2016年参議院選挙等の情勢と展望、そして闘争方針

*「2016年参議院選挙等の情勢と展望、そして闘争方針」を「リベラル広場」として提起しました。全国の「落選運動」を行う団体・個人及び「リベラル広場」連絡員、更に読者の皆様方と問題意識を共有しながら、連携・協力して取り組みたいと思います。意見・地方情報等も、どしどしお寄せください。

2016年参議院選挙等の情勢と展望、そして闘争方針

(「リベラル広場」民守 正義)

[本来の「戦争関連法案暴行採決(?)」以降のリベラル勢力の取り組むべきことは何だったのか?]

2015年9月19日における安倍政権・自民党の「戦争関連法案暴行採決(?)」は誰しも「暴行採決強行」の可能性を感じつつ実際には露骨にも衆議院平和安全保障特別委員会に継いで参議院同特別委員会でも行われたもので、安倍政権の民主主義破壊・独裁性を如実に表わしたものである。補足的に言えば、この間以降の殆どのマスコミの対応は一貫して、せいぜい「どっちもどっち論」あるいは「野党側のパフォーマンス批判」に終始するなど、いったい「暴行採決強行」が問題の発端であり、その主犯は自民党であることの当り前批判を放棄し、明らかに「暴行犯=安倍政権・自民党擁護・応援団」になりきっている事である。これは60年安保当時には考えられない事で、それだけマスコミの劣化・体制ベッタリに変質した事を意味する。私は「リベラル広場」で「もはやマスコミ(特にテレビ)は『主たる事実』以外は参考にすれども一切、信用するな」と述べてきたが結構「もう、そうしている」とか「報道・情報ワイド番組は見ないようにしている(なった)」と言った声が思った以上に寄せられ、それがNHKの「受信料不払い運動」への広がりにも表れている。先般、某在阪放送局の幹部と懇談する事があったが「テレビ業界は、もはや不況業種になった」と全体として「テレビの視聴者数の減少」に嘆いていたが、私にしてみれば自業自得。「安倍」と「夜の夕食会」を繰り返す贈収賄の天罰で「マスコミの権力チェック」など、感触的ではあるが、国民の半分以上が期待していないと言っても過言ではない。

さて「参議院同特別委員会暴行採決(?)」以降のリベラル野党の取るべき反省総括だが、参議院本会議における国会会期ギリギリまで一応の抵抗闘争を講じた事は認めるが、そうした院内闘争よりも、そもそも、あのような「暴行・混乱採決」自体、参議院規則にも「会議の規則・原則」にも有り得ない「想定外」として「強行採決」の定義すらない。

