「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(18)
「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(18)
《<宮城県議選>「反戦争法」で共産党が躍進:「国民連合政府」の試金石》
「宮城秋の陣」でも共産党旋風が吹き荒れた。25日投開票の宮城県議選は8月の仙台市議選に続き、「戦争関連法」の廃止を前面に出した共産党が2011年の前回を大幅に上回る議席を得て躍進した。
自民党は守勢を強いられ、落選の憂き目に遭う現職も出た。僅か31票差に泣いた4年前の涙を、当選に輝く満面の笑みに変えた。4人が定数3を争った若林選挙区は、福島一恵さん(54)が共産党として選挙区初の議席を獲得した。福島さんは「安倍暴走政治を止めたいという民意の表れだ」と勝利を宣言し事務所で喜びを爆発させた。仙台市議5期を経て東日本大震災後の前回県議選(2011年)に臨んだが惜敗した。復興の力になりたいと落選をバネに沿岸部を奔走し地道に支持を広げた。福島さんは「村井県政は中央ばかりを見ており地元に冷たい。被災者そっちのけの県政を変える」と決意をみなぎらせた。
宮城野選挙区(定数4)では共産党新人の大内真理さん(37)が党悲願の初議席を掴んだ。
テレビが当確の速報を伝えると、事務所には抱き合う支持者らの歓声が響き渡った。6歳になる長男の母親として子育て真最中。「戦争法」に不安を募らせる県民の声に耳を傾けながら、脱原発を訴えるデモに毎週参加する等し市民運動家としてマイクを握り続けた。大内さんはガッツポーズを何度も決め「子供達が未来に希望を持てる県政をつくる」と誓った。
大崎選挙区(4)も新人内藤隆司さん(57)が初当選を飾った。県議選は3度目の挑戦。
「戦争法」反対、環太平洋連携協定(TPP)反対等の訴えに元宮城県鹿島台町長、元県農協中央会長らが共鳴する等、支援の渦は急速に拡大した。内藤さんは「党派を超えて力が結集した。安倍政権への怒りが当選へと押し上げてくれた」と追い風の手応えを噛み締めた。
共産党が大躍進に沸く中、自民党の候補者は軒並み苦戦を強いられた。石巻・牡鹿(5)では党県連総務会長の現職-池田憲彦さん(62)が落選。石巻市の事務所で「精いっぱい闘ったが駄目だった。申し訳ない」と支持者に頭を下げた。政権与党や村井知事とのパイプを強調し「復興予算を持ってこられるのは自分しかいない」と訴えたが浸透しなかった。
池田さんは「私の力不足」と語り、肩を落とした。
宮城県議選は25日、投票が行われ即日開票の結果、無投票当選の11人を含む新県議59人が決まった。自民党は27人で前回(2011年)から1減らしたものの最大勢力を維持する。村井知事の県政与党を掲げる公明党と合わせて過半数を確保した。共産は議席を倍増させた。
自民党以外の政党別内訳は民主党が5人。維新1人、公明党4人、共産党8人、社民党1人が決まった。無所属は13人。投票率は40.03%で過去最低だった前回の41.69%を下回った。
《早速「戦争法」発動!?“航行の自由作戦”日本にも参加呼びかけ》
オバマ政権に強い影響力を持つ米国議会の軍事委員会のメンバーが、南シナ海の中国の人工島付近への「航行の自由作戦」に日本等も参加するよう求める声明を発表した。
アジア太平洋地域の安全保障政策に詳しい共和党のフォーブス下院議員は、声明で「『航行の自由作戦』は米国だけの原則ではなく普遍的なものだ」等と主張した。その上で日本やオーストラリア等の同盟国に対し「中国が孤立している事を示すために作戦に参加すべきだ」と呼びかけた。米国のメディアは、米国海軍の制服組トップが29日に中国海軍の幹部とテレビ電話で会談を行うと報じている。
《南シナ海で海上自衛隊と米海軍が早速「集団的自衛-共同訓練」》
南シナ海で海上自衛隊の艦艇とアメリカ海軍の空母等が28日から共同訓練を行っている事が分かった。南シナ海では中国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍がイージス艦を派遣する等、米中のせめぎ合いが続いているが、海上自衛隊は今回の訓練は、こうした動きと連動したものではないと言訳している。
