安倍政権打倒の道程-参議院選挙とTPPシリーズ(10)

安倍政権打倒の道程-参議院選挙とTPPシリーズ(10)


《TPP早期発効を確認:参加国・地域拡大:首脳声明採択》
環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する12カ国は11月18日、フィリピンのマニラで首脳会合を開き、協定の早期発効を目指す事等を詠った声明を採択した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国でTPPに関心を示すのはフィリピン等5カ国・地域に達し拡大の機運が広がっている。会合には日本の安倍(戦争)総理や米国のオバマ大統領ら12カ国全ての首脳が参加した。日本側同行筋によるとインドネシア、韓国等からも加盟の意向が示されている事に複数の首脳が言及。安倍(戦争)総理は「TPPへの求心力を維持するためにも、参加国・地域の拡大を目指すべきだ」と述べ「新規加盟に向けて協力や話し合いも推進すべきだ」との意見が出た。タイも関心を示している。
 声明では「TPPが署名後、速やかに検討、承認されることを期待している」と記し、各国が早期の署名・発効に取り組むことを確認。非参加国の参加検討の表明にも触れ、TPPが「新しく魅力的なモデルを創造している」との認識を示した。
 また、フィリピンのアキノ大統領は同日午前、オバマ大統領と会談し、フィリピンの TPP参加への支援を要請した。同国政府関係者によるとオバマ氏からも歓迎する発言があったという。APECの台湾代表の蕭万長(シアオワンチャン)・ 前副総統も同月16日ブリンケン米国務副長官に「TPPの交渉への参加を希望している」と伝えている。非参加国が加わるには、発効後に参加12カ国の了解を得る必要がある。APEC首脳会議は18日午後に開幕。19日にパリの同時多発テロ事件を非難する声明を採択し閉幕する。

《支持率18%の衝撃…農家の怒りで、治まらない「衆参W選挙」の噂》
「投票日は7月10日」―。「衆参ダブル選挙説」が、また噂されている。「日本農業新聞」が行った世論調査の結果が、内閣支持率18%という衝撃的な数字だったこともあり、再び自民党内で“ダブル選挙”が取り沙汰されている。
 苦戦必至の参院選を勝利するためには、衆参同日選に持ち込むしかない、という理屈だ。
「支持率18%という調査結果は大ショックです。日本農業新聞の読者は、ほぼ“自民党支持者”と重なる。参院選の勝敗を決する32ある1人区、農業県の有権者です。彼等は安倍内閣が日本の農業を犠牲にするTPPへの参加を決めたことにカンカンになっている。
【管理者:現に「JAグループ全国大会で安倍(戦争)総理は相当に野次られた】
このまま参院選に突入したら農家の怒りを買い、自民党は惨敗しかねない。少しでも議席減に歯止めをかけるためには『ダブル選挙しかない』という声が強まっています。衆参の候補者がフル稼働すれば自民党は負けない⁻という計算です」(自民党関係者)
安倍官邸が、通常国会の召集日を1月4日にしようとしていることも「ダブル選挙説」に拍車をかけている。参院選の日程は「6月23日公示、7月10日投票」が確実視されている。通常国会の最終日である6月1日に衆院を解散すれば「7月10日」の同日選が可能になる計算だ。安倍官邸は、6月1日の会期末に「消費税率10%再凍結」を掲げて解散すれば、野党に圧勝すると計算しているという。実際、野党は選挙協力が、取沙汰されている割には全く進んでいないだけに、ダブル選挙を打たれたら惨敗する可能性が高い。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。「ただでさえ弱体化している野党がバラバラに闘ったら、例え参院選単独でも惨敗することは確実です。衆参ダブル選挙となったら壊滅しかねない。さすがに小さな政党は危機感を強めていますが、野党第1党の民主党が「いまだに“あいつは嫌いだ”“こいつは気に食わない」と野党協力を拒否している。民主党 はもう少し危機感を持つべきです」
 野党がバラバラのままでは、ダブル選挙の可能性がどんどん高まっていきそうだ。

《TPPめぐり水産庁室長が不適切発言:農水相が厳重注意》
森山裕農林水産相は11月5日、環太平洋経済連携協定(TPP)の水産物等への影響を発表する記者会見で不適切な発言があったとして、水産庁の広山久志・水産物貿易対策室長を同庁長官を通じて口頭で厳重注意した。広山室長は同月4日の発表資料で国内の漁業や水産業について「影響は限定的」とあることについて「だれ一人死ぬ人がいないという意味ではない」と説明。報道陣からの指摘を受け、会見の中で「舌足らずな表現だった。『特段の影響が見込み難い』と言い切れるほどの確信もないという意味だ。言い直したい」と訂正した。漁業者の経営を人の生死に例えた事に加え、悪影響を許容するかのような内容のため波紋が広がった。森山氏は「今後こういうことがないよう、気を引き締めたい」と話した。

