安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望
安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(1)
「TPPに関する現時点での問題点」も概ね、出し尽くしており、後は1月7日から始まる通常国会で、政府がまだ公表していない日米並行協議も含めた具体協議・大筋合意事項が分からないと、論評できないのが実態だ。同時に7月予定の参議院選挙も近づき、場合によっては衆参同時選挙も現実味を帯びてきている。(管理者は半々の可能性があると見ている)従って本稿からは、基本的には参議院選挙に焦点を当てながらも、後は特に具体政策テーマを絞らず「安倍政権の危険な政権運営全般」を適時・随時に取り上げ、皆さんに情報提供すると共に読者の皆さんからのご意見も頂きたい。題して「安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望」。よろしくご愛読願いたい。
《「高インフレのリスクが迫っている」小黒一正氏(経済学者)》
2%という物価目標なんてあり得ない。黒田日銀の異次元緩和の限界は、このところの株式相場を見れば歴然だが、この人の意見も明確で冷徹だ。元大蔵官僚で気鋭の経済学者・小黒一正氏(法大教授)が看破した「明日なき日本経済の実態」は恐ろしい。
〔以下、対談形式〕
――安倍政権がアベノミクスを正当化する権威として利用してきたポール・クルーグマン教授(ノーベル経済学賞受賞者)が、異次元金融緩和の失敗を認めましたね。先生は早速、ツイッターで取り上げられたが?
小黒:海外で最も権威のあるクルーグマン氏が、異次元緩和はうまくいかなかったと認めたわけです。安倍首相やリフレ派(金融緩和論者)は、梯子を外された格好です。日本の異次元金融緩和という“実験”は失敗に終わったのです。
【管理者:「そもそも『異次元の金融緩和』とか『黒田総裁のバズーカ―砲』という表現自体、何か特別な金融政策かの誤解を与えて良くない。ただ貨幣をジャブジャブ刷って国債と言う形で金融市場に流しているだけで、ハイパーインフレ等も引き起こしかねない危険かつ単純な金融政策」と浜矩子教授は酷評している。】
――安倍政権は「株は上がっているじゃないか」と言いそうですけど?
小黒:株価上昇と円安は達成しましたが、GDPを押し上げる効果はなく、いつどんな“手じまい”をするのかという難しい出口戦略の宿題が残りました。金利急上昇・国債暴落・インフレのリスクは確実に高まっていて、一部資産家の中には、海外へ資産逃避を始めた人も出てきているという噂も聞きます。
【管理者:当初の株価高も浜教授によると上記「金融政策による官製バブルと中国経済バブルの相関要因であって、何ら実体経済を反映したものではない」と酷評している。確かに株価は乱高下を続けており「デフレからの脱却」からは、ほど遠い値動きだ。安倍(戦争)総理も株価でアベノミクス順調とは言わなくなった】
――何故、異次元緩和は失敗したのでしょう?
小黒:そもそも「2%物価上昇率」という目標自体が実現困難でした。過去に日本が2%のインフレ率になった事は殆どない。消費税を導入したバブル期の1989年と、湾岸戦争で原油価格が上がった時だけです。特殊要因が働いた時期を除くと1%がせいぜいだった。
【管理者:安倍(戦争)総理が「2%物価上昇率」目標を掲げたとき、殆どの経済学者は笑った。しかし、その無茶目標を何ら批判しなかったマスコミも悪い。これでピケティやカレツキ―等の国際経済学者や外国人記者クラブ等は、日本のマスコミと政権癒着ぶりを垣間見て信用しなくなったと言われている】
――だからこそ黒田日銀総裁は、期間を区切って思い切って異次元でやったのでしょう?
小黒:異次元緩和で円は対ドル70~80円が120円になり50%も減価した。それで、この程度の物価上昇率なのかという感じです。日本銀行は毎年、80兆円の国債を買っている。こんな政策がずっと続けられないことは明らかです。10年間、毎年80兆円ずつ買うと、800兆円になって、全ての国債を買い切ってしまうわけですが、金融機関も運用で口座を保有する必要がある。地方債まで買えば限界を少し先延ばしできるかもしれないが、2017年頃に日銀は国債を買えなくなるという試算も多い。黒田日銀総裁の任期は2018年ですが、その時までに方向を決めないといけない。つまり国債が殆ど残っていないのだけれども、それでも少しでも出てきたら買い続けるのか。それとも、もう止めるのか。
――やめるなんて言えるのですか?