従って参議院同特別委員会リベラル野党委員メンバーが直ちに「採決不存在確認訴訟」を提起・闘争係留しながら「暴行採決(?)糾弾!国民運動」を提起し、なお院外闘争で「暴行採決無効」と「安倍内閣-暴行採決責任退陣」を継続して大衆運動を盛り上げる必要があったのではないかと思う。60年安保の時は6月19日の安保条約破棄期限を過ぎても、なお岸内閣の強行国会運営(国会衆議院の時計を止めたと言われている)に国民の怒りが冷めやらず、結果として「岸内閣退陣」に追い込むことはできた。また因みに「採決不存在確認訴訟」は、国民であれば原告適格も可能ではあるが「裁決手続き不存在」で争うため、参議院同特別委員会メンバーが最も原告適格を有し、少なくとも、いわゆるカッコはエエが却下(門前払い)が目に見えている「違憲訴訟」とは異なり、審理に入らざるを得ず、勝訴の可能性も十分に考えられる。(民法協弁護士確認済み)その意味で何故、リベラル野党共同提訴が望ましいのは解っているが、それが不可能としても共産党だけでも「闘える方策は全て取り組む」の精神で何故、提訴しなかったのか(民法協弁護士も共産党に不満を漏らしていた)、それどころか「院内敗北」で「次は参議院選挙」とばかりに、まだ闘える大衆運動を放棄して「国民連合政府構想」を提起する等、共産党の「保守・体制内的議会主義」の習性が出たと批判されても仕方ない。(この「国民連合政府構想」については後ほど、論評する)ここで強調したいのは「何もかも『暴行採決(?)』であっても院内で決する」というのは国会議員の思い上がりであって実質的には国民世論・運動で法案の破棄や「内閣退陣」に追い込むことは十分に可能であるし、その大衆運動的余裕もエネルギーも温存されていたと言わざるを得ない。今のリベラル野党の決定的に欠けている事は、先ずは大衆運動と、その無限の可能性を知らなすぎる。何でも最後は「国会で決まる・決める」という「保守・体制内的議会主義」に共産党も含め、常識的発想に浸りきっている。表題の[本来の「戦争関連法案暴行採決(?)」以降のリベラル勢力の取り組むべきことは何だったのか?]を要約すると、リベラル野党の「暴行採決(?)された⇒実質的に負けた(敗北の美学で涙)⇒次は参議院選挙で」と、どこまで行っても院内闘争で終始する狭くて稚拙な発想こそが「戦争関連法」の敗北原因で、まだ「次は『採決不存在』と市民団体等との大衆運動で巻き返すぞ!」との残されている闘いと勝利のチャンスを放棄したことを指弾せざるを得ない。

[参議院選挙の議席展望]

さて「戦争関連法案暴行採決(?)」以降の反省総括を述べた上で、実際問題、現時点における与党+補完勢力VSリベラル野党+疑心政党の議席獲得予想数は、どうだろうか。

既に様々な予想が出されているが、私は他人の予想に囚われず、私なりの根拠で予想したい。先ず最も一般的な「7月10日:参議院選挙のみ実施」で基本予想をしてみたい。

 先ず6年前(2010年)の参議院選挙と今回選挙の政党支持率と改選獲得議席数等を中心に分析する。

 【今回選挙の主要政党別改選・非改選議席数】

 自民: 改選49 非改選65/公明: 改選09 非改選11

 民主: 改選41 非改選17 ←民主は大部分が改選 /共産: 改選03 非改選08

 維新: 改選05 非改選06

ご覧のとおり民主党が最も改選議席数が多い。これは当時、民主党政権であったことが大きく影響している。

 【今回選挙と2010年の政党支持率】

この政党支持率を見比べるにあたりメディア各社によって多少、変動があるので、最も直近世論調査(2016年2月)で最も恣意的・誘導的質問が少ないと評価できる朝日のみで比較する。

[2010年8月⇒今回選挙(2016年2月):政党支持率の推移]

自民党支持率(19%⇒34%)/民主党(31%⇒8%)/維新の党(1%:今回選挙のみ)/公明党(2%⇒3%)/生活の党(0%:今回選挙のみ)共産党(2%⇒3%)/

社民党(1%⇒1%)/次世代(0%:今回選挙のみ)/元気(0%:今回選挙のみ)/

おおさか維新(2%:今回選挙のみ)/改革結集(0%:今回選挙のみ)/

日本の心(0%:今回選挙のみ)/新党改革(0%:今回選挙のみ)/

その他の政党(0%:今回選挙のみ)/支持政党無し(30%⇒39%)/

答えない・分からない(9%:今回選挙のみ)