訓練を行っているのは、海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」とアメリカ海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」等の艦艇です。海上自衛隊によると訓練海域は、南シナ海の中でも中国が主権を主張する海域とは離れた場所で、28日から数日間の日程で艦艇間での通信訓練等を行っているということだ。また参加している艦艇は、いずれもインド洋で行われていた日米とインドの3か国による共同訓練に参加していたもので、次の寄港地への航行ルートを利用して訓練を行っているということだ。南シナ海では、中国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍がイージス艦を派遣する等、米中のせめぎ合いが続いているが、海上自衛隊は「今回の訓練は以前から計画されていたもので、南シナ海での最近のアメリカ海軍の行動と連動したものではない」と言訳している。
《放送大学にも「戦争法制」批判へのクレームが次々と:日本の大学に暗雲》
ARUZEN&ジュンク堂のブックフェア撤去事件に象徴されるように「表現の自由」「言論の自由」が侵害される事態があちこちで起きているが、またトホホなできごとが起こった。
今度は大学だ。今年7月、放送大学の客員教授である佐藤康宏・東京大学教授が今年7月26日に行われた日本美術史の単位認定試験で出題した問題が、学内サイトに問題文を掲載する際に削除されたという一件だが、単なる大学内のイザコザに留まらない深い問題が、そこには横たわっている。先ず削除された問題文を見てみよう。「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。平和と自国民を守るのが目的というが、殆どの戦争は、そういう口実で起きる。1931年の満州事変に始まる戦争もそうだった。それ以前から政府が言論や報道に対する統制を強めていた事実も想起して、昨今の風潮には警戒しなければならない。表現の自由を抑圧し情報をコントロールすることは、国民から批判する力を奪う有効な手段だった」これに続いて戦前、戦中に弾圧された画家について書かれ、内容と一致しない画家の名前を回答するという問題であった。画家に対する政治的弾圧を現在の政治状況に引き寄せたものだが、放送大学は試験を受けた670名の内の1名から「このようなことをするのは問題」という抗議のメールが試験当日の内に届き、これにより大学側が問題文の削除に動いた。大学側は学内サイトに問題文を掲載するにあたって佐藤教授に該当する部分を削除するように求めたが、佐藤教授が拒んだため副学長より削除の通告が届き8月7日に該当部分を削除する形で公開が行われたというのが事の顛末ある。放送大学は放送法に則って、これらの対応を行ったというが、なるほど放送法第4条では「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」と「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」が求められている。
しかし放送大学の単位認定試験が果たして放送法の対象になるのか。しかも日本国憲法23条では「学問の自由」が保障されている。「学問の自由」を放送法を盾にして侵してしまうのは、大学としては自殺行為。それこそ問題文にある「言論や報道に対する統制を強め」「表現の自由を抑圧し情報をコントロールする」を地で行く対応ではないか。だが、こうした「学問の自由の侵害」が行われているのは放送大学だけではない。実は今、日本の大学は全体的に教員の政治的発言に対する圧力が高まっているのだという。「直接、大学当局が『戦争法制』に反対する教員を押さえ込むために『教員の政治的活動、政治的発言を禁じる』というようなハードな弾圧を行うという現状ではありません。しかしソフトな政治的弾圧は蔓延しています」こう話すのは都内のある私立大学の教員だ。「現在の大学はネトウヨ的なクレーマーに非常に弱い。ネトウヨ的な学生は実際には全体の数パーセントです。
