「戦争法案-粉砕」から「安倍政権‐打倒へ」(21)
「戦争法案-粉砕」から「安倍政権‐打倒へ」(21)
《参議院「戦争法案-廃案!」と「安陪内閣打倒!」を目指して!》
<参議院平和安全法制特別委員会;概要(8/5)>
〔スポット1;中谷大臣「若い人は真剣に国を考えている」〕
中谷防衛大臣は同特別委員会において、自民党-武藤衆議院議員が、法案を批判している学生らの団体の主張を「利己的考えに基づく」等と、ツイッターに投稿したことに関連して「今の学生や若い人は、真剣に国や将来の事を考えていて、そうした事を思ったり言ったりする事は誰にも止められない。大いに深く考えて頂き、自ら学びながら真実を見つけてほしい」と述べた。
また中谷防衛大臣は「法理上は、核兵器を搭載した空母の防護や戦闘機への給油も可能となるのか」と質問されたのに対し、「法律上、排除する規定はないが、非核三原則は我が国の国是であり、しっかり守っていかなければならない。安全性の観点から、アメリカが核兵器に関係する輸送や護衛を他国に依頼するはずもない」と述べた。
更に中谷大臣は、小型の無人機「ドローン」を自衛隊で活用する可能性について「各種無人機の活用について検討を行っており、先だっても防衛省でドローンを使った実験もした。無人機で収集した情報については日米間での共有・活用を考えていきたい」と述べた。
〔スポット2;枝野幹事長(民主)「核運搬に関する答弁を追及」〕
枝野委員(民主)は、中谷防衛大臣が「戦争関連法案」の審議で、法案上は核兵器の運搬も排除されないという認識を示した事について「核兵器の輸送を行える事を明らかにした答弁だ」と述べ、厳しく追及していく考えを示した。中谷防衛大臣は「戦争関連法案」審議の中で、外国軍隊への後方支援での武器や弾薬の輸送について「法案上は核兵器の運搬も排除されない」という認識を示したが、「非核三原則があるので、想定していないし有り得ない」と強調した。これについて枝野委員は記者会見で「日本は核兵器の輸送を行えるという事を、明らかにした答弁だ」と指摘した。その上で枝野委員は 「これまで安倍内閣は武器輸出三原則等を大胆に緩和しており『非核三原則があるので、想定していない』と言っても、殆ど説得力を持たない」と述べ、今後の国会審議で厳しく追及していく考えを示した。
また共産党-穀田国会対策委員長は記者会見で「非核三原則との関係で核兵器の運搬ができない等と言っているが、憲法の解釈によっては色々な事が起こる事も有り得るので、極めて重大だということが明確になった。廃案以外にはない」と述べた。
《「戦争総理=安倍総理!」「戦争関連法案‐廃案!」の声・抗議行動!》
<集団的自衛権で対IS戦争に参戦?自衛隊が米軍と中東想定戦闘訓練実施>
28日、安倍(戦争)総理や中谷元防衛相は「戦争法案」関連で初めて中国を名指しし「中国が公船による領海侵入を繰り返している」「南シナ海で大規模かつ急速な埋め立てや施設の建設を一方的に強行している」と“仮想敵国”扱いして世論を煽っている。しかし一方で“もう一つのシナリオ”も着々と進んでいる。それは“アメリカの中東制圧戦争に自衛隊が参戦する”というものだ。
《陸自、安保法案先取り「戦地と同様」砂漠で日米訓練》
7月18日、西日本新聞がこんなスクープを報じた。内容は昨年1月から2月にかけて、陸上自衛隊が中東を模したアメリカの砂漠地帯にある陸軍戦闘訓練センター(NTC)で実戦を想定した日米合同訓練を行っていたというもの。日本側が投じた経費は実に3億5千万円。西日本新聞が防衛省に情報公開を請求し入手した陸自の報告書から判明したという。米カリフォルニア州にあるNTCは、約3500平方kmの広大な砂漠地帯に位置する。報告書によれば、日本側からは陸自富士学校の 「部隊訓練評価隊」が、アメリカ側からは陸軍の「第2師団第3ストライカー戦闘旅団」が参加。計28日間に及ぶ訓練の全期間にわたり「戦地と同様の規律で実施」され、救護や射撃訓練の他9日間、実戦形式で敵と戦う「対抗訓練」も行ったことが明記さていた。
