安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(44)
安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(44)
《【マイナス金利】「失敗のアホノミクス特効薬」あれこれ4》
<初の国債の市場利回りマイナス「国債乱発金融恐慌」の前兆の前兆?>
日本国債等を取引する東京債券市場で9日、長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.010%に低下し、史上初めてマイナスとなった。マスコミは自重気味に伝えたが、私は結構「経済ビッグニュース」と見ている。日銀が先月29日にマイナス金利の導入を決定し、金融機関は日銀に資金を預けると損をするため、国債の購入を増やし、国債価格が上昇して金利が急低下した。9日の日経平均株価が急落し、比較的安全な資産とされる国債を買う動きも広がり、金利低下に拍車をかけた。つまり「マイナス金利政策」の本来の狙いとは真逆の現象が16日からの本格実施の前に起きたのである。
国債を購入して10年の満期まで保有しても金利を受け取れないだけでなく、購入時の価格を下回って損をする異常事態。長期金利のマイナスに伴い、住宅ローンや企業向け融資の金利も下がり、家計や企業にプラスに働く効果が見込める。だが銀行や生命保険会社は顧客から預かった資金を国債等で運用しており金融機関の収益が悪化して、預金金利等が一段と低下する恐れもある。
[長期金利のマイナスはスイスに次いで2例目。]
日銀は16日から、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%に引き下げる。市場では「金融機関が日銀に預けていた資金を国債購入に回す」との見方が広がり、国債価格の上昇と長期金利の低下が続いていた。長期金利の指標となる新発10年物国債の市場利回りは8日に一時0.02%と史上最低水準に低下し、9日は一段と下がった。
満期が9年以下の国債は既に金利がマイナスとなっている。何度も既報のとおり「マイナス金利政策」の本来の狙い=「日本経済が停滞する中、日銀は金利を引き下げて企業の設備投資や消費を活性化し、景気を底上げしたい考え。」マイナス金利を受け、新生銀行が今月3日に住宅ローン金利を引き下げる等の動きが出ている。だが「金利は既に歴史的な低水準にあり、これ以上下がっても景気刺激効果は限られる」との見方も強い。つまり既に今の段階で「マイナス金利政策」失敗が大方の味方なのである。一方、金融機関はこれまで安全資産とされる国債で多額の資金を運用してきたが、長期金利がマイナスになると、収益の確保が難しくなる。既に三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクが定期預金金利を、ゆうちょ銀行も定期貯金等の金利を引き下げた。また資産運用会社が国債等で運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」の販売停止に踏み切っているが、預金金利が更に低下するなど影響が広がる可能性がある。 市場関係者には「国債価格が上昇しすぎて今後の値動きが不安定になる恐れがある」との懸念もある。
[国債の市場利回りマイナスは国外・国内の投資家のリスク回避?]
今回の「国債の市場利回りマイナス」圏突入は言わずもがな日銀が1月29日にマイナス金利政策の導入を決めたことがキッカケだが、金利の低下影響は想定を超す速さで進んだ。世界経済の先行き不透明感に身構えたマネーが安全資産である国債に殺到しているためだ。マイナス金利政策を決めた日銀は、景気回復期待を維持しながら長期金利を低めに抑えることで、景気を押し上げる効果を狙っていた。実際に起きた金利の急低下は景気の先行きに怯える「リスクからの逃避」が主因で日銀にとっては誤算だ。
黒田東彦日銀総裁はマイナス金利政策で国債等の金利が全般的に下がれば、経済がより活性化すると指摘していた。マイナス金利を嫌って銀行が融資を積極的に増やすようになるポートフォリオ・リバランス(運用資産の組み替え)効果も高まるとみていた。こうした効果を得られるのは、人々が景気や物価の先行きに期待感を抱いている場合に限られる。マイナス金利を導入するにも関わらず円高が進むような展開では、日銀の金融緩和は効果を十分発揮できず独り相撲に陥る懸念がある。
もっと明確に言わせて頂ければ投資家をはじめ社会全体が、これまでのアベノミクスを全く評価していない証左でもある。
