安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(23)
安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(23)
《【闇のTTP7】経済効果はインチキ 政府試算のウソを東大教授が指摘》
TPPに伴う農林水産業対策、3122億円を盛り込んだ補正予算案が衆院を通過したが、その背景で政府のインチキがバレてきた。政府はTPPの経済効果を約14兆円等とはじき、GDPを2.6%押し上げ約80万人の雇用が増えると試算。TPPによる生産減少も政府が経営安定化対策等を講じる事で、主要33品目の生産減少額は1300億~2100億円程度に収まると言っていた。ところが東大の鈴木宣弘教授らが精査、再試算したところ、生産減少額は1兆5594億円に上り、政府試算の7倍以上になるというのだ。鈴木氏の試算を受けて森山裕農相は15日「実際の流通の実態と比べると、ちょっと乖離があるのではないか」と反論していたが、とんでもないのは政府試算の方である。鈴木リポートを読むと、政府試算の問題点は底なしなのだ。
(1)政府試算ではTPP参加によって輸送業コスト半減等の仮定がなされていて、国内産業の生産性向上を幾らでも恣意的に大きくできるようになっている。
(2)政府試算の算出モデルは、輸入が増えても国内産業があまり減らない数式モデルを使っている。
(3)農業をやめることに伴う食の安全保障や洪水防止機能を補うコストが加味されていない。
(4)関税が安くなれば、影響を受けるのは当該品目だけでなく、他の品目への生産シフトなどが考えられるが、他の品目への影響を加味していない―等々だ。改めて鈴木氏に聞いてみた。
「政府試算はTPP対策によって国内の生産性が向上するので、国内生産量は維持されるとはじいていますが、そう言わなければ批判が噴出するので、最初に対策ありきで、影響をあとからはじいたのです。本来であれば、まず影響を試算して、公表。それから対策を講じて、改めて試算すべきでしょう。TPPによる全体の経済効果もTPPに入らなかった時の損失額(経産省試算)から入った時の損失(農水省試算)を引いているのですが、経産省も農水省の試算もおかしく、内閣府も含めて、こんな数値を出させられた役人が気の毒になるくらいです。私の試算を公にすれば、いろいろな風当たりがあるのはわかっていますが、きちんとした試算がなければ国会論戦も空回りが続く。だから、あえて、この時期に公表することにしたのです」政府の試算が「過大だ」という批判は農家からも上がっている。
このままじゃ、TPP不況も現実だ。(日刊ゲンダイ)
《【闇のTPP8】「関税をゼロにしても成長が見込めるとは思えない」》
TPPの「大筋合意」を「大粉飾決算」と批判するのは、経済アナリストの森永卓郎さん。「輸出の儲けは余分に、農業や畜産等の輸入が増える損害は少なめにカウントするというインチキをやって、更にTPP対策の政府消費を上乗せするという方法で出した数字。普通に計算すればマイナスになるに決まっています。正直に言わない政府はアンフェアです」TPP問題に詳しい立教大学の郭洋春教授(開発経済学)も首をかしげる。「'13年にTPP参加を表明したとき、安倍政権が出したTPP発効10年後の経済効果はGDPが3・2兆円増でした。しかも当時の計算は、今回より関税が引き下げられた状態、つまり関税ゼロを前提に出した数字。なのに減るどころか増えるなんて意味不明です」そもそもTPPとは何か。環太平洋戦略的経済連携協定の略称で、世界地図にある12か国が参加交渉を進めている他、フィリピン、インドネシア、韓国も参加の意向を示している。TPP交渉の行方をウォッチし続けているNPO『アジア太平洋資料センター』事務局長の内田聖子さんは、その特徴をこう話す。「TPPは完全に関税をゼロにするのが大原則。また参加国の間で自由に貿易をするにあたり、各々の法律や制度が妨げになれば、最終的には規制緩和しルールを統一していくことになっています。従来の貿易協定に比べ、極めて自由化の度合いが高いのです。発効後3年で再協議が約束されているように1度入れば関税ゼロに向けて交渉が進められます。しかも後戻りできません」金や物だけに限らず、人やサービスも参加国の間を自由に行き来できる。つまり「企業の自由な経済活動と市場へのアクセス」(郭教授)こそがTPPの目的。そこへ日本も加われば「成長戦略の切り札」になると安倍(戦争)総理は強調するが、郭教授の答えはノーだ。「工業製品でいうと、日本とアメリカの貿易額はTPP全体の約9割を占めています。関税率も元から日米共に低い。25年かけて自動車の関税をゼロにしたところで、輸出が急激に伸びて成長が見込めるとは到底、思えません」(週刊女性)