しかし開示された資料の大半は“黒塗り”だったという。果たして、この合同訓練は日本の専守防衛を目的としたものなのだろうか。西日本新聞は、訓練を現地取材した軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之さんによる以下の状況報告を掲載している。〈菊池雅之さんによるとNTCにはアラビア文字の交通標識やモスクもあり中東風の集落が点在。訓練中はアラブ系俳優が住民に扮して生活し、民間軍事会社の戦闘員がテロリスト役を務めた。演習の想定について米軍からは架空の2国の間で国境紛争が起き、日米等の有志国連合が平和維持活動として侵攻国の軍やテロリストを制圧するシナリオと説明されたという〉
アラビア文字、モスク、アラブ系俳優が演じる仮想住民、テロリストに模した民間戦闘員……この大掛かりなシチュエーションが何を意味するか、誰でも想像がつくだろう。
7月30日の参院特別委では共産党の井上議員が、この日米合同訓練について質問した。
中谷防衛相の答弁によれば、この日米合同訓練に参加した陸自・富士学校部隊訓練評価隊の装備は、小銃、重機関銃、無反動砲(バズーカの一種)、対戦車誘導弾、戦車、装輪装甲車等だというが、こうして列挙するだけでも充実した殺人兵器を訓練に使用したことがわかる。だが、より恐るべきは米側の参加部隊であるストライカー旅団の戦歴だ。
井上議員が国会で米陸軍HP上のニュース等を下に説明したところによれば、このストライカー旅団というのは「全世界に96時間以内に展開する機動性を持った部隊」であり、中でも陸自が共同で演習した第3ストライカー戦闘旅団は「イラクへ3回、アフガニスタンへ1回展開した、ストライカー旅団の中でも最も展開をした経験」を持つ部隊であるという。更に先に触れた「対抗訓練」も「攻撃」「防御」「反撃」と、明確に目的を区分されており、単なる専守防衛とは、はっきりと異なるように思える。繰り返すが自衛隊は、こうした実績を持つ米軍部隊と実践形式の訓練を行っていたのである。安倍(戦争)総理は、この日米合同訓練の必要性について問われ、こう答弁した。「日米安保条約の第5条において、日本が侵攻を受けたときには日米で共同対処する訳である。この場所(NTC)が最も適切であり、かつ効率的と考え、本訓練を実施したもの。その上において今、何で戦車という話がありましたが、まさに日本に侵攻されたときには陸上自衛隊と米軍が共に共同対処するのは当然の事であって、この共同対処をする日頃の練度を高めていく事が精強性を増し、そして、それは抑止力に繋がっていくと考えている」無理のある答弁だ。「日本が侵攻されたとき」というが、日本の領土のどこに、この訓練で想定された約3500平方kmもの広大な砂漠地帯があるというのか。国内最大級である鳥取砂丘の90倍以上の面積である。要するに明らかに、この合同訓練は自衛隊の中東派兵及び対テロリストへの武力行使を想定した訓練だったのだ。それをあたかも旧来の専守防衛の範囲の様に語るのは詭弁としか言いようがない。
安倍(戦争)総理は、5月の閣議決定後の会見で「例えばISILに関しては、我々がここで後方支援をするという事はありません」と明言した。だが、その約1年前には事実上のアメリカの中東制圧作戦、それも陸軍兵力を用いた作戦を想定した訓練をしていた事になる。これは「戦争法制」が成立した後には、自衛隊の現実的運用として「イスラム国(IS)」の一部支配地域であるシリアやイラクを含む中東砂漠地帯に派兵する用意がある事と同義ではないのか。もっともISが「建国宣言」をしたのは昨年6月、オバマ米大統領が、その制圧を公式に決定したのは昨年9月であり、日付上はNTCでの日米合同訓練の前だが、しかし忘れてはならないのは、米側がISへの空爆の根拠としたのは、他ならぬイラクからの要請による“集団的自衛権の発動”だったことだ。今後、アメリカを中心とする「対IS戦争」が激化した際に、米側から日本に軍事的協力を要請される可能性は極めて高い。「戦争法制」が定める集団的自衛権発動の条件は、法律解釈上、これを拒否する事ができないからだ。
