安倍政権打倒の道程-参議院選挙とTPPシリーズ(11)

安倍政権打倒の道程-参議院選挙とTPPシリーズ(11)


《民主・「維新」がボス交「合意」その真意と実態、今後の影響は》
 民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表12月は7日、来年1月4日召集予定の通常国会に向け、年内に衆参両院で統一会派を結成することで合意した。来週にも両院に届け出る。「一強多弱」と呼ばれる国会で衆院では野党第一、第二党が統一会派を組むことで、九十人超の規模の勢力となる。「統一会派」の効果は、院内で会派の所属議員数に応じて各委員会の委員長や委員数、質問時間の割り当てが決まる。人数が増えることで、ポスト配分や国会運営を有利に運ぶことができる可能性がある。更に基本政策面では「現実的な外交安全保障(戦争関連法容認)」等、七項目の基本政策を共有することも確認した。基本政策案には「立憲主義の確立」「2030年代の原発ゼロ」「身を切る改革(国家公務員の人件費カット等)」等も盛り込まれた。今後、政策を共有する他の野党や無所属の議員にも統一会派への参加を呼びかけていくとしている。
 更に民主‐「岡田」と「維新‐松野」は各々「統一会派の意義とメリット」を強調しながらも「維新‐松野」は「新党を目指していきたい」と期待しているのに対し、民主‐「岡田」は「国会内の行動が一致結束できるかがまず試される」と慎重姿勢を示すに留まった。現状の民主党と「維新」との現有議席を単純に足し合わすと、民主党は「衆院会派71人(川端達夫副議長を除く)」「参院会派59人(輿石東副議長を除く)」。「維新」は「衆院会派40人」のみで、かつ除名・離党した議員を除く21人と民主党との「全体統一会派」は92人の勢力になる。
 なお参院「維新の党」の5人も加えると「衆院全体統一会派92人」「参院全体会派64人」となる。ここで問題提起する一つは「維新—松野」はともかく民主党内に岡田代表の「維新」との「統一会派⇒組織統一(?)」という重大組織問題を、何の組織内論議・党内機関手続きを経ずに、加えて支持団体・支持者との公然とした議論・意見聴取等も行わず、民主党‐岡田代表を中心とした党幹部(「次の内閣」—殆ど右派)との相談・協議だけで「決定・合意」していいのか、更には民主党内に、その事への不満・意見・自分の行動対応(共に「維新」合流するのか、「国民連合政府構想」へ自立的合流するのか等々)等が、不気味なほど聞こえてこない事だ。聞こえたのは民主党右派幹部「岡田・細野・前原」程度の「『維新』との合流合唱」と労組関係者には、すこぶる評判の悪い「長妻議員—共産との連合政権は党内に賛成者いない」発言、そして「連合—古賀(前会長時10/6)『民主・維新』」合流支持発言ぐらい。これら「聞こえた声」を評価すると【民主党右派幹部「岡田・細野・前原」程度の「『維新』との合流合唱】は元々、本シリーズ(3)(5)でも述べたように「ジャパンハンドラー+官邸+『維新』」の働きかけによる共産党「国民連合政府構想」潰しに目的があるのだから「岡田」はともかく、ヒステリックに「『維新』との合流合唱」を行っているのは理解できる。次に【長妻議員—共産との連合政権は党内に賛成者いない】発言は、実際に「共産党の『民主連合政府構想』には賛成しない」という複数人の民主党議員の紹介があった訳でもなく「一人もいない」は、にわかに信じ難い。現に既に参議院⁻民主党議員立候補者の中には「民主・『維新』とのボス交『合意』」を横目に地元に戻り「民主党脱退・無所属候補」ないしは「民主党色を薄めて」民主党・共産党・反-戦争法市民団体等の支援を得る「統一候補選挙体制」を構築しようとする(した)者も多く、むしろ地方都市部の一つの流れになっていると言っても過言ではない。
 その当該立候補予定者にしてみれば、この国会閉会中に地元に帰り「統一候補選挙体制」の構築に勤しんだ方がマシとの算段で、何も煩わしい「岡田」「長妻」等との異論・議論から逃れることもできる。その意味で民主党内部の公然たる意見・議論が聞こえにくくなっている一部要因としては一定、理解できる。つまり「長妻—共産との連合政権は党内に(一人も)賛成者いない」発言は「長妻」が民主党議員全員の「内心の十分な把握」の上での発言ではなく、せいぜい「『国民連合政府構想』に賛成」と自主的に言った者はいない」程度の事だろう。第一、失礼だが「長妻」が民主党議員全員の内心・心情を把握できるぐらい、人望のある人とは到底、思えない。次に「連合」の「『民主・維新』合流支持発言」は元々、共産党系団体等から見て「連合」の選挙実働部隊・集票能力としての脅威はなく、おそらく身内⁻民主党も然程、アテにしておらず、シールズ等の市民団体等も「戦争法案―衆議院特別委員会:強行採決」後の「参議院特別委員会審議中」に、ようやく「反対表明」と一回の反対集会を行った程度で、むしろ「連合」への反発の方が強いぐらい。加えて「連合」傘下の産別・単組の中には「経団連‐防衛産業委員会」に加入する企業も多く、その当該労組として「武器製造・輸出反対」を唱えることなく、セッセと武器等を作っている。従って「連合」が「『民主・維新』合流支持発言」をしても政治的インパクトはなく「没落・沈没・埋没する民主党と連合」の末路を、この参議院選挙で見るかどうか程度しか関心がない。話を元に戻して、この重大組織問題が、何の組織内論議・党内機関手続き、更に支持団体・支持者との公然とした議論・意見聴取等も行わず「民主—岡田」と「維新—松野」とのボス交「統一会派合意」されたことは、エラそうに共産党アレルギーとして「民主集中制に名を借りた官僚主義的決定体質」を理由の一つとしていた民主党自身が「北朝鮮」以上にファッショ的ボス交決定をし、加えて国会議員のみならず一般党員・サポーターも、このファッショ的ボス交に不気味なほど文句も聞こえない。
 まさに「官僚主義には上からの官僚主義と下からの官僚主義がある」の典型例で、何故こんな「ボス交決定」がまかり通るのか、本当に、かつては民主党員でもあった私にも摩訶不思議で理解に苦しむ。ただ、こんな重大組織問題決定を、こんな岡田代表等の党幹部(「次の内閣」—殆ど右派)との相談・協議だけで「決定・合意」したことは、返って組織の弱体化、分散・分裂化を招くだけで、より民主党の求心力はなくなり、来る「参議院選挙⁻敗北」がより明確になったことは断言する。

