「戦争法案-強行採決(?)」の副作用(1)

「戦争法案-強行採決(?)」の副作用(1)


《「安保法制必要が7割」はインチキだった! 産経、フジテレビの世論調査》
「安全保障法制の必要性については、先週より15ポイント以上多い69.4%が『必要』と答え『必要ではない』と答えた人を大きく上回りました」9月21日放送の『みんなのニュース』(フジテレビ)を視聴していて思わず耳を疑った。19日・20日に実施したFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査で“安保法制は必要”が約7割に達したというのだ。共同通信や朝日新聞、毎日新聞の世論調査では6割以上が“安保法案に反対”と答えていたにも関らず、本会議可決後の世論調査で「必要」が7割?これはどういうことなのかと思い、産経新聞やFNNのニュースサイトを見てみると、確かに、こんな見出しが躍っていた。
〈安保法制整備は7割が「必要」〉(産経ニュース)〈安保関連法の整備「必要」と考える人はほぼ7割に-FNN世論調査〉(FNN)どうやら聞き間違えではなかったらしい。だが世論調査の結果を、よく読んでみると妙なことに気がつく。例えば同調査での〈安全保障関連法案が、与党と野党3党の賛成多数で国会で成立しました。法案が成立したことを、あなたは評価しますか、評価しませんか〉という別の質問に対しては、「評価する」38.3%「評価しない」が56.7%と“法案成立”に関して「評価しない」が大きく上回って いる。また〈安全保障関連法案を巡り、国会で十分に審議は尽くされたと思いますか、思いませんか〉という質問にいたっては「思う」が18.0%に対し「思わない」が78.4%。実に約8割が“議論は十分に尽くされていない”と考えているという結果がでているのだ。それが、いったい、どうやったら“7割は安保法制が必要”という結果と両立するのだろう。実は件の“必要性”を問う設問の文章を読めば、その答えがわかる。以下がその正式な質問文だ。〈あなたは、日本の安全と平和を維持するために、安全保障法制を整備することは必要だと思いますか、思いませんか〉FNN産経合同世論調査では、これに「必要」(69.4%)と「必要ない」(24.5%)で答えさせていたわけだが、ここには2つの問題点がある。一つ目は質問文の“枕”に「日本の安全と平和を維持するために」という言葉を、こっそり忍ばせている事だ。いうまでもないが今回、安倍政権が強行した「戦争法制」はむしろ、日本が戦争に巻き込まれるリスクを増大させると指摘されている。これは専門家からも指摘されており、だから、あれだけの反対運動が起きたのに、この調査ではわざと「日本の安全と平和を維持するために」とポジティブな理由があることを強調して「必要」と答えたくなるよう誘導しているのだ。もう一つはもっと悪質だ。冒頭で紹介したように『みんなのニュース』では「(「必要」が)先週より15ポイント以上多い」と報道したが、実は、この「先週」にあたる12日・13日両日のFNN産経合同世論調査の結果を調べてみると、該当すると思われる設問の文章はこうなっていた。〈あなたは、日本の安全と平和を維持するために、安全保障関連法案の成立は必要だと思いますか、思いませんか〉(「必要」52.7%、「必要ではない」38.7%)そう、質問自体が「安全保障関連法案の成立」から「安全保障法制を整備」にコッソリ変えられていたのだ。つまり前回調査では安倍政権による「戦争法案」への評価を聞いているのに対し、今回の調査では「安全保障法制の整備」と、まるで“日本の安全保障を巡る一般論”として聞いているかのような印象を与えるようにスリカエられていたわけである。更に法案可決直後という時期に約15ポイントも増加していることを踏まえると、調査に応じた人達の中には“可決された安保法案は必ずしも成立が必要だったとは思えないが、一般論としては「整備」が必要だ”と考えて「必要」と答えた人が一定数いると想像できる。更に“政府による安保法制は穴だらけだから、今一度、国会を通して「整備」した方がよい”と考えて答えた人もいるかもしれない。もしそうであったならば〈法案が成立したことを、あなたは評価しますか〉という別の質問に対し「評価しない」が約6割だったこととも矛盾しないだろう。いずれにせよ問題の“必要性”に関する設問が、曖昧かつ多重的に意味の取れる文章であったことは間違いない。そして法案可決直後の調査という、このタイミングで質問文に細工を加えていることを考慮すると、これは意図的な“誘導質問”だったと見るのが妥当だろう。要するに“安倍御用メディア”のフジサンケイグループは、国民の大多数の反対を押し切って「戦争法案」をゴリ押しした安倍政権をフォローするために、質問文を変更することで“世論操作”を行ったのだ。
 本サイトで既報のとおり、産経新聞とFNNは、前回も偏った自社世論調査を行い、それを下に「デモ参加者は一般市民でない」「特定政党支持者」とするデタラメな論評記事を掲載する等の安倍応援団っぷりをみせた。しかし質問項目自体を改竄して、安倍政権に有利になる結果を導くよう操作したとなれば、さすがに報道機関として度がすぎていると言わざるをえない。最近、ネット右翼や安倍シンパ達が「戦争法制」に批判的な『報道ステーション』(テレビ朝日)や『NEWS 23』(TBS)に対し「公正中立じゃない!」「放送免許取り上げろよ!」等と、がなりたてているが『報ステ』や『23』の場合、せいぜいキャスターや コメンテーターによる“論評”でしかない。これはあくまで報道事実という一次データに対する二次的なものだ。それに対して今回、フジサンケイグループは世論調査自体に策謀を仕掛け、政権に都合のよい一次データをつくりあげていたわけである。そして『みんなのニュース』で見られたように、自社が意図的につくりあげた一次データを元に繰り返し強調して報道を行っているわけだから、これはもう“偏向報道”を超 えた“捏造報道”と言うほかないだろう。はっきり言ってフジサンケイグループは、もはや報道機関の体をなしていない。
政権にひたすら媚びへつらう、その様はまるで安倍政権の寄生虫。ネットで“ウジテレビ“等と揶揄されるのも当然だろう。(管理者:視聴者も「フジサンケイ」の虚偽報道は常識。私自身が証拠満載にある:リテラ)

