「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(15)

「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(15)


《NHK受信料義務化計画は財政状況が理由でない!自民党が国営放送化?》
 NHKが受信料の「支払い義務化」に向けて本格的に動き始めた。きっかけは9月24日、自民党の 情報通信戦略調査会におかれた「放送法の改正に関する小委員会」が受信料の支払い義務化を検討するようNHKや総務省に求めたこと。これを受けてNHK-籾井会長が今月1日の会見で「義務化も一つの方策」と前向きな姿勢を見せ、更には来年1月から開始されるマイナンバー制度の利用も「積極的に活用については検討したい」と表明した。そもそも現行の放送法では、NHKを受信する事ができるテレビ等を設置した世帯はNHKと「受信契約」を結ぶと定められているが、罰則はなく現在、不払い率は約1/4にのぼっている。今回、自民党が提言したのは、受信契約の有無に関係なく、受信料の強制徴収と罰則を検討させるものだ。それは法改正とセットであり、罰則規定を含む法的拘束力は国が担保するため、NHKは“国営化”に限りなく近づくことになる。そうなると当然、懸念されるのが、放送内容に対する政治介入だ。これまでもNHKでは、政権の顔色を窺うような自主規制や自民党の露骨な圧力によって報道内容が歪められる事態が度々、問題になってきた。特に第二次安倍政権で、安倍(戦争)総理と親しい籾井会長がトップになってからは“安倍チャンネル”と揶揄される位に露骨な政権よりの報道姿勢を見せてきた。
 「戦争法制」を巡る報道でも、衆院特別委での強行採決の模様を放送せずに視聴者から批難が殺到したのをはじめ、政権のマイナスイメージに繋がるような報道は尽くスルー。安倍(戦争)総理のヤジ(民主党・辻元議員に対する「早く質問しろよ!」)が問題になった際も、NHKはこれをニュースで取り上げなかった。連日、大勢の人々が駆けつけた国会前「戦争法」反対デモの模様も、この間、殆ど放送しようとせず、終盤になってやっと10万人超の反安保デモの映像をアリバイ的に流したかと思えば、今度は何と数十名~数百名規模の安保賛成集会を同列扱いで放映した。更に与野党の討論番組でも司会のNHK解説委員が高村-自民党副総裁を露骨にフォローする有様だった(因みに高村副総裁の娘はNHKに勤務している)。しかも、こうした報道の裏で「籾井会長は『戦争関連法案』の強行採決の日、官邸から電話を受けていた」との疑惑がNHKのOBから指摘されている。
 しかし、もし今回の自民党から提言を受けた「受信料支払い義務化」が成立するとなれば、この状態が格段にエスカレートするのは確実だろう。NHKはこれまで、政界からの圧力に曝されながらも、受信料を独自に徴収することで、かろうじて経営の独立を保ってきた。それが“財布のヒモ”まで政府・自民党にガッチリと握られてしまったら、 独自性は完全になくなり政権のプロパガンダ放送局と化してしまいかねない。
 「今は圧力といっても、官邸と籾井会長の人脈的なつながりによる間接的なものに留まっている。それが収入源を抑えられてしまったら“気に食わない報道をしたら金を出さない”という直接的圧力につながりかねない。しかも官邸以外にも、いわゆる族議員が跋扈して、様々な政治家が力を加えてくるようになるでしょう」(NHK関係者)実際、自民党がここにきて「受信料支払い義務化」の動きを急加速してきたのは、NHKの財政状況が原因ではない。昨年度のNHKの受信料収入は過去最高の6493億円、累積黒字も約2千億円あり、NHK職員の平均年収は手当てを含むと約千八百万円、籾井会長の年収も三千万(一説にはそれ以上)と言われる。また局内はコスト管理の意識が低く、番組予算も言い値で通るとされており、籾井会長の経費使い込み疑惑も含めて、徴収した受信料の無駄遣いが各方面から指摘されている。
 NHKの財政状況はむしろ、受信料の値下げも十分可能な状況なのだ。
 ところが籾井会長がNHKの会長になった頃から「放送センターや地方拠点の建て替え計画」を強く訴えるようになり、受信料の義務化についても「財政基盤の強化に繋がる」と歓迎の意を示し始めた。そして今年になって、前述したように自民党「放送法の改正に関する小委員会」が具体的に動き始め、9月に提言を行ったというわけだ。
 元々、安倍(戦争)総理と籾井会長の間で、NHKの受信料義務化で事実上、国営化しようという目論見があったのは間違いないでしょう。ただ今年初めまでは、ここまで具体的な話ではなかった。
 それが急に動き始めたのは、やはり『戦争法制』の報道への不満が背景にあるんじゃないでしょうか。
