「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(6)
「戦争法-廃止」と「安倍政権‐打倒」(6)
《「民意を聞いて修正するのが民主主義」伊藤真弁護士「戦争法」巡り政府批判》
日本弁護士連合会は10月3日、法の役割や重要性を考える「法の日週間」の一環として、イベント「戦後70年 今こそ憲法・平和を考えよう」を東京弁護士会館で開催した。
イベントでは5月に大腸がんで亡くなった俳優・今井雅之さん主演の映画「ウインズ・オブ・ゴッド」を上映。終了後は同作品に出演し、俳優としても活躍する野元学二弁護士、伊藤真弁護士、経済アナリストの森永卓郎さんが登壇し、平和への思いを語った。
<「立憲主義をまるで無視した議論が展開された」>
伊藤弁護士は、このほど衆議院で可決・成立した「戦争法」について「政治家達は、憲法を脇に置いて『日本を取り巻く安全保障環境が急速に変化しているから、こういう法律を作らないといけない』と政策的な必要性ばかりを強調して、立憲主義をまるで無視した議論を展開した」と批判した。また世論調査等で国民の理解が十分に得られていないことを示すデータもある中で、与党が「戦争法案」を成立させたことについて、次のように述べた。「もし選挙で勝ったら何をしてもいいというのが民主主義なら国会はいらない。選挙で政策を掲げて、選挙で勝った瞬間に何をやってもいいなら、それは専制政治だ。いくら国民から選ばれたとしても、審議をし討論をして、民意を直接聞いて修正していく過程こそが民主主義だ」
<「今井さんの平和に対する思いは大きかった」>
野元弁護士は、今井さんとともに「ウィンズ・オブ・ゴッド」の海外公演をした際の思い出を振り返り、今井さんの平和への思いを語った。
「(海外で『ウィンズ・オブ・ゴッド』を公演した際に)今井さんは最後にいつも『No more war』と言っていた。今井さんの平和に対する思いは相当大きかったのだと思う。『今の平和に対する感謝を忘れたときに、もう戦後の現代ではなく、戦前に戻ってしまう』と話していた。私の祖父は戦争で亡くなった。私が『ウィンズ・オブ・ゴッド』で演じるに当たって、祖父の話を母から聞いた。(戦争を体験した世代が)自分の身近にいる、戦争体験を聞くという機会が減っていく状況の中で、どうやって、そうした経験を忘れないでいくかが大切だ」また森永さんは、バブル崩壊が世界中で繰り返されていることに触れ、政治の世界で「同じことが起こっている」と指摘した。「経済の世界では60年くらいのタイムラグをおいて、バブルが起きている。それは世代が入れ替わって(バブルの崩壊で)どれだけ酷い目にあっても、体験をしたい人の声が届かなくなるからだ。今の政治も、まさにそういう状況だ。
戦中派の人達が全員引退して、戦後に生まれた戦争を知らない人が、威勢のいいことを言っている。その中でズルズルと、戦争をしやすい仕組みに代わってきた」(弁護士ドットコムニュース)
《石田純一が「戦争法制」反対で「圧力」を受けていた…厳重注意も》
恐れていたことが現実になってしまった。
この間、安倍政権によるメチャクチャな「戦争法制」強行に対し、これまで政治的発言を控えてきた芸能人達が次々と声を上げたことが大きな話題になった。その一人が9月17日の国会前デモで壇上に上がり「戦争法」反対を訴えた石田純一だ。
しかし、その石田に対しデモ参加後、様々な“圧力”がなされていたことが明らかになった。「テレビ番組を3つキャンセルされました。35年の芸能生活で、こんなのは初めてです。CMも一つなくなったし、広告代理店を通して、厳重注意も2、3社から受けました。“二度と国会議事堂にデモに行くな”“メディアの前で政治的発言をするな”ってね」これは「週刊新潮」10月15日号のワイド「『川島なお美』通夜で顰蹙の『石田純一』が「戦争法」反対デモの後遺症」で、石田本人が語ったことだ。
