安倍政権の破滅的リス クと参議院選挙の展望(45)

安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(45)


《【マイナス金利】「失敗のアホノミクス特効薬」あれこれ5》
<緩和2回分帳消し…1万6000円割れ(2/11現在)>
金融市場の動揺が収まらない。10日の日経平均株価は1万6千円を割り込み、日銀が2014年10月末に追加金融緩和を実施する直前の水準まで逆戻りした。市場では米欧経済への不安も浮上し「景気減速懸念が新興国から世界全体に波及しかねない」との見方も出ている。投資家がリスク回避のため、安全資産とされる円を買い進め、円高が日経平均をさらに押し下げる構図となっている。
[減速懸念が拡大]
 日経平均が上昇基調に入ったのは、黒田東彦日銀総裁が13年4月に大規模な「量的・質的金融緩和」に踏み出してからだった。特に弾みをつけたのは14年10月末の「量的・質的金融緩和」第2弾。日銀が国債の購入を増やして、更に大量の資金を供給し溢れた「緩和マネー」が株価を押し上げた。日経平均は昨年、一時2万円を超えた。今年に入って金融市場が混乱し、日銀は1月29日にマイナス金利導入して緩和策を強化。その後は株高・円安が進む場面もあったが、効果は長続きしなかった。日経平均の昨年末からの下げ幅は計約3千円になり、14年10月と今年1月の2回の緩和による株価上昇が帳消しとなった形だ。株安を招いた要因の一つが、経営不振に陥っているドイツ銀行だ。市場では「社債の利払いに行き詰まる可能性がある」等と指摘されている。欧州中央銀行(ECB)は既にマイナス金利を導入しており、金利低下で欧州の銀行は運用収益が圧迫されている。
 堅調とみられてきた米国も陰りが指摘されている。昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は0.7%(前期比年率換算)に急減速した。更に原油安の影響でエネルギー関連企業の破綻懸念も強まり市場の不安を高めている。年明けからの市場の混乱は中国経済の減速懸念や原油安に伴う産油国の財政悪化が主な理由。新たに米欧経済への不安が加わり、投資家のリスク回避姿勢に拍車をかけている。日銀の政策に手詰まり感が深まり、相場が好転する材料が見当たらない中、市場の関心は国際的な政策協調に集まっている。注目されているのは今月26、27両日に中国・上海で開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議だ。SMBC日興証券の投資情報部長は「市場の混乱を巡って何らかの対応が打ち出されるかが焦点」とみる。ただ「震源地の中国が議長として、どこまで指導力を発揮できるのか」と疑問視する声もある。(文責:管理者-民守 正義)

