「戦争法案-反対」の蠢き(38)

「戦争法案-反対」の蠢き(38)

《「戦争総理=安倍総理!」「戦争関連法案‐廃案!」の声・抗議行動!》
<議論が「熟す時」等やってくるはずのない「戦争関連法案」>
衆議院段階で議論が消化不良のまま強行採決された「戦争法案」は、参議院の審議によって益々、意味不明の度合いを強めている。 何故かと言えば、法案が曖昧に作られている上、政府答弁が二転三転するからである。従って殆ど質問と答弁は噛み合わない。噛み合わないまま審議時間だけが過ぎていく。一見すると安倍政権が提出した「戦争法案」は「真にお粗末な法案」に見える。
 しかし、それを「お粗末だ」と批判するだけで阻止できるかといえば甘いかもしれない。安倍政権は当初から「戦争法案」を意図的に、そのように仕組んでいるかもしれないのである。 表で「国民の理解を得るようしっかり議論する」と言いながら、実は法案を誰にも理解できない内容にして国民の頭を混乱させ、理解できない答弁を繰り返すことで国民から合理的な判断能力を奪う目的かもしれない。 そう考える理由は、私が以前「フーテン老人世直し録」に書いたように、安倍政権が真似をしようとしているのが「ナチス」の手法だからである。2013年の参議院選挙に勝利して「ねじれ」が解消すると、麻生副総理はハッキリと、それを口にした。
 改憲派の会合で麻生副総理は「ヒトラーは選挙で選ばれた。ドイツ国民はヒトラーを選んだのですよ。間違わんでください。そして彼はワイマー ル憲法という当時、ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあって出てきた」と発言した。麻生副総理は先ず「ファシズムは民主主義から生まれた」事を説明したのである。
次いで「憲法は、ある日気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言した。会場には安倍支持者しかいないと思ったのか、麻生副総理は安倍政権の目的を正直に吐露した。つまり「ナチスの政治を真似ること」 が安倍政権の目的なのである。
実際、ヒトラーは権力を握るとワイマール憲法の順守と国際的平和主義を宣言して国民を安心させ、一方で中央銀行総裁シャハトと組み、巨額の手形を振り出して経済を好転させ、経済不況に苦しむドイツ国民を救済した。そのまた一方、国会議事堂放火事件を口実に共産党を弾圧し、緊急事態を口実に全権委任法を成立させてワイマール憲法を骨抜きにした。
独裁権力を獲得したヒトラーの手法について、慶応大学-片山教授は著書『国の死に方』の中で、ヒトラーはスターリンのように敵を粛正して権力を一元化したのではなく、民主憲法に縛られる政府と全体主義的な政党(ナチス)の二元体制を作り、責任の所在と役割分担を曖昧にする事でドイツ国民の合理的な判断能力を奪い、独裁権力を握ったと解説している。
ヒトラーは新たな政策を次々に国民に提案し、新組織を次々に立ち上げる事で国民に考える時間を与えず、更にメディアを支配して共産主義者とユダヤ人が外国と手を組みドイツの転覆を図っているとのプロパガンダを流す。そしてベルリン・オリンピックを最大限に利用する事で独裁権力を掌握したのである。麻生発言以来の安倍政権は、まさしく国民に考える暇を与えないほど次々に新提案を行い、また新組織を続々立ち上げ、更にメディアの中枢NHKを人事で掌握し、中国や韓国を擁護するいわゆる「自虐史観」の日本人を敵として、憲法改悪を伴わない憲法体制の骨抜きに乗り出した。
 安倍政権の依って立つ権力の源泉は選挙で得た議席数である。従って「民主主義は多数決」という論理を振りかざす。
しかしヒトラー独裁を肌身で経験したヨーロッパで「民主主義は多数決」という論理を信奉する者はいない。むしろ大衆の支持する政治は民主主義を破壊する可能性ありと考える。「少数意見の尊重」こそが民主主義なのである。ところが民主主義に未熟な日本では「戦争法案」を巡る対立が民主主義と立憲主義の戦いになった。安倍政権は選挙で多数を得た事を最大の根拠として「戦争法案」を押し通そうとする。
 一方、反対する側は法案が憲法違反である事を根拠とし、憲法に従わなければならない政治家が憲法を無視する事は許されないと反対する。しかし麻生発言を思い起こせば、安倍政権にどれほど立憲主義や民主主義を訴えても聞く耳を持つはずはない。むしろ意図的に議論を混乱させ、意味不明にする事を使命だと考え、しかもそれを「日本国民の生命と安全を守る唯一の道だ」と本気で思い込んでいる可能性がある。そして国民の法案に対する理解等なくとも、ヒトラーが国会放火事件を口実に全権委任法を成立させて憲法を骨抜きにしたように、日本周辺で国民に恐怖を与える事件が起これば、国民は簡単に操作できると考えるかもしれない。私は25日の特別委員会を見て、安倍(戦争)総理は論理で説得する事を全く考えていないとの印象を強く持った。維新の党-寺田参議院議員との質疑で、寺田議員は長年、秋田県知事を務めた経験から、日本の保守政治家の極めて常識的なものの見方を開陳し「戦争法案」に対する批判を展開した。
寺田議員の想いは、日本政治には他にやるべき事があるのに何故、今こんな議論をしなければならないのかと言う事である。現在の政治を寺田議員は「日本の国家は理性を喪失している」と表現し、「やるのなら憲法を改正するしかない。国民の理解がない法案は取り下げるべきだ」と安倍(戦争)総理に迫った。すると終始、目を瞑っていた安倍(戦争)総理が「しかるべくご審議を頂き、議論が熟した時には採決をして頂きたい。民主主義なので決めるときは多数決だ」と応じたのである。それを聞いて私は「議論が熟す時など永遠に来ない」と思った。「戦争法案」は初めから交わる議論をしていない。それが安倍政権の狙いなのだから、永遠に交わる事にならない。にも関らず採決をすれば日本国家は分断状態になる。分断国家に「抑止力」などあろうはずはなく、安倍政権は他国に「抑止力」を頼って自国を分断させた政権として歴史に刻まれる事になる。「戦争法案」を議論する意義は「抑止力」を高める事でも「安全保障力」を強める事でもなく、米軍による占領体制を独立後も継続させられてきた、この国の実態を国民に知らしめるところにある。そうした視点での議論の展開を私は期待する事にする。(田中良紹:ジャーナリスト)

