「戦争法案-反対」の蠢き(16)

「戦争法案-反対」の蠢き(16)

《磯崎補佐官の更迭を目的化するな!問題は安倍総理の「合憲-強弁」にある!》
磯崎首相補佐官の「法的安定性は関係無い」発言を巡って参議院平和・安全保障特別委員会参考人招致が決まった。公明党等は「更迭要求も辞さない」構えでいる。
でも私は磯崎補佐官の責任追及・更迭に力を注ぐ事は、これも安倍(戦争)総理のワナ、あるいは本当は「不幸中の幸い」と思っているのではないか。と言うのは、やはり本「戦争関連法案」の問題本質は「集団的自衛権-いくら拡大解釈しても違憲」であることで、いくら「砂川判決」等を持ち出しても違憲性を覆い隠すには無理筋」と解っているのは安倍(戦争)総理自身ではないか。だから、その「違憲性」を更に取り次ぐために「総理大臣である私が合憲とする範囲内で『総合的に存立危機事態を判断する』」と強弁補強せざるを得ないのではないか。そこへ持ってきて磯崎首相補佐官の「そもそも」論で「法的安定性は関係無い」と露骨に言われると、安倍(戦争)総理の前述「強弁補強」も民主党岡田代表が追及した「安倍政権への白紙委任」に証拠を与えてしまったもので一瞬、安倍(戦争)総理も困っただろう。ところが野党の追及は、ややピンボケしていた。一方的に磯崎首相補佐官の「法的安定性は関係無い」発言だけの責任追及になっていたからである。繰り返すと安倍(戦争)総理は「ヤバイ!側近から『やはり白紙委任』ではないか!と追及される証拠ネタが出た」と思ったら「な~んだ♪皆『磯崎の発言はケシカラン』でボクの『違憲・白紙委任』追及にはなりそうにもないな。なら最後には磯崎君の首を切ったらオシマイ。また当たり障りなく審議(日程消化試合)をしておけば良い」と思っているに違いない。この真の事情を一定、理解しているからこそ公明党は「強行更迭」を煽っているのではないか。
今、必要な事は今までと同様、より国民に解り易く公然と「違憲である事」の暴露と、その「憲法違反合作法案責任追及⇒安倍政権‐打倒!」へ国民の「反対世論」が盛り上がっている内に「闘いの発火物の転換」を図らなければならない。「磯崎」如きのクビを取る事で「闘っている気分」になってはダメだ。
常に敵の総本山は「アベ」にあり、全ては、そのための戦略・戦術を描け!しかも早急にだ。本当にもう「ガチンコ勝負」の時間がない!

《「強行採決」(7月15日)以降のあれこれ⑨》

<「戦争反対」で全世代共闘!「高校生だって自分で自分の未来を選ぶ」>
日本が戦争のできる国になるかどうか、瀬戸際の攻防が国会内外で続く。「戦争関連法案」が参院で審議入りした週の7月31日(金)、学生ら有志「SEALDs」が国会前で9回目となる抗議集会を開き、同法案を数の力で押し通そうとする安倍政権に怒りの声を上げ、同法案の撤回を求めた。この日の集会には2万5千人(主催者発表)が参加し「安倍は辞めろ!」「憲法守れ!」「民主主義って何だ!」「火事と戦争一緒にするな!」とコールを合わせた。

【「憲法で33年、飯を食ってきたが今日、初めて憲法が何だか分かった」】
 国会前の抗議開始と同時にスピーチに立ったのは、早稲田大-水島朝穂教授(憲法学)だ。この日は国会前の集会に先んじて「安全保障関連法案に反対する学者の会」とSEALDsが共同で屋内集会、国会請願デモを行っていたが、水島教授は屋内集会から参加していた。「憲法で飯を食っている人間が、ここに来ないのは、やっぱりヤバイという事で今日、初めて来て感動しました」1989年、ベルリンの壁崩壊当時、東ベルリンに住んでいた水島教授は今回、SEALDsのデモに参加し、東ドイツの民主化を求めた市民達の姿を思い出したという。当時、東ドイツでは弾圧を恐れながらも民主化運動に取り組んだ市民がいた。最初はライプツィヒで1千人。継続していく度に5千人、2万人、7万人と増えていったという。「それを見たベルリンの人達が『俺達もやろうじゃないか』と言ったんです。89年の11月4日、アレクサンダー広場に百万人が集まった!弾圧された政治指導者も立ち上がって『We are the People』って言ったんですよ。『俺達が人民だ』と。この5日後、ベルリンの壁が崩れたんです」これを踏まえ水島教授は「今、新しい民主主義が国会前で始まっている」と主張し続ける。「(デモのコールで)『民主主義って何だ』って問うたら『これだ』と言っていた。私、憲法で33年、飯を食ってきましたが今日、初めて憲法が何だか分かりました。これなのですよ。俺達が人民なのです。だから、それに反対する政権には退陣を願いましょう」