金融市場では、今月下旬に開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に注目が集まりつつある。各国の協調で市場の不安心理を鎮められるか、日銀のマイナス金利政策が多少の評価の持ち直しに通ずるかだが、いずれにしても問題の基本本質が国内消費購買力の固定的冷え込みにある事は、投資家でもない我々勤労者の忘れてはならない事だ。
<日銀「マイナス金利政策」の内幕:前白川総裁時就任時の4人反対>
マイナス金利の導入を巡り日銀内で激論が交わされていたことが8日、日銀が公表した金融政策決定会合の「主な意見」で明らかになった。マイナス金利は5対4の小差で決定したが、反対した4人は全員が白川方明前総裁の下で就任した審議委員。2012年に発足した安倍政権は、白川前総裁の金融政策から一層の緩和へ舵を切らせようと黒田東彦総裁への介入起用に踏み切っており、ここに来て「黒」対「白」の構図が鮮明になってきた。
本来、日銀法により日銀は政府から独立して「健全な貨幣の流通と物価等の安定化」等を貨幣の供給策を独自判断する立場にあり、むしろ政府の方が、そうした日銀政策と整合性を取りながら、金融・経済政策を行わなければならないのである。これは戦時中の「政府と日銀の一体化⇒戦時国債の乱発と破綻」の反省からくる民主化政策の一環でもある。
しかし安倍(経済音痴)総理は、そうした日銀気骨のある白川総裁が気に食わず、またもや「お友達人事介入」で黒田を日銀総裁に据替たのである。よく安倍(経済音痴)総理は国会で「日銀と一体となったアベノミクス政策~」と大声で言っているが、これは日銀法の趣旨において「違反してま~す」と言っている様なものである。
この日(8日)公表されたのはマイナス金利導入を決定した1月28、29日の会合での「主な意見」。賛成派は、新興国経済の減速懸念や原油安を背景とした金融市場の混乱に伴い「物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」とし、「金融政策の信認を保つ」ためにマイナス金利導入を主張した。一方、反対派は、マイナス金利が金融機関の収益に悪影響を与える等の副作用を強調。「危機時の対応策として温存すべきだ」等と導入のタイミングにも異論を示した。今回、マイナス金利導入に反対したのは白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の各審議委員。4人とも黒田総裁と考え方が微妙に違う白川前総裁時代に任命された委員だ。一方、賛成した原田泰委員と布野幸利委員は安倍(経済音痴)総理や積極緩和を主張する首相周辺のリフレ派に近い。岩田規久男副総裁も13年の日銀総裁選びの際に財務省の反対を押し切って官邸主導で人選された経緯があり、政府内では「マイナス金利は『黒田体制』でなければ実現しなかった政策だ」(首相周辺)と自賛する声が出ている。審議委員の任期は5年。今後はマイナス金利に反対した白井委員が3月31日、石田委員が6月29日に各々、任期切れを迎える。白井委員については再任(留任)が取り沙汰されているが、政府内には「審議委員はリフレ派で固めたい」との意向も根強くある。今後もリフレ派の審議委員が誕生していけば、黒田総裁は安定的な支持基盤を確保できるものの、市場からは「金融政策が素人的で、かつ過激に進んでいく危うさがある」と先行きを懸念する見方も出ている。
[用語解説-金融政策決定会合]
経済や物価情勢を踏まえて金融政策を決める日銀の会合。金融政策は9人の政策委員(正副総裁3人と審議委員6人)が多数決で決める。金融政策は企業活動や人々の生活に大きく影響する。本来、そうした政策は国会の審議を経て決定されるが、金融政策は専門的な知見を必要とする他、グローバル経済の進展によってその決定には即効性も求められる。このため内閣が人事案を国会に提示し、国会の同意で選ばれた委員が政府から独立して決定する仕組みになっている。開催は原則年8回。会合は非公開で、決定内容は同日中に総裁が記者会見で説明する。6営業日後に「主な意見」、次回の決定会合で承認の上、その3営業日後に「議事要旨」、10年後に「議事録」を各々、公表する。
《実質賃金4年連続で減-物価上昇に追いつかず:非正規増も原因》
厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した2015年の実質賃金は前年比0.9%減で4年連続のマイナスとなった。一方、働く人一人当たりの現金給与総額(名目賃金)は月平均313,850六円で0.1%増。物価の上昇が先行し、これに賃金増が追いついていない現状が浮き彫りとなった。大手企業を中心に15年春闘ではベースアップと定期昇給で2%超の賃上げが実現した。しかし現金給与総額の伸び率が低く抑えられた理由は「給与水準の低いパート労働者が増えて平均賃金を押し下げた」(厚労省の担当者)ためだ。 正規を中心とした労働者の現金給与総額が408,410円だったのに対し、パート労働者は97,818円に留まり賃金格差は大きい。しかも労働者全体に占めるパート労働者の比率は年々上昇しており、15年は前年比0.64ポイント増の30.46%と過去最高に達した。企業側が人件費の高い正社員の雇用を敬遠し、低賃金のパートを含む非正規社員を増やした結果、賃金全体の伸び率が春闘の結果より大幅に少なくなった。 またボーナスを中心とする「特別に支払われた給与」も54,550円と前年比で0.8%減と3年ぶりに減少に転じ、現金給与総額が伸び悩む原因となった。(文責:管理者-民守 正義)
《高市総務相が「電波停止」言及-テレビ局への政治圧力正当化か?》
<高市総務大臣の今回発言に至る発言経過と今回までの発言法的問題点>
高市早苗総務相が、8日の衆院予算委で放送法に基づく「電波停止」をテレビ局に発する可能性に言及した。民主党の奥野総一郎議員が、安倍政権に批判的とされる民放キャスターの降板が相次いでいる状況を指摘し「電波停止が起こり得るのではないか」と質問。
すると答弁に立った高市大臣は「将来にわたり可能性が全くないとは言えない」とし、更に「(放送法は)単なる倫理規定ではなく法規範性を持つ」と踏み込んだ。安倍政権では、一昨年12月の総選挙の際に民放記者を呼びつけて「公平中立」の報道を要請したり、自民党勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番」といった発言が飛び出したりと、テレビ局に対する数々の「政治圧力」が問題になった。とうとうテレビ局を所管する総務省の大臣が国会で「電波停止」を口にし始めた形だ。既に民放各局は、安倍政権を強く批判することはなくなっている。
ここまでで管理者としての問題指摘は、先ず民主党-奥野議員も質問に立つ以上、もっと放送法と憲法「表現の自由」との関係、放送法にも時々、登場する電波法との関係等について熟した理解に到達し、高市総務大臣の発言の法的問題点を悉く指摘・論破するだけの力量を持ち合わせてほしい。何故そういう苦言を呈するかと言うと、どうして、わざわざ野党質問者の方から「電波停止が起こり得るのではないか」という質問する必要があったのか。もし、この類の質問をするならば「政府・自民党がBPOや放送法に異論等があるのは解るが現行法を守るのは当然なことから、仮に放送法に違反したと認識していても『電波停止』という事は権力濫用で、できない事は御存知ですね?」と確認質問(引っ掛け質問)で行うべきだった。その点を苦言呈した上で高市総務大臣発言の法的問題点を一つ一つ指摘する。
先ず以前の同大臣の発言も含めて「行政指導」について「放送法所管省だから」「行政手続法第2条第6号を根拠とするもの」と述べているが、先ず「放送法所管省であること」と「行政指導権限があること」と同様ではない。行政用語に言う「行政指導権限・勧告・改善命令」等は公権力の行使だから法文上の明文規定が必要で「放送法」には「番組放送センター(第9章)」に関する行政指導権限と罰則規定を除いて他に一切ない。次に「行政手続法第2条第6号を根拠とするもの」と言ったが本規定は「行政指導」の定義を規定したもので「所管省だから『行政指導』してよい」とは、どこにも規定していない。
従って高市総務大臣が何度NHKやテレビ朝日を呼び出し指導的助言したとしても、それは「任意の事情聴取」の範囲内で、別に放送局側にしてみれば放っておいても何ら法的問題はない。従って放送内容が偏向しているからと言って別法-電波法罰則規定を持ち出して「行政指導権限」もない総務省が「電波停止」処分など不可能であること-至極、当然な事を与野党問わず認識して頂きたい。因みに罰則について放送法第4条(特に2項-政治的に公平であること)規定に反するからと言って「電波法罰則規定」で処罰などできない事は素人でも解る話でもある。率直に言って高市総務大臣の法的知識は大学法学部1回生以下と言わざるを得ない。加えて高市総務大臣は「放送法第4条は法規範性がある」と述べていたが、そう言っているのは自民党ぐらいだけで、自民党も大好きな最高裁でも「2004年の最高裁判決で『放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で、真実性の保障の理念を具体化するための規定』と示されており、要は番組を編集する際の順守事項の単なる倫理規範である」と示している。加えて殆どの憲法学者が「集団的自衛権は憲法違反」と同じぐらい、殆どの法学者が「倫理規範」と認めている。
<マスコミ(放送局)にも相当な問題と責任>