<学者・法曹300人決起-安倍政権は全ての知性を敵に回した>
8月26日、日弁連の呼びかけで全国の法曹関係者と学者が大集結し「戦争法案」廃案に向けて一斉行動をスタートさせた。
7時間に及んだ訴えは講演からデモ行進まで多岐に亘ったが、圧巻だったのが著名学者や元最高裁判事、元内閣法制局長官らを最前列に、同法案に反対を表明した全国108大学の「有志の会」から駆け付けた学者や、同じく反対表明をしている52弁護士会の弁護士ら総勢300人が並んで会見、一斉に「違憲」「廃案」のボードを出した瞬間だ。「戦争法案」は今や、全ての知識人を敵に回したと言っていい。冒頭、日弁連の村越進会長が「これだけ幅広い法曹関係者と学者が一堂に集まり、総決起するのは恐らく過去初めて」と言ったが、大げさではない。各々の分野で“権威”とされる学者や法曹関係者が、艦砲射撃のように安倍批判を口にした。「総選挙で投票数の30%超しか獲得していない安倍政権が、選挙の争点でもなかった『戦争法制』を急に持ち出してきてゴリ押しする。戦前生まれの我々世代は到底、許す事ができない」こう言ったのは元最高裁判事の浜田邦夫さん。
2人の元内閣法制局長官は、こう続けた。「安倍政権は、憲法解釈の理論的整合性と法的安定性を覆そうとしている」(大森政輔さん)「ちょっぴりであろうと、たっぷりであろうと、憲法9条の下では集団的自衛権は行使できない」(宮崎礼壹氏)憲法学者の大家達は、こう言った。「既に『戦争法制』が違憲である事は明らか。今は安倍政権を存続させるのが良いのか悪いのか、許すのか許さないのかだ」(慶大-小林名誉教授)、「政府答弁は苦し紛れ言い逃れの連続だ。突き詰めて廃案に持ち込みたい」(早大-長谷部教授)また早大-水島教授は、統幕監部が法案成立前から勝手に動き出している事を問題視。「制服組がミリタリーの発想をダイレクトに政治に反映させようとしている」と批判した。“一斉行動”の凄い点は、ジャンルの異なる専門家が、各々まったく別のアングルから安倍批判をした点だ。
東大-上野名誉教授(社会学)が「立憲主義の危機だけじゃない。知性の危機、学問の危機、大学の危機に私達は同感して一斉に立ち上がったのです」と言えば、法政大-山口教授(政治学)は「安倍政治は野蛮そのもの。文明対野蛮の対立だ」と言った。名古屋大-池内名誉教授(宇宙物理学)も「大学が軍事研究の拠点になろうとしている」と指摘した上で「我々学者がいかに抵抗するか。これは長期戦になる」と徹底抗戦の構えを示した。また創価大-佐野教員は「中国など近隣諸国との友好関係を壊し、脅威や不安を煽る安倍政治の本質は人権侵害だ」と言った。例え「戦争法案」を強行採決で成立させたとしても、反対運動のウネリはどんどん大きくなるし長期化する。実は法曹関係者、学者の大同団結に続いて、文化人やジャーナリストらも合流する動きがある。彼らに共通するのは、反知性の野蛮政府を打ち倒し「戦争法制」を葬り去る事だ。安倍(戦争)総理がいくら国民の声を無視しようとも、もはや耳を塞ぐ事はできないだろう。(日刊ゲンダイ/一部-管理者編集)