小黒:その時にゼロ金利を維持すると言わなければいけない。そうしないと金利が跳ね上がってしまうから。そうやって異次元緩和の規模を縮小していくしかないでしょうが、それでも緩やかに金利は上がっていく。今でも1000兆円の債務がある訳ですから、1%の金利上昇は10兆円。厳密には数年間で出てくる計算ですが、もの凄いインパクトです。
――国債暴落のリスクも出てきますね?
小黒:そうです。だから、ずっと国債を買い続ける政策を続ける可能性もある。そうなれば、日本銀行がすべての国債を持つような方向になる。
【管理者:それで管理者は「参議院選挙まで持つか?『国債金融焼野原(恐慌)』」と言っていたのだ。それほど「異次元の金融緩和策」は単純かつ危険な金融ドーピングなのだ】
――それで景気が良くなればいいですけど?
小黒:通常、景気が良くなるのは望ましいですが、そうなれば日銀は膨らんだバランスシートを縮小しなければいけない。でも縮小できません。国債を売ろうとすれば、暴落して金利が跳ね上がる。財政当局や政治が、それを許さないでしょう。金融政策を封じられた日銀は、インフレをコントロールできなくなるのです。
【管理者:これは丁度、中国と米国との関係に似ている。米国国債の最も保有高の多い国は中国だ。中国が米国の国家財政・経済混乱に陥れようとするなら、一挙に米国国債を売ればいいのだが、そうすると米国国債金利も大幅に下がり中国も大損をする。今、世界は「中国と米国との微妙な駆け引き・持たれ合い」が基軸になっていると言われる所以だ。安倍(戦争)総理は、そこが全然、解っておらず、相変わらずの「日米軍事同盟の強化」で前近代的なのもいいところだ】
――にっちもさっちもいかない。すでに三途の川を渡ってしまった?
小黒:日銀は詰んでいます。そういう方向に進んでいます。
<2017年は景気循環でボトムになる>
――クルーグマン教授らリフレ派はあまりにも無責任じゃありませんか?
小黒:クルーグマン教授は98年以降「日銀が無責任であることを信頼できる形で約束することが必要」と唱えてきました。噛み砕いて言うと「市場に対し日銀がより慎重にならず、インフレ促進へ動くと信じ込ませるような驚きを与えるべきだ」ということです。これは一種のショック療法です。しかし11月6日に国際通貨基金(IMF)主催の会合で「無責任であることを信頼できる形で約束すれば、後は自動的に問題を解決できるという考え方は楽観的すぎる。そうなることはない」と話しました。更に11月2日付のニューヨーク・タイムズでは、日本を含む先進国が長期停滞に陥っている可能性も示唆しました。
――どう落とし前をつけるのでしょうか?
小黒:自分の国ではないから関係ないのでしょう。
――リフレ派の学者の中には、いまだに「財政政策も金融政策も、もっと積極的にやればいい」と主張している人もいます。物価が上がらないのを原油安のせいにもしているが?
小黒:原油価格の下落分を差し引いても物価目標の2%には達していない。幾ら日銀が民間銀行の持つ国債を買って日銀券と交換しても、その現金を持った民間銀行は貸出先がないのです。信用創造でお金が流れていかなければ、景気は良くならないし物価も上がらない。それに野口悠紀雄先生(一橋大学名誉教授)をはじめ多くの経済学者が指摘していますが、実質GDPを上げた要因分析をすると、アベノミクスの1本目の矢、つまり「金融緩和」よりも2本目の矢「財政出動(公共事業増加)」の方が効いていた。但し過去と同じくカンフル剤的な効果しかなく、成長率上昇に繋がっていない。「財政政策」をこれ以上進めようにも限界があります。「どんなに債務残高(借金)が増えても大丈夫」という楽観的意見もありますが幻想にすぎません。国債の最終的な引受先は我々の貯蓄だからです。
【管理者:この小黒先生のコメントは多少、不正確。最近は日本国債も米国・中国等の海外依存度が高まっている】
――それじゃあ、景気を良くする処方箋はあるのですか?