しかも安倍(戦争)総理がホルムズ海峡の機雷掃海について石油資源の確保を理由にその必要性を強調することからも解るように、仮にISが日本の石油輸入国であるサウジアラビアやUAE等へ侵攻した場合、これが武力行使の新3要件にある 「我が国と密接な関係にある他国への攻撃」と政府によって恣意的に判断される事だって有り得る。事実、国会答弁でも安倍(戦争)総理らは、どの「他国」が「我が国と密接な関係にある」か、明言する事を避け続けている。安倍(戦争)総理が「安保法案により他国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言して憚らないのであれば、上のようなケースについての具体的条件を詳細に策定する必要がある。しかし今にいたっても政府は「個別的なケースについては申し上げられない」の一辺倒。つまり安倍(戦争)総理は、日本の「対IS戦争」参戦の余地を“あえて”残しているのだ。要するに安倍政権は中国脅威論を用いて“アメリカの軍事力が日本の近海での防衛力を高める”と喧伝する情報戦略を打ち出しているが、実のところ「戦争法案」の真髄は“アメリカの武力侵攻に日本がより直接的に参加する”という真逆の事態なのだ。
安倍(戦争)総理は、それを国民に悟られたくないのだろう。実際、最近になって、こんな報道も出ている。今年6月20日から7月1日にかけて陸上自衛隊は、 アメリカとモンゴルが主催する23カ国合同訓練「カーン・クエスト15」に参加。この訓練は公式発表によればPKOの訓練が目的だというが、実態はこれと異なった可能性がある。「週刊プレイボーイ」8月10日号で、フォトジャーナリスト・柿谷哲也さんが、この演習を現地取材した印象を伝えているのだが、それによれば、カーン・クエスト15は「自衛隊が先陣を切ってパトロールを行い、襲撃を受け、後方からモンゴル軍が応援に駆けつけるという設定だった」という。つまり自衛隊は最前線を任されていたのだ。このシチュエーションを想定したのが主催国のアメリカだとすれば「戦争法制」でいう「後方支援」と食い違う。前述のNTCでの日米合同訓練でも、こうした“前線に陸自が投入される”事を想定した訓練がなされたのでないかという疑念は拭えない。というのも恐ろしい事に安倍政権は、こうした自衛隊の訓練の詳細を国民に公開しようとしないからである。例えば30日の参院特別委では、井上議員がNTC日米合同訓練の詳しい内容を知るため防衛省に資料を求めたところ、出てきたのは「真っ黒」の書類だった事を明かした。また先の衆院特別委でも資料として提出された「イラク復興支援活動行動史」という書類の大部分が黒塗りであり、強行採決後になって、やっと黒塗りが外されたものが出てくる始末だったと共産党―小池副委員長が指摘している。どうやら政府は都合の悪い情報を徹底的に隠していく方針らしい。安倍(戦争)総理らは、集団的自衛権の行使条件について「客観的、合理的に判断する」と何度も繰り返しているが、他方で肝心の“判断材料”は、こうして秘匿する。これでは国民のあずかり知らぬところで、ときの政府が勝手に物事を進めてしまう事を防げないではないか。そして安倍政権による中国脅威論の影にちらつく「対IS戦争」の思惑。国民が気づいたときには、いつのまにかアメリカの戦争に日本が参戦して いる。そんな事にさせないためには、この戦争法案を廃案とするだけでなく、一刻も早く安倍(戦争)総理を総理の座から引きずりおろすしかない。(リテラ)