《【闇のTPP9】「関税が下がっても物価が安くなる保証は無い」》
TPPの影響を的確に検証するには、先ず協定文書の中身を精査しなければならない。だが日本政府が先ず公開したのは、およそ180ページの概要だけ。全文は英語で600ページに及ぶほど膨大だ。詳細を知るには、概要の発表から遅れること3か月、1月7日の日本語訳全文の公開まで待たねばならなかった。TPP交渉の行方をウォッチし続けているNPO『アジア太平洋資料センター』事務局長の内田聖子さんの団体では、昨年11月にニュージーランド政府が公開したTPP協定文書の分析を進めている。「全て読み終えたわけではありませんが、内容の分析を続ける中で、大企業側に有利なルールが盛り込まれているなという実感を強めています。よくいわれる農業問題だけでなく食の安全や安心、医療の安心、働き方や雇用に関わる問題等、様々な分野で暮らしに幅広い影響が出てきます」そう言って内田さんは、食と農業に関わる分野で幾つか例を上げてくれた。「関税が撤廃されたり引き下げられたりすることで、安い輸入品が大量に出回るようになります。経営が立ち行かなくなって農家の廃業が増えれば、農作物の生産量が減るのはもちろん、地域経済も疲弊します。“地方消滅”のような現象が加速するかもしれません」輸入品が大量に入ってくる一方、検疫は「迅速化」。食の安全が危ぶまれる。「輸入レモン等に塗られている防カビ剤の表示義務も無くすようアメリカに強く要求されています」(内田さん)とはいえ、ものが安く買えるならありがたい。食料品は値上げ続きだけに、そう考える方も多いだろう。しかし全てが即座に下がるわけではなく、引き下げた関税が、そのまま値段に反映されるとも限らない。「人件費や消費税等の影響を考えると、すぐに安くなるとは言えない。消費者の動向を見ながら検討していくことになります」(大手ファミリーレストラン)「牛肉の殆どを自社農場のあるオーストラリアから輸入しており、既に日豪の経済協定があるため無関税に等しい状態。商品や、その原産国によっても価格は変わるので、現時点で一概にどうなるとは言えません」(大手スーパー)TPPの影響を見通す上で、最も参考になると言われているのが、アメリカと韓国の自由貿易協定(米韓FTA)だ。TPPに詳しい立教大学の郭洋春教授が説明する。「関税が下がると輸入品、特にワインやビールが安くなると言われていますが、それは嘘だと米韓FTAが証明しています。韓国の輸入業者はワインの関税を10%引き下げた場合、その内7%を中間マージンにしていました。そんな悪質な企業ばかりではないとしても、1~2円単位の為替変動で円高になったり円安になったりする。その影響を踏まえれば物価が安くなる保証はありません」(週刊女性)
《海外メディアが一斉に「アベノミクスは失敗に終わった」一方、安倍(戦争)総理はデータをねじまげ「景気回復」の嘘を》
「息を吐くようにウソをつく」安倍(戦争)総理だが、経済政策についてもウソばかりだ。例えば東京新聞1月14日付朝刊「首相、国会でも『地方にアベノミクス』強調でも実情は…高知ルポ」では、次のような安倍(戦争)総理のウソを暴いている。「安倍晋三首相は最近、政権の経済政策アベノミクスが地方に波及しつつある根拠として、高知県の有効求人倍率が初めて一倍を超えたことを繰り返し取り上げている」「首相は11月に都内で開いた自民党立党六十年記念式典で『高知県は初めて有効求人倍率が一倍に到達した。おめでとうございます。県庁で祝杯を挙げたそうだ』と紹介した」「地方の有効求人倍率の上昇について『働いている人の絶対数が増えた結果だ』と述べ、自身の経済政策アベノミクスが景気回復に結びついていると強調」(同記事より)している。確かに「高知県の求人倍率は昨年9月、1963年の統計開始以来初めて、仕事を探す人と仕事の件数が同じ1.00倍に達した。最新の11月は1.05倍だった」(同記事より)。