小黒:このままでは、ある時点で財政破綻に陥り、消費税大幅増か、年金など社会保障費の大幅減かの選択を迫られることになります。ですから財政再建は不可欠です。過剰投薬など非効率な医療費の削減や65歳から70歳への年金支給年齢引き上げ等の歳出削減を断行する一方、人工知能やビッグデータ等の分野で成長率を上げる必要もあります。
日本は人口減少社会に突入し、これから各地に人口が少ない地域が出てきます。人口密度が高くない所は成長率が低い傾向があります。これもマイナス要因になります。それじゃあ、人口集中エリアを優遇すればいいのか、というと、これは一部地方切り捨てにつながるので、政治的に非常にタフな話になります。
【管理者:安倍(戦争)総理は、国家富裕政策として本気で「武器・原発輸出」を進めている。これは一過性的で長期将来性の無いものだけでなく、政治的にも「戦争緊張関係・危険性」を前提にするもので富国政策として考えること自体、大きな誤謬だ。そのくせ安倍(戦争)総理はローンにしてまで米国から武器購入しようとしている。(来年度当初予算案で計上済み)】
――安倍首相に最も嫌われるエコノミストの藻谷浩介氏は、ベストセラー「デフレの正体」の中でデフレの主原因は人口減少と指摘、若者など現役世代の給料アップ施策が必要と提唱していましたが?
小黒:それは有効な施策の一つです。介護職に若い人が就いても、統制経済で介護報酬は決まっているので低賃金。介護や保育の平均月収は20万円で、全国平均の30万円より低い。社会保障分野で人が働いてもGDPが伸びないのです。ですから規制緩和で混合介護や混合保育を認めたりして、業者にもう少し違ったビジネスを解禁する。そうすることで、収益性を上げて賃金アップにつなげていくしかありません。実際、九州のある地域では、有料老人ホームの隣に大型商店街やスポーツ施設が設置され、その一帯でお金が回るようになっている。一種のエリアマネジメントといえます。
【管理者:介護職の賃金アップは同感だが「規制緩和で混合介護や混合保育を認める」には異論があるが、ここでは省略する】
――来年の経済の見通しはどうですか?
小黒:ダブル選挙をするのかしないのか。やりたくない公明党に対し、軽減税率で官邸は恩を売ったので、可能性は五分五分でしょう。今回、軽減税率導入が決まりましたが、消費税増税の17年4月まで1年ちょっとしかない。なんとなく決着したように見えますが、無理に実行すれば、いろいろ問題が生じて混乱するのは確実です。それに景気循環を見てみると、17年に向けて景気がボトム、つまり景気が下り坂になる可能性がある。そこで増税ができるのか。しかし、この財政状況ではやるしかない。今苦しい思いをするのか、後で、高インフレで苦しむのか。少なくとも異次元緩和でハッピーエンドというシナリオはありません。
【管理者:ここの将来予測は基本的に厳しいが異論はない。結局、安倍政権が倒れてもツケは国民か。ただ「低成長でも安定成長」に国民的合意が得られ、財界・大企業(経団連)との熾烈な対立を覚悟できるならピケティの「累進法人課税と所得再配分の強化」はある。その時は勤労者も、今までの資本主義的な「成長」概念や「競争概念の『高額所得』」は破棄して勤労者としての幸福価値観に切り替えなくてはならない。】
▽おぐろかずまさ 1974年生まれ。京大理学部卒。その後、同大学院で修士(経済学)、一橋大で博士(同)。大蔵省(現財務省)入省後、財務総合政策研究所主任研究官、一橋大准教授などを経て法大経済学部教授。
【紹介1】「平和の琉歌」http://bit.ly/1MQbwcr :YouTube:伊波 洋一 (いは よういち)
アムネスティ・インターナショナル日本(Amnesty International Japan)
【紹介2】<書き損じハガキで国際協力~声をあげられない人びとのために、あなたの力を~>
うっかり書き間違えてしまったハガキや、買い過ぎて余ってしまった切手等がありましたら、ぜひ、アムネスティに送って下さい。署名や要請書を送る際の送料に使用させて頂くなど、活動を支える大切な資金になります。送り方は簡単です。封筒などにハガキを入れて、アムネスティ日本の東京事務所までお送り下さい。ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
※使用済みの切手、使用開始したテレフォンカードは受け取れません。ご了承ください。
[詳細は:アムネスティhttp://www.amnesty.or.jp/get-involved/donation/various_donation/postcard/]
