものが無数にある」と思い返し、自死を留まる。
帰国直前の1919年、朝鮮民衆による3.1抗日独立運動が起こり、居住していた芙江(慶尚北道)でもその光景を目の当たりにする。後に文子は、後述する「裁判」の24年1月23日の第4回訊問で「朝鮮の独立騒擾の光景を目撃して、私すら権力への反逆気分が起り、朝鮮の方のなさる独立運動を思う時、他人の事とは思い得ぬほどの感激が胸に湧きます」(鈴木裕子編『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』〈2013年に増補新版刊行〉、同書に自叙伝『何が私をこうさせたか』も収録)と回想している。
父母は、今の言葉でいえば「法律婚」ではなく、文子は無籍の子供であった。
このため世間から差別され、正式な就学もできなかった。19年4月、文子は日本に帰るが、引き続き事実上の「無籍者」としての辛い体験を余儀なくされる。
しかし裏返していうなら、「無籍」であるが故に文子が「国籍」という狭い境域に囚われず、物事を俯瞰的にみる視点がもてたのではないだろうか。更に父、祖母や叔父達、知人男性達から差別されたこと。また実母が夫(実父)に捨てられた後、男性への依存から、なかなか脱却できず、つまり経済力をもたぬが故に、女性が自立できない性差別の現実を直視させられたこと。加えて民族差別の実情を、朝鮮での実見実聞や、日本滞在中の朝鮮人を通して痛感した事等が挙げられる。23年9月1日、関東大震災が起き、多くの犠牲者、家屋の焼失に加え、人災というべき朝鮮人・中国人への大量虐殺が起きた。
官憲筋から「朝鮮人が井戸に毒を投げた」といった流言蜚語が流され、日本の民衆(自警団)は激昂し殺害行為に及んだ。文子は3日、同居していた朴烈(パクヨル)と共に「保護検束」という名の下に捕らわれた。先の大量虐殺を隠蔽するものだ。
ついで爆発物取締罰則違反、更に刑法第73条の大逆罪へとエスカレートし、新聞は大々的に報じた。文子と朴烈と不逞社の仲間が爆弾の入手を図っていたのは事実ではあったが、計画の域に留まり実行に及ぶことはなかった。しかし大逆罪は「未遂」の計画さえ処罰の対象とした。今日の「共謀罪」に通ずるものである。文子への訊問については、23年10月25日から開始され、先ず虚無主義について尋ねられ、こう答えている。「私は私の家庭の環境」と「社会から受けた圧迫とにより虚無主義の思想を抱くようになりました」(先の『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』)。強い者は弱者に服従を強いる、弱者からいえば強者への服従が「道徳」になる。「自然を呪い、社会を呪い、生物を呪って、私は全ての物を破壊して自分は死のうと思います。私が親族的関係を中心として虚無的思想を抱くようになった一端は今迄申し上げた通り」「親の愛という美名の下に私を踏み躙った親の権力、博愛の名に隠れて、私を虐げた国家社会の権力、私は、この権力が堪らなく癪に触ります」「権力者は呶々として自己の権力を擁護」「弱者を虐げる以上」「私の過去の生活、全ての権力から蹂られて来たもの」であり、「全ての権力を否認し反逆」し、「自分は許より人類の絶滅」(同)のための運動を計っていたと主張。この虚無主義は、後に「共存共栄」の思想と代わる。文子は、権力に対し、徹底的に挑戦した。
獄中での日誌にはこう綴った。「君らと妥協する」「改心して社会に順応して生きる」「私もね、実は今一度出たいのです。でそうするためには『改心しました』と頭を下げて一札入れさえすれば甘く行くことは知っています」「だがね、将来の自分を生かすために現在の自分を殺す事は、私は断じてできない」「お役人君らの前に改めて勇敢に宣言しましょう。『私はね、権力の前に膝折って生きるよりは、むしろ死してあくまで自分の裡に終始します』」(同)。文子には幾度もの転向強要がなされる。第12回訊問の最後で、判事からの「改心してはどうか」に対し、文子は「改悛せねばならぬようなことは断じてしておりませぬ」と返す。第23回訊問では「日本古来の地に生まれたる被告に対しては、特に反省してもらいたいが、どうか」という判事の誘いに「日本古来の地に生まれたるが故に私のこれまで考えていたこと、しようとしていたことがより必要であり、より正しいものであることを信じます」(同)と返答。あの手この手の転向強要に真っ向から反対した。
判決が確定し、収監されてもなお、文子への執拗な転向工作が繰り返される(詳しくは、山田昭次著『金子文子 自己・天皇制国家・朝鮮人』〈影書房、1996年〉を参照)。
25年11月の「公判準備調書」で、文子は検事からの「肯定する理想とは何をいうか」の問いに対し、「強い力に反逆せんとする理想をいうのである」と答え、「権力に反逆すること」は「善なるや」という問いに対し「善なり」と答える。共存共栄については「現実的の共存共栄を意味する」と述べ、更に、かつての「万類を絶滅するという考えは今日では間違って」おり、「先に疑い有りと言いたりは、この点なり」と敷衍し、検事の「現時の社会状態を観察していわゆる権力と称するものは、いわゆる共存共栄の目的に反するものと考えおるや」の問いに対し「然り」と返答。皇室を「権力の総帥」と述べ、検事の「仁慈の府として皇室を認むるを得るや」の問いに対し、文子らしく「これを認む。但し侮蔑をもって認むる」(前出の『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』)と答えた。検事達は苦々しく思ったであろう。25年11月提出の「書面」の中では「人間社会におけるあらゆる現象を、ただ所有欲、即ち持とうとする力によって説明したい」として、こう論じた。