<日本郵政3社、株価崩壊始まる-投資家は多額損、崩れる成長シナリオ>
2月1日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続伸した半面、銀行株が大きく下落した。
1月29日に日本銀行がマイナス金利の導入を決めたことにより、収益の悪化が懸念されたためだ。2月1日の終値で見た下落率は、3メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループが5.46%安、三井住友フィナンシャルグループが7.61%安、みずほフィナンシャルグループが5.88%安となった。更に日本郵政グループのゆうちょ銀行は8.02%安と最も大きく値を下げた。ゆうちょ銀行はその後も下げ続け、2月3日には一時1296円と上場来の安値をつけ、売り出し価格の1450円を大きく下回った。因みに上場して初めてついた株価(初値)は1680円である。日本郵政グループの日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社は、昨年11月4日に華々しく上場した。1987年のNTT以来の大型上場だ。
当初は個人を中心に人気を集め、グループ中核のゆうちょ銀行の株価は11月5日、1823円の高値をつけた。しかし年明けからの波乱相場に翻弄され株価は下落している。日銀が決めたマイナス金利が大きな逆風になると判断され、株価は安値を更新した。昨年11月5日の高値から2月3日の安値までに、2兆3715億円の時価総額が消えた勘定になる。
●国債での運用が中心
 ゆうちょ銀行株が下落したのは、法人・個人向けの貸し出しが原則認められず、国債での運用比率が高いことに起因する。マイナス金利導入で国債利回りが大きく低下し、利ザヤの縮小による収益減を懸念して売りが広がった。 ゆうちょ銀行は元々、国債を引き受ける政府系の金融機関である。東日本大震災の復興財源を確保するために株式を上場した。
上場すれば当然のことながら収益力の向上と成長が求められる。そこで高い利回りが見込める金融商品に資金を振り向け、国債の運用を減らしてきた。ゆうちょ銀行のS副社長は、ゴールドマン・サックス証券副会長を経て15年6月にゆうちょ銀行へ入り、現在は運用部門を統括する。S氏が外債や株式への分散投資を進めた。その結果、2015年9月末の国債保有残高は92兆7736億円となり、前年9月末比で24兆1077億円減少した。
運用資産全体に占める国債の比率は45.25%だ。14年9月末時点では57.44%だったことに比べると、確かに国債の運用比率は低下しているが、それでも高い。
[マイナス金利による利ザヤの縮小が経常利益に与える影響は、メガバンクの4倍に達すると試算する金融アナリストもいる。]
 ゆうちょ銀行の貯金金利も9日に引き下げられた。日本全国にくまなく店舗がある、ゆうちょ銀行が金利を下げると、貯金している多くの人に広く影響が及ぶ。出し入れしやすい、一般の銀行の普通預金にあたる「通常貯金」の金利は0.03%から0.02%となった。
1カ月~4年の定期貯金の金利も0.035~0.05%だったのが0.025%に引き下げられる。
 以前は大手銀行よりも高く設定されていたが、マイナス金利導入の影響を受け、3メガバンクと同一水準になる。つまり、ゆうちょ銀行に預けた方が得という状況がなくなるのだ。保有する国債の内、満期まで1年以内のものが13兆円と国債全体の14%を占める。
再び国債に投資すると現在より低い利回りになる。ゆうちょ銀行も国債に投資せずに日銀の当座預金に預けると、マイナス金利で0.1%の手数料を取られることになる。利ザヤの縮小は避けられない。
●わずか3カ月で初値割れ
郵政グループ3社は株式公開に当たって野村證券を中心とする大幹事団が形成された。
地方の小さな証券会社まで加わりオールジャパン体制で上場を支えた。「郵便局を運営するグループの株式が公開される」ということで個人投資家が殺到、活況を呈した。
株式市場に馴染がなかった初心者を株式市場に呼び込む役割を果たしたわけだ。
 だが、ゆうちょ銀行株はマイナス金利の悪影響をモロに受け、2月3日に1296円まで下落。初値1680円、公開価格1450円を大きく割り込み、投資した全員が含み損を抱える状況に陥った。NTT株の悪夢を思い出させる出来事だ。NTT上場では、第一次売出として、政府保有の株式が119.7万円で売却された。上場日の87年2月9日には売買が成立せず、2月10日に160万円の初値を付けた。NTT株は人気が高く、4月22日には318万円の最高値を記録した。初値の160万円を割り込むのは2年後の89年3月の事だった。
 ところが、ゆうちょ銀行は僅か3カ月で初値も公開価格も割り込んだ。あまりに早すぎる崩落ぶりである。
●日本郵政、かんぽ生命保険も上場来安値を更新
 日本郵政は2月8日には上場来安値の1381円まで売り込まれ、上場初日につけた初値1631円はおろか公開価格の1400円すら下回った。日本郵政の上場来高値は1999円だから下落率は30%を超えた。3社の中では市場からの資金の吸収が最も少なかった、かんぽ生命保険も、2月8日に2280円の上場来安値に沈んだ。政府は郵政3社の株式売却資金、総額4兆円を東日本大震災の復興財源に充てる計画だ。昨年11月の上場時に得た資金は1兆4362億円。持ち株会社の日本郵政の社長は「できるだけ早く、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の追加売却をしたい」と言っている。追加売却する分については、資金の使途の縛りがないので「大型M&A(合併・買収)に使いたい」との思惑があるようだ。
追加の株式売却には多くの視線が注がれるだろう。ゆうちょ銀行は銀行株の中で最もマイナス金利の影響が大きい銘柄といわれている。持ち株会社の日本郵政が公開価格を下回ったダメージは大きい。西室社長のシナリオ通りには事が進まない可能性が高い。(Business Journal)