有効求人倍率は、求人数(分子)を求職者数(分母)で割ったもので、公共職業安定所に申し込まれている求職者数に対する求人数の割合が分かるのだが、安倍(戦争)総理が言うようにアベノミクスが地方に波及しつつあるのであれば、企業からの求人数(分子)が増えて有効求人倍率が上昇していることになる。ところが実際に東京新聞の記者が高知で現地取材をしてみると「高齢者福祉や建設関係を中心に求人が増えると同時に、職を求める人が減っている」実態が明らかになったのだ。「昨年11月の求職者数は13286人で、2006年度の一カ月間の平均18375人から約3割減った。高知労働局地方労働市場情報官は『求職者は前年同月比で33カ月連続の減少。年度毎に如実に減っている』と説明する」(同記事より)つまり高知県の有効求人倍率の上昇の主な理由は「条件のいい仕事のある大都市圏への若者の流出」という、求職者数(分母)の減少だったのだ。更に「高知県では14年まで14年連続で県外への転出が転入を上回る。県内の仕事は非正規の割合が高く、正社員のみの求人倍率は昨年11月で0.56倍。全国で沖縄県に次いで低い」(同記事より)と深刻な経済状況が明らかになったのだ。安倍安倍(戦争)総理といえば、1月8日の衆議院予算委員会で賃金に関する答弁の中で例として発言した「私と妻。妻は働いていなかったけれども『景気が、そろそろ本格的に良くなってきたから働こうかしら』と思ったら、我が家の収入は妻が25万円で私が50万円で75万円に増えるわけでございます」いわゆる「パートで月25万円」発言が新年早々、インターネットで炎上したが「景気が、そろそろ本格的に良くなって来た」とウソをつきまくっている。【管理者:そもそも「景気が良くなってきたから働こうか」という発想自体が庶民感覚から完全ズレテイル。「景気が悪いから収入が低い。だから『せめてパートでも』と思ってもパートの求人もなかなかない。」これが現実の庶民感覚だ!どこに「アベノミクスの果実」があるのか!加えて1/19参議院予算委員会で福島委員(社民)との質疑で、また安倍(戦争)総理は数字を上げて「著しい雇用状況の改善」を自慢したが、福島委員が「非正規雇用の増大」等の数字のマジックを暴露されてタジタジ。私は若かりし頃、統計の仕事をしたことがあるが、よく上司に「数字を使うときは主観を交えず慎重に!」と言われた。安倍(戦争)総理も、そこから教えてあげないといけないようだ!】日本のマスコミ(特にテレビ-コメンテーター)は「アベノミクスで景気が良くなってきた」という安倍(戦争)総理のウソを、いまだにドッコイショしているが、海外メディアやリベラル経済学者達では、完全に「アベノミクスは失敗した」という認識が一般的だ。【管理者:私は当初から経済政策の体をなしていない。「発表と同時に破綻!」(同志社大学‐浜教授・ピケティ等も、ほぼ同意見)】
例えば米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「アベノミクス、今こそ再考の時」と題した社説を掲げ「アベノミクスの『3本の矢』は、財政出動と金融緩和で始まった。その結果、日本の公的債務残高は年末までに対国内総生産(GDP)比250%に達する勢いだ。日銀は年間約80兆円規模の国債購入を実施しており、これは米連邦準備制度理事会(FRB)以上に急進的な量的緩和だ。それでも銀行各行は融資を増やしておらず、デフレは続いている」「日本経済の停滞に終止符を打つという首相の公約は達成できておらず、今こそ抜本的に再考しなければならない」と勧告している(11月17日付)。また国際ニュース通信社ロイターはデンマークの投資銀行でデリバティブ取引の世界的大手・サクソバンクのCIO(最高運用責任者)にして主任エコノミストであるスティーン・ヤコブセンのインタビューを配信したが「アベノミクスは失敗に終わったと思う。新・第3の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこへ行ったのか」「日本にはモーニング・コールが必要だ。長い眠りから呼び覚まされなければならない」等と断言している(11月18日付)。実際に数字に見ても「アベノミクスは失敗した」ことは明らかだ。内閣府が昨年11月16日発表した6~9月期GDP速報値では年率換算0.7%のマイナスで、4~6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥ったことが明らかになったのだ。2四半期連続のマイナスは欧州など海外では「景気後退期」と見做される。