安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(33)

安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(33)


《デフレ不況からの脱却‐初の日銀、マイナス金利を導入;その効果?》
日本銀行は29日の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に任意で預けるお金に付ける利子をマイナスにする「マイナス金利政策」の導入を決めた。2月16日から実施する。この狙いは市中金融機関が日銀に預けている国債を企業等に貸し出し促進することにあり「新たな金融緩和策」とマスコミでは言われているが、経済学的には、むしろ「金融抑圧策」が正確である。
いずれにしても、これまでの国債増発(貨幣増刷)にしても日銀に預託されたままの「国債滞留」をマイナス金利にすることで中半、強制的に企業等に貸し出すよう振り向ける作用があり、確かに、これまでの「国債乱発‐金融緩和策」とは異質なものである。この「マイナス金利政策」は逆に、これまでの「黒田バズーカ―砲(国債乱発)」が年明け以降、殆ど効果がなく、それどころかハイパーインフレの危険水域に達してきたことの証左でもある。(日銀はメンツ上、否定)その意味で、これまでの「金融緩和政策」から「金融抑圧策」への大きな転換とはいえる。ただ、この「マイナス金利政策」が何故、この時期に行ったのか、もう一つは「デフレ不況からの脱却」に効果があるのか、それどころか「強烈なドーピング副作用効果」がないのかが問題だ。これらの問題危惧は、日銀「政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)の内、賛成5人、反対4人」と接戦であった事からも日銀内部にも異論が多くあったことが窺える。先ず「何故、この時期に『マイナス金利政策』なのか」であるが、マスコミでは「アベノミクスの重鎮」と言われた甘利元大臣の辞任との関わりを推察している。確かに日銀前‐白川総裁から黒田総裁への「安倍‐お友達人事」交替の経過を見れば安倍(戦争)総理の「アベノミクスブレーン」で固め続けたいところに「甘利大臣辞任」となると「参議院選挙前アベノミクス効果‐株価の高値上昇」を今の内に「演出したい」という安倍(戦争)総理の思惑があっても、おかしくはない。しかし仮にそうだとすると、そもそも中央銀行たる日本銀行と政府とは各々、独立・独自判断で機能すべきであって、結果の良し悪しに関わらず、安倍政権と日銀の癒着は「戦時中の大政翼賛金融体制」とも言うべきものであって、長い歴史の面からみて「不健全な経済体制・政策」になることを、戒めしておかなければならない。
加えて今回の「マイナス金利政策」が「実態経済の反映としての株価値上げ」なのか「マイナス金利政策」が要因となった為替差益等の「投機的株価の値上げ」なのかは見定めておかなければならない。現に参議院選挙前だけに「単純株価値上げ」だけで安倍(戦争)総理の「アベノミクスの効果だ!」というまやかし宣伝にはマスコミ虚偽報道も含めて要注意だ。
次に「マイナス金利政策」の効果と副作用だが、少なくとも「マイナス金利政策」の初日(1/29)の東京株式市場では日経平均株価が一時、前日終値より600円近く上昇。為替相場は一時、前日午後5時時点より2円70銭以上円安ドル高の1ドル=121円50銭近辺まで円安が進み、約1カ月ぶりの円安水準となった。その後、急速に値を戻し、日経平均は一時、前日終値を270円超下回り、結局「乱高下」状態で、直ちに「期待どおり」という事ではなかったようだ。
 ただ「マイナス金利0.1%」は相当に慎重な数字で、これで「実体経済への刺激」になるか「新たな海外投機市場への(バブル)転換」になるかは、暫く様子を見なくては解らない。ただ「円安利潤産業」と「円高有利産業」とでは対応も二分する気がする。