因みに直近世論調査では、安倍内閣支持率が「支持する」40%/「支持しない」38%で再び拮抗し始めた。そこで民主党を参考に2010年を大変、粗い試算に使わさせて頂き、1改選議席当たりの民主党支持率を、あくまでも試算上の数値として割り出してみると、民主党支持率31%/改選獲得議席数41=0.76%という数値が出てくる。この架空上の試算数値:1改選議席に必要な支持率0.76%に今回民主党支持率8%をかけてみると、僅か6人の当選議席数が出てくる。これに非改選17人をたしても23人、更に維新の党との統一会派で維新の党が、かろうじて現状維持と仮定して維新の党4人(但し比例区のみ)をたしても「民主党+維新の党」統一会派は27人という数字の展望が見えてくる。本年2月に行われた「朝日」世論調査によると「『民主党+維新の党』統一会派について「Q民主党と維新の党が解党し、一緒に新しい政党をつくった方がよいと思いますか。それとも今のままでよいと思いますか。」という「双方解党合流論」であるが「新しい政党をつくった方がよい22%」「今のままでよい49%」で、あまりリベラル国民は「統一会派」或いは「解党合流論」に期待していない事が類推でき(それは「統一会派」も「双方解党合流論」もリベラル国民から湧き出たものでなく党幹部同士のボス交渉で議論沙汰されてきた事で解る)、上記「『民主党+維新の党』統一会派27人」は妥当または贔屓目の予測数値と言わざるを得ない。そこで2月19日の「5野党党首-野党共闘・選挙協力合意」が、もうブレないとの期待憶測で、同様に「リベラル野党獲得議席数」を予測すると、残り3党政党支持率【共産党3%+社民党1%(生活の党0%)=4%】に上記0.76%で割ると約5人の獲得予測議席数が出され、そこに共産党非改選議席8人+α及び「『民主党+維新の党』統一会派27人」及びを加えて、なんと参議院選挙5野党合計議席数は約40人強という極めて厳しい数値が出てくる。ただ一人区=32選挙区で候補者調整が全て上手くいって自民党とのガチンコ勝負で一定、勝利したとすれば、現状ほぼ自民党の独占状態から15選挙区が、リベラル野党が勝利する(時事ドットコム)と予測し5野党合計議席数は約55人強となるが「5野党選挙共闘」をしても、なお厳しいことが解る。因みに参議院の総議員定数が242議席なので憲法改悪発議2/3以上(161人以上)にも追いつかない事が予想される。その最大要因は民主党の落ち込みの激しさにある事は明白で、これだけでも民主党幹部・連合幹部等の「共産党嫌い・排除」が逆に自ら墓穴を掘る論理であることは、よく認識しなければならない。ただ少々、落胆するのは早くて、この試算は、あくまで2010年参議院選挙の実績を基礎数値でもって予測したもので「リベラル5野党共闘」が絶対前提として闘えば「選挙は風」で39%の「支持政党なし」層、及び投票率(投票率が高い方がリベラル野党に有利と言われている)等で、少なくとも「憲法改悪発議2/3以上(161人以上)阻止!」の可能性は少なからずある。私自身、参議院選挙勝敗の分水嶺を「憲法改悪発議2/3以上(161人以上)阻止!」に置いている。ただ「リベラル5野党共闘」でも相当、厳しい選挙である事は肝に銘じなければならないし、ましてや「共産党嫌い・排除」は御法度である事を強く民主党には指摘しておかなければならない。

[衆議院解散権行使の憲法上の問題と衆参ダブル選挙の可能性]

<衆議院解散総選挙の憲法上の問題>

 マスコミ・自民党内等では、衆議院解散総選挙について、まことしやかに議論されている事が伝えられている。しかし実際には後に憲法との関係でも述べる「内閣(憲法上、内閣総理大臣ではない)衆議院解散権」には国政上、重大な同権行使に値する相当に合理的理由が必要である。この事はマスコミも各政党も世俗的に「伝家の宝刀=衆議院解散権は、いつでも内閣総理大臣にあり」と思い込まれているが、それなら極端な話、衆議院解散権行使をして結果は与党側敗北、直ぐにまたもや「衆議院解散権行使⇒衆議院総選挙」と「勝つまで総選挙」も可能になってしまう訳で当然、そこには憲法及び国会法上の制約があることを知っておかなければならない。しかし前述のとおり誤った「内閣総理大臣の専属的衆議院解散権」と思い込まれており、実際上、過去「吉田内閣時代」に「憲法違反の疑義が生じた「衆議院解散権行使による衆議院総選挙」もあったことも事実で、護憲政党と言われる共産党・社民党まで認識不足のようで、先ず「ダブル選挙の可能性」を述べる前に憲法上の「衆議院解散権行使による衆議院総選挙」の問題点等について整理したい。