しかし、これらのクレームが大学の右派教員に反体制的な教員を弾圧する根拠を与えるのです。教員の授業での発言が偏向している-という抗議が授業後に大学に来るということもあります。これは教員本人に直接言うのではなく、大学当局にクレームをつけるのです」。「学問の自由」の精神に照らせば、疑問は教員に直接ぶつけるべきであろうが、当局にクレームが行ってしまうことで教員の萎縮効果は、より大きなものとなる。また大学によっては、右派教員による政治的ストーキング等もあるという。「クレームをテコとして、右派教員が教員全体を政治的に抑え付けようとする構図があります。(「戦争法案」に反対するような)教員に対して、あら探しのためにストーカー的に嫌がらせをします。その教員が授業をしているところに聞き耳を立て、授業が早く終わると『なぜ授業が早く終わったか』等と文句をつけるのです。理由は単に授業を早く始めたから早く終わるだけなのですがね」嫌がらせが、大学の意向か、どうかは分からない。だが次のような事情があるのでは-と、この大学教員は言う。「学問と政治の関係を、例えば教授会等で本気で討議する事は難しい。ですから陰に篭った嫌がらせをするのです」しかし何故クレーマーに萎縮しストーカー的な振る舞いがまかり通っているか。別の都内大学教員は語る。「支配的な体制に順応してしまう事を良しとする、また政治的に突出する事を許さない『空気』が大学に蔓延している事が、その原因です。積極的に支配的な『空気』に馴染もうとする人は、そう多くありませんが最近の大学の教員は良くも悪くも優等生が多いので、この『空気』に抗する勇気のある人は少ない」。「空気」の問題で言えば、更に寒々しい話がある。「『戦争法制』は、まだ大学で話しづらいという事はありません。大変なのは慰安婦問題です。この問題は本当に大学当局も嫌がるし、教員も関り合いを嫌がります」。実際「安全保障関連法に反対する学者の会」と学生団体SEALDsが共催したシンポジウムでは当初、立教大学に会場使用を申請したものの、立教大はこれを「純粋な学術内容ではない」等とし許可しなかった。シンポジウムのテーマは立憲主義や民主主義について大学人としての責任を問い直すというもので、数々の学者達が出席するが、これでも「学術的ではない」と言うわけだ。このシンポジウムは結局、法政大学で行われた。当然、これが直接的な歴史問題となると、より厳しくなる。例えば慰安婦問題でシンポジウムを開こうとしても、過去に抗議行動を起こされたためか「反日的」とレッテル貼りをされる事を恐れてか、会場を貸さないという都内有名大学もある。また学費や奨学金の問題も大学の「空気」を重くする原因だと指摘する。「大学を巡る学費、奨学金の問題等、大学が抑圧的になっている事の根源には『経済』の問題があります。大学と経済的徴兵制の問題もありますし」今回の放送大学の一件で明らかになったのは、クレームにビクビクし「空気」に振り回され結果、安倍政権に阿ってしまうような「大学の溶解」状況である。日本の大学は今、緩やかな自殺の最中にあるのかもしれない。
《経団連会長、武器輸出「安保強化に資する」必要性訴え》
経団連の榊原会長は28日の記者会見で、武器を含む防衛装備品の輸出や他国との共同開発について「国家間の安全保障関係の強化に資する」と述べ、国家戦略として推進していく事の必要性を訴えた。榊原会長は相手国との関係や安全保障を踏まえ「官民による装備品の移転(輸出)や、その手続きを含む仕組みが必要だ」と指摘。「国の関与と管理の下で(輸出を)推進すべきだ」と主張した。経団連は「戦争関連法」の成立で「自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高まる」とし、装備品の輸出や防衛産業への支援を政府に求める提言を15日にまとめた。ただ「戦争関連法」への国民の理解が進まない中、経団連の性急な姿勢に批判も出ており、榊原会長は「安保法制でビジネスチャンスが増えるとか、減るというのを意識しているわけではない」と取り繕う弁を述べた。