総じて、この間の放送不当圧力・規制の問題で総合的に法体系の実定法上のロジックは先ず憲法の「表現の自由」があって、その法律上の具体化として「放送法1条」による「放送の自由3原則」が優先的に定まっており、その上で「規範規定」として第4条があり、それを自律的に担保するものとしてBPO(放送倫理機構)の役割があるのである。繰り返しになるが野党が「公平性の名の下に大本営放送」から真に放送の自由を守ろうとするならば、せめて、この程度の法的理解を熟知して憲法と同様、勝手な解釈をさせないような「厳密順守のチェック」する質問をして頂きたい。正直言って民主党-奥野議員は逆に高市総務大臣の「反動的回答」を引き出す結果となっており、的確な法的反論もできておらず「藪蛇」を免れない。最後にテレビ局の対応だが何故、総務大臣が呼んでいるからと、政権党であっても、何の行政権限もない一政党に過ぎない自民党に呼び出されたからとノコノコ行くのか理解に苦しむ。特にNHK「クローズアップ現代」はヤラセ問題であるので「総務大臣の事情聴取に応じた」というのは一定、理解するがテレビ朝日は古賀コメンテーターへの「いちゃもん的クレーム」であり「文句があるならBPOへどうぞ」とかわせば済む話である。ましてや自民党は何の権限もない単なるイッチョガミで無視すべき事だったのである。(共産党でも呼び出されたら応じるのか?)このように、せっかく法体系は放送局に有利に構成されているのに、何故か毅然とせず、おどおどした態度は一層、政権側を頭に乗せることになる事を呈しておく。そして、それどころか、な!な!なんとテレビ局も含むマスコミ各社幹部・編集委員等が毎日のように安倍(戦争)総理と、ほぼ毎日「夜の会食」を内閣調査費で飲み食いしているのだ!それでは「毅然とした態度」もできず、おどおどして筋の通らない「呼び出し」にノコノコ応じるのも当然の話。要は「安倍政権とマスコミ幹部はグル」と言われても仕方ない。外国人特派員協会は、この事実を海外に配信、海外メディアからは日本メディアと安倍政権に対して大変、評判が悪く「国境なき記者団」による「報道の自由度」は先進国最低の61位である。本当は「反戦」の立場からも「報道の自由」は極めて重要である。しかしテレビ局をはじめとするマスコミが、このような体たらくでは、マスコミの健全化なんて、どこから初めていいのか解らない。
ただ先ずは「安倍政権とマスコミ各社幹部との『夜の会食』」を贈収賄罪等で告発する事(現在、刑法学者等と共に告訴準備中)と参議院選挙運動を通じて国民的にバラシて「安倍政権とマスコミ各社の責任追及」ぐらいから始めるしかないだろう。リベラル野党と「リベラル広場」の読者をはじめとしたリベラル国民の世論喚起に協力を願う!
[参考1]放送法第1条:「放送が国民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること」(1号),「放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を確保すること」(2号),「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(3号)の三原則
[参考2]放送法第3条:「放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何人からも干渉され,又は規律されることがない」
[参考3]放送法第4条:放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
[参考5]安倍(戦争)総理とマスコミ各社幹部・編集委員等の「夜の会食」リスト⇒本ブログ「リベラル広場-マスコミ報道と『安倍政権』の癒着」:2015-05-27UP参照(検索ワード「リベラル広場」;「マスコミ報道と『安倍政権』の癒着」で検索した方が早いです。
《【マイナス金利】「失敗のアホノミクス特効薬」あれこれ4》
<初の国債の市場利回りマイナス「国債乱発金融恐慌」の前兆の前兆?>
日本国債等を取引する東京債券市場で9日、長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.010%に低下し、史上初めてマイナスとなった。マスコミは自重気味に伝えたが、私は結構「経済ビッグニュース」と見ている。日銀が先月29日にマイナス金利の導入を決定し、金融機関は日銀に資金を預けると損をするため、国債の購入を増やし、国債価格が上昇して金利が急低下した。9日の日経平均株価が急落し、比較的安全な資産とされる国債を買う動きも広がり、金利低下に拍車をかけた。つまり「マイナス金利政策」の本来の狙いとは真逆の現象が16日からの本格実施の前に起きたのである。