先程、紹介した海外メディアの「アベノミクスは失敗した」報道は、これを受けて行われたものだ。しかし日本は景気循環について内閣府が認定するために「景気の足踏みが長引いている」(日本経済新聞)等という大本営報道がまかり通っている。今年に入って東京株式市場では日経平均株価が連日のように下落し、株価下落の要因として、海外投資家が日本株を売る動きを強めた事が上げられているが、海外投資家は「アベノミクスは失敗した」と受け止めているのだから当然のことだ。それだけでも日本株を売る動きに繋がるが、更に安倍(戦争)総理をはじめ政府と日本のマスコミは「参議院選挙向け」に「景気がそろそろ本格的に良くなってきた」等とウソをつき撒くっているのだから、政府への不信が加速し全面的な売りに繋がっているのだ。次の10−12月期(1次速報)の公表は2月15日だが、中国経済大減速もあって、マイナスが続くとの見方が一般的だ。【管理者:それどころか参議院選挙(5~6月危機説)までに「平成の国債暴落‐大恐慌」の可能性も大いにある。】どこまで安倍(戦争)総理は「景気がそろそろ本格的に良くなってきた」等とウソをつく余裕すら続くだろうか。(リテラ/管理者部分編集)
【書籍紹介】世界を視るフォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」
[2月号「安倍政権に命の舵は渡さない」]
秘密保護法、安保法制を強行させ、安倍政権は「戦争ができる国」への地ならしを着実に、強引に押し進めています。
「戦争法制」を廃止し、改憲を不可能にする最後のチャンスが、この夏の参院選です。
2月号では「日本の未来を大きく変える重要な年になる。」 この2016年をどう生きるか、ジャーナリスト、学者、弁護士、映画監督他26人の方から大事なメッセージ寄稿いただきました。30ページにわたる渾身の大特集です。
DAYS JAPANは、これからも最悪の事態に突き進もうとする現政政権にNOをつきつけていきます。2月号、ぜひ一人でも多くの人に手に取っていただけることを心から願っています。
どうぞ宜しくお願い致します。
http://www.daysjapan.net/bn/1602.html
特集:安倍政権に命の舵は渡さない。2016年をどう生きるか。
《【闇のTTP7】経済効果はインチキ 政府試算のウソを東大教授が指摘》
TPPに伴う農林水産業対策、3122億円を盛り込んだ補正予算案が衆院を通過したが、その背景で政府のインチキがバレてきた。政府はTPPの経済効果を約14兆円等とはじき、GDPを2.6%押し上げ約80万人の雇用が増えると試算。TPPによる生産減少も政府が経営安定化対策等を講じる事で、主要33品目の生産減少額は1300億~2100億円程度に収まると言っていた。ところが東大の鈴木宣弘教授らが精査、再試算したところ、生産減少額は1兆5594億円に上り、政府試算の7倍以上になるというのだ。鈴木氏の試算を受けて森山裕農相は15日「実際の流通の実態と比べると、ちょっと乖離があるのではないか」と反論していたが、とんでもないのは政府試算の方である。鈴木リポートを読むと、政府試算の問題点は底なしなのだ。
(1)政府試算ではTPP参加によって輸送業コスト半減等の仮定がなされていて、国内産業の生産性向上を幾らでも恣意的に大きくできるようになっている。
(2)政府試算の算出モデルは、輸入が増えても国内産業があまり減らない数式モデルを使っている。
(3)農業をやめることに伴う食の安全保障や洪水防止機能を補うコストが加味されていない。
(4)関税が安くなれば、影響を受けるのは当該品目だけでなく、他の品目への生産シフトなどが考えられるが、他の品目への影響を加味していない―等々だ。改めて鈴木氏に聞いてみた。
「政府試算はTPP対策によって国内の生産性が向上するので、国内生産量は維持されるとはじいていますが、そう言わなければ批判が噴出するので、最初に対策ありきで、影響をあとからはじいたのです。本来であれば、まず影響を試算して、公表。それから対策を講じて、改めて試算すべきでしょう。TPPによる全体の経済効果もTPPに入らなかった時の損失額(経産省試算)から入った時の損失(農水省試算)を引いているのですが、経産省も農水省の試算もおかしく、内閣府も含めて、こんな数値を出させられた役人が気の毒になるくらいです。私の試算を公にすれば、いろいろな風当たりがあるのはわかっていますが、きちんとした試算がなければ国会論戦も空回りが続く。だから、あえて、この時期に公表することにしたのです」政府の試算が「過大だ」という批判は農家からも上がっている。