 なお国債の発行状況・残高等の推移・現状は、日銀は2013年4月以降、金融機関から大量の国債等を買い上げ、資金を供給する大規模な金融緩和を続けてきた。この結果、国債等の代金が、金融機関が日銀に持つ当座預金口座に溜まり、直近の残高は253兆円と、同年3月末の4.4倍に膨張した。しかし銀行等の貸出金の残高は、大規模緩和を始めた時点から直近で8.3%しか増えておらず「緩和マネー」が日銀の口座に滞留していた。緩和から3年近く経っても消費者物価指数の前年比が0%近くの横ばいが続いており、今までの手法では、前年比2%上昇の物価目標を達成できないと判断したとみられる。(以前から指摘されていた事だったが「安倍」やアベノミクス御用学者は認めたがらなかった)ところが今回の「マイナス金利政策」は、まだ従来の「量的緩和策」を積み上げる政策は維持したまま、導入するもので、そんな金融緩和操作ができるなら、こんなに「デフレ脱却」に手を焼く事はないではないかと疑問を持たざるを得ない。
 また日銀は、この日の会合で先々の経済成長率や物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめた。今回の政策変更の効果を加味したうえで、16年度の生鮮食品を除く消費者物価の上昇率を、昨年10月の前回リポートでの1.4%から0.8%に引き下げ、17年度(消費増税の影響を除く)は1.8%で据え置いた。物価目標の達成時期は、これまでの「16年度後半頃」から「17年度前半頃」に先送りした。(これで「GDP名目600兆円達成」は、より不可能になったと見るべき)結論的に「マイナス金利政策」の副作用は「慎重なマイナス0.1%」であるだけに、あまりドライスティックな副作用も考えにくいが、実体経済への高刺激も乏しく、結果的に政府債務を削減する効果も少なく、従来どおり、あるいは従来以上に金融市場の機能が麻痺して日本経済が停滞することが少なからずの確率で起きる可能性があると予言する。しかし「マイナス金利政策」も、この「0.1%」が限度で「国債乱発-黒田バズーカ―砲」のように何回もマイナス利率を引き下げて行うものではない。もし「アベ」の我儘で、そんなことをしたら、実体経済への刺激など追いつかず、海外への資本逃避の方向がはるかに上回り、やがてはバブル崩壊時の現象=金利の上昇-物価の高騰―コントロールできないインフレと不況の共存(スタグフレーション)になること間違いない。もし、そうなれば米国・中国経済も含めて世界経済を想像すると(したくないが)、少なくとも日米経済関係は「日米軍事同盟」ならぬ「日米経済砂漠同盟」になる事も笑い話でなくなる。
<本当は、どうすればよいか>
では「アベノミクスはアホノミクスで的外れ」でいいとしても、どうすれば、この「デフレ不況からの脱却」ができるかである。それは「安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(12)1/12UP」でも述べたように「大企業(経団連等)」と勤労者としての方策とは二分‐対立する。勤労者の立場だけの「デフレ不況からの脱却」を再度、説明すると、少しでも「実体経済の回復」を図るために「内需拡大・個人消費を高める事」を大獲得目標に、その経済的具体方策は「実質賃金の引き上げ(ベア増等)」と「最低賃金の引き上げ」等である。そして政策的には「格差是正」「社会保障等セーフティーネットの充実」等で当然、「医療・年金・健保等の自由市場・民営化」を図るTPPは脱退だ。併せて大企業等には内部留保を吐き出させるため「法人累進課税」の導入と社会的再分配を図る事だ。ここまで述べるとピケティ・浜矩子・カレンツキ―理論だなという事が解ると思う。