国債を購入して10年の満期まで保有しても金利を受け取れないだけでなく、購入時の価格を下回って損をする異常事態。長期金利のマイナスに伴い、住宅ローンや企業向け融資の金利も下がり、家計や企業にプラスに働く効果が見込める。だが銀行や生命保険会社は顧客から預かった資金を国債等で運用しており金融機関の収益が悪化して、預金金利等が一段と低下する恐れもある。
[長期金利のマイナスはスイスに次いで2例目。]
日銀は16日から、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%に引き下げる。市場では「金融機関が日銀に預けていた資金を国債購入に回す」との見方が広がり、国債価格の上昇と長期金利の低下が続いていた。長期金利の指標となる新発10年物国債の市場利回りは8日に一時0.02%と史上最低水準に低下し、9日は一段と下がった。
満期が9年以下の国債は既に金利がマイナスとなっている。何度も既報のとおり「マイナス金利政策」の本来の狙い=「日本経済が停滞する中、日銀は金利を引き下げて企業の設備投資や消費を活性化し、景気を底上げしたい考え。」マイナス金利を受け、新生銀行が今月3日に住宅ローン金利を引き下げる等の動きが出ている。だが「金利は既に歴史的な低水準にあり、これ以上下がっても景気刺激効果は限られる」との見方も強い。つまり既に今の段階で「マイナス金利政策」失敗が大方の味方なのである。一方、金融機関はこれまで安全資産とされる国債で多額の資金を運用してきたが、長期金利がマイナスになると、収益の確保が難しくなる。既に三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクが定期預金金利を、ゆうちょ銀行も定期貯金等の金利を引き下げた。また資産運用会社が国債等で運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」の販売停止に踏み切っているが、預金金利が更に低下するなど影響が広がる可能性がある。 市場関係者には「国債価格が上昇しすぎて今後の値動きが不安定になる恐れがある」との懸念もある。
[国債の市場利回りマイナスは国外・国内の投資家のリスク回避?]
今回の「国債の市場利回りマイナス」圏突入は言わずもがな日銀が1月29日にマイナス金利政策の導入を決めたことがキッカケだが、金利の低下影響は想定を超す速さで進んだ。世界経済の先行き不透明感に身構えたマネーが安全資産である国債に殺到しているためだ。マイナス金利政策を決めた日銀は、景気回復期待を維持しながら長期金利を低めに抑えることで、景気を押し上げる効果を狙っていた。実際に起きた金利の急低下は景気の先行きに怯える「リスクからの逃避」が主因で日銀にとっては誤算だ。
黒田東彦日銀総裁はマイナス金利政策で国債等の金利が全般的に下がれば、経済がより活性化すると指摘していた。マイナス金利を嫌って銀行が融資を積極的に増やすようになるポートフォリオ・リバランス(運用資産の組み替え)効果も高まるとみていた。こうした効果を得られるのは、人々が景気や物価の先行きに期待感を抱いている場合に限られる。マイナス金利を導入するにも関わらず円高が進むような展開では、日銀の金融緩和は効果を十分発揮できず独り相撲に陥る懸念がある。
もっと明確に言わせて頂ければ投資家をはじめ社会全体が、これまでのアベノミクスを全く評価していない証左でもある。
金融市場では、今月下旬に開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に注目が集まりつつある。各国の協調で市場の不安心理を鎮められるか、日銀のマイナス金利政策が多少の評価の持ち直しに通ずるかだが、いずれにしても問題の基本本質が国内消費購買力の固定的冷え込みにある事は、投資家でもない我々勤労者の忘れてはならない事だ。
<日銀「マイナス金利政策」の内幕:前白川総裁時就任時の4人反対>
マイナス金利の導入を巡り日銀内で激論が交わされていたことが8日、日銀が公表した金融政策決定会合の「主な意見」で明らかになった。マイナス金利は5対4の小差で決定したが、反対した4人は全員が白川方明前総裁の下で就任した審議委員。2012年に発足した安倍政権は、白川前総裁の金融政策から一層の緩和へ舵を切らせようと黒田東彦総裁への介入起用に踏み切っており、ここに来て「黒」対「白」の構図が鮮明になってきた。
本来、日銀法により日銀は政府から独立して「健全な貨幣の流通と物価等の安定化」等を貨幣の供給策を独自判断する立場にあり、むしろ政府の方が、そうした日銀政策と整合性を取りながら、金融・経済政策を行わなければならないのである。これは戦時中の「政府と日銀の一体化⇒戦時国債の乱発と破綻」の反省からくる民主化政策の一環でもある。