《「違憲の法律従えず」元経済企画庁長官 田中 秀征氏》
私は今回、成立したとされる安全保障関連法(戦争法)を法律として認めるつもりはない。憲法違反の法案は国会で可決されたからといって合憲にはならないからだ。もちろん違憲立法は無効だから、政府がそれに基づいて国民や自衛隊に義務を課し、協力を求めても従う人は少なくなる。事の始まりは昨年七月の集団的自衛権行使容認の閣議決定だ。ここから集団的自衛権の行使に向かう安保(戦争)法制の整備、ガイドライン(日米防衛協力の指針)の改定への異様な突進が始まった。安倍(戦争)首相は米議会での演説で、安保(戦争)法制を「戦後最大の改革」と豪語し、新ガイドラインを「真に歴史的な文書」と自賛した。しかし、それならば何故、憲法改正(改悪)と日米安保条約の再改定という当然の王道を通らなかったのか。六〇年安保世代の私は、今回の改革が、それを上回る「戦後最大の改革」であることに異議はない。ならば何故、祖父である岸信介元首相のように正々堂々と改革の王道を進まないのか。まるで正門が開いているのに、わざわざ裏門からこそこそ潜入した印象だ。我々は違憲な法律を認めないとともに、昨年の閣議決定を撤回し、この法律を全面的に見直すことを目指さなければならない。昨年の総選挙で民主党等は「閣議決定の撤回」を目玉の公約とした。民主党が全滅しなかったのは、この公約によるものだろう。確かに「撤回」は困難だが不可能ではない。それを期待させる新しい動きも始まっている。思いあまって街頭に出た学生など多くの有権者に、悪しき流れに待ったをかける底力を感じた。日本の政治を今の政府や国会に任せておいたら劣化が深まるばかりだろう。
 今回の事態が政治刷新のまたとない機会となれば、災いを転じて福となすことができよう。
 <たなか・しゅうせい>1940年生まれ。福山大客員教授。元経済企画庁長官等を歴任。