<憲法上の内閣の解散権の根拠>

  内閣による衆議院の解散が、憲法69条により衆議院で内閣不信任案が可決された場合に限られるのか、それ以外の場合でも認められるのかは元々、古くから憲法上の論点とされてきた。 憲法上の根拠規定を素直に読めば、憲法45条が衆議院の任期は4年と定めており、69条がその例外として「内閣不信任案可決に対抗する衆議院解散(所謂「対抗解散」)を認めているのだから、解散は69条の場合に限定されるということになるはずだ。

憲法制定時の解釈も「69条限定解散」がGHQも含めて当然解釈であり、現行憲法下での最初の衆議院解散となった「1948年-馴れ合い解散」も形式的には「野党が内閣不信任案を提出して衆議院可決し、内閣が「衆議院解散権行使する」という「69条所定の形式を踏襲した解散」であった。従って形式的であれ何であれ「憲法69条限定解散」が元の原点であることを、とりあえずは抑えて頂きたい。しかし、その後、野党側も早期解散を求める政治状況の下で、解散事由を限定する考え方はなし崩し的に「厳密順守⇒柔軟解釈」が根拠なく実務上の主流的な運用理解になってしまい、1952年の第2回目の衆議院解散では、69条によらない「天皇の国事行為を定めた7条」による衆議院解散が名目上の根拠として行われたが「憲法7条‐天皇の国事行為」を根拠とする「根拠」もまたなく、加えて、お気づきのとおり「天皇の国事行為」は、それこそ「形式的な事柄(内容)に限る」という厳密解釈が求められており、案の定、違憲訴訟が起こされた。 その違憲訴訟の概略は「解散で議席を失ったT議員が、『違憲解散』であると主張して議員の歳費請求訴訟」提起で、結果的に最高裁判所の判断は、最高裁御得意の「いわゆる統治行為論⇒高度に政治性のある国家行為については法律上の判断が可能であっても裁判所の審査権の外にあり、その判断は政治部門や国民の判断に委ねられる」として、違憲審査を逃避し、その後、「憲法7条-衆議院解散」憲法上の判断が曖昧なまま慣例化してしまった。しかし、この憲法上の判断の「曖昧化・慣例化」が「合憲化」を意味するものでない事は言うまでもなく、ましてや「統治行為論」で差し戻された立法府や行政府が「一票の格差‐違憲状態」以上に何らの「憲法7条-衆議院解散」憲法審査を行ってきておらず、こんな状態で「内閣には議会の解散権が前述の「勝つまで解散」のように無条件に認められる」というものでは決してなく、当然に「合理的タガ」が必要な事は言うまでもない。なお先進諸外国でも実定法上、内閣に無制約の解散権を認めている国はほとんどない。

<理由なき解散は「内閣の解散権の濫用・逸脱」>

  元々、議院内閣制の下では、内閣は議会の信任によって存立しているのであるから、自らの信任の根拠である議会を、内閣不信任の意思を表明していないのに解散させるのは、自らの存在基盤を失わせる行為に等しい。予算案や外交・防衛上、重要な法案が否決された場合のように、実質的に議院による内閣不信任と同様の事態が生じた場合であればともかく、それ以外の場合にも無制限に解散を認めることは、内閣と議会との対立の解消の方法としての議会解散権の目的を逸脱したものである。再掲にもなるが現行憲法は、衆議院解散権は、条文上は内閣不信任案が可決された69条の場合に限定している。