【送り先】
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-12-14 晴花ビル 7F
「書き損じはがきキャンペーン担当」まで
「TPPに関する現時点での問題点」も概ね、出し尽くしており、後は1月7日から始まる通常国会で、政府がまだ公表していない日米並行協議も含めた具体協議・大筋合意事項が分からないと、論評できないのが実態だ。同時に7月予定の参議院選挙も近づき、場合によっては衆参同時選挙も現実味を帯びてきている。(管理者は半々の可能性があると見ている)従って本稿からは、基本的には参議院選挙に焦点を当てながらも、後は特に具体政策テーマを絞らず「安倍政権の危険な政権運営全般」を適時・随時に取り上げ、皆さんに情報提供すると共に読者の皆さんからのご意見も頂きたい。題して「安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望」。よろしくご愛読願いたい。
《「高インフレのリスクが迫っている」小黒一正氏(経済学者)》
2%という物価目標なんてあり得ない。黒田日銀の異次元緩和の限界は、このところの株式相場を見れば歴然だが、この人の意見も明確で冷徹だ。元大蔵官僚で気鋭の経済学者・小黒一正氏(法大教授)が看破した「明日なき日本経済の実態」は恐ろしい。
〔以下、対談形式〕
――安倍政権がアベノミクスを正当化する権威として利用してきたポール・クルーグマン教授(ノーベル経済学賞受賞者)が、異次元金融緩和の失敗を認めましたね。先生は早速、ツイッターで取り上げられたが?
小黒:海外で最も権威のあるクルーグマン氏が、異次元緩和はうまくいかなかったと認めたわけです。安倍首相やリフレ派(金融緩和論者)は、梯子を外された格好です。日本の異次元金融緩和という“実験”は失敗に終わったのです。
【管理者:「そもそも『異次元の金融緩和』とか『黒田総裁のバズーカ―砲』という表現自体、何か特別な金融政策かの誤解を与えて良くない。ただ貨幣をジャブジャブ刷って国債と言う形で金融市場に流しているだけで、ハイパーインフレ等も引き起こしかねない危険かつ単純な金融政策」と浜矩子教授は酷評している。】
――安倍政権は「株は上がっているじゃないか」と言いそうですけど?
小黒:株価上昇と円安は達成しましたが、GDPを押し上げる効果はなく、いつどんな“手じまい”をするのかという難しい出口戦略の宿題が残りました。金利急上昇・国債暴落・インフレのリスクは確実に高まっていて、一部資産家の中には、海外へ資産逃避を始めた人も出てきているという噂も聞きます。
【管理者:当初の株価高も浜教授によると上記「金融政策による官製バブルと中国経済バブルの相関要因であって、何ら実体経済を反映したものではない」と酷評している。確かに株価は乱高下を続けており「デフレからの脱却」からは、ほど遠い値動きだ。安倍(戦争)総理も株価でアベノミクス順調とは言わなくなった】
――何故、異次元緩和は失敗したのでしょう?
小黒:そもそも「2%物価上昇率」という目標自体が実現困難でした。過去に日本が2%のインフレ率になった事は殆どない。消費税を導入したバブル期の1989年と、湾岸戦争で原油価格が上がった時だけです。特殊要因が働いた時期を除くと1%がせいぜいだった。
【管理者:安倍(戦争)総理が「2%物価上昇率」目標を掲げたとき、殆どの経済学者は笑った。しかし、その無茶目標を何ら批判しなかったマスコミも悪い。これでピケティやカレツキ―等の国際経済学者や外国人記者クラブ等は、日本のマスコミと政権癒着ぶりを垣間見て信用しなくなったと言われている】
――だからこそ黒田日銀総裁は、期間を区切って思い切って異次元でやったのでしょう?
小黒:異次元緩和で円は対ドル70~80円が120円になり50%も減価した。それで、この程度の物価上昇率なのかという感じです。日本銀行は毎年、80兆円の国債を買っている。こんな政策がずっと続けられないことは明らかです。10年間、毎年80兆円ずつ買うと、800兆円になって、全ての国債を買い切ってしまうわけですが、金融機関も運用で口座を保有する必要がある。地方債まで買えば限界を少し先延ばしできるかもしれないが、2017年頃に日銀は国債を買えなくなるという試算も多い。黒田日銀総裁の任期は2018年ですが、その時までに方向を決めないといけない。つまり国債が殆ど残っていないのだけれども、それでも少しでも出てきたら買い続けるのか。それとも、もう止めるのか。
――やめるなんて言えるのですか?