しかし安倍(経済音痴)総理は、そうした日銀気骨のある白川総裁が気に食わず、またもや「お友達人事介入」で黒田を日銀総裁に据替たのである。よく安倍(経済音痴)総理は国会で「日銀と一体となったアベノミクス政策~」と大声で言っているが、これは日銀法の趣旨において「違反してま~す」と言っている様なものである。
この日(8日)公表されたのはマイナス金利導入を決定した1月28、29日の会合での「主な意見」。賛成派は、新興国経済の減速懸念や原油安を背景とした金融市場の混乱に伴い「物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」とし、「金融政策の信認を保つ」ためにマイナス金利導入を主張した。一方、反対派は、マイナス金利が金融機関の収益に悪影響を与える等の副作用を強調。「危機時の対応策として温存すべきだ」等と導入のタイミングにも異論を示した。今回、マイナス金利導入に反対したのは白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の各審議委員。4人とも黒田総裁と考え方が微妙に違う白川前総裁時代に任命された委員だ。一方、賛成した原田泰委員と布野幸利委員は安倍(経済音痴)総理や積極緩和を主張する首相周辺のリフレ派に近い。岩田規久男副総裁も13年の日銀総裁選びの際に財務省の反対を押し切って官邸主導で人選された経緯があり、政府内では「マイナス金利は『黒田体制』でなければ実現しなかった政策だ」(首相周辺)と自賛する声が出ている。審議委員の任期は5年。今後はマイナス金利に反対した白井委員が3月31日、石田委員が6月29日に各々、任期切れを迎える。白井委員については再任(留任)が取り沙汰されているが、政府内には「審議委員はリフレ派で固めたい」との意向も根強くある。今後もリフレ派の審議委員が誕生していけば、黒田総裁は安定的な支持基盤を確保できるものの、市場からは「金融政策が素人的で、かつ過激に進んでいく危うさがある」と先行きを懸念する見方も出ている。
[用語解説-金融政策決定会合]
経済や物価情勢を踏まえて金融政策を決める日銀の会合。金融政策は9人の政策委員(正副総裁3人と審議委員6人)が多数決で決める。金融政策は企業活動や人々の生活に大きく影響する。本来、そうした政策は国会の審議を経て決定されるが、金融政策は専門的な知見を必要とする他、グローバル経済の進展によってその決定には即効性も求められる。このため内閣が人事案を国会に提示し、国会の同意で選ばれた委員が政府から独立して決定する仕組みになっている。開催は原則年8回。会合は非公開で、決定内容は同日中に総裁が記者会見で説明する。6営業日後に「主な意見」、次回の決定会合で承認の上、その3営業日後に「議事要旨」、10年後に「議事録」を各々、公表する。
《実質賃金4年連続で減-物価上昇に追いつかず:非正規増も原因》
厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した2015年の実質賃金は前年比0.9%減で4年連続のマイナスとなった。一方、働く人一人当たりの現金給与総額(名目賃金)は月平均313,850六円で0.1%増。物価の上昇が先行し、これに賃金増が追いついていない現状が浮き彫りとなった。大手企業を中心に15年春闘ではベースアップと定期昇給で2%超の賃上げが実現した。しかし現金給与総額の伸び率が低く抑えられた理由は「給与水準の低いパート労働者が増えて平均賃金を押し下げた」(厚労省の担当者)ためだ。 正規を中心とした労働者の現金給与総額が408,410円だったのに対し、パート労働者は97,818円に留まり賃金格差は大きい。しかも労働者全体に占めるパート労働者の比率は年々上昇しており、15年は前年比0.64ポイント増の30.46%と過去最高に達した。企業側が人件費の高い正社員の雇用を敬遠し、低賃金のパートを含む非正規社員を増やした結果、賃金全体の伸び率が春闘の結果より大幅に少なくなった。 またボーナスを中心とする「特別に支払われた給与」も54,550円と前年比で0.8%減と3年ぶりに減少に転じ、現金給与総額が伸び悩む原因となった。(文責:管理者-民守 正義)
《高市総務相が「電波停止」言及-テレビ局への政治圧力正当化か?》
<高市総務大臣の今回発言に至る発言経過と今回までの発言法的問題点>
高市早苗総務相が、8日の衆院予算委で放送法に基づく「電波停止」をテレビ局に発する可能性に言及した。民主党の奥野総一郎議員が、安倍政権に批判的とされる民放キャスターの降板が相次いでいる状況を指摘し「電波停止が起こり得るのではないか」と質問。