ただ言わずもがな、この「勤労者のためのデフレ不況」を実行するためには「政権を『財界の代弁者=自公』からリベラル野党に奪取すること、「熾烈な財界等の『階級対立』にリベラル野党が一致・結束する事」勤労者の意識も最低限「競争より安定成長」「突出した個人所得の儲けより公平な社会的再配分」等の「勤労者意識の転換」が必要で「勤労者のための経済政策」である以上、勤労者(給与所得者)が「株で儲けよう」という資本家でもないのに邪まな「ブルジョア的発想」は排除して頂なくてはならない。やはり勤労者は「労働によって得る安定生活」が本来である事は、経団連等の財界等との搾取・収奪・労働者権利の剥奪等々と対決するためには、どうしても意思統一し ておかなければならない事だと明言せざるを得ない。ただ現実にはリベラル野党の中で、そこまで具体ビジョンを示して圧倒的多数の勤労者に大きな日本の将来ビジョンの選択肢として示し、牽引する野党が存在するかだ。正直、第二自民党化している民主党や、やはり以前から批判されてきている共産党の「大衆運動・労働運動軽視、せいぜい署名運動程度で後は議会内闘争に埋没している共産党等、まだまだお寒い状況ではある。でも「最低限の当面の一致」として「リベラル野党は全体結束・一切の排除の屁理屈は認めない」で「安倍政権打倒!or自己崩壊」させる事だ!変わり得る暫定政権は「国民連合政府構想」でも「オリーブの木構想」でもよい。基本政策の違いは、本格政権形成過程での議論でも間に合う。普段、「労働者派遣法」でも「戦争関連法(特に連合)」でも取り組みのトロクサイ民主党幹部が、テメーの基本政策もないのに「基本政策が合わない」とか言ってリベラル国民に背を向ける!確証たる証言をもって言うが、本当はジャパンハンドイラー・官邸等(日本会議?)にハメられているのではないか?本当に民主党幹部等が「共産党排除」に拘るなら我々リベラル市民団体・個人も「平成のB・C級戦犯」として批判と逆排除せざるを得ない。
【用語解説‐マイナス金利】金融機関が日本銀行に持つ当座預金のうち、任意で預けている額について、マイナスの金利をつける政策。手数料を取られる形になる金融機関は、日銀に預けていたお金を企業や個人への貸し出しに回すことが期待され、結果として経済の活性化につながる可能性がある。日銀は今回、この当座預金口座の金利全体をマイナスにするのではなく、0.1%、0%、マイナス0.1%と3段階に分け、金融機関の収益が大きく悪化しないよう配慮した。(文責:管理者‐民守 正義)

《甘利氏辞任表明も晴れない疑惑:霞が関に飛び火で一大疑獄へ》
甘利明元経済再生担当相が28日夕に内閣府で会見を行い、自らの金銭授受疑惑の責任を取って辞任表明した。千葉県の建設会社側から2度に亙り現金入りの封筒を受け取ったことは認め、秘書らに「適正に処理するように」と指示していたと説明したが、問題は甘利大臣の金銭授受の有無だけではない。同日発売の週刊文春のスクープ第2弾は、甘利事務所の腐敗の実態を生々しく報じている。甘利氏への疑惑の炎は、霞が関にまで飛び火し拡大の一途だ。会見で甘利大臣は、大臣室等で計2回、50万円ずつ現金を受け取ったとされる疑惑について「紙袋を頂いた。のし袋が入っていたとの報告を受け、政治資金として処理するよう指示した」と説明、甘利氏自身が直接現金をスーツの内ポケットに入れた事は「本当だとしたら人間の品格を疑われる」「そんな事をするはずがない」等と否定したが、今回の疑惑で明るみに出た甘利サイドの“黒い交遊録”は簡単に消えない。文春の第2弾記事には、告発者の録音データに基づく腐り切ったエピソードがワンさと出てくる。千葉の建設業者とURとの土地トラブルを巡る補償交渉のやり取りは恐喝さながらだ。「あんたたち、俺達の顔立てるっつったよな、わかんなかったの?」こんなヤクザ口調で、UR職員に捲し立てたのは甘利氏の政策秘書・鈴木陵允氏だ。昨年10月27日、衆院議員会館の甘利事務所にUR総務部長と国会担当の職員を呼んで開口一番、威圧した際のセリフだ。12月1日には、公設第1秘書の清島健一氏が、神奈川・大和市の地元事務所までURの総務部長を呼びつけた。すると、甘利氏の名前をチラつかせ、こう圧力をかけたというのだ。「大臣もこの案件については知っているんで、こっちもチャンと返事を返さなくちゃいけないんですよ」文春が詳報している生々しいやり取りに改めてア然とするのだ。甘利大臣の秘書達の高飛車な態度は何サマのつもりなのか。しかも鈴木氏には入れ揚げた銀座のホステスがいて、読んでいるこちらが赤面するようなやり取りが出てくる。
■「汚職の構造は氷山の一角」
 URだって怪しい。大臣秘書の恫喝に屈し補償金の額を吊り上げたのなら、デタラメの極みだ。URは国交省の、ほぼ全額出資の組織。今回の疑惑は、URの公金が政治家の圧力によって勝手に使われた問題でもある。また国交省の局長が甘利事務所から5万円の商品券を貰って、口利きに加担した疑惑も残っている。
