「戦争法案-強行採決(?)」の副作用(6)

「戦争法案-強行採決(?)」の副作用(6)


《相変わらず続く「戦争法成立(?)」抗議声明・集会・デモの地方拡散》
 9月19日未明「憲法違反の戦争関連法」が強行成立した以降も、テレビでは、ほぼ全局が「戦争関連法」は放送自粛を意思統一し、安倍(戦争)総理も「アベノミクス等記者会見」を行う等、チャンネルを切替えたように「戦争関連法」を忘れさせようと躍起だ。しかし安倍(戦争)総理の「戦争関連法」忘却路線も幾つかの誤算がある。
その一つは9月19日「憲法違反の戦争関連法」強行成立-抗議行動が意外と沈静化していないことだ。署名運動は9月17日の参院特別委員会「暴行・混乱採決(?)」が、そもそも「参院規則の表決の要件を満たしていない」等として「採決不存在確認・審議続行を求める賛同署名」で、既に3万2 千筆を超えた。その内の約2万9千筆と申入書が同月26日、呼び掛け人の醍醐東京大名誉教授らが、山崎参院議長と鴻池特別委員長に提出した。加えて本「醍醐-署名運動」グループとは別のグループが近々「採決不存在確認・審議続行訴訟」を提訴する予定だ。(「申入れ」では効果ウス。カッタルイ)もう一つの署名運動は「安全保障関連法に反対する学者の会」が行う「抗議声明-『戦争する国』へすすむ安全保障関連法案に反対します」賛同署名で既に4万6千人以上の署名を集めている。
また私が知る限りにおいて他にも5~6本の署名運動が行われている。
 次に集会・デモなどは「戦争関連法」強行成立(?)以降も、その開催数・参加人数とも然程の減少は見られず、むしろ開催場所は「地方拡散」の傾向にある。更に「団体抗議声明」も「戦争関連法」強行成立(?)以降も継続的に発せられており、私が把握しているだけでも法人or法人に準ずる団体が40~50団体がある。(既に数団体ほど紹介済み)つまり概してテレビ・新聞では自粛申し合わせ(官邸圧力?)により「戦争関連法」反対行動が沈静化したように見えるが、実態はなお継続的かつ法的には、むしろ攻撃的に続いていると言っていい。その証拠にWEBニュース(日刊ゲンダイ・リテラ・東京新聞等)等を見れば、まだ「官邸規制」が薄いだけに「戦争関連法」関係ニュースが、テレビ等より多く多角的に掲載されている。但し「これは!」と思うニュースを発見したら即、ワードコピーでもしておく事だ。何故なら、いくらWEBニュースでも政権に相当、都合の悪いニュースは2~3日位で消去される。もう一つの安倍(戦争)総理の誤算は「戦争関連法」強行成立(?)を打ち消すために「アベノミックス第二ステージ(新三本の矢)」を9月26日に記者発表したが、これには、さすがのマスコミも懐疑的で少なくとも「大々的歓迎キャンペーン」を張らなかった。
それもそのはず、事は経済だけに、あまり根拠のない(名目GDP14年度:約490兆円⇒15年度600兆円;ムリ!)目標へのドッコイショ報道もできない。現に著名(優れた)経済学者の中では「アベノミックスは6月段階で失敗が明確になった」が常識的だ。[同志社大学-浜矩子教授(アホノミックス)、評論家-寺島実郎、等]「アベ」は「アベノミックス」を悪く言われると、必ずと言ってよいほど「アベノミックスは、これからだ~!」と敏感に反論するが、確かに雇用は改善数値が出ているが、その実態は少子化の中での新規学卒と非正規雇用によるものだ。それに名目・実質賃金とも下落傾向で、とても「デフレからの脱却」と言えるものではない。更に留まる事のない株価の乱高下。これは中国経済のバブル崩壊が基本的影響によるものだが、そこへ日銀の貨幣増刷・国債の大量発行でピケティ曰く「麻薬のような禁じ手=株価買い支え」。とても「戦争関連法」強行成立(?)」カモフラージュになるどころか、新たな火種を抱え込んでいるのだ。
 「アベ」は「アベノミックスはアホノミックス」であることは、まだ認めたくないようで何故かマスコミが、あまりドッコイショしてくれないものだから「戦争関連法」強行成立(?)」を成したのだから、もう気が済んだのではと思うのだが、また25日になって「野党が『戦争法案』『徴兵制導入につながる』などと“レッテル貼り”をした」とブツブツ言い出した。本当に「ワガママオボッチャマ」だ。
 そこで、まだまだ続く「戦争関連法」強行成立-抗議行動を更に紹介し「アベ」をイライラ「安倍内閣―打倒!」にリベラル野党がボヤボヤしないように統一・共同運動の盛上げ再現を構築しよう!