このままじゃ、TPP不況も現実だ。(日刊ゲンダイ)
《【闇のTPP8】「関税をゼロにしても成長が見込めるとは思えない」》
TPPの「大筋合意」を「大粉飾決算」と批判するのは、経済アナリストの森永卓郎さん。「輸出の儲けは余分に、農業や畜産等の輸入が増える損害は少なめにカウントするというインチキをやって、更にTPP対策の政府消費を上乗せするという方法で出した数字。普通に計算すればマイナスになるに決まっています。正直に言わない政府はアンフェアです」TPP問題に詳しい立教大学の郭洋春教授(開発経済学)も首をかしげる。「'13年にTPP参加を表明したとき、安倍政権が出したTPP発効10年後の経済効果はGDPが3・2兆円増でした。しかも当時の計算は、今回より関税が引き下げられた状態、つまり関税ゼロを前提に出した数字。なのに減るどころか増えるなんて意味不明です」そもそもTPPとは何か。環太平洋戦略的経済連携協定の略称で、世界地図にある12か国が参加交渉を進めている他、フィリピン、インドネシア、韓国も参加の意向を示している。TPP交渉の行方をウォッチし続けているNPO『アジア太平洋資料センター』事務局長の内田聖子さんは、その特徴をこう話す。「TPPは完全に関税をゼロにするのが大原則。また参加国の間で自由に貿易をするにあたり、各々の法律や制度が妨げになれば、最終的には規制緩和しルールを統一していくことになっています。従来の貿易協定に比べ、極めて自由化の度合いが高いのです。発効後3年で再協議が約束されているように1度入れば関税ゼロに向けて交渉が進められます。しかも後戻りできません」金や物だけに限らず、人やサービスも参加国の間を自由に行き来できる。つまり「企業の自由な経済活動と市場へのアクセス」(郭教授)こそがTPPの目的。そこへ日本も加われば「成長戦略の切り札」になると安倍(戦争)総理は強調するが、郭教授の答えはノーだ。「工業製品でいうと、日本とアメリカの貿易額はTPP全体の約9割を占めています。関税率も元から日米共に低い。25年かけて自動車の関税をゼロにしたところで、輸出が急激に伸びて成長が見込めるとは到底、思えません」(週刊女性)
《【闇のTPP9】「関税が下がっても物価が安くなる保証は無い」》
TPPの影響を的確に検証するには、先ず協定文書の中身を精査しなければならない。だが日本政府が先ず公開したのは、およそ180ページの概要だけ。全文は英語で600ページに及ぶほど膨大だ。詳細を知るには、概要の発表から遅れること3か月、1月7日の日本語訳全文の公開まで待たねばならなかった。TPP交渉の行方をウォッチし続けているNPO『アジア太平洋資料センター』事務局長の内田聖子さんの団体では、昨年11月にニュージーランド政府が公開したTPP協定文書の分析を進めている。「全て読み終えたわけではありませんが、内容の分析を続ける中で、大企業側に有利なルールが盛り込まれているなという実感を強めています。よくいわれる農業問題だけでなく食の安全や安心、医療の安心、働き方や雇用に関わる問題等、様々な分野で暮らしに幅広い影響が出てきます」そう言って内田さんは、食と農業に関わる分野で幾つか例を上げてくれた。「関税が撤廃されたり引き下げられたりすることで、安い輸入品が大量に出回るようになります。経営が立ち行かなくなって農家の廃業が増えれば、農作物の生産量が減るのはもちろん、地域経済も疲弊します。“地方消滅”のような現象が加速するかもしれません」輸入品が大量に入ってくる一方、検疫は「迅速化」。食の安全が危ぶまれる。「輸入レモン等に塗られている防カビ剤の表示義務も無くすようアメリカに強く要求されています」(内田さん)とはいえ、ものが安く買えるならありがたい。食料品は値上げ続きだけに、そう考える方も多いだろう。しかし全てが即座に下がるわけではなく、引き下げた関税が、そのまま値段に反映されるとも限らない。「人件費や消費税等の影響を考えると、すぐに安くなるとは言えない。消費者の動向を見ながら検討していくことになります」(大手ファミリーレストラン)「牛肉の殆どを自社農場のあるオーストラリアから輸入しており、既に日豪の経済協定があるため無関税に等しい状態。