確かに石田の17日のデモ参加と、そのスピーチは強烈なインパクトを与えたものだった。それまでも多くの芸能人が「反安保」を表明したが、これまで不倫や再婚等の私生活をウリにした“ナンパ男”と思われてきた石田がデモで壇上にあがり“戦争は文化ではない”と声を上げたのだ。
「絶対に、我々は誇るべき平和を、ずーっと戦後70年、80年、100年、続けていこうではありませんか!」「我々の子供達、孫達が、ずっと平和に暮らしていけるように、この国を守るというのは個別的自衛権でも守れるんです!何でわざわざ、集団的自衛権が必要なのか?そんなにアメリカの機嫌が取りたいですか?アメリカは、もちろん我々の友達で同盟国ではあります。でも、やはり間違っている、違ってる、何か、そういうことは友達でもちゃんと言えなくちゃ、おかしいと思います!」しかも石田はある種の覚悟さえ持ってデモに臨んでいた。それは石田の服装に如実に表れている。石田は17日にはコートの上に、そして翌18日にはブルゾンの上にわざわざトレードマークのセーターを肩がけしていた。
単に一私人としてでなく、芸能人としてパブリックな立場の“石田純一”として、この場に来たという意思表明でもあり、タレントとしての自分を「安保」反対という目的のために最大限、貢献させようと考えた証左だろう。更に石田は自身がコメンテーターを務める『おはよう朝日です』でも「憲法9条があるから日本は戦争してこなかった」と「安保」に反対する発言をしている。そんな石田に恐れていた“圧力”が実際にかかったことは衝撃だ。しかもテレビ番組をキャンセルされただけでなく、CMの関連で代理店や企業からクレームをつけられる─。「芸能人は政治的発言をするものではない」「ファンがいなくなる」。
こんな言説が長い間、日本の芸能界で流布されてきた。実際、今回の「安保」問題に対し政治的な発言をした芸能人はツイッターやブログが炎上することもしばしばだ。
しかし今回多くの芸能人、そして著名人達が“戦争法案”に対し勇気をもって発言している。このことの意味は重要だし、その勇気に私達国民も応えなければならない。例えばアメリカでは芸能人達が自分の支持政党や思想信条を表明することは当たり前のことで、それはセレブにとっての義務でもある。だが現在の日本は、芸能人達に「政治に参加する当然の権利を表明する」ことさえ許さない。しかもメディア企業であるはずのテレビ局や、企業スポンサーまでもが、それを阻害しストップさせようとする。
石田の置かれた状況は今後、他のタレントにも波及する可能性は高い。密かに、そして巧妙に干されるような事がないよう、これまで「安保」に関して発言してきた芸能人、坂上忍や笑福亭鶴瓶、SHELLY、高田延彦、土田晃之、制服向上委員会等の今後を注視する必要がある。
そして、もし圧力があったり干 されたなら今回の石田のように、その圧力自体を公表することも大切だろう。きっと多くのファンが圧力に屈しない姿勢に賛同し逆に圧力をかけた企業やマスコミを批判するからだ。石田は前述の「週刊新潮」にて圧力を公表した上で、しかしこう表明している。「でも世の中のためになることをやりたいと思っているので“それ(デモに行くな、政治的発言をするなとの厳重注意)は受けられない”って回答しました」 石田の勇気ある姿勢を称えたい。(リテラ)
《広がるか「落選運動」強引な政治に憤る有権者-強硬手段で「反撃」》
とかく日本人は既成事実に弱いといわれる。しかし安倍政権が強引に成立させた「戦争関連法」に対しては「違憲」「反対」 の声は収まるどころか更に強まる気配だ。野党共闘や違憲訴訟の行方と並んで今後、注目されるのが、来年夏の参院選で「戦争関連法」に賛成した議員を落とそうという「落選運動」。どのような運動なのだろうか。(管理者:私も「戦争法-強行採決(?)」に加担した議員リストを暫定作成した)
<未成年者も参加OK/候補者2人の選挙区なら公選法に抵触?>