すると答弁に立った高市大臣は「将来にわたり可能性が全くないとは言えない」とし、更に「(放送法は)単なる倫理規定ではなく法規範性を持つ」と踏み込んだ。安倍政権では、一昨年12月の総選挙の際に民放記者を呼びつけて「公平中立」の報道を要請したり、自民党勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番」といった発言が飛び出したりと、テレビ局に対する数々の「政治圧力」が問題になった。とうとうテレビ局を所管する総務省の大臣が国会で「電波停止」を口にし始めた形だ。既に民放各局は、安倍政権を強く批判することはなくなっている。
ここまでで管理者としての問題指摘は、先ず民主党-奥野議員も質問に立つ以上、もっと放送法と憲法「表現の自由」との関係、放送法にも時々、登場する電波法との関係等について熟した理解に到達し、高市総務大臣の発言の法的問題点を悉く指摘・論破するだけの力量を持ち合わせてほしい。何故そういう苦言を呈するかと言うと、どうして、わざわざ野党質問者の方から「電波停止が起こり得るのではないか」という質問する必要があったのか。もし、この類の質問をするならば「政府・自民党がBPOや放送法に異論等があるのは解るが現行法を守るのは当然なことから、仮に放送法に違反したと認識していても『電波停止』という事は権力濫用で、できない事は御存知ですね?」と確認質問(引っ掛け質問)で行うべきだった。その点を苦言呈した上で高市総務大臣発言の法的問題点を一つ一つ指摘する。
先ず以前の同大臣の発言も含めて「行政指導」について「放送法所管省だから」「行政手続法第2条第6号を根拠とするもの」と述べているが、先ず「放送法所管省であること」と「行政指導権限があること」と同様ではない。行政用語に言う「行政指導権限・勧告・改善命令」等は公権力の行使だから法文上の明文規定が必要で「放送法」には「番組放送センター(第9章)」に関する行政指導権限と罰則規定を除いて他に一切ない。次に「行政手続法第2条第6号を根拠とするもの」と言ったが本規定は「行政指導」の定義を規定したもので「所管省だから『行政指導』してよい」とは、どこにも規定していない。
従って高市総務大臣が何度NHKやテレビ朝日を呼び出し指導的助言したとしても、それは「任意の事情聴取」の範囲内で、別に放送局側にしてみれば放っておいても何ら法的問題はない。従って放送内容が偏向しているからと言って別法-電波法罰則規定を持ち出して「行政指導権限」もない総務省が「電波停止」処分など不可能であること-至極、当然な事を与野党問わず認識して頂きたい。因みに罰則について放送法第4条(特に2項-政治的に公平であること)規定に反するからと言って「電波法罰則規定」で処罰などできない事は素人でも解る話でもある。率直に言って高市総務大臣の法的知識は大学法学部1回生以下と言わざるを得ない。加えて高市総務大臣は「放送法第4条は法規範性がある」と述べていたが、そう言っているのは自民党ぐらいだけで、自民党も大好きな最高裁でも「2004年の最高裁判決で『放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で、真実性の保障の理念を具体化するための規定』と示されており、要は番組を編集する際の順守事項の単なる倫理規範である」と示している。加えて殆どの憲法学者が「集団的自衛権は憲法違反」と同じぐらい、殆どの法学者が「倫理規範」と認めている。
<マスコミ(放送局)にも相当な問題と責任>
総じて、この間の放送不当圧力・規制の問題で総合的に法体系の実定法上のロジックは先ず憲法の「表現の自由」があって、その法律上の具体化として「放送法1条」による「放送の自由3原則」が優先的に定まっており、その上で「規範規定」として第4条があり、それを自律的に担保するものとしてBPO(放送倫理機構)の役割があるのである。繰り返しになるが野党が「公平性の名の下に大本営放送」から真に放送の自由を守ろうとするならば、せめて、この程度の法的理解を熟知して憲法と同様、勝手な解釈をさせないような「厳密順守のチェック」する質問をして頂きたい。正直言って民主党-奥野議員は逆に高市総務大臣の「反動的回答」を引き出す結果となっており、的確な法的反論もできておらず「藪蛇」を免れない。最後にテレビ局の対応だが何故、総務大臣が呼んでいるからと、政権党であっても、何の行政権限もない一政党に過ぎない自民党に呼び出されたからとノコノコ行くのか理解に苦しむ。