《続々、続く「暴行採決(?)」から成立(?)に抗議声明》
<【JCJ声明】違憲の「戦争法」強行採決に抗議!安倍内閣の退陣を要求>
 安倍政権と自民・公明両党は19日未明「戦争法案」と呼ぶのが最も相応しい安全保障関連法案を、国民の大多数の反対を押し切って参議院本会議で採決を強行し成立させた。
 私達、日本ジャーナリスト会議は、憲法を破壊し立憲主義を否定する、稀代の悪法と言うべき同法の成立を認めない。私達は憲政史上最悪の安倍政権の暴挙に対し、満身の怒りを込めて抗議し同法の速やかな廃止を強く要求する。私達が「戦争法」に反対する理由は以下の3点にある。第1に同法の違憲性が完膚なきまでに証明されていることだ。
 「憲法の番人」とされる最高裁長官はじめ、75人の元裁判官が「違憲」と表明したのは、安倍政権の危険な方向を示して余りある。歴代の内閣法制局長官や圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反」と指摘していることを、安倍政権は真摯に受け止め畏れるべきだ。第2に安倍政権が「戦争法」を必要とする根拠とした立法事実が根底から崩れていることだ。首相が麗々しく持ち出した「邦人を乗せた米艦防護」は「絶対的なものではない」(中谷防衛相)と事実上否定。ホルムズ海峡での機雷掃海についても、首相自らが「現実に発生することを具体的に想定はしていない」と立法の根拠を撤回している。こうした非現実的な立法根拠を基にした「戦争法」は、根底から破綻したことが明白となっている。第3は自衛隊をアメリカの戦争に際限なく参戦させようとしていることだ。「戦争法」の本質は、アメリカの要請に応えていつでもどこにでも自衛隊を地球規模で派兵するというものだ。対米従属の政策を最優先する安倍政権は、自衛隊を「殺し殺される」戦闘現場に投入しようとするが、首相はリスクが高まることを認めない。黒を白と言いくるめ、すり替えと強弁で国民を欺く態度は、首相失格の証左と言わなければならない。憲法解体を図る安倍政権の暴挙は、戦後70年の日本の民主主義に大転換を強いようとしている。だが私達は絶望しない。「戦争法」反対に結集した市民は、先の大戦体験者をはじめ、働く現役世代、学生や若い母親達等、各分野・各階層から個人が自発的な意思で声を上げ始め、採決強行後もその声は強まり広がりつつある。
 私達は、全てのジャーナリストに対し安倍政権追及の取材・報道を強化するよう呼びかける。
 私達は「戦争法」の廃止と安倍政権の退陣を要求し、その実現へ全力を挙げて闘う決意を表明する。
2015年9月19日
日本ジャーナリスト会議(JCJ)


<戦争法案の強行可決に抗議する声明:2015.09.19/自由法曹団京都支部>
自由法曹団京都支部は、以下の声明を発表しました。
【戦争法案の強行可決に抗議する声明】

 本日、憲法違反の安全保障法案(戦争法案)が参院本会議で強行可決・成立した。本法案は憲法が規定する「平和主義」「立憲主義」「民主主義」に全面的に反するものであり、本法案が憲法違反であることは明確で有り、絶対に容認できない。自由法曹団京都支部は満身の怒りを持って強行可決に強く抗議する。
 国会論戦を通じて、戦争法案には何ら立法の必要性がないことが明らかになった。安倍首相が集団的自衛権行使容認の唯一の具体例としてあげたホルムズ海峡の機雷掃海も根拠から取り下げざるを得なくなった。戦争法案が規定する集団的自衛権行使の規定が憲法9条に違反することは、私達弁護士はもちろんのこと、元最高裁判事達、内閣法制局長官達、大多数の憲法学者が一致して表明しているところであるにも関らず、それらを無視して法案可決が強行された。戦争法案廃案を求める市民の声は日増しに拡大し、かつてない国民運動となった。国会包囲の大規模デモをはじめ全国各地で市民の自発的な運動が大きく拡がった。
 京都においても、5千名規模の集会が度々、開催された他、1千名を超える参加のパレードが連日行われ、府下の各地で連日街頭に大勢の方々がマイクを握り宣伝行動が行われた。こうした国民運動の拡がりが、危機感を抱いた政権与党の暴力的ともいえる異常な国会運営をもたらした。自由法曹団京都支部は、広範な人々との共同を更に進め、戦争法の発動や基地強化など戦争する体制づくりに断固反対し、安倍政権を早期退陣に追い込み、戦争法廃止を早期に実現するために運動していく。そして安倍政権によって危機に瀕している平和主義、立憲主義、民主主義の回復を図り、憲法を擁護し憲法を暮らしに生かしていくために全力を尽くすことを表明する。
 2015年9月19日
自由法曹団京都支部
   