「ぜひ皆さんに考えてほしいのですが落選運動をしませんか」。参議院で「戦争関連法案」の審議がスタートする前の7月24日、国会前に集結した市民や学生らを前に、高橋哲哉・東京大大学院教授(哲学)が声を強めた。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の呼び掛け人の一人である高橋氏の提案には、学生が中心の「SEALDs(シールズ)」も同調する動きを見せている。現段階で落選運動の実施を正式に表明した団体等はないが、落選運動が広がる下地はありそうだ。「戦争関連法」が成立した今も、高橋氏は落選運動の意義を熱く語る。「『戦争関連法』の問題点は、内容が憲法違反であるだけでなく立憲主義に反し、憲法の改悪手続きにのらないで憲法上、禁止されていることを認めたという二重の憲法違反なのです。99条の国会議員ら公務員は憲法を尊重し擁護するという義務に違反している。国会議員の資格がないということをハッキリさせるべきです」具体的には次のように提案している。
先ず「戦争関連法」に何故、賛成したのか▽憲法違反との指摘にどう考えるのか▽立憲主義に反するとの指摘にどう考えるのか-この3点を基本に公開質問を行う。
その結果をインターネットで公開するというものだ。「『戦争関連法』を廃止するためには落選運動だけで十分ではありませんが、先ずは賛成した議員一人一人を“撃破”する事から始めたらいい」と高橋氏は語る。落選運動は公職選挙法に抵触しないのか。すなわち選挙違反にならないのだろうか。岩渕美克・日本大大学院教授(政治学)はこう解説する。「落選運動は、特定候補者の落選を促す政治活動なので、選挙運動ではないと解釈されています。極端に言えば、選挙運動が法で禁止されている公務員や未成年にも認められ、今日からでも始めることができます」。ネット選挙が解禁された2013年の改正公選法ガイドラインでも「何ら当選目的がなく、単に特定の候補者の落選のみを図る行為である場合には、選挙運動には当たらないと解されている」としている。一方で、これまで落選運動が、あまり注目されることがなく、問題が表面化することはなかったが、岩渕氏は“落とし穴”もありそうだと付け加える。例えば、ある選挙区で立候補者が2人しかいないケース。「特定の候補者を落とそうとする運動が、もう1人の候補者を当選させる目的がある」と解釈されないのか。岩渕氏は「落選者らが司法に訴えた場合、公選法に照らすとグレーな部分があると判断されるかもしれない。司法は落選運動があまりにも大きく広がり、結果として特定の候補者の当選に繋がることになれば、選挙運動に該当すると判断するかもしれません」と説明する。司法判断は、社会情勢に影響される部分が否定できないからだ。選挙に影響を及ぼすとの懸念もある。落選させたい候補者がいても、受け皿になる候補者がいない時、棄権が増えて投票率の低下を招くかもしれないからだ。また米国のネガティブキャンペーンのように陣営同士の批判合戦になってしまうことも危惧される。落選運動は微妙な問題も含んでいそうだ。
落選運動は目新しいものではなく、韓国では00年4月の総選挙で、市民団体が「不正腐敗に関与した」等の理由で候補者86人を対象に落選運動を展開した。その内59人が落選し、威力が注目された。この動きを受けて日本でも同年6月の衆院選を前に、東京や大阪、愛知、静岡等で次々と落選運動を進める市民団体が生まれた。当時、東京にできた「市民連帯・波21」が全国に呼び掛けたところ、議員の資質に欠ける等の理由で320人を超す議員の名前が挙がり30人の落選候補リストを作成。結果的に6人が落選した。同じ取り組みをした「自公保ストップ首都圏ネットワーク」の元共同代表、宮本なおみさんは「確かに数人落選しましたが、どこまで効果があったかは分からない。運動の成功には韓国のように多くの市民が参加する盛り上がりが必要ではないか」と振り返りながら話した。