<マイナス金利、欧州から学ぶ:企業採算の見通し-不透明で不安>
日銀が物価の押し上げをめざし導入を決めたマイナス金利。黒田総裁は「消費や設備投資を刺激する」と訴えるが、本当に狙い通りになる手段なのか。欧州での先行事例から探る。景気と物価の低迷が続く欧州。デンマーク、スイス、スウェーデンの各中銀や欧州中央銀行(ECB)は2012年から15年にかけ相次ぎマイナス金利を導入した。マイナス金利が経済に波及する経路は、大きく「金利」と「資金移動」の2つで説明される。前者では貸出金利の低下で設備や住宅への投資が増え景気を刺激する。後者ではマネーが低利回りの国債から外国証券や株式に向かい、通貨安や株高を促す。実際の欧州での動きをみるとマイナス金利導入で銀行の貸出金利は大きく低下。この結果、例えばユーロ圏では前年比3%近いペースで減っていた融資が上向いた。ただプラスは小幅で勢いを欠く。最大の理由は資金需要の弱さ。だがマイナス金利で融資等の利ざやが縮み、収益が減った銀行が高リスク融資に尻込みした面も指摘される。「マイナス金利がむしろ融資増を阻んだ」(みずほ証券)構図だ。デンマークでは収益確保を優先した一部銀行が住宅ローンの金利を引き上げた。物価下落にはマイナス金利が一定の歯止めになったとみる専門家が多い。ただ「融資増→投資増→需要増」の経路が細いだけに効果は限られる。直近の原油安の前も各国の消費者物価の上昇率は0%近辺で、予想インフレも上がらない。隠れた副作用の一つは家計の心理萎縮だ。スイスや北欧両国ではマイナス金利に向け政策金利が急低下する過程で家計の貯蓄率が急上昇した。低金利で退職後の蓄えが減る不安から人々が支出を抑えたと国際決済銀行(BIS)は分析する。こうした動きが顕著になれば、マイナス金利が意図に反し需要や物価への逆風になりかねない。一方、為替相場への影響は小さくない。ユーロの場合はマイナス金利導入から1年で主要通貨に対し約5%下げた。「米国債等の外国資産に50兆円規模のお金が向かったのが大きい」(みずほ総合研究所)。通貨安で欧州企業の採算は改善し株価も1年で10%上げた。「日銀の狙いは円安」との声が出る所以だ。ただ為替や株価は外部環境次第。日銀のマイナス金利決定後の円安・株高も中国や米国経済への不安で市場が混乱し帳消しされた。日欧の経済環境の違いも無視できない。日本は金融システムが欧州より盤石な半面、20年に亙る景気低迷で企業や消費者に慎重姿勢が染みついている。「金利が更に下がっても資金需要は高まらない」と東短リサーチは話す。「中央銀行の歴史で最も強力な枠組み」。黒田総裁はマイナス金利の威力を確信し必要なら今後も積極活用する姿勢だ。ただマイナス金利は世界でも導入例が少なく、欧州の経験からも評価が割れているのが実情。未知の処方箋に、副作用=恐慌の不安も頭をもたげる。 (日経/管理者:一部編集)

【ご案内1】
辺野古新基地建設反対全国同時アクション・関西集会
◎とき 2月21日(日)14:00〜15:30
◎場所 梅田・ヨドバシカメラ前(JR大阪駅前)
◎主催 フォーラム平和関西ブロック近畿6府県「戦争をさせない1000人委員会」STOP!辺野古新基地建設大阪アクション

【ご案内2】
働くあなたを応援する 2016LA-LA公開講座1
「障害者雇用の法制度とその対応」/講師:池田 直樹 弁護士
◎日時:3月2日(水)午後6時30分~8時30分
◎会場:大阪労働者弁護団 事務所
◎参加費:1000円(当日いただきます)
大阪労働者弁護団HP http://www.lalaosaka.com/
公開講座の頁 http://www.lalaosaka.com/#!open-lecture/c1ciw
(民守 正義)