《参議院「戦争法案-廃案!」と「安陪内閣打倒!」を目指して!》
<参議院平和安全法制特別委員会;概要(8/5)>
〔スポット1;中谷大臣「若い人は真剣に国を考えている」〕
中谷防衛大臣は同特別委員会において、自民党-武藤衆議院議員が、法案を批判している学生らの団体の主張を「利己的考えに基づく」等と、ツイッターに投稿したことに関連して「今の学生や若い人は、真剣に国や将来の事を考えていて、そうした事を思ったり言ったりする事は誰にも止められない。大いに深く考えて頂き、自ら学びながら真実を見つけてほしい」と述べた。
また中谷防衛大臣は「法理上は、核兵器を搭載した空母の防護や戦闘機への給油も可能となるのか」と質問されたのに対し、「法律上、排除する規定はないが、非核三原則は我が国の国是であり、しっかり守っていかなければならない。安全性の観点から、アメリカが核兵器に関係する輸送や護衛を他国に依頼するはずもない」と述べた。
更に中谷大臣は、小型の無人機「ドローン」を自衛隊で活用する可能性について「各種無人機の活用について検討を行っており、先だっても防衛省でドローンを使った実験もした。無人機で収集した情報については日米間での共有・活用を考えていきたい」と述べた。
〔スポット2;枝野幹事長(民主)「核運搬に関する答弁を追及」〕
枝野委員(民主)は、中谷防衛大臣が「戦争関連法案」の審議で、法案上は核兵器の運搬も排除されないという認識を示した事について「核兵器の輸送を行える事を明らかにした答弁だ」と述べ、厳しく追及していく考えを示した。中谷防衛大臣は「戦争関連法案」審議の中で、外国軍隊への後方支援での武器や弾薬の輸送について「法案上は核兵器の運搬も排除されない」という認識を示したが、「非核三原則があるので、想定していないし有り得ない」と強調した。これについて枝野委員は記者会見で「日本は核兵器の輸送を行えるという事を、明らかにした答弁だ」と指摘した。その上で枝野委員は 「これまで安倍内閣は武器輸出三原則等を大胆に緩和しており『非核三原則があるので、想定していない』と言っても、殆ど説得力を持たない」と述べ、今後の国会審議で厳しく追及していく考えを示した。
また共産党-穀田国会対策委員長は記者会見で「非核三原則との関係で核兵器の運搬ができない等と言っているが、憲法の解釈によっては色々な事が起こる事も有り得るので、極めて重大だということが明確になった。廃案以外にはない」と述べた。
《「戦争総理=安倍総理!」「戦争関連法案‐廃案!」の声・抗議行動!》
<集団的自衛権で対IS戦争に参戦?自衛隊が米軍と中東想定戦闘訓練実施>
28日、安倍(戦争)総理や中谷元防衛相は「戦争法案」関連で初めて中国を名指しし「中国が公船による領海侵入を繰り返している」「南シナ海で大規模かつ急速な埋め立てや施設の建設を一方的に強行している」と“仮想敵国”扱いして世論を煽っている。しかし一方で“もう一つのシナリオ”も着々と進んでいる。それは“アメリカの中東制圧戦争に自衛隊が参戦する”というものだ。
《陸自、安保法案先取り「戦地と同様」砂漠で日米訓練》
7月18日、西日本新聞がこんなスクープを報じた。内容は昨年1月から2月にかけて、陸上自衛隊が中東を模したアメリカの砂漠地帯にある陸軍戦闘訓練センター(NTC)で実戦を想定した日米合同訓練を行っていたというもの。日本側が投じた経費は実に3億5千万円。西日本新聞が防衛省に情報公開を請求し入手した陸自の報告書から判明したという。米カリフォルニア州にあるNTCは、約3500平方kmの広大な砂漠地帯に位置する。報告書によれば、日本側からは陸自富士学校の 「部隊訓練評価隊」が、アメリカ側からは陸軍の「第2師団第3ストライカー戦闘旅団」が参加。計28日間に及ぶ訓練の全期間にわたり「戦地と同様の規律で実施」され、救護や射撃訓練の他9日間、実戦形式で敵と戦う「対抗訓練」も行ったことが明記さていた。