市民団体等が行う落選運動を法的に支援する動きも出ている。政治家と金の問題を追及する市民団体のネットワーク「政治資金オンブズマン」の共同代表を務める阪口徳雄弁護士らが「安保関連法案賛成議員を落選させよう・弁護士の会」(仮称)を近く結成する準備を進めている。阪口弁護士は「当面はホームページに落選運動の解説や立憲主義に反する議員の言動等の情報を掲載し、有権者に落選運動を呼び掛ける。また全国からの情報が集まるサイトの開設も検討します。情報収集に向けては、できれば落選運動を行う大学教授や学生のグループ、各市民団体の全国連絡会議を作りたい」と話す。更に、これまで政治資金の使途等に問題があった国会議員を刑事告発した経験を生かし「戦争関連法」に賛成した議員の金の問題を洗い出して公表し、落選運動を活性化させる考えもあるという。有権者が落選運動に注目する背景には何があるのか。岩渕氏は「選挙に勝ったから何でもできるという安倍政権の驕りや強引な政治が行われた結果、有権者も強硬な手段を選ぶようになった」と説明する。
高橋氏は、有権者を軽く見る政治家の言動への反動と見る。「大阪市の橋下徹市長が都構想の問題で『反対なら選挙で僕を落とせばいい』等と繰り返していたこともありました。また安倍(戦争)総理は『戦争関連法』について『国民の理解はなくても、いずれ分かる』と民意をバカにしたような発言をした。それならば落選させてやろうじゃないかという有権者の憤りがあるのではないか」。粗雑な政治手法が、強力なカウンター(反撃)を生んだという見方だ。岩渕氏は「落選運動が、政治に関心がなかった人々を変えるキッカケになれば評価したい。また大事なことは、選挙の時だけではなく、政治家に対して『私達は監視している』『当選したからといって政治家の好き勝手にはさせない』と常に意識させることなのです」と落選運動がもたらす効果に期待する。落選運動が、民意を無視する政治家を牽制する有権者の武器になるのか。その試みは始まったばかりだ。
《「民意を聞いて修正するのが民主主義」伊藤真弁護士「戦争法」巡り政府批判》
日本弁護士連合会は10月3日、法の役割や重要性を考える「法の日週間」の一環として、イベント「戦後70年 今こそ憲法・平和を考えよう」を東京弁護士会館で開催した。
イベントでは5月に大腸がんで亡くなった俳優・今井雅之さん主演の映画「ウインズ・オブ・ゴッド」を上映。終了後は同作品に出演し、俳優としても活躍する野元学二弁護士、伊藤真弁護士、経済アナリストの森永卓郎さんが登壇し、平和への思いを語った。
<「立憲主義をまるで無視した議論が展開された」>
伊藤弁護士は、このほど衆議院で可決・成立した「戦争法」について「政治家達は、憲法を脇に置いて『日本を取り巻く安全保障環境が急速に変化しているから、こういう法律を作らないといけない』と政策的な必要性ばかりを強調して、立憲主義をまるで無視した議論を展開した」と批判した。また世論調査等で国民の理解が十分に得られていないことを示すデータもある中で、与党が「戦争法案」を成立させたことについて、次のように述べた。「もし選挙で勝ったら何をしてもいいというのが民主主義なら国会はいらない。選挙で政策を掲げて、選挙で勝った瞬間に何をやってもいいなら、それは専制政治だ。いくら国民から選ばれたとしても、審議をし討論をして、民意を直接聞いて修正していく過程こそが民主主義だ」
<「今井さんの平和に対する思いは大きかった」>
野元弁護士は、今井さんとともに「ウィンズ・オブ・ゴッド」の海外公演をした際の思い出を振り返り、今井さんの平和への思いを語った。