そして直接、国民の意思を問う国民投票としては、憲法改正が発議された場合の特別の国民投票(96条)しか認めていない。このような規定からすると、内閣が自らを信任している議会を解散することによって国民に信任を求めるということは、憲法体系上、原則として認めていないと解するべきである。その上で過去の慣例を仮に重んじたとしても「憲法7条に基づく衆議院解散が認められる理由」とされたのは、重大な政治的課題が新たに生じた場合や、政府・与党が基本政策を根本的に変更しようとする場合など、民意を問う特別の必要がある場合があり得るということであり、内閣による無制限の解散が認められてきたものではない事は、現行運用でも厳密適用されていると解されている。従ってマスコミや自民党内で安易かつ政権運営の便宜上等で「衆議院解散‐ダブル選挙」を予測・論議する事は「憲法運用上の軽視」も甚だしく自戒すべき事と指弾する。そこで上記までの当然の運用理解で現在の安倍内閣を評すると一応、一昨年の年末の総選挙で大勝し国民から支持を受け、衆議院の圧倒的な多数で信任されて成立した内閣であること。安倍政権が衆議院の信任を失うという事態や、民意を問うべき重大な政治課題が生じることがない限り、衆議院解散権行使は同権利の濫用・逸脱に該当するというのが当然の理解となる。

今回、安倍(戦争)総理が、民意を問うべき重大な政治上の争点もなく、主として安定した政権を今後4年間維持するためのタイミングの判断として衆議院行われるのだとすれば、それは、実定法上も過去の慣例解釈上も「憲法違反」の誹りは免れない。

<「アベノミクス解散」は憲法違反>

なお上記「衆議院解散権行使」の大義名分に「アベノミクス解散」を持ちだしたとしても「アベノミクス」は日常的な経済政策であること、アベノミクスの施策実行は「金融緩和」等の法的には日銀法による独立性の高い日銀施策によるものが多く、形式上であっても衆議院・行政府(内閣)の直接、関与するものではなく、「衆議院解散権行使」に馴染まない「大義」であることを明言しておく。ただ消費税10%来年4月実行を更に引き延ばす事を国民に信を問う「消費税10%実行再延長」を大義にした「解散権行使」については、法律の再改定も必要な事もあり、ここでは一概に「衆議院解散権の濫用」とは言い難く「微妙」とだけ言っておこう。

<衆議院解散権は内閣総理大臣ではなく「内閣」にあり>

もう一点、重大な補足として「衆議院解散権」は憲法や国会法を正確に読んで頂ければ解る事だが「同解散権」は内閣総理大臣にあるのではなく「内閣」にある。よく「衆議院解散権は内閣総理大臣の専管事項」とマスコミ等でも勝手に言っているが、これは全くの間違い。従って内閣総理大臣が衆議院解散をしようとするなら閣議を招集し、閣僚全員の辞表または同意を経なければならない。そして閣議決定は「全員一致」を原則としているので、一人でも反対閣僚がいれば「衆議院解散」を諦めるか、反対閣僚を罷免して「全閣僚一致」に持っていくしかない。この前例となるのが中曽根内閣時代に米国からホルムズ海峡魚雷掃海に自衛隊の出動を要請され、中曽根総理は相当に承諾の意思が強かったが、当時の後藤田官房長官一人が断固反対。「閣議決定に署名しない」とまで言い出し、重要閣僚‐後藤田官房長官を首にする訳にもいかず結局、中曽根総理が折れた経緯がある。今の安倍(戦争)総理と中曽根総理も共に「ウルトラ右翼」だが、中曽根総理の方が大局的判断に優れているようだ。話が少々、脱線したが今の安倍政権で衆議院解散‐ダブル選挙に難色を示しているのが公明党。公明党が「衆議院解散‐ダブル選挙」にトコトン反対すれば、公明党との連立を解消するか、「衆議院解散‐ダブル選挙」を諦めるか、判断の迫られるところで、この決定ポイントをマスコミ等が、あまり報じないのが不思議で仕方ない。私個人としては「安倍」はダブル選挙で一点突破・憲法改悪まで全面展開と行きたいところかもしれないが、そこは本当に思案中なのかもしれない。