《<宮城県議選>「反戦争法」で共産党が躍進:「国民連合政府」の試金石》
「宮城秋の陣」でも共産党旋風が吹き荒れた。25日投開票の宮城県議選は8月の仙台市議選に続き、「戦争関連法」の廃止を前面に出した共産党が2011年の前回を大幅に上回る議席を得て躍進した。
自民党は守勢を強いられ、落選の憂き目に遭う現職も出た。僅か31票差に泣いた4年前の涙を、当選に輝く満面の笑みに変えた。4人が定数3を争った若林選挙区は、福島一恵さん(54)が共産党として選挙区初の議席を獲得した。福島さんは「安倍暴走政治を止めたいという民意の表れだ」と勝利を宣言し事務所で喜びを爆発させた。仙台市議5期を経て東日本大震災後の前回県議選(2011年)に臨んだが惜敗した。復興の力になりたいと落選をバネに沿岸部を奔走し地道に支持を広げた。福島さんは「村井県政は中央ばかりを見ており地元に冷たい。被災者そっちのけの県政を変える」と決意をみなぎらせた。
宮城野選挙区(定数4)では共産党新人の大内真理さん(37)が党悲願の初議席を掴んだ。
テレビが当確の速報を伝えると、事務所には抱き合う支持者らの歓声が響き渡った。6歳になる長男の母親として子育て真最中。「戦争法」に不安を募らせる県民の声に耳を傾けながら、脱原発を訴えるデモに毎週参加する等し市民運動家としてマイクを握り続けた。大内さんはガッツポーズを何度も決め「子供達が未来に希望を持てる県政をつくる」と誓った。
大崎選挙区(4)も新人内藤隆司さん(57)が初当選を飾った。県議選は3度目の挑戦。
「戦争法」反対、環太平洋連携協定(TPP)反対等の訴えに元宮城県鹿島台町長、元県農協中央会長らが共鳴する等、支援の渦は急速に拡大した。内藤さんは「党派を超えて力が結集した。安倍政権への怒りが当選へと押し上げてくれた」と追い風の手応えを噛み締めた。
共産党が大躍進に沸く中、自民党の候補者は軒並み苦戦を強いられた。石巻・牡鹿(5)では党県連総務会長の現職-池田憲彦さん(62)が落選。石巻市の事務所で「精いっぱい闘ったが駄目だった。申し訳ない」と支持者に頭を下げた。政権与党や村井知事とのパイプを強調し「復興予算を持ってこられるのは自分しかいない」と訴えたが浸透しなかった。
池田さんは「私の力不足」と語り、肩を落とした。
宮城県議選は25日、投票が行われ即日開票の結果、無投票当選の11人を含む新県議59人が決まった。自民党は27人で前回(2011年)から1減らしたものの最大勢力を維持する。村井知事の県政与党を掲げる公明党と合わせて過半数を確保した。共産は議席を倍増させた。
自民党以外の政党別内訳は民主党が5人。維新1人、公明党4人、共産党8人、社民党1人が決まった。無所属は13人。投票率は40.03%で過去最低だった前回の41.69%を下回った。
《早速「戦争法」発動!?“航行の自由作戦”日本にも参加呼びかけ》
オバマ政権に強い影響力を持つ米国議会の軍事委員会のメンバーが、南シナ海の中国の人工島付近への「航行の自由作戦」に日本等も参加するよう求める声明を発表した。
アジア太平洋地域の安全保障政策に詳しい共和党のフォーブス下院議員は、声明で「『航行の自由作戦』は米国だけの原則ではなく普遍的なものだ」等と主張した。その上で日本やオーストラリア等の同盟国に対し「中国が孤立している事を示すために作戦に参加すべきだ」と呼びかけた。米国のメディアは、米国海軍の制服組トップが29日に中国海軍の幹部とテレビ電話で会談を行うと報じている。
《南シナ海で海上自衛隊と米海軍が早速「集団的自衛-共同訓練」》
南シナ海で海上自衛隊の艦艇とアメリカ海軍の空母等が28日から共同訓練を行っている事が分かった。南シナ海では中国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍がイージス艦を派遣する等、米中のせめぎ合いが続いているが、海上自衛隊は今回の訓練は、こうした動きと連動したものではないと言訳している。
