「戦争法案-粉砕」から「安倍政権‐打倒へ」(42)

「戦争法案-粉砕」から「安倍政権‐打倒へ」(42)


《「戦争関係法」違法訴訟が次々に予定》

<「戦争法案」強行採決(?)に対し、各地で違憲訴訟の可能性>
「戦争関連法案」の強行採決(?)に対し今後、差し止め訴訟が各地で起きる可能性がある。
 三重県松阪市の山中市長は法案成立後に公布するための閣議決定等の差し止めを求め、東京地裁に仮処分を申し立てるとともに16日に提訴した。山中市長は「地方議員や弁護士らと連携し、全国の地裁に集団的自衛権を前提とした安保法制は違憲だと訴える訴訟を起こす準備を進めている」としている。訴状では「戦争関連法案」は歯止めのない集団的自衛権の行使に繋がりかねず、憲法9条に反すると主張している。記者会見では「憲法の理念を政権が壊してしまう重みを国民全体で改めて考えないといけない」と述べた。また東北6県の住民による自衛隊監視差し止め訴訟の原告側弁護団は仙台高裁に提出する最終準備書面に「戦争法案」を巡る政府の対応が常軌を逸していると批判する内容を盛り込んだ。書面では「元最高裁長官らの批判を無視し、違憲の法案の成立を強行している」と厳しく批判した。
 訴訟は、イラク派遣に反対する市民集会を自衛隊の情報保全隊が監視したのは違憲として提訴し、仙台高裁で係争中。(共同)

<「採決不存在確認訴訟」で参議院平和安全保障特別委員会へ差戻しを>
弁護士有志(225名)は、そもそも「開会宣言(議事内容提示等)なし、採決議事録なし、賛否人数なし、地方公聴会(横浜)報告なし等々で、あるのは騒乱状態のテレビビデオだけ」という事で「参議院規則及び会議体の議決の一般原則への違反」による「採決不存在確認訴訟」を起こす事を予定している。前章、松坂市長が中心に進める「戦争関連法案違憲訴訟」があるが、これは訴訟対象になる具体事実がないと、一般的には棄却の恐れも大きい。
その意味でも本訴訟の方が裁判所も判断し易くハードルも低い。特に本訴「採決不存在確認訴訟」までに「仮事務執行停止」も得られやすく安倍政権にとっては、それだけでも痛手だ。ただ「採決不存在確認訴訟」でも同関連法公布より早く行った方が「採決不存在確認」は、より得られやすい。付言であるが行政府(安倍政権)は、この間「憲法の番人は最高裁」と言っておきながら「最高裁は違憲判決を、よう出さない(「高村」等)」とも言い放し司法界を相当、怒らせている。加えて、あの暴行・騒乱の「強行採決(?)」テレビビデオを裁判所に証拠提出すれば、どの裁判官も「民法-公序良俗違反」+「会議体の議決の一般原則への違反」に判断せざるを得ない。因みに「鴻池」が物的証拠なく「口頭」だけで「採決は正常に行われた」と主張しても特別委員長=当事者だけに証言適格に欠ける上、なんと言っても暴行・騒乱の「強行採決(?)」テレビビデオが事実証拠として強烈だ。
どうだ!闘いの手は、まだまだある。諦めずに頑張ろう!