 テレビ、特にNHKの報道は今回、政権にかなり配慮していましたが、自民党は「戦争法」反対デモを大きく取り上げたことが許せなかったらしい。党内では『デモを報道するなんてけしからん』『国民の反対が広がったのはテレビ報道をのせいだ』という声が上がり、夏くらいから情報通信戦略調査会を中心に、またぞろテレビへの支配強化を検討し始めていましたから」(全国紙政治部記者)実際、今回の提言をした小委員会が属す自民党の「情報通信戦略調査会」は『クローズアップ現代』のヤラセ問題と『報道ステーション』の古賀茂明発言を巡って、NHKとテレビ朝日を呼びつける等、一貫してテレビ局への政治介入を画策してきた自民党の尖兵的存在。今回、民放にもローカル局の再編を提言して揺さぶりをかけている上「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤委員長は、テレビの「戦争法制」報道を問題にして「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正した方がいい」と、露骨な恫喝発言をしている。つまり、こうしたテレビへの介入強化、報道の自由制限の一環としてNHKの受信料義務化、事実上の国営化が打ち出されたというわけだ。周知のように戦前の日本では、それまであった三つの放送局が政府命令で解散させられ、NHKの前身団体である社団法人「日本放送協会」が設立。
 この準国営放送が国策宣伝機関として終戦まで戦争世論を煽り続けた。自民党とNHKは、まさにその歴史を繰り返そうとしているということなのだろうか。
(リテラ:管理者一部編集)

《宮崎あおいが「私は戦争をしたくない、憲法を変えることに反対」》
 NHKの連続テレビ小説『あさが来た』が好調だ。前作『まれ』が酷評の嵐だったため「朝ドラの快進撃も、ここまでか」と憂う声も大きかったが、スタート時から着実に数字を上げ、先週の平均視聴率は『まれ』が達成できなかった22%台に登り詰めた。そんなドラマの好調を支えている要因の一つが、ヒロイン・あさ(波瑠)の姉である「はつ」を演じる宮崎あおいの存在だ。人気を博した大河ドラマ『篤姫』での利発な役柄とは一転、姑の萬田久子にイビラレル嫁を演じているが「イビラレルあおいが健気過ぎる」「宮崎あおいちゃんの笑顔で更に涙腺崩壊だよ!!」と、嫁イジメに堪え忍ぶ宮崎の姿から目が離せない視聴者が続出。
 今週は、ついに嫁ぎ先が倒産し夜逃げ。
「はつ」は貧民窟で極貧生活を強いられるという展開で、殆ど宮崎が“ヒロイン”化してしまっている。また宮崎への注目度は出版業界にも波及。実は先週『あさイチ』(NHK)のプレミアムトークに登場し、そこで宮崎は、やなせたかしの詩「えらくなっちゃいけない」を紹介。すると、この詩が収録された詩集『あれはだれの歌:やなせたかし-詩とメルヘンの世界』に注文が殺到、現在は増刷中だという。〈名もない人のその中で/名もない人で暮らしたい/みんな誰でもえらくない/えらくなっちゃいけない/みっともない〉─『アンパンマン』に象徴的なように、自身の戦争体験から平和を訴えてきた「やなせ」らしい思想が滲み出る詩だが、実は今から9年前にも宮崎は、ある本を紹介し、このように発言していた。「今、憲法を改正する議論が起こっているけれど、私は戦争をしたくはないから、この憲法を変えることに反対」「でも『そのために私には何ができるんだろう?』て考えるようになったんです。まさか国会に乗り込んでいくわけにもいかないし(笑)、結局、何もできないまま『嫌だ、嫌だ』と思っているだけなのかな?って。でも、この本を読んで、こういう本が存在することが嬉しくて。私が、どうしたらいいのか解らなかったことが、きちんと書いてあったんです」(「ダ・ヴィンチ」2006年11月号インタビューより)このとき宮崎が紹介した本とは『この国が好き』という絵本。著者は医師であり、ベストセラー『がんばらない』等の著書で知られる鎌田實氏で、まだ幼い孫を抱きながら〈大切な君の命を戦争で奪われたくない。君が戦場で人を殺す。そんな未来は想像したくない〉と願う物語だ。〈ぼくは戦争をしないと誓った、この国が大好きです。戦争をしないと誓ったのは、この国の憲法です。凄い事を誓っているのです。〉この本を宮崎が紹介した当時は憲法改悪の動きが活発で、04年に自民党は「憲法改正草案大綱」を発表。「日本は戦争する国に戻るのか」という声が上がっていた。そうした不穏な空気に向かって、宮崎はキッパリと「この憲法を変えることに反対」とはっきり口にしたのだ。
 しかも本書には、安倍政権の近い未来を予見するかのような言葉がずらりと並んでいる。〈コイツをかえる。普通の国になるだけという人がいます。でも…世界がたちまち緊張する。軍隊の増強合戦が始まる。貧困から脱出し始めたアジアの国達が、子供達の医療や教育のためよりも軍隊のために、益々お金を使うようになる。だからコイツを守っておきたいのです。だから、かえたくないのです。この不自由さがいいのです。〉