訓練を行っているのは、海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」とアメリカ海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」等の艦艇です。海上自衛隊によると訓練海域は、南シナ海の中でも中国が主権を主張する海域とは離れた場所で、28日から数日間の日程で艦艇間での通信訓練等を行っているということだ。また参加している艦艇は、いずれもインド洋で行われていた日米とインドの3か国による共同訓練に参加していたもので、次の寄港地への航行ルートを利用して訓練を行っているということだ。南シナ海では、中国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍がイージス艦を派遣する等、米中のせめぎ合いが続いているが、海上自衛隊は「今回の訓練は以前から計画されていたもので、南シナ海での最近のアメリカ海軍の行動と連動したものではない」と言訳している。
《放送大学にも「戦争法制」批判へのクレームが次々と:日本の大学に暗雲》
ARUZEN&ジュンク堂のブックフェア撤去事件に象徴されるように「表現の自由」「言論の自由」が侵害される事態があちこちで起きているが、またトホホなできごとが起こった。
今度は大学だ。今年7月、放送大学の客員教授である佐藤康宏・東京大学教授が今年7月26日に行われた日本美術史の単位認定試験で出題した問題が、学内サイトに問題文を掲載する際に削除されたという一件だが、単なる大学内のイザコザに留まらない深い問題が、そこには横たわっている。先ず削除された問題文を見てみよう。「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。平和と自国民を守るのが目的というが、殆どの戦争は、そういう口実で起きる。1931年の満州事変に始まる戦争もそうだった。それ以前から政府が言論や報道に対する統制を強めていた事実も想起して、昨今の風潮には警戒しなければならない。表現の自由を抑圧し情報をコントロールすることは、国民から批判する力を奪う有効な手段だった」これに続いて戦前、戦中に弾圧された画家について書かれ、内容と一致しない画家の名前を回答するという問題であった。画家に対する政治的弾圧を現在の政治状況に引き寄せたものだが、放送大学は試験を受けた670名の内の1名から「このようなことをするのは問題」という抗議のメールが試験当日の内に届き、これにより大学側が問題文の削除に動いた。大学側は学内サイトに問題文を掲載するにあたって佐藤教授に該当する部分を削除するように求めたが、佐藤教授が拒んだため副学長より削除の通告が届き8月7日に該当部分を削除する形で公開が行われたというのが事の顛末ある。放送大学は放送法に則って、これらの対応を行ったというが、なるほど放送法第4条では「公安及び善良な風俗を害しないこと」「政治的に公平であること」と「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」が求められている。
しかし放送大学の単位認定試験が果たして放送法の対象になるのか。しかも日本国憲法23条では「学問の自由」が保障されている。「学問の自由」を放送法を盾にして侵してしまうのは、大学としては自殺行為。それこそ問題文にある「言論や報道に対する統制を強め」「表現の自由を抑圧し情報をコントロールする」を地で行く対応ではないか。だが、こうした「学問の自由の侵害」が行われているのは放送大学だけではない。実は今、日本の大学は全体的に教員の政治的発言に対する圧力が高まっているのだという。「直接、大学当局が『戦争法制』に反対する教員を押さえ込むために『教員の政治的活動、政治的発言を禁じる』というようなハードな弾圧を行うという現状ではありません。しかしソフトな政治的弾圧は蔓延しています」こう話すのは都内のある私立大学の教員だ。「現在の大学はネトウヨ的なクレーマーに非常に弱い。ネトウヨ的な学生は実際には全体の数パーセントです。