《代表団と一緒に拍手…日経記者“TPP交渉リポート”のア然 》
日経新聞の記者が「日本記者クラブ会報」(11月10日)に書いた取材リポートが話題だ。10月のTPP「大筋合意(?)」の舞台裏を詳述した内容なのだが、これぞ「護送船団」と呼ばれる日本の記者クラブを表したような内容だからだ。タイトルは「20年前と変わらぬ通商交渉取材—日本のメディアは進化を」。筆者は太田泰彦氏。ワシントン支局やフランクフルト支局を経て論説委員兼編集委員を務める超エリートで、1面コラム「春秋」も担当。そんな敏腕記者がリポートで、TPP交渉終結の場面をふり返っているのだが、その内容は驚きだ。〈米通商代表部のフロマン代表が「交渉終結」を宣言すると、喝采が1分以上も続いた。お互いを祝福する12カ国の代表団だけではない。やつれた顔の記者達も拍手していた。その半分は頑張った自分自身へのねぎらいだったに違いない〉
どうやらTPP取材は記者にとって不眠不休の大変な取材だったらしい。だが疲れているからといって、取材する側が取材対象者らと一緒に拍手する光景がマトモなのか。
しかも理由は「頑張った自分自身へのねぎらい」である。日本で交渉の行方を固唾を呑んで見守っていた日本の農家にとっては、ナニ言ってるの?と思うだろう。何よりも国民が知りたいのはTPPの「真実」だ。日本の国益は守られるのか、米等の重要5品はどうなるのか、遺伝子組み換え作物や保険、医療は……。取材するべきことは山ほどあるのだが、リポートはこう続く。〈TPPという怪物は、取材をすればするほど正体が分からなくなる〉〈集めた歪なパズルの部品を組み合わせて、とてつもなく奇妙な形のTPP像ができてしまった場面はなかっただろうか〉「歪なパズル」なら、それを解き明かして説明するのが新聞記者の役割ではないのか。取材する側がチンプンカンプンのまま拍手でヤンヤと盛り上げている ようでは一般国民が中身を理解できるハズがない。「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」共同代表の山田正彦元農相(弁護士)はこう言う。「日本のメディアは政府の発表を報じているだけ。記者は、ただの“応援団”です。会見で拍手を送るなんて考えられない。TPPについて海外メディアは『これからが勝負だ』と厳しい論調ですが、日本は祝賀ムード一色の報道だった。大幅に関税収入が減ったり、その分をどう補填するか等、大事な部分も伝えるべきなのに全然、報じていない。完全に日本はおかしくなっています」
 リポートはこう締めくくっている。〈私たち(日本メディア)は目先の競争に目を奪われ過ぎ、頑張ること自体を自己目的化してはいないだろうか。その結果、視野狭窄に陥り、情報源の思惑に乗せられたのでは本末転倒だろう〉その通り。最後に割を食うのは国民ということを忘れてはダメだ。【管理者:実際に「大筋合意」した具体内容はなく「大筋合意をすることを『大筋合意』した」というのが的確な表現。ただ現在の交渉最終経過では、細部内容は非公開で明らかにされていないが、農産物については51.3%早期関税撤廃(最終21年間で81%撤廃率)、逆に日本に有利と言われていた自動車については「関税完全撤廃—自動車25年間:トラック30年間の猶予」という大幅譲歩を認めたと言われている】

《行司役まで務め「TPP交渉」米国の使い走りだった甘利大臣》
米アトランタで行われているTPPの閣僚会合は異例の延長に延長を重ねた。
 違和感があったのは、豪州やニュージーランド等がギリギリまで粘りの交渉を続ける中、いつの間にか日本が交渉をまとめる“行司役”になっていたことだ。最後まで残った焦点は、バイオ医薬品のデータ保護期間と乳製品の市場開放だった。医薬品データについては米国が12年から8年に譲歩したものの、ジェネリック医薬品の拡大を求める豪州が5年以下を主張し、チリやペルーも米に反発。乳製品ではニュージーランドが日米カナダに市場開放拡大を求めて引かなかった。これに甘利TPP担当相が何と言ったか。「ゲームは止めて誠実な対応で交渉すべきだと呼び掛けた」というのである。自国の国民や国益のために最後まで戦った各国に引き換え日本は……、である。そもそも日本には、自民党が公約していたコメや牛肉、豚肉など「聖域5品目」があったはず。ところが「日米2国間協議で、いずれもさっさと譲歩してしまった」(自民党関係者)。その上、コメについては無関税か低関税で輸入する特別枠が5万トンから7万トンに拡大して決着する見通しで、牛肉のセーフガード(緊急輸入制限)も将来撤廃される方向だという。何もかもベタ折れなのだ。加えて遺伝子組み換え食品の表示等「食の安全」は守られるのか。国民皆保険は守られるのか。多国籍企業が進出先の政府に損害を求めるISD条項はどうなったのか。そうした日本の国の土台が変わってしまう大問題の行方は、明らかにされないままだ。元外交官の天木直人氏がこう言う。「TPP交渉で『対米従属日本』の、なれの果てを見た思いです。対米配慮の必要のない各国は国益のために徹底的に頑張った。一方、日本は日米2国間協議で早々に譲歩し、TPPを通じてアジア支配を進めたい米国のための使い走りをやっていた。これでは主権国家とは言えませんよ」政府の“広報”に引きずられるように新聞テレビも、最終合意を「今か今か」と待ちわびるような報道ばかりだった。「戦争法案」に続き、TPPでも国民は改めて怒った方がいい。(日刊ゲンダイ)

【紹介】「平和の琉歌」http://bit.ly/1MQbwcr :YouTube:伊波 洋一 (いは よういち)

【ご案内】大阪革新懇・映画センター主催
映画「サクラ花」試写会
特攻基地であった鹿児島県知覧にゆかりのある鰺坂真さんの講演もあります。
12月23日(祝・水)
○第1回 講演と上映 11時より13時
○第2回 講演と上演 14時より16時
場所:エルおおさか「視聴覚室」5階 会費:1000円

(民守 正義)