「(海外で『ウィンズ・オブ・ゴッド』を公演した際に)今井さんは最後にいつも『No more war』と言っていた。今井さんの平和に対する思いは相当大きかったのだと思う。『今の平和に対する感謝を忘れたときに、もう戦後の現代ではなく、戦前に戻ってしまう』と話していた。私の祖父は戦争で亡くなった。私が『ウィンズ・オブ・ゴッド』で演じるに当たって、祖父の話を母から聞いた。(戦争を体験した世代が)自分の身近にいる、戦争体験を聞くという機会が減っていく状況の中で、どうやって、そうした経験を忘れないでいくかが大切だ」また森永さんは、バブル崩壊が世界中で繰り返されていることに触れ、政治の世界で「同じことが起こっている」と指摘した。「経済の世界では60年くらいのタイムラグをおいて、バブルが起きている。それは世代が入れ替わって(バブルの崩壊で)どれだけ酷い目にあっても、体験をしたい人の声が届かなくなるからだ。今の政治も、まさにそういう状況だ。
戦中派の人達が全員引退して、戦後に生まれた戦争を知らない人が、威勢のいいことを言っている。その中でズルズルと、戦争をしやすい仕組みに代わってきた」(弁護士ドットコムニュース)
《石田純一が「戦争法制」反対で「圧力」を受けていた…厳重注意も》
恐れていたことが現実になってしまった。
この間、安倍政権によるメチャクチャな「戦争法制」強行に対し、これまで政治的発言を控えてきた芸能人達が次々と声を上げたことが大きな話題になった。その一人が9月17日の国会前デモで壇上に上がり「戦争法」反対を訴えた石田純一だ。
しかし、その石田に対しデモ参加後、様々な“圧力”がなされていたことが明らかになった。「テレビ番組を3つキャンセルされました。35年の芸能生活で、こんなのは初めてです。CMも一つなくなったし、広告代理店を通して、厳重注意も2、3社から受けました。“二度と国会議事堂にデモに行くな”“メディアの前で政治的発言をするな”ってね」これは「週刊新潮」10月15日号のワイド「『川島なお美』通夜で顰蹙の『石田純一』が「戦争法」反対デモの後遺症」で、石田本人が語ったことだ。
確かに石田の17日のデモ参加と、そのスピーチは強烈なインパクトを与えたものだった。それまでも多くの芸能人が「反安保」を表明したが、これまで不倫や再婚等の私生活をウリにした“ナンパ男”と思われてきた石田がデモで壇上にあがり“戦争は文化ではない”と声を上げたのだ。
「絶対に、我々は誇るべき平和を、ずーっと戦後70年、80年、100年、続けていこうではありませんか!」「我々の子供達、孫達が、ずっと平和に暮らしていけるように、この国を守るというのは個別的自衛権でも守れるんです!何でわざわざ、集団的自衛権が必要なのか?そんなにアメリカの機嫌が取りたいですか?アメリカは、もちろん我々の友達で同盟国ではあります。でも、やはり間違っている、違ってる、何か、そういうことは友達でもちゃんと言えなくちゃ、おかしいと思います!」しかも石田はある種の覚悟さえ持ってデモに臨んでいた。それは石田の服装に如実に表れている。石田は17日にはコートの上に、そして翌18日にはブルゾンの上にわざわざトレードマークのセーターを肩がけしていた。
単に一私人としてでなく、芸能人としてパブリックな立場の“石田純一”として、この場に来たという意思表明でもあり、タレントとしての自分を「安保」反対という目的のために最大限、貢献させようと考えた証左だろう。更に石田は自身がコメンテーターを務める『おはよう朝日です』でも「憲法9条があるから日本は戦争してこなかった」と「安保」に反対する発言をしている。そんな石田に恐れていた“圧力”が実際にかかったことは衝撃だ。しかもテレビ番組をキャンセルされただけでなく、CMの関連で代理店や企業からクレームをつけられる─。「芸能人は政治的発言をするものではない」「ファンがいなくなる」。
こんな言説が長い間、日本の芸能界で流布されてきた。実際、今回の「安保」問題に対し政治的な発言をした芸能人はツイッターやブログが炎上することもしばしばだ。