商品や、その原産国によっても価格は変わるので、現時点で一概にどうなるとは言えません」(大手スーパー)TPPの影響を見通す上で、最も参考になると言われているのが、アメリカと韓国の自由貿易協定(米韓FTA)だ。TPPに詳しい立教大学の郭洋春教授が説明する。「関税が下がると輸入品、特にワインやビールが安くなると言われていますが、それは嘘だと米韓FTAが証明しています。韓国の輸入業者はワインの関税を10%引き下げた場合、その内7%を中間マージンにしていました。そんな悪質な企業ばかりではないとしても、1~2円単位の為替変動で円高になったり円安になったりする。その影響を踏まえれば物価が安くなる保証はありません」(週刊女性)
《海外メディアが一斉に「アベノミクスは失敗に終わった」一方、安倍(戦争)総理はデータをねじまげ「景気回復」の嘘を》
「息を吐くようにウソをつく」安倍(戦争)総理だが、経済政策についてもウソばかりだ。例えば東京新聞1月14日付朝刊「首相、国会でも『地方にアベノミクス』強調でも実情は…高知ルポ」では、次のような安倍(戦争)総理のウソを暴いている。「安倍晋三首相は最近、政権の経済政策アベノミクスが地方に波及しつつある根拠として、高知県の有効求人倍率が初めて一倍を超えたことを繰り返し取り上げている」「首相は11月に都内で開いた自民党立党六十年記念式典で『高知県は初めて有効求人倍率が一倍に到達した。おめでとうございます。県庁で祝杯を挙げたそうだ』と紹介した」「地方の有効求人倍率の上昇について『働いている人の絶対数が増えた結果だ』と述べ、自身の経済政策アベノミクスが景気回復に結びついていると強調」(同記事より)している。確かに「高知県の求人倍率は昨年9月、1963年の統計開始以来初めて、仕事を探す人と仕事の件数が同じ1.00倍に達した。最新の11月は1.05倍だった」(同記事より)。有効求人倍率は、求人数(分子)を求職者数(分母)で割ったもので、公共職業安定所に申し込まれている求職者数に対する求人数の割合が分かるのだが、安倍(戦争)総理が言うようにアベノミクスが地方に波及しつつあるのであれば、企業からの求人数(分子)が増えて有効求人倍率が上昇していることになる。ところが実際に東京新聞の記者が高知で現地取材をしてみると「高齢者福祉や建設関係を中心に求人が増えると同時に、職を求める人が減っている」実態が明らかになったのだ。「昨年11月の求職者数は13286人で、2006年度の一カ月間の平均18375人から約3割減った。高知労働局地方労働市場情報官は『求職者は前年同月比で33カ月連続の減少。年度毎に如実に減っている』と説明する」(同記事より)つまり高知県の有効求人倍率の上昇の主な理由は「条件のいい仕事のある大都市圏への若者の流出」という、求職者数(分母)の減少だったのだ。更に「高知県では14年まで14年連続で県外への転出が転入を上回る。県内の仕事は非正規の割合が高く、正社員のみの求人倍率は昨年11月で0.56倍。全国で沖縄県に次いで低い」(同記事より)と深刻な経済状況が明らかになったのだ。安倍安倍(戦争)総理といえば、1月8日の衆議院予算委員会で賃金に関する答弁の中で例として発言した「私と妻。妻は働いていなかったけれども『景気が、そろそろ本格的に良くなってきたから働こうかしら』と思ったら、我が家の収入は妻が25万円で私が50万円で75万円に増えるわけでございます」いわゆる「パートで月25万円」発言が新年早々、インターネットで炎上したが「景気が、そろそろ本格的に良くなって来た」とウソをつきまくっている。【管理者:そもそも「景気が良くなってきたから働こうか」という発想自体が庶民感覚から完全ズレテイル。「景気が悪いから収入が低い。だから『せめてパートでも』と思ってもパートの求人もなかなかない。」これが現実の庶民感覚だ!どこに「アベノミクスの果実」があるのか!加えて1/19参議院予算委員会で福島委員(社民)との質疑で、また安倍(戦争)総理は数字を上げて「著しい雇用状況の改善」を自慢したが、福島委員が「非正規雇用の増大」等の数字のマジックを暴露されてタジタジ。私は若かりし頃、統計の仕事をしたことがあるが、よく上司に「数字を使うときは主観を交えず慎重に!」と言われた。安倍(戦争)総理も、そこから教えてあげないといけないようだ!】日本のマスコミ(特にテレビ-コメンテーター)は「アベノミクスで景気が良くなってきた」という安倍(戦争)総理のウソを、いまだにドッコイショしているが、海外メディアやリベラル経済学者達では、完全に「アベノミクスは失敗した」という認識が一般的だ。【管理者:私は当初から経済政策の体をなしていない。「発表と同時に破綻!」(同志社大学‐浜教授・ピケティ等も、ほぼ同意見)】