〈一回だけといって、コイツをかえる。やんわりとかえる。 うまいんだなあ、政治家は。一回でもかえてしまえばしめたもの。その後は次々にかえて、君が大人になるころ、この国は普通の国になって、徴兵制がしかれている。〉
 また本書の後半には、鎌田氏とドイツ語翻訳家の池田香代子氏、元放送作家の永六輔氏との鼎談も収録されているのだが、この中で永氏は今、振り返ると、とても重要な話をしている。それは「99条を守ることが憲法を守ることなのだって気がついた」という指摘だ。99条は《天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ》というもの。つまり「この憲法を守らなければいけない人たちがずらっと書いてある」(永氏)のだ。そして永氏はこうも言う。「99条を守ろうとしているのは天皇だけなのです」。今は、その指摘通り安倍政権は、この99条を見事に破って憲法を尊重し擁護するという義務を放棄し、違憲だという指摘が憲法学者から相次いだ「戦争法制」を数の論理で押し通した。
 改憲の動きに慎重な姿勢を見せる天皇は安倍政権と対立状態にあるが、天皇はこの99条を守っているだけだ。政治家の暴走を許してはいけない。憲法は変えてはいけない。何故なら戦争をしないと誓ったこの国が好きだから─。約10年前の本とはいえ、今こそ読まれるべきともいえる同書を読者に薦めていた宮崎の先見を評価したいが、このインタビューで宮崎は、こうも述べている。「いつか自分が親になったときに、自分の子どもや愛する人が兵隊として戦わなくちゃいけなくなったら、どうやってでも引き留めたい。『お国のために死ねるのは幸せなこと』なんて私は言えないと思うのです」
 このように宮崎が戦争について深く考えるようになったキッカケは、映画『イノセント・ボイス─12歳の戦場』でナレーションを担当したことにあったという。『イノセント・ボイス─12歳の戦場』は、俳優のオスカー・トレス氏が幼少期の戦争体験を基に脚本を執筆した映画である。
 1980年代、中米・エルサルバドルで起こった内戦で子どもたちは12歳になると徴兵され、オスカー氏もまた12歳で軍隊に入隊している。
 たった12歳の少年が兵士となり、死と隣り合わせで戦うことを強制される─。だが、これは過去の物語ではない。「知っていますか? 現在でも世界で30万人以上の子どもが戦場へ送られていることを」。宮崎は本作のナレーションでそう訴える。
 そのオスカー氏と雑誌で対談した宮崎は、中国で“物乞いの姉妹”に出会った体験から「いろんな物事を“自分とは関係ない”という考えから変えてく れた」と語り「一人で世界を変えられるなんて思えない」けれど、自分ができることを小さくてもやっていきたい、と話している。その言葉を受けてオス カー氏は「そうだよね」と相槌を打ちつつも「だけど、もしかしたら一人の力で世界は変わるかもしれないよ」と言う。
 安保「これは悪い例だけど、ヒトラーの号令一つで何百万という人々が殺され、それを実行した人々がいたわけだから、その逆の可能性もあると信じています。ある一人が始めたポジティブな活動が、大きな輪になって広がっていくかもしれない。実際、日本は敗戦後、平和憲法を作ったけど、その影響は日本人が考えているより、ずっと大きなものだと思います」宮崎はこの対談の後、オスカー氏の話に触発されて日本の平和憲法について興味を持ち『この国が好き』を手にしたのだという。
 「先ずは知らなくちゃ何も始まらないと思いました。知って、そこから自分が、何ができるかを考えなくちゃ」(前出「ダ・ヴィンチ」より)世界の貧困や戦争の実情を「他人事」とせず、自分を繋げてキチンと考える。…「憲法を守れ」と言うと「お花畑思考」等と自称・現実主義者達は揶揄するが、実のところ現実を見ていないのは彼らの方だと20歳の宮崎の姿勢は教えてくれる。まだ20歳だった彼女が平和のために自分が、できることを懸命に模索する言葉は、瑞々しく、可能性に溢れているように思う。いささか残念なのは宮崎が最近は、このときのように政治的発言を行っていない点だ。
 だが、それも無理はない。前夫・高岡奏輔は嫌韓発言が引き金となり芸能界を干され、それは宮崎の仕事にも影響を与えた。しかも離婚後には岡田准一との不倫疑惑が噴出し、今年も二人の熱愛が報じられている。
 NHKの朝ドラ出演もあり今、彼女が20歳のときのように改憲反対を語れば、ネット上では不倫スキャンダルを絡めた壮絶なバッシングが待っているだろう。政治的な発言に躊躇する、その気持ちは解らなくもない。でも、きっと宮崎は9年経った今でも20歳のときの気持ちを失っていないはずだ。
 いつかまた宮崎には「私は戦争をしたくはないから、この憲法を変えることに反対」「『お国のために死ねるのは幸せなこと』なんて私は言えない」と、その強いメッセージを発してほしいと思う。(リテラ)
(民守 正義)