しかし開示された資料の大半は“黒塗り”だったという。果たして、この合同訓練は日本の専守防衛を目的としたものなのだろうか。西日本新聞は、訓練を現地取材した軍事フォトジャーナリスト・菊池雅之さんによる以下の状況報告を掲載している。〈菊池雅之さんによるとNTCにはアラビア文字の交通標識やモスクもあり中東風の集落が点在。訓練中はアラブ系俳優が住民に扮して生活し、民間軍事会社の戦闘員がテロリスト役を務めた。演習の想定について米軍からは架空の2国の間で国境紛争が起き、日米等の有志国連合が平和維持活動として侵攻国の軍やテロリストを制圧するシナリオと説明されたという〉
アラビア文字、モスク、アラブ系俳優が演じる仮想住民、テロリストに模した民間戦闘員……この大掛かりなシチュエーションが何を意味するか、誰でも想像がつくだろう。
7月30日の参院特別委では共産党の井上議員が、この日米合同訓練について質問した。
中谷防衛相の答弁によれば、この日米合同訓練に参加した陸自・富士学校部隊訓練評価隊の装備は、小銃、重機関銃、無反動砲(バズーカの一種)、対戦車誘導弾、戦車、装輪装甲車等だというが、こうして列挙するだけでも充実した殺人兵器を訓練に使用したことがわかる。だが、より恐るべきは米側の参加部隊であるストライカー旅団の戦歴だ。
井上議員が国会で米陸軍HP上のニュース等を下に説明したところによれば、このストライカー旅団というのは「全世界に96時間以内に展開する機動性を持った部隊」であり、中でも陸自が共同で演習した第3ストライカー戦闘旅団は「イラクへ3回、アフガニスタンへ1回展開した、ストライカー旅団の中でも最も展開をした経験」を持つ部隊であるという。更に先に触れた「対抗訓練」も「攻撃」「防御」「反撃」と、明確に目的を区分されており、単なる専守防衛とは、はっきりと異なるように思える。繰り返すが自衛隊は、こうした実績を持つ米軍部隊と実践形式の訓練を行っていたのである。安倍(戦争)総理は、この日米合同訓練の必要性について問われ、こう答弁した。「日米安保条約の第5条において、日本が侵攻を受けたときには日米で共同対処する訳である。この場所(NTC)が最も適切であり、かつ効率的と考え、本訓練を実施したもの。その上において今、何で戦車という話がありましたが、まさに日本に侵攻されたときには陸上自衛隊と米軍が共に共同対処するのは当然の事であって、この共同対処をする日頃の練度を高めていく事が精強性を増し、そして、それは抑止力に繋がっていくと考えている」無理のある答弁だ。「日本が侵攻されたとき」というが、日本の領土のどこに、この訓練で想定された約3500平方kmもの広大な砂漠地帯があるというのか。国内最大級である鳥取砂丘の90倍以上の面積である。要するに明らかに、この合同訓練は自衛隊の中東派兵及び対テロリストへの武力行使を想定した訓練だったのだ。それをあたかも旧来の専守防衛の範囲の様に語るのは詭弁としか言いようがない。
安倍(戦争)総理は、5月の閣議決定後の会見で「例えばISILに関しては、我々がここで後方支援をするという事はありません」と明言した。だが、その約1年前には事実上のアメリカの中東制圧作戦、それも陸軍兵力を用いた作戦を想定した訓練をしていた事になる。これは「戦争法制」が成立した後には、自衛隊の現実的運用として「イスラム国(IS)」の一部支配地域であるシリアやイラクを含む中東砂漠地帯に派兵する用意がある事と同義ではないのか。もっともISが「建国宣言」をしたのは昨年6月、オバマ米大統領が、その制圧を公式に決定したのは昨年9月であり、日付上はNTCでの日米合同訓練の前だが、しかし忘れてはならないのは、米側がISへの空爆の根拠としたのは、他ならぬイラクからの要請による“集団的自衛権の発動”だったことだ。今後、アメリカを中心とする「対IS戦争」が激化した際に、米側から日本に軍事的協力を要請される可能性は極めて高い。「戦争法制」が定める集団的自衛権発動の条件は、法律解釈上、これを拒否する事ができないからだ。