<民主・「維新」のボス交「合意」と「国民連合政府構想」野党再編の真実>
 何度も言うが「民主・『維新』右派グループのボス交結集」は「ジャパンハンドラー+官邸+『維新』」の働きかけによる共産党「国民連合政府構想」潰しにあるのであって、これと対置するリベラル野党・国民の結集—「国民連合政府構想」が基本ロジックである。本当はマスコミも、それが解っているだけに「民主・『維新』のボス交『決定』」と、いつもなら民主党バッシングするところ「どうなる?野党再編成」と嘯いているのである。従って来る参議院選挙の真なる争点は「安倍独裁政権と、その影響勢力(自民・公明・「民主・維新」・おおさか維新、等)」VS「リベラル野党・国民勢力(共産・社民・生活(小沢共同代表は『国民連合政府結集』を明言している)・民主党リベラル派・『戦争法廃法‐市民団体』等)」という大まかな二極対決であり鮮明化である。その選挙結果予想は、既に本シリーズ(1)でも一定、行っているが、繰り返していうと民主党は改選議席47で最も多く、この議席数を獲得した時は民主党政権で支持率も30%台の高率なとき。ところが今の民主党の支持率は10%を切っており、どう考えても「維新」と一緒になったところで民主党の激減は避けがたく「維新」と民主党と合わせても「現有民主党議席数」より、なお10数議席数は下回るだろうというのが大方の見方で、その減少数を自民党か共産党等のリベラル派が獲得するかが勝敗基準になると思われる。その勝敗基準の目安として「一人区」での候補者調整が、大きな要素であるが「安倍」の手先「おおさか維新」がオオボラと思うが「全選挙区に候補者を立てる」と「野党の票割れ」を狙っていることもあり、加えて共産党も「民主党・維新‐松野」との「統一会派合意」により「共産党との選挙協力は破談」として共産党も従来どおりの「比例区伸長狙い」で全選挙区に候補者を立てる可能性もある。従って民主党の激減と自民と共産党等のリベラル野党との食い合い以外は、もう少し選挙情勢の変化を見ないと予想しがたい。ただ「安倍政権勢力2/3に至らず」であれば、憲法改悪発議も鑑みて、とりあえずの辛勝ラインと見てよいだろう。なお、その票読みだけでも「民主・維新」右派グループの結集は「野党再編の風雲児」とは到底なりえず「国民連合政府」潰しにある事が、より明確になるであろう。

【紹介】「平和の琉歌」http://bit.ly/1MQbwcr :YouTube:伊波 洋一 (いは よういち)

【ご案内】大阪革新懇・映画センター主催:映画「サクラ花」試写会
 特攻基地であった鹿児島県知覧にゆかりのある鰺坂真さんの講演もあります。
12月23日(祝・水)○第1回 講演と上映 11時より13時
         ○第2回 講演と上演 14時より16時
場所:エルおおさか「視聴覚室」5階 会費:1000円
(民守 正義)