幹事長 中 村 和 雄


<カトリック正平和協等「戦争法」成立に抗議>

 「戦争関連法」が19日未明、参院本会議で可決・成立したことを受け、日本カトリック正義と平和協議会は同日「参議院本会議における安全保障関連法の強行採決に厳重に抗議し、法律の廃止を求めます」とする抗議声明を発表した。また国会前等での抗議集会を開いてきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」も同日「政府・与党は強行採決に次ぐ強行採決を重ね、日本を海外で戦争する国にする憲法違反の戦争法を成立させた。私達は満身の怒りを込めて抗議する」等とする声明を発表した。日本キリスト者平和の会は20日「戦争法案に反対する宗教者の会」のサイトなどで、抗議声明を発表。「私達は今、分かれ道に立たされて平和か戦争か、命か死か、そのどちらを選ぶか、神に迫られています」と述べ、カトリック、聖公会、プロテスタント等の各派で同法に反対する声が上げられてきたことに触れた。宗教者の会のサイトでは、日本宗教者平和協議会も19日、抗議声明を発表。同法に対するこれまでの説明不足を指摘し、陸海空の自衛隊を一体運用する防衛省の統合幕僚監部が、同法成立前から新たな部隊運用の資料等を作成していたことに触れ「その真相解明もないままに成立を強行するなど断じて許されない」と非難した。「憲政史上最悪の憲法破壊の今回暴挙を断固糾弾し、撤回を強く要求して引き続き奮闘する」としている。
一方、国際基督教大学客員教授(憲法学)の稲正樹教授(日本基督教団所沢みくに教会員)は、本紙の問い合わせに対し参院本会議前に参院 平和安全法制特別委員会で同法案が議決されたことについて、225人の弁護士有志が発表した議決の不存在確認と審議の再開を求める声明に「全面的に同意」すると述べるとともに、次のようなコメントを寄せた。
「特別委員会の『採決』の様子はテレビで見ていました。議事の速記録(未定稿)でも『議場騒然、聴取不能』です。テレビで見る限り、『採決動議、法案2本、付帯決議、委員会報告の5つを採決した』ということですが、何事かを与党議員が一方的に発言し、それに付和雷同して挙手をしているらしいしぐさが映っていましたが、委員長の議事進行は全くなかったです。このように特別委員会の『採決』は『採決』といえる代物ではありません。本会議での可決の放映を確認していないので何とも言えませんが、委員長の本会議での『報告』はどうなったのでしょうか。『希望』を語るとすれば、今回の違憲法案を数の力で押し切り、立憲主義と議会制民主主義を踏みにじった政府・与党に対しては、国民主権に基づく国民の厳粛な裁断が下ることを心から希望します。全ての『正しい裁き』は正義と真理と愛の全能の神が下されることを確信します。今回の一連の事態は、私達国民に国民主権をどうすれば正当に行使できるかを教えてくれました。憲法を踏みにじって『いつでも、どこでも、切れ目なく』自衛隊を世界の戦場に送るために戦争法案の成立に突き進んだ安倍政権の振舞い方を目の当たり にして、憲法的秩序を踏みにじる専制政治に直面して、私達国民の中に、日本国憲法を国民の手に取り戻そう、今こそ主権者である国民の出番である(杉 原泰雄『憲法読本・第4版 』岩波ジュニア新書、2014年)という意識が徐々に芽生え、確信になり、そして広く伝播していく契機が生まれてきた事を実感しています。この事に希望を持ちたいと思います」なお稲教授は、自らが所属する日本平和学会のウェブサイト「安保法制 100の論点」で「戦争法」が成立した場合、その憲法適合性を争うために、どのような憲法訴訟が可能かを論じている。

<「戦争法」成立に声明相次ぐー各地の団体>

「戦争関連法」の成立を巡って19日、各地の団体が反対・賛成の声明や談話を相次いで出した。作家の浅田次郎氏が会長の日本ペンクラブは「民主主義を、おざなりな多数決に堕落させ、戦後の日本社会が培ってきた平和主義、世界中の人々からの信頼を壊した」。日本原水爆被害者団体協議会も「安倍内閣および政権与党の暴挙に強く抗議する」とした。海外の紛争地で医療支援を行うNGO等でつくるNGO非戦ネットは「安保関連法制は平和主義国家としての日本のイメージを一変させる」。その上で「テロの標的となる危険性は格段に高まる」と法律の見直しを求めた。 新潟県弁護士会の平哲也会長は「おかしいだろ、これ。」という一言の談話を出した。取材に「抗議の思いを端的に表して、多くの人に伝えたかった」。
 一方ジャーナリストの櫻井よしこ氏(日本会議=保守団体)らでつくる「平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム」は、法案の成立を「『抑止力』は飛躍的に高まる」と歓迎。「法制の意義と必要性は、今後時間の経過と共に必ずや多くの国民が理解し、受け入れるものと確信している」とした。経団連や日本商工会議所、経済同友会のトップは「日本の安全保障体制強化に向けた大きな一歩」等と各々、成立を評価する声明を出した。

【戦争関連法の成立で声明や談話を出した主な団体や団体の代表】
〈「戦争法」反対〉日本弁護士連合会会長、全国保険医団体連合会、日本児童文学者協会、全日本教職員組合、自由人権協会、日本平和委員会、日本消費者連盟、消費者・生活者9条の会、立正佼成会、真宗大谷派、日本ジャーナリスト会議、日本民間放送労働組合連合会
〈「戦争法」賛成・評価〉平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム、経団連会長、日本商工会議所会頭、経済同友会代表幹事(*財界-武器商人・右翼団体ばかり)
(民守 正義)