《全国商工団体連合会が「戦争法の廃止と即時退陣を要求」声明》
全国商工団体連合会が9月19日「【抗議声明】安倍政権に断固抗議し、戦争法の廃止と即時退陣を要求する」を発表した。以下は、その全文である。

【抗議声明】
安倍政権に断固抗議し、戦争法の廃止と即時退陣を要求する

2015年9月19日
全国商工団体連合会 会長 国分 稔

 安倍自公政権は本日未明、米軍に隷属し「海外で戦争する国」へ国のあり方を根本的に転換する戦争法案を、参議院本会議で採決を強行し成立させた。憲法違 反が明白となり、立法の根拠も総崩れした法案を、国民大多数の反対の声にも耳を貸さず押し通すという、民主主義のルールさえ踏みにじる憲政史上最悪の ファッショ的暴挙に満身の怒りをもって抗議するものである。

【違憲は明白、根拠も欠如】
 戦争法案の違憲性は誰の目にも明らかである。
 この法案には、憲法学者も「憲法の番人」とされる最高裁判所の元長官や判事も、政府の憲法解釈を担ってきた内閣法制局の元長官も、人権の守り手である日本弁護士連合会も「違憲」だと断じ、立憲主義に反する暴挙だと反対の声をあげた。
 国会審議を通じ、政府が安保法案を必要としてきた立法事実がそもそも存在しないことが明らかになった。安倍首相が集団的自衛権行使の典型例としてきた中 東・ホルムズ海峡の機雷掃海について、「現実の問題として発生することを具体的に想定しているものではない」と認めた。また、日本人の母子輸送中の米軍艦 船防護の問題でも、「日本人が乗っていない船を守ることもあり得る」と述べた。
 ごまかしの事例をあげ、歴代内閣が継承してきた憲法解釈を一内閣の判断で変え集団的自衛権の行使に道を開くことは、わが国が憲法9条をもとに築いてきた 平和国家としての価値を貶めるばかりか、逆にアジア・太平洋地域での軍事的緊張を高めわが国の平和と安全を損なうことは明らかである。
 首相は「国民の理解がすすんでいない」ことを認めざるを得なかった。直近の世論調査でも6割の国民が「今国会での成立」に反対、8割の国民が「政府の説 明が十分でない」としている。国会での多数をたのみ、国民の声や専門家の意見も無視する傲慢な態度は、民主主義にも憲法の主権在民の原則に反するばかり か、反知性主義という批判さえ高まり、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)など若者らの反対運動が全国でまきおこった。
 民商・全商連も戦争法案阻止の全国キャラバンを行うとともに全国各地で草の根の宣伝・署名と共同行動を広げ、「平和でこそ商売繁盛」と世論の高揚を作り 出してきた。こうしたなかで多くの会員・仲間が立ち上がり、世代を超えて一人ひとりが自分の考えで立ち上がり行動に参加する「新たな民主主義が生まれてい る」ことを未来への希望として確信にしたい。

【憲法に反する法律は無効。廃止できる国会を】
 たたかいはこれからである。そもそも憲法に反する法律は無効である。

 学者や弁護士により違憲訴訟も準備されているが、違憲の法律が実行され戦闘地域での兵たん、戦乱が続いている地域への自衛隊の派遣、米軍防護のための武器使用、そして集団的自衛権が行使されることのないように国民各層とともに力を合わせて運動をすすめるものである。
 そして、戦後70年間、日本国憲法の下で培われてきた平和主義、立憲主義、民主主義を根本から破壊する安倍内閣の責任を問い、断罪しなければならない。
 私たちは安倍首相の即時退陣を要求する。そして、今後の選挙で戦争法制に賛成した議員を二度と国会に送らないように全力をあげ、戦争法廃止に向けて奮闘するものである。
以 上
(民守 正義)