例えば米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「アベノミクス、今こそ再考の時」と題した社説を掲げ「アベノミクスの『3本の矢』は、財政出動と金融緩和で始まった。その結果、日本の公的債務残高は年末までに対国内総生産(GDP)比250%に達する勢いだ。日銀は年間約80兆円規模の国債購入を実施しており、これは米連邦準備制度理事会(FRB)以上に急進的な量的緩和だ。それでも銀行各行は融資を増やしておらず、デフレは続いている」「日本経済の停滞に終止符を打つという首相の公約は達成できておらず、今こそ抜本的に再考しなければならない」と勧告している(11月17日付)。また国際ニュース通信社ロイターはデンマークの投資銀行でデリバティブ取引の世界的大手・サクソバンクのCIO(最高運用責任者)にして主任エコノミストであるスティーン・ヤコブセンのインタビューを配信したが「アベノミクスは失敗に終わったと思う。新・第3の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこへ行ったのか」「日本にはモーニング・コールが必要だ。長い眠りから呼び覚まされなければならない」等と断言している(11月18日付)。実際に数字に見ても「アベノミクスは失敗した」ことは明らかだ。内閣府が昨年11月16日発表した6~9月期GDP速報値では年率換算0.7%のマイナスで、4~6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥ったことが明らかになったのだ。2四半期連続のマイナスは欧州など海外では「景気後退期」と見做される。先程、紹介した海外メディアの「アベノミクスは失敗した」報道は、これを受けて行われたものだ。しかし日本は景気循環について内閣府が認定するために「景気の足踏みが長引いている」(日本経済新聞)等という大本営報道がまかり通っている。今年に入って東京株式市場では日経平均株価が連日のように下落し、株価下落の要因として、海外投資家が日本株を売る動きを強めた事が上げられているが、海外投資家は「アベノミクスは失敗した」と受け止めているのだから当然のことだ。それだけでも日本株を売る動きに繋がるが、更に安倍(戦争)総理をはじめ政府と日本のマスコミは「参議院選挙向け」に「景気がそろそろ本格的に良くなってきた」等とウソをつき撒くっているのだから、政府への不信が加速し全面的な売りに繋がっているのだ。次の10−12月期(1次速報)の公表は2月15日だが、中国経済大減速もあって、マイナスが続くとの見方が一般的だ。【管理者:それどころか参議院選挙(5~6月危機説)までに「平成の国債暴落‐大恐慌」の可能性も大いにある。】どこまで安倍(戦争)総理は「景気がそろそろ本格的に良くなってきた」等とウソをつく余裕すら続くだろうか。(リテラ/管理者部分編集)
【書籍紹介】世界を視るフォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」
[2月号「安倍政権に命の舵は渡さない」]
秘密保護法、安保法制を強行させ、安倍政権は「戦争ができる国」への地ならしを着実に、強引に押し進めています。
「戦争法制」を廃止し、改憲を不可能にする最後のチャンスが、この夏の参院選です。
2月号では「日本の未来を大きく変える重要な年になる。」 この2016年をどう生きるか、ジャーナリスト、学者、弁護士、映画監督他26人の方から大事なメッセージ寄稿いただきました。30ページにわたる渾身の大特集です。
DAYS JAPANは、これからも最悪の事態に突き進もうとする現政政権にNOをつきつけていきます。2月号、ぜひ一人でも多くの人に手に取っていただけることを心から願っています。
どうぞ宜しくお願い致します。
http://www.daysjapan.net/bn/1602.html
特集:安倍政権に命の舵は渡さない。2016年をどう生きるか。
(民守 正義)
0コメント