特にNHK「クローズアップ現代」はヤラセ問題であるので「総務大臣の事情聴取に応じた」というのは一定、理解するがテレビ朝日は古賀コメンテーターへの「いちゃもん的クレーム」であり「文句があるならBPOへどうぞ」とかわせば済む話である。ましてや自民党は何の権限もない単なるイッチョガミで無視すべき事だったのである。(共産党でも呼び出されたら応じるのか?)このように、せっかく法体系は放送局に有利に構成されているのに、何故か毅然とせず、おどおどした態度は一層、政権側を頭に乗せることになる事を呈しておく。そして、それどころか、な!な!なんとテレビ局も含むマスコミ各社幹部・編集委員等が毎日のように安倍(戦争)総理と、ほぼ毎日「夜の会食」を内閣調査費で飲み食いしているのだ!それでは「毅然とした態度」もできず、おどおどして筋の通らない「呼び出し」にノコノコ応じるのも当然の話。要は「安倍政権とマスコミ幹部はグル」と言われても仕方ない。外国人特派員協会は、この事実を海外に配信、海外メディアからは日本メディアと安倍政権に対して大変、評判が悪く「国境なき記者団」による「報道の自由度」は先進国最低の61位である。本当は「反戦」の立場からも「報道の自由」は極めて重要である。しかしテレビ局をはじめとするマスコミが、このような体たらくでは、マスコミの健全化なんて、どこから初めていいのか解らない。
ただ先ずは「安倍政権とマスコミ各社幹部との『夜の会食』」を贈収賄罪等で告発する事(現在、刑法学者等と共に告訴準備中)と参議院選挙運動を通じて国民的にバラシて「安倍政権とマスコミ各社の責任追及」ぐらいから始めるしかないだろう。リベラル野党と「リベラル広場」の読者をはじめとしたリベラル国民の世論喚起に協力を願う!
[参考1]放送法第1条:「放送が国民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること」(1号),「放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を確保すること」(2号),「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(3号)の三原則
[参考2]放送法第3条:「放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何人からも干渉され,又は規律されることがない」
[参考3]放送法第4条:放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
[参考5]安倍(戦争)総理とマスコミ各社幹部・編集委員等の「夜の会食」リスト⇒本ブログ「リベラル広場-マスコミ報道と『安倍政権』の癒着」:2015-05-27UP参照(検索ワード「リベラル広場」;「マスコミ報道と『安倍政権』の癒着」で検索した方が早いです。
(文責:管理者-民守 正義)
【ご案内1】
辺野古新基地建設反対全国同時アクション・関西集会
◎とき 2月21日(日)14:00〜15:30
◎場所 梅田・ヨドバシカメラ前(JR大阪駅前)
◎主催 フォーラム平和関西ブロック近畿6府県「戦争をさせない1000人委員会」STOP!辺野古新基地建設大阪アクション
【ご案内2】
働くあなたを応援する 2016LA-LA公開講座1
「障害者雇用の法制度とその対応」/講師:池田 直樹 弁護士
◎日時:3月2日(水)午後6時30分~8時30分
◎会場:大阪労働者弁護団 事務所
◎参加費:1000円(当日いただきます)
大阪労働者弁護団HP http://www.lalaosaka.com/
公開講座の頁 http://www.lalaosaka.com/#!open-lecture/c1ciw
辺野古新基地建設反対全国同時アクション・関西集会
◎とき 2月21日(日)14:00〜15:30
◎場所 梅田・ヨドバシカメラ前(JR大阪駅前)
◎主催 フォーラム平和関西ブロック近畿6府県「戦争をさせない1000人委員会」STOP!辺野古新基地建設大阪アクション
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◎日時:3月2日(水)午後6時30分~8時30分
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◎参加費:1000円(当日いただきます)
大阪労働者弁護団HP http://www.lalaosaka.com/
公開講座の頁 http://www.lalaosaka.com/#!open-lecture/c1ciw
(民守 正義)
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