<法の下の平等を侵害する衆議院解散>

 上記憲法上の「解散理由と解散権」に加え、現時点で衆議院解散を強行するとすれば、もう一つ憲法上、大きな問題が生じることがある。それは最高裁でも判断された「法の下の平等に反する違憲状態」であるのに、国会が、これを合理的期間内に是正していない「憲法違反=衆議院定数不均衡問題」である。前回衆議院選挙の際の三党合意による国会議員定数削減による定数不均衡の抜本的是正は、少なくとも、次の総選挙までに行わなければならない必須の事項だったはずだった。この点について「0増5減」で極端な不均衡を是正しただけで、何ら抜本的な改正を行うことなく、任期が2年以上残っているこの時期に敢えて衆議院を解散し、総選挙を行うのは、またもや「違憲状態」での衆議院解散総選挙を行う事になり、今度ばかりは「違憲状態」から「違憲‐選挙無効」判決も出かねず、明らかに司法(憲法判断権を有する最高裁)の要請に反するものと言えよう。

この「衆議院定数不均衡問題」は2月19日、衆議院予算委員会で野田前総理と安倍(戦争)総理との直接-質疑応答が行われ、民主党政権時代の2012年11月-党首討論で、野田前首相が、自民党-安倍総裁に対して、日付(11月16日)まで明言した衆議院解散の前提条件として「身を切る改革-定数削減」を求めたのに対し、安倍総裁は驚きながらも小躍りして「やりますよ!約束しますよ!」と返し、結果的に自民、民主、公明の3党が、定数削減と不均衡是正を合わせた選挙制度改革について「13年の通常国会までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と合意した。しかし実際には13年の通常国会では衆議院小選挙区の応急措置としての不均衡是正「0増5減」の改正公職選挙法は成立したが、定数削減は実現していない。そして定数削減と抜本的不均衡是正は「2020年国勢調査以降に取り組む」と事実上、無期限先延ばししていた。ところが2月19日の約二日前に野田議員が質問に立つことを知った安倍総理は、野田議員との「因縁の約束反故」を詰められるのをビビったのか肩透かしを食らわそうと思ったのか「直接対決」の前日18日に急遽、「2015年国勢調査に基づき実施する」事で自民党内に前倒し検討を指示、19日当日の午前中の自民党議員質問でヤラセ質問をさせ、先に「2015年国勢調査に基づく前倒し実施」を表明してしまった。しかし、この「肩透かし作戦」は、実際の落ち着いた野田議員の「国民との約束が果たしていない」との叱りと安倍総理の「共同責任」だの「民主党政権の時は一人も減らせていない」等、相変わらずの「詭弁・開き直り・はぐらかし」等で、野田議員が後席の若手議員に「いや~!ビックリポンだ。いつも、こんな調子なのか?」と聞く調子で全く労せず。明らかに「国民との約束でしょう」との叱り口調と安倍総理の子供じみた詭弁の乱発に「野田議員の勝ち。安倍総理の負け」が目に見えるように判った。こんな時には世論調査をしない大手メディアだが、私がテレビ報道等やコメンテーター、新聞やネットサイト、ツイッター等で相当に調べた限り、保守系媒体でも事実報道を骨格的に2~3回、流す程度、一般的には「民主党でなければ野田議員の方が総理に向いている」も含めて「野田議員の勝ち」が殆どだった。ただ本論に戻って「2015年国勢調査に基づく定数削減・不均衡抜本是正」前倒し実施を図るとしても、それなりに「与党内合意⇒与野党合意」に時間がかかる事から衆参ダブル選挙が行いにくい状況になったことは事実である。しかし、ウソツキ安倍総理の思考から推察して、それでも「0増5減」だけで衆参ダブル選挙に突っ込むか、そもそも「2015年国勢調査に基づく定数削減・不均衡抜本是正」前倒し自体、時間の経過と共に「まとまらなかった」とか「野党のせい」とか言ってウヤムヤにしてしまう可能性もある事等、何せ「実行事実」以外、一切、信用できないウソツキ総理だけに不測・常識外想定も心構えておかなければならない。ただ、その場合(現時点での衆議院解散)でも強行すれば、上記「憲法7条解散」にも逸脱し、かつ「定数違憲状態:解散総選挙」となると二重の「違憲総選挙」となり、リベラル野党は、その事を大いに攻めると同時に有権者も十分に「違憲ダブル選挙」がある事を認識した投票行動が求められる。