《「戦争総理=安倍総理!」「戦争関連法案‐廃案!」の声・抗議行動!》
<「戦争法」賛否・デモの報道…新聞各紙、二極化する論調>
戦後日本の大きな転換点となった「戦争関連法」の成立や抗議デモを、国内の新聞・テレビはどう報じたのか。朝日、毎日、読売、産経、東京の在京5紙は19日付1面(最終版)に、法案成立への賛否を示す論文を掲載した。朝日新聞は「民意軽視の政治問い続ける」との長典俊・ゼネラルエディターの論文を掲載。「憲法に抵触する疑いが強い法制だ。成立しても、なおその是非を問い続ける」とした。毎日新聞は小松浩・論説委員長が「国家の過ちに謙虚であれ」の見出しで「国民の支持のない自衛隊の海外派兵はあってはならない」と指摘。東京新聞は深田実・論説主幹が「不戦の意志貫こう」とし憲法9条の条文を添え「法律が成立しても国民多数が望まぬなら不用にできる」と訴えた。
一方、読売新聞は田中隆之・政治部長が「戦禍を防ぐ新法制」として「強大化する中国と向き合い、必要最小限の抑止力を維持できるようになる」と評価。産経新聞も「視点」で「中国の脅威に抑止力強化」の見出しで成立を評価し「自国存立のために集団的自衛権を行使できるようにするのは当然だ」とした。各地の反対デモの取り上げ方も5紙で分かれた。
最大規模となった8月30日の国会周辺での反対デモ。朝日、毎日は翌31日付朝刊で1面2番手の扱いを含め3ページにわたり掲載。朝日の長ゼネラ ルエディターは「カウンターデモクラシーの萌芽の動きとして注目すべき事象と判断した。
しかし「反対」だけに焦点を当てるのではなく「人々を街頭へと突き動かしたものは何か」を考えるという視点から記事の構成を考え、紙面扱いを判断した」とした。東京は31日付朝刊1面トップをはじめ、6ページにわたり全国のデモを紹介。参院特別委の中央公聴会を報じた9月16日付朝刊では、学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー奥田愛基さんの発言を全文掲載した。3紙は積極的に各地の反対デモを取り上げた。一方、読売は8月31日付朝刊社会面で、29日にあった賛成デモと併せて反対デモを紹介。9月17日付朝刊社会面で「デモ国会周辺緊迫・寝そべり・通行妨害」の見出しで、デモの主催者発表と警察集計の参加人数の開きを指摘し、60年安保闘争のデモに参加した大学名誉教授の「当時は安保改定が何なのか、よく分からないままデモに加わったが、後に必要だと理解できた」との談話を添えた。
読売新聞グループ本社広報部は「記事掲載の経緯や判断は従来お答えしていませんが、安保関連法案をめぐる抗議行動など様々な動きは、紙面で適切に報じています」としている。
 産経は8月31日付朝刊社会面で「SEALDs(シールズ)」の分析記事を掲載。公安関係者の見方や共産党の機関紙・赤旗が大々的に掲載した経緯に触れ「実態は不明な部分もある」と書いた。産経新聞広報部は「個別の記事や特定の記事に関することはお答えできません」としている。
 各紙の論調やデモの扱いの違いについて、慶応大の大石裕教授(ジャーナリズム論)は、新聞が果たす役割が論説や解説へ移っている点に着目する。「スマホに最新のニュース一覧が並ぶ時代に新聞も様変わりを求められ、論調の違いが最大の個性になった。記事の切り口や扱いは社の論調に影響されやすく、メディア環境の変化が二極化に拍車をかけた」と話す。

■テレビ各社、扱う時間に差
 テレビも安保国会とデモの様子を連日伝えたが、扱う時間には差もあった。
 最終盤の5日間(14~18日)、NHKと在京民放計6局の夜のニュースを比較した。NHKの「ニュースウオッチ9」テレビ朝日の「報道ステーション」TBSの「NEWS23」フジテレビの「あしたのニュース」は放送時間(CM含む)の4割前後を割いた。一方、日本テレビの「NEWS ZERO」は1割強、テレビ東京の「WBS」は1割未満だった。17日の参院特別委の採決の混乱には、各局から批判のコメントが相次いだ。報ステの古舘伊知郎キャスターが「私は強行採決だと思います」とコメント。「NEWS23」の岸井成格アンカーは「国の形を左右する重要法案とは思えないような無様な形の強行採決でした」。「ZERO」の村尾信尚キャスターも「この法案、まだまだ議論が足りません」「ウオッチ9」の河野憲治キャスターも「言論の府とは思えない光景。与野党とも他の対応はなかったのか」と語った。NHKは7月15日の衆院特別委を採決の瞬間しか中継せず視聴者から批判を浴びた。9月17日の参院特別委はニュースを拡大し、19日午前0時過ぎからの参院本会議も、予定を変更して採決まで中継した。上智大の音好宏教授(メディア論)は「制約の多い国会中継の枠ではなくニュースという形で報じたのではないか」と話した。

<「地域安定に寄与」「国際社会が憂慮」-「戦争法」に各国声明>
「戦争関連法」の成立を受け、各国は相次いで声明を発表した。日本への期待と懸念が交錯した。
米国務省と国防総省は18日(日本時間19日)「(日米の)同盟を強化し、地域・国際社会の安全保障の行動において、より積極的な役割を果たそうと日本が進めている努力を歓迎する」とした。
 南シナ海の領有権問題で中国と激しく対立しているフィリピンはデル・ロサリオ外相が歓迎。その上で「日本との戦略的パートナーシップを強める様々な取り組みを期待する。地域の平和と安定、国際社会の繁栄という共通の目的に大きく寄与する」とした。ターンブル新首相が誕生したばかりのオーストラリアも歓迎姿勢だ。アンドリュース国防相は19日、豪州が進める次期潜水艦導入計画との関係に言及。「日本の国防政策の改革は、日豪間の国防・安保協力を更に強めるもので、それには潜水艦の競争評価プロセスへの参加も含まれる」とした。一方、中国外務省は19日未明、外交ルートを通じて日本側に対し「歴史的原因から日本の軍事動向には強い関心がある」との立場を伝えた。国防省は同日「日本の平和憲法の制限を打ち破るものだ」と批判。日本が「軍事同盟を強化し海外派兵を強化しようとしていることは、日本の民衆と国際社会の強烈な憂慮を招いている」と懸念を表明した。
 韓国は外交省報道官が「戦後、一貫して維持してきた平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与するよう、透明性をもって推進すべきだ」との論評を発表。その中で「韓(朝鮮)半島の安全保障及び、我々の国益と関連した事案については、我々の要請や同意のない限り、集団的自衛権の行使は認められないことを改めて明確にしたい」とした。
(民守 正義)