「そこに争闘が生れる。そして、その争闘に解決を与えるものは力である。その力とは、即ち腕力に基礎をおく力、いわゆる暴力である。さよう、私はいう─国家の尊厳も、天皇の神聖も、ただこの力に護られて始めて、尊厳であり神聖でもあり得る」(同)と。
「人類社会における善とは、各人が共存共栄の状態である。しかし生存の法則は、それを蹂躙する」「ここにおいて私は叫ぶ─反逆せよ反逆せよ!あらゆる力に反逆せよ!強い力に掣肘を加える事は、それは善である」「即ち圧制者に反逆をする事は被圧制者にとって善であると同時に、それは全人類の善である。しかして、それのみがただ人間がする事の内に、ただ一つの善であり、美である─と」(同)。文子は更に主張する。「私は生を肯定する。より強く肯定する」「生を肯定するが故に、生を脅かそうとする一切の力に対して奮然と反逆する」「私は答える─生きるとはただ動く、という事じゃない。自分の意志で動く、という事である」「自分の意志で動いたとき、それがよし肉体を破滅に導こうとも、それは生の否定ではない。肯定である」(同)。更に文子は、25年5月14日の第12回訊問で、天皇・皇室への持論を全面展開する。先ず「私は、かねて人間の平等という事を深く考えております」「全ての人間は人間であるという、ただ一つの資格によって人間としての生活の権利を完全に、かつ平等に享受すべき」(同)と、人間の絶対平等思想を開陳した。更に「元々、国家とか社会とか民族とかまたは君主とかいうものは、一つの概念に過ぎない」「この概念の君主に尊厳と権力と神聖とを付与せんがために」「神授君権説」(同)が創られたと主張した。
「架空的に捏造した伝説に根拠して、鏡だとか刀だとか玉だとかいうものを神の授けたものとして祭り上げて、しかつめらしい礼拝を捧げて、完全に一般民衆を欺瞞」しているとも剔抉。逆説的な手法で、天皇が神様であり、その子孫であるなら、日本の民衆が、この神様の保護の下「戦争の折に日本の兵士は一人も死なざるべく、日本の飛行機は一つも落ちないはず」と述べる。そして、この事実は取りも直さず天皇が「人民と全く同一であり、平等であるべきはずのものである事を証拠立てるに、余りに十分ではありませぬか」(同)と説いた。また文子は、自らが屈辱を受けた体験をも視野に入れ、天皇の官吏・司法官を批判し、人間平等の原理に背馳する天皇・皇室への明快な批判を行なう。人間を上中下の階級に勝手に位置づけ、上級者への随順を正義や道徳・法律として人為的に創り上げ、天皇はじめ「上級者」への絶対服従を教え込ませるために、学校教育を通して国家観念を植え付け、「法律も道徳も社会の優勝者によりよく生活する道を教え、権力への服従」をのみ説き、「法律を掌る警察官はサーベルを下げて人間の行動を威嚇し、権力の塁を揺がす虞のある者をば、片端から縛り上げている」「裁判官という偉い役人は法律書を操っては人間としての行動の上に勝手な断定を下し、人間の生活から隔離し、人間としての存在すらも否認して権力擁護の任に当たっている」(同)と。僅か23年の人生であったが、文子に学ぶ意義は今日、益々、大きくなっている。(週刊金曜日)
《【軍縮-造反】INF条約破棄「米国の核なら増えてもいい」のか》
米国は2月1日、昨年10月に表明していた中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄をロシアに通告した。ロシアも2日、INF条約の義務履行を停止し対抗措置を講ずることを表明。
この対立が21年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長交渉に波及し、戦略核まで軍備制限・管理の枠組みから外れるという事態が懸念される。射程500キロ~5500キロの地上発射型巡航ミサイル・弾道ミサイルを全廃するINF条約は、80年代初めに欧州を中心に高揚した反核運動の圧力を受けて合意され、核兵器の削減・廃棄を義務付けた初の国際条約として画期的な意義を持ち、冷戦終結の端緒となった。
しかし相互査察体制が解かれた後、02年に米国が弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約を離脱してミサイル防衛(MD)の整備に踏み込むと、前途に暗雲が立ち込めた。
米国がロシアは条約違反の地上発射型巡航ミサイルの開発、配備を進めていると非難すると、ロシアも米国のイージス・アショア(地上配備型迎撃ミサイルシステム)には条約の対象外の海上発射型巡航ミサイルを発射する能力があると反発、応酬が続いてきた(この点で日本も無関係ではない)。米国は昨年2月の新NPR(核態勢見直し)で、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)用の小型核弾頭や水上艦搭載用巡航ミサイルの開発を表明した。
この事は、当面の米国の核戦力増強の主軸が地上発射型ではないことを意味するものだが、今後中国を睨んだ陸上配備型中距離ミサイルの日本等への前方配備が計画される恐れもある。台湾を意識する中国は、米国のINF条約離脱に反対するとしつつ、同条約多国間化にも反対を表明。米ロ首脳共に条約多国間化に言及してきたという経過はありながら、核・ミサイル軍拡競争にドライブがかかるという構図となっている。日本政府は、中国を念頭に条約の多国間化を求め、米国離脱は「望ましくない」としつつ、米国が離脱発表に至った「問題意識は理解している」(菅官房長官)という分かりにくい態度。だが米軍統治下の沖縄、小笠原への核配備と返還後の再配備容認を「密約」で処理してきたという過去の経緯や、今後核搭載原潜の日本母港化等が現実化する可能性を考えれば、新NPRを手放しで評価する一方、今回明確な反対表明がないのは、「核の傘」の呪縛の表れと見る他ない。(社会新報)
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