しかし今回多くの芸能人、そして著名人達が“戦争法案”に対し勇気をもって発言している。このことの意味は重要だし、その勇気に私達国民も応えなければならない。例えばアメリカでは芸能人達が自分の支持政党や思想信条を表明することは当たり前のことで、それはセレブにとっての義務でもある。だが現在の日本は、芸能人達に「政治に参加する当然の権利を表明する」ことさえ許さない。しかもメディア企業であるはずのテレビ局や、企業スポンサーまでもが、それを阻害しストップさせようとする。
石田の置かれた状況は今後、他のタレントにも波及する可能性は高い。密かに、そして巧妙に干されるような事がないよう、これまで「安保」に関して発言してきた芸能人、坂上忍や笑福亭鶴瓶、SHELLY、高田延彦、土田晃之、制服向上委員会等の今後を注視する必要がある。
そして、もし圧力があったり干 されたなら今回の石田のように、その圧力自体を公表することも大切だろう。きっと多くのファンが圧力に屈しない姿勢に賛同し逆に圧力をかけた企業やマスコミを批判するからだ。石田は前述の「週刊新潮」にて圧力を公表した上で、しかしこう表明している。「でも世の中のためになることをやりたいと思っているので“それ(デモに行くな、政治的発言をするなとの厳重注意)は受けられない”って回答しました」 石田の勇気ある姿勢を称えたい。(リテラ)
《広がるか「落選運動」強引な政治に憤る有権者-強硬手段で「反撃」》
とかく日本人は既成事実に弱いといわれる。しかし安倍政権が強引に成立させた「戦争関連法」に対しては「違憲」「反対」 の声は収まるどころか更に強まる気配だ。野党共闘や違憲訴訟の行方と並んで今後、注目されるのが、来年夏の参院選で「戦争関連法」に賛成した議員を落とそうという「落選運動」。どのような運動なのだろうか。(管理者:私も「戦争法-強行採決(?)」に加担した議員リストを暫定作成した)
<未成年者も参加OK/候補者2人の選挙区なら公選法に抵触?>
「ぜひ皆さんに考えてほしいのですが落選運動をしませんか」。参議院で「戦争関連法案」の審議がスタートする前の7月24日、国会前に集結した市民や学生らを前に、高橋哲哉・東京大大学院教授(哲学)が声を強めた。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の呼び掛け人の一人である高橋氏の提案には、学生が中心の「SEALDs(シールズ)」も同調する動きを見せている。現段階で落選運動の実施を正式に表明した団体等はないが、落選運動が広がる下地はありそうだ。「戦争関連法」が成立した今も、高橋氏は落選運動の意義を熱く語る。「『戦争関連法』の問題点は、内容が憲法違反であるだけでなく立憲主義に反し、憲法の改悪手続きにのらないで憲法上、禁止されていることを認めたという二重の憲法違反なのです。99条の国会議員ら公務員は憲法を尊重し擁護するという義務に違反している。国会議員の資格がないということをハッキリさせるべきです」具体的には次のように提案している。
先ず「戦争関連法」に何故、賛成したのか▽憲法違反との指摘にどう考えるのか▽立憲主義に反するとの指摘にどう考えるのか-この3点を基本に公開質問を行う。
その結果をインターネットで公開するというものだ。「『戦争関連法』を廃止するためには落選運動だけで十分ではありませんが、先ずは賛成した議員一人一人を“撃破”する事から始めたらいい」と高橋氏は語る。落選運動は公職選挙法に抵触しないのか。すなわち選挙違反にならないのだろうか。岩渕美克・日本大大学院教授(政治学)はこう解説する。「落選運動は、特定候補者の落選を促す政治活動なので、選挙運動ではないと解釈されています。極端に言えば、選挙運動が法で禁止されている公務員や未成年にも認められ、今日からでも始めることができます」。ネット選挙が解禁された2013年の改正公選法ガイドラインでも「何ら当選目的がなく、単に特定の候補者の落選のみを図る行為である場合には、選挙運動には当たらないと解されている」としている。