小黒:その時にゼロ金利を維持すると言わなければいけない。そうしないと金利が跳ね上がってしまうから。そうやって異次元緩和の規模を縮小していくしかないでしょうが、それでも緩やかに金利は上がっていく。今でも1000兆円の債務がある訳ですから、1%の金利上昇は10兆円。厳密には数年間で出てくる計算ですが、もの凄いインパクトです。
――国債暴落のリスクも出てきますね?
小黒:そうです。だから、ずっと国債を買い続ける政策を続ける可能性もある。そうなれば、日本銀行がすべての国債を持つような方向になる。
【管理者:それで管理者は「参議院選挙まで持つか?『国債金融焼野原(恐慌)』」と言っていたのだ。それほど「異次元の金融緩和策」は単純かつ危険な金融ドーピングなのだ】
――それで景気が良くなればいいですけど?
小黒:通常、景気が良くなるのは望ましいですが、そうなれば日銀は膨らんだバランスシートを縮小しなければいけない。でも縮小できません。国債を売ろうとすれば、暴落して金利が跳ね上がる。財政当局や政治が、それを許さないでしょう。金融政策を封じられた日銀は、インフレをコントロールできなくなるのです。
【管理者:これは丁度、中国と米国との関係に似ている。米国国債の最も保有高の多い国は中国だ。中国が米国の国家財政・経済混乱に陥れようとするなら、一挙に米国国債を売ればいいのだが、そうすると米国国債金利も大幅に下がり中国も大損をする。今、世界は「中国と米国との微妙な駆け引き・持たれ合い」が基軸になっていると言われる所以だ。安倍(戦争)総理は、そこが全然、解っておらず、相変わらずの「日米軍事同盟の強化」で前近代的なのもいいところだ】
――にっちもさっちもいかない。すでに三途の川を渡ってしまった?
小黒:日銀は詰んでいます。そういう方向に進んでいます。
<2017年は景気循環でボトムになる>
――クルーグマン教授らリフレ派はあまりにも無責任じゃありませんか?
小黒:クルーグマン教授は98年以降「日銀が無責任であることを信頼できる形で約束することが必要」と唱えてきました。噛み砕いて言うと「市場に対し日銀がより慎重にならず、インフレ促進へ動くと信じ込ませるような驚きを与えるべきだ」ということです。これは一種のショック療法です。しかし11月6日に国際通貨基金(IMF)主催の会合で「無責任であることを信頼できる形で約束すれば、後は自動的に問題を解決できるという考え方は楽観的すぎる。そうなることはない」と話しました。更に11月2日付のニューヨーク・タイムズでは、日本を含む先進国が長期停滞に陥っている可能性も示唆しました。
――どう落とし前をつけるのでしょうか?
小黒:自分の国ではないから関係ないのでしょう。
――リフレ派の学者の中には、いまだに「財政政策も金融政策も、もっと積極的にやればいい」と主張している人もいます。物価が上がらないのを原油安のせいにもしているが?
小黒:原油価格の下落分を差し引いても物価目標の2%には達していない。幾ら日銀が民間銀行の持つ国債を買って日銀券と交換しても、その現金を持った民間銀行は貸出先がないのです。信用創造でお金が流れていかなければ、景気は良くならないし物価も上がらない。それに野口悠紀雄先生(一橋大学名誉教授)をはじめ多くの経済学者が指摘していますが、実質GDPを上げた要因分析をすると、アベノミクスの1本目の矢、つまり「金融緩和」よりも2本目の矢「財政出動(公共事業増加)」の方が効いていた。但し過去と同じくカンフル剤的な効果しかなく、成長率上昇に繋がっていない。「財政政策」をこれ以上進めようにも限界があります。「どんなに債務残高(借金)が増えても大丈夫」という楽観的意見もありますが幻想にすぎません。国債の最終的な引受先は我々の貯蓄だからです。
【管理者:この小黒先生のコメントは多少、不正確。最近は日本国債も米国・中国等の海外依存度が高まっている】
――それじゃあ、景気を良くする処方箋はあるのですか?