「甘利大臣が選挙区でもない千葉県内のトラブルにクビを突っ込み、所管官庁でもない国交省傘下のURに口利きを図った事も不可解です。穿った見方をすれば安倍官邸と霞が関との間には、この手の利害調整の話が恒常的に蔓延り、一声かければ簡単に解決できるシステムが完成しているのかもしれません。つまり汚職の構造は氷山の一角。安倍自民の1強体制に霞が関がなびき、現役大臣や秘書達の便利屋まがいの“口利きビジネス″が蔓延しているのではないでしょうか」(政治評論家・山口朝雄氏) 長期政権下では必ずといっていいほど、汚職の横行等で政界は腐敗していく。釈明と大臣辞任で終わりになるわけがない。【管理者:「安倍」のマスコミ幹部等との「夜の会食」「菅」の辺野古3地区長への「根拠なき補助金」これらも贈収賄罪・違法支出等が成立する。現在、刑法学者等と一緒に告訴準備中。参議院選挙前にぶつけてやる!】(日刊ゲンダイ/管理者一部編集)

【安倍(戦争)総理-随想】
首相の持病は薬で抑制と官房副長官
▼安倍内閣は三流内閣
 官房副長官の世耕弘成が1月23日、長野市内の講演で「安倍首相の持病は薬で抑えている」と明らかにした。こう言う愚か者が総理大臣の側近だから、安倍内閣は三流内閣だと言うのだ。首相と言うポストは、国家の最高責任者のポストである。首相や大統領の健康問題は、どの国でも最高機密に属する。それを側近が漏らすとは信じられない。世耕は基本的な事が何も解っていない。健康問題が表沙汰になった時点で内閣の求心力は衰える。だから病で逝った石橋湛山や池田勇人、大平正芳ら歴代の首相は、死の直前まで健康状態を絶対に明らかにしなかった。そんな『常識』ですら知らないようでは内閣のメンバーは務まらない。それはそれとして安倍(戦争)総理の持病「潰瘍性大腸炎」は「完全に治った訳ではない。薬でうまく抑えている」と世耕は言った。だったら、なおのこと安倍は退陣した方がいい。(「安倍」は(家庭内?)別居状態らしく母親の傍でクラシックを聴きながら就寝しているらしいが、その母親は「引退」を勧めているという。)
 それにしても安倍内閣はおかしな人間ばかりが集まっている。1人としてまともな者がいない不思議な内閣だ。「類は類を呼ぶ」なのか人を見る目がない。「学歴コンプレックス」も強いのか、東大出官僚は嫌いで周辺への人事配置は避けているらしい。能力や資質、適性で選ばず、安倍晋三に近い考え方―極右感性の共有できる日本会議メンバーを優先して集めているようだが、それだけに「能力・適性」には欠けているメンバーが多い。
 何せ安倍自身の人間性が首相の席からヤジを飛ばすという、メイドに宿題をさせるほどのボンボンなのに品格が無さ過ぎて始末が悪すぎる。健康がすぐれないなら、政治家としての知性も能力も適性もないのだから、総理など辞めて治療に専念することを勧めたい。
(参考文献「半歩前へ」/文責-管理者:民守 正義)

【書籍紹介】世界を視るフォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」
[2月号「安倍政権に命の舵は渡さない」]
秘密保護法、安保法制を強行させ、安倍政権は「戦争ができる国」への地ならしを着実に、強引に押し進めています。
 「戦争法制」を廃止し、改憲を不可能にする最後のチャンスが、この夏の参院選です。
2月号では「日本の未来を大きく変える重要な年になる。」 この2016年をどう生きるか、ジャーナリスト、学者、弁護士、映画監督他26人の方から大事なメッセージ寄稿いただきました。30ページにわたる渾身の大特集です。
DAYS JAPANは、これからも最悪の事態に突き進もうとする現政政権にNOをつきつけていきます。2月号、ぜひ一人でも多くの人に手に取っていただけることを心から願っています。
どうぞ宜しくお願い致します。
http://www.daysjapan.net/bn/1602.html
特集:安倍政権に命の舵は渡さない。2016年をどう生きるか。
(民守 正義)