一方で、これまで落選運動が、あまり注目されることがなく、問題が表面化することはなかったが、岩渕氏は“落とし穴”もありそうだと付け加える。例えば、ある選挙区で立候補者が2人しかいないケース。「特定の候補者を落とそうとする運動が、もう1人の候補者を当選させる目的がある」と解釈されないのか。岩渕氏は「落選者らが司法に訴えた場合、公選法に照らすとグレーな部分があると判断されるかもしれない。司法は落選運動があまりにも大きく広がり、結果として特定の候補者の当選に繋がることになれば、選挙運動に該当すると判断するかもしれません」と説明する。司法判断は、社会情勢に影響される部分が否定できないからだ。選挙に影響を及ぼすとの懸念もある。落選させたい候補者がいても、受け皿になる候補者がいない時、棄権が増えて投票率の低下を招くかもしれないからだ。また米国のネガティブキャンペーンのように陣営同士の批判合戦になってしまうことも危惧される。落選運動は微妙な問題も含んでいそうだ。
落選運動は目新しいものではなく、韓国では00年4月の総選挙で、市民団体が「不正腐敗に関与した」等の理由で候補者86人を対象に落選運動を展開した。その内59人が落選し、威力が注目された。この動きを受けて日本でも同年6月の衆院選を前に、東京や大阪、愛知、静岡等で次々と落選運動を進める市民団体が生まれた。当時、東京にできた「市民連帯・波21」が全国に呼び掛けたところ、議員の資質に欠ける等の理由で320人を超す議員の名前が挙がり30人の落選候補リストを作成。結果的に6人が落選した。同じ取り組みをした「自公保ストップ首都圏ネットワーク」の元共同代表、宮本なおみさんは「確かに数人落選しましたが、どこまで効果があったかは分からない。運動の成功には韓国のように多くの市民が参加する盛り上がりが必要ではないか」と振り返りながら話した。
市民団体等が行う落選運動を法的に支援する動きも出ている。政治家と金の問題を追及する市民団体のネットワーク「政治資金オンブズマン」の共同代表を務める阪口徳雄弁護士らが「安保関連法案賛成議員を落選させよう・弁護士の会」(仮称)を近く結成する準備を進めている。阪口弁護士は「当面はホームページに落選運動の解説や立憲主義に反する議員の言動等の情報を掲載し、有権者に落選運動を呼び掛ける。また全国からの情報が集まるサイトの開設も検討します。情報収集に向けては、できれば落選運動を行う大学教授や学生のグループ、各市民団体の全国連絡会議を作りたい」と話す。更に、これまで政治資金の使途等に問題があった国会議員を刑事告発した経験を生かし「戦争関連法」に賛成した議員の金の問題を洗い出して公表し、落選運動を活性化させる考えもあるという。有権者が落選運動に注目する背景には何があるのか。岩渕氏は「選挙に勝ったから何でもできるという安倍政権の驕りや強引な政治が行われた結果、有権者も強硬な手段を選ぶようになった」と説明する。
高橋氏は、有権者を軽く見る政治家の言動への反動と見る。「大阪市の橋下徹市長が都構想の問題で『反対なら選挙で僕を落とせばいい』等と繰り返していたこともありました。また安倍(戦争)総理は『戦争関連法』について『国民の理解はなくても、いずれ分かる』と民意をバカにしたような発言をした。それならば落選させてやろうじゃないかという有権者の憤りがあるのではないか」。粗雑な政治手法が、強力なカウンター(反撃)を生んだという見方だ。岩渕氏は「落選運動が、政治に関心がなかった人々を変えるキッカケになれば評価したい。また大事なことは、選挙の時だけではなく、政治家に対して『私達は監視している』『当選したからといって政治家の好き勝手にはさせない』と常に意識させることなのです」と落選運動がもたらす効果に期待する。落選運動が、民意を無視する政治家を牽制する有権者の武器になるのか。その試みは始まったばかりだ。
(民守 正義)
0コメント