[参議院選挙「安倍政権退陣」運動の基本戦略・戦術]

<参議院選挙「安倍政権退陣」運動の基本的考え方>

1.先ず衆参ダブル選挙は当面、想定せず、衆議院解散総選挙が確定的になった段階で、緊急追加方針を提供することとする。

2.参議院選挙「安倍政権退陣」運動の基本的考え方は、当然に「5野党党首-野党共闘・選挙協力合意事項」と整合性がある方が効果的である事から「リベラル広場」及び同ネットワークも、基本的に同意事項を踏襲する。

【5野党党首-野党共闘・選挙協力合意4事項】

①「戦争法制」廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回

②安倍政権打倒

③国政選挙で現与党及び、その補完勢力を少数に追い込む

④国会や国政選挙で、できる限りの協力を行う

<参議院選挙「安倍政権退陣」運動の基本戦略・戦術>

1.棄権防止運動(キャンペーン)を行う。

 ①過去の国政選挙の一般的傾向として投票率が高い方(無党派層・浮動票層の投票行動)が野党有利にあること(特に民主党・維新の党・社民・生活等、特定支持団体が少ない、または脆弱な政党は、無党派層・浮動票層から得票獲得が議席確保に必須であることから先ずは「投票率を上げる事」が重要である。

②上記「議席展望」でも述べたように「5野党選挙共闘」でも「与党2/3以上阻止」が相当に厳しく、約40%の「無党派層・浮動票層」の「5野党への投票」がなければ「与党2/3以上阻止」は有り得ない。そのためにも「無党派層・浮動票層」の先ずは「投票行動」が必須である。なお棄権防止運動は公職選挙法に抵触しない。

2.安倍政権・与党批判キャンペーンと5野党への投票呼びかけ」を行う。

但し公職選挙法等上から「個人または個人有志(任意グループ)」程度の取り組みとし、特定政党への推薦・支持・投票の呼びかけはしない。また特定候補者の名前を上げた推薦・支持or落選運動は行わない。

(大阪市選挙管理委員会・コメンタール公職選挙法:確認済み)

具体的戦術としては(1)ブログ「リベラル広場」による上記「1.2」の行動呼びかけを継続的に行う。(2)個人有志として上記「1.2」の行動呼びかけのターミナルビラ撒きを行う。(詳細は別途、連絡)

3.与党補完勢力への対応

  「リベラル広場」地方連絡員の情報によると、仮に一人区に5野党統一候補と与党候補の対立選挙に補完勢力候補が割り込み込み立候補しても全くと言ってもいいほど影響力はないらしい。とりわけ「おおさか維新の会」の影響力は大阪だけと見ていいようで、他府県では「違和感のある泡沫候補となるだろう」との情報が全ての地方連絡員から寄せられている。従って補完勢力への対応は「おおさか維新の会-大阪府内のみ」の限定対応とする。具体的戦術としては「おおさか維新の会」候補者は自民党崩れを除いて、ほぼ新人候補影に近い場合が多い事が予想されることから「選挙演説」の機会を捉え、個人として「候補者質問攻め」等を行う。

以 上