しかも安倍(戦争)総理がホルムズ海峡の機雷掃海について石油資源の確保を理由にその必要性を強調することからも解るように、仮にISが日本の石油輸入国であるサウジアラビアやUAE等へ侵攻した場合、これが武力行使の新3要件にある 「我が国と密接な関係にある他国への攻撃」と政府によって恣意的に判断される事だって有り得る。事実、国会答弁でも安倍(戦争)総理らは、どの「他国」が「我が国と密接な関係にある」か、明言する事を避け続けている。安倍(戦争)総理が「安保法案により他国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言して憚らないのであれば、上のようなケースについての具体的条件を詳細に策定する必要がある。しかし今にいたっても政府は「個別的なケースについては申し上げられない」の一辺倒。つまり安倍(戦争)総理は、日本の「対IS戦争」参戦の余地を“あえて”残しているのだ。要するに安倍政権は中国脅威論を用いて“アメリカの軍事力が日本の近海での防衛力を高める”と喧伝する情報戦略を打ち出しているが、実のところ「戦争法案」の真髄は“アメリカの武力侵攻に日本がより直接的に参加する”という真逆の事態なのだ。
安倍(戦争)総理は、それを国民に悟られたくないのだろう。実際、最近になって、こんな報道も出ている。今年6月20日から7月1日にかけて陸上自衛隊は、 アメリカとモンゴルが主催する23カ国合同訓練「カーン・クエスト15」に参加。この訓練は公式発表によればPKOの訓練が目的だというが、実態はこれと異なった可能性がある。「週刊プレイボーイ」8月10日号で、フォトジャーナリスト・柿谷哲也さんが、この演習を現地取材した印象を伝えているのだが、それによれば、カーン・クエスト15は「自衛隊が先陣を切ってパトロールを行い、襲撃を受け、後方からモンゴル軍が応援に駆けつけるという設定だった」という。つまり自衛隊は最前線を任されていたのだ。このシチュエーションを想定したのが主催国のアメリカだとすれば「戦争法制」でいう「後方支援」と食い違う。前述のNTCでの日米合同訓練でも、こうした“前線に陸自が投入される”事を想定した訓練がなされたのでないかという疑念は拭えない。というのも恐ろしい事に安倍政権は、こうした自衛隊の訓練の詳細を国民に公開しようとしないからである。例えば30日の参院特別委では、井上議員がNTC日米合同訓練の詳しい内容を知るため防衛省に資料を求めたところ、出てきたのは「真っ黒」の書類だった事を明かした。また先の衆院特別委でも資料として提出された「イラク復興支援活動行動史」という書類の大部分が黒塗りであり、強行採決後になって、やっと黒塗りが外されたものが出てくる始末だったと共産党―小池副委員長が指摘している。どうやら政府は都合の悪い情報を徹底的に隠していく方針らしい。安倍(戦争)総理らは、集団的自衛権の行使条件について「客観的、合理的に判断する」と何度も繰り返しているが、他方で肝心の“判断材料”は、こうして秘匿する。これでは国民のあずかり知らぬところで、ときの政府が勝手に物事を進めてしまう事を防げないではないか。そして安倍政権による中国脅威論の影にちらつく「対IS戦争」の思惑。国民が気づいたときには、いつのまにかアメリカの戦争に日本が参戦して いる。そんな事にさせないためには、この戦争法案を廃案とするだけでなく、一刻も早く安倍(戦争)総理を総理の座から引きずりおろすしかない。(リテラ)
(民守 正義)
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