しかし、これらのクレームが大学の右派教員に反体制的な教員を弾圧する根拠を与えるのです。教員の授業での発言が偏向している-という抗議が授業後に大学に来るということもあります。これは教員本人に直接言うのではなく、大学当局にクレームをつけるのです」。「学問の自由」の精神に照らせば、疑問は教員に直接ぶつけるべきであろうが、当局にクレームが行ってしまうことで教員の萎縮効果は、より大きなものとなる。また大学によっては、右派教員による政治的ストーキング等もあるという。「クレームをテコとして、右派教員が教員全体を政治的に抑え付けようとする構図があります。(「戦争法案」に反対するような)教員に対して、あら探しのためにストーカー的に嫌がらせをします。その教員が授業をしているところに聞き耳を立て、授業が早く終わると『なぜ授業が早く終わったか』等と文句をつけるのです。理由は単に授業を早く始めたから早く終わるだけなのですがね」嫌がらせが、大学の意向か、どうかは分からない。だが次のような事情があるのでは-と、この大学教員は言う。「学問と政治の関係を、例えば教授会等で本気で討議する事は難しい。ですから陰に篭った嫌がらせをするのです」しかし何故クレーマーに萎縮しストーカー的な振る舞いがまかり通っているか。別の都内大学教員は語る。「支配的な体制に順応してしまう事を良しとする、また政治的に突出する事を許さない『空気』が大学に蔓延している事が、その原因です。積極的に支配的な『空気』に馴染もうとする人は、そう多くありませんが最近の大学の教員は良くも悪くも優等生が多いので、この『空気』に抗する勇気のある人は少ない」。「空気」の問題で言えば、更に寒々しい話がある。「『戦争法制』は、まだ大学で話しづらいという事はありません。大変なのは慰安婦問題です。この問題は本当に大学当局も嫌がるし、教員も関り合いを嫌がります」。実際「安全保障関連法に反対する学者の会」と学生団体SEALDsが共催したシンポジウムでは当初、立教大学に会場使用を申請したものの、立教大はこれを「純粋な学術内容ではない」等とし許可しなかった。シンポジウムのテーマは立憲主義や民主主義について大学人としての責任を問い直すというもので、数々の学者達が出席するが、これでも「学術的ではない」と言うわけだ。このシンポジウムは結局、法政大学で行われた。当然、これが直接的な歴史問題となると、より厳しくなる。例えば慰安婦問題でシンポジウムを開こうとしても、過去に抗議行動を起こされたためか「反日的」とレッテル貼りをされる事を恐れてか、会場を貸さないという都内有名大学もある。また学費や奨学金の問題も大学の「空気」を重くする原因だと指摘する。「大学を巡る学費、奨学金の問題等、大学が抑圧的になっている事の根源には『経済』の問題があります。大学と経済的徴兵制の問題もありますし」今回の放送大学の一件で明らかになったのは、クレームにビクビクし「空気」に振り回され結果、安倍政権に阿ってしまうような「大学の溶解」状況である。日本の大学は今、緩やかな自殺の最中にあるのかもしれない。
《経団連会長、武器輸出「安保強化に資する」必要性訴え》
経団連の榊原会長は28日の記者会見で、武器を含む防衛装備品の輸出や他国との共同開発について「国家間の安全保障関係の強化に資する」と述べ、国家戦略として推進していく事の必要性を訴えた。榊原会長は相手国との関係や安全保障を踏まえ「官民による装備品の移転(輸出)や、その手続きを含む仕組みが必要だ」と指摘。「国の関与と管理の下で(輸出を)推進すべきだ」と主張した。経団連は「戦争関連法」の成立で「自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高まる」とし、装備品の輸出や防衛産業への支援を政府に求める提言を15日にまとめた。ただ「戦争関連法」への国民の理解が進まない中、経団連の性急な姿勢に批判も出ており、榊原会長は「安保法制でビジネスチャンスが増えるとか、減るというのを意識しているわけではない」と取り繕う弁を述べた。
(民守 正義)
0コメント