<「民主主義ってなんだ」「これだ!」国会前「戦争法制反対抗議」に参加した米国人男性「米国が自衛隊を自分の軍事力にしたいのは明らかだ」( IWJ )>
「民主主義ってなんだ」「これだ!」。30℃を超す暑気に包まれた国会前で、憲法違反の「戦争法制」に反対する国民がコールを響かせた。8月7日に10回目を迎えたSEALDs主催の抗議では、7月31日に自民党-武藤衆議院議員がTwitter上で「利己的個人主義だ」とSEALDsを 名指しで批判した事に多くの怒りの声があがった。SEALDsメンバーのAさんは「戦争行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想じゃないですか」と反論。
この武藤議員の発言によって「戦争法案ではない」と安倍(戦争)総理が強調し続けている、この法案が紛れもない「戦争法案」だとバレてしまったと指摘した。
 同じくSEALDsメンバーのBさんも「家族や友人の、恋人の、自分の将来の子供達の命や生活が心配だから、より良いものにしていきたいから、今の当たり前の日常を大事にしたいから、だから私達は「おかしいことはおかしい」というのです。これが我がままでしょうか。利己的 個人主義でしょうか」と訴えた。抗議には若者だけでなく大人や老人、更に外国人の姿も目立った。米国から、この国会前抗議を見るためにやってきたという30代の米国人は「日本の外交を主導しているのは米国」だと断言した。
 「米国は自衛隊の戦力(Power)を自分の軍事力にしたいのは明らかです。米国は日米同盟で東半球を支配したいのでしょう。日本の自衛隊、経済力、人材や命を米国主導の戦争に巻き込みたいのは明確です」
(民守 正義)

《ガイド》
【拡散希望】SADL主催デモ情報「戦争法案に反対する関西大行動」
月日: 9月13日(日) 集合:16:00
*安倍(戦争)総理は9月14日にも参議院特別委員会での「強行採決」を仄めかしています。(8月31日:自民党幹部会議)
場所: 大阪 うつぼ公園
「戦争法案」に反対する全ての人に呼びかけます。関西の底力みせてやる。

〔署名案内〕
【署名活動】安倍内閣を憲法違反で訴えよ(AVAAZ.orgコミュニティ署名)
https://secure.avaaz.org/jp/petition/petition_5384b840a7a7a/?fdTAPhb&pv=36
【署名活動】集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し関連法律の改正等を行わないことを強く求める請願署名のお願い(日本弁護士連合会)
http://www.nichibenren.or.jp/news/year/2014/141215.html