小黒:このままでは、ある時点で財政破綻に陥り、消費税大幅増か、年金など社会保障費の大幅減かの選択を迫られることになります。ですから財政再建は不可欠です。過剰投薬など非効率な医療費の削減や65歳から70歳への年金支給年齢引き上げ等の歳出削減を断行する一方、人工知能やビッグデータ等の分野で成長率を上げる必要もあります。
日本は人口減少社会に突入し、これから各地に人口が少ない地域が出てきます。人口密度が高くない所は成長率が低い傾向があります。これもマイナス要因になります。それじゃあ、人口集中エリアを優遇すればいいのか、というと、これは一部地方切り捨てにつながるので、政治的に非常にタフな話になります。
【管理者:安倍(戦争)総理は、国家富裕政策として本気で「武器・原発輸出」を進めている。これは一過性的で長期将来性の無いものだけでなく、政治的にも「戦争緊張関係・危険性」を前提にするもので富国政策として考えること自体、大きな誤謬だ。そのくせ安倍(戦争)総理はローンにしてまで米国から武器購入しようとしている。(来年度当初予算案で計上済み)】
――安倍首相に最も嫌われるエコノミストの藻谷浩介氏は、ベストセラー「デフレの正体」の中でデフレの主原因は人口減少と指摘、若者など現役世代の給料アップ施策が必要と提唱していましたが?
小黒:それは有効な施策の一つです。介護職に若い人が就いても、統制経済で介護報酬は決まっているので低賃金。介護や保育の平均月収は20万円で、全国平均の30万円より低い。社会保障分野で人が働いてもGDPが伸びないのです。ですから規制緩和で混合介護や混合保育を認めたりして、業者にもう少し違ったビジネスを解禁する。そうすることで、収益性を上げて賃金アップにつなげていくしかありません。実際、九州のある地域では、有料老人ホームの隣に大型商店街やスポーツ施設が設置され、その一帯でお金が回るようになっている。一種のエリアマネジメントといえます。
【管理者:介護職の賃金アップは同感だが「規制緩和で混合介護や混合保育を認める」には異論があるが、ここでは省略する】
――来年の経済の見通しはどうですか?
小黒:ダブル選挙をするのかしないのか。やりたくない公明党に対し、軽減税率で官邸は恩を売ったので、可能性は五分五分でしょう。今回、軽減税率導入が決まりましたが、消費税増税の17年4月まで1年ちょっとしかない。なんとなく決着したように見えますが、無理に実行すれば、いろいろ問題が生じて混乱するのは確実です。それに景気循環を見てみると、17年に向けて景気がボトム、つまり景気が下り坂になる可能性がある。そこで増税ができるのか。しかし、この財政状況ではやるしかない。今苦しい思いをするのか、後で、高インフレで苦しむのか。少なくとも異次元緩和でハッピーエンドというシナリオはありません。
【管理者:ここの将来予測は基本的に厳しいが異論はない。結局、安倍政権が倒れてもツケは国民か。ただ「低成長でも安定成長」に国民的合意が得られ、財界・大企業(経団連)との熾烈な対立を覚悟できるならピケティの「累進法人課税と所得再配分の強化」はある。その時は勤労者も、今までの資本主義的な「成長」概念や「競争概念の『高額所得』」は破棄して勤労者としての幸福価値観に切り替えなくてはならない。】
▽おぐろかずまさ 1974年生まれ。京大理学部卒。その後、同大学院で修士(経済学)、一橋大で博士(同)。大蔵省(現財務省)入省後、財務総合政策研究所主任研究官、一橋大准教授などを経て法大経済学部教授。
【紹介1】「平和の琉歌」http://bit.ly/1MQbwcr :YouTube:伊波 洋一 (いは よういち)
アムネスティ・インターナショナル日本(Amnesty International Japan)
【紹介2】<書き損じハガキで国際協力~声をあげられない人びとのために、あなたの力を~>
うっかり書き間違えてしまったハガキや、買い過ぎて余ってしまった切手等がありましたら、ぜひ、アムネスティに送って下さい。署名や要請書を送る際の送料に使用させて頂くなど、活動を支える大切な資金になります。送り方は簡単です。封筒などにハガキを入れて、アムネスティ日本の東京事務所までお送り下さい。ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
※使用済みの切手、使用開始したテレフォンカードは受け取れません。ご了承ください。
[詳細は:アムネスティhttp://www.amnesty.or.jp/get-involved/donation/various_donation/postcard/]
【送り先】
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-12-14 晴花ビル 7F
「書き損じはがきキャンペーン担当」まで
(民守 正義)
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