【「僕達がやってることは間違っていないし、否定されるべきではない」】
 SEALDs KANSAI(シールズ関西)のメンバーで、Aさんも、この日は国会前に駆けつけた。Aさんは小学校の頃に沖縄戦を勉強して以降「戦争と平和」に関心を持つようになった。
「安倍首相は戦争ができるようになる事で、日本が普通の国になれると考えている。でも普通って何でしょうか。他の国もやっているから日本もやらなければならないという事でしょうか。しかし他の国がやっている事は正しい事ではなく間違っている事なのです。ベトナム戦争だって、アフガニスタン戦争だって、イラク戦争だって、自衛の名の下に多くの人の命が奪われました。他の国もやっているから自分もやる、そんな馬鹿な考え方がありますか。間違っている事には、断固として間違っていると主張していく勇気が本当に平和を作っていく上で必要とされているのではないしょうか」更に「デモに参加すると就職できない」等といった無責任な言説、誹謗について「少なくとも僕達がやってる事は間違っていないし、否定されるべきではない事だと思う。僕達の活動をちゃんと見てください。何も知らないのに、デモは危険というステレオタイプで見るのは、もうやめにしませんか」と呼びかけた。

【T-ns Sowl「高校生だって自分で自分の未来を選んでいきたい」】
 集会では8月2日に渋谷で「戦争法案に反対する高校生によるデモ」を主催する高校生らで構成される「T-ns Sowl(Teens stand up to oppose war law・ティーンズソウル)」のメンバーも挨拶した。
「こういう事(デモ)をやると何故、高校生なのに、こんな事をしているのかとか、机の上で、ずっと勉強していればいいじゃんと言われるのですけど、高校生だって自分で自分の未来を選んでいきたいし、腐った政府なんかに自分の未来を壊されたくないです。若者だから学校の勉強をしろだとか、そんな冷淡な言葉を言われても絶対にこのアクションを続けるし、盛り上げていきたいと思います」更に大人に向けて「『高校生だから僕達、大人は行かない方がいいのかな』とかよくツイッターで見るんですけど、応援するんだったら、ちゃんと足を運んできてください。ツイッターで言われても嬉しいけど、やっぱ直接足運んで、形として『応援しているよ』って言ってくれないと全然、勇気がこないです。
ちゃんと足運んできてくれる方が何十倍も嬉しいです」と参加を呼びかけた。

【民主主義の軽視、ヘイトスピーチ…ワイマール共和国の末期と類似する日本】
 「憲法9条こそが私達の『対案』です」と書かれたプラカードを掲げていたドイツの現代史を研究している東大助教の女性は「ワイマール共和国の末期、ナチが出てくる前の状況と多くの点で類似点があります」と語る。「民主主義の軽視、立憲主義の軽視、戦争責任や戦争犯罪を率直に認められないということ。そしてナショナリズムで不満を晴らしたがる状況や、少数派の民族に対するヘイトスピーチなど。そういう点で当時ナチスが出てきた状況と似ている部分があるので、危機感を持っています。当時のユダヤ人に対する罵詈雑言等が、在日の方に対する言説と似ているところがあって正直ビックリする。ユダヤ人なり朝鮮人なりでなくても、政治的に違う意見を言う者に対し『あいつはユダヤだ』とか、レッテリ貼りするところまで似ている」
早稲田大-大橋教授(日本史)もやはり「今の日本の状況は、戦前の雰囲気によく似ていると思います」という。「戦前のような露骨な弾圧にはなってはいないが、しかし少しずつ近づいている。学者や研究者のいっている事を無視し、学問の自由も制限しているような状況になっている。それは非常に戦前に似ていると思います。戦前の治安維持法等にとても似ている」

【警察の過剰警備続く「抗議に人が集まっているという絵を作りたくない」】
 この日も警察の過剰警備は続いた。国会周辺の横断歩道が封鎖され、市民が国会前抗議に参加したくても参加できない状況が続いた。見かねた弁護団が警備の警官と交渉し、ようやく道路を横断できるようにはなったが、参加者や弁護士からは、警視庁の過剰警備に対し強い抗議の声が上がった。状況をみていたSEALDsスタッフは「抗議に人が集まっているという絵を作りたくない警察が人の移動を止めてしまっているという状態です。2重、3重で規制線を張っていて、規制線を作るせいで参加者のフラストレーションが溜まり、危ない状態を作り出しているように思います。移動を止めている理由を聞くと『上から言われている』と答えるだけです」と語った。京都府から参加しにきたという女性弁護士は、警視庁の過剰警備を目の当たりにして驚いたという。
 「デモに参加するというのは表現の自由。憲法で認められている事なので、命に危険にあるような状況だったら、警察の業務として交通整理をする必要もあるかと思うが、今回の場合のように、空いていて通れるのだから、表現の自由の行使として、人を自由に移動させるのが普通ではないでしょうか」こうした過剰警備がいつまで続くのか。 「戦争法案」の審議だけでなく、8月には川内原発再稼働、安倍(戦争)総理の戦後70年談話の発表も控え、安倍政権への不信感はより高まっていくだろう。国会前には、これまで以上に多くの市民が押し寄せる。その度に「表現の自由」への規制を強めようというのだろうか。(IWJ)

<「クーデターに近い」坂本龍一さんが「戦争法案」反対集会で怒り>
「『戦争法制』は、正面から改悪する事無く、解釈によって憲法をなし崩しにしようというクーデターに近いものだと思っています」
 世界的ミュージシャンも安倍政権に「反対」の狼煙を上げた。学生達でつくる「SEALDs」と大学教授らが31日、都内で「戦争法制」反対集会を開催。約四千人が参加した集会で、坂本龍一さんの怒りのメッセージが読み上げられた。坂本さんといえば、中咽頭癌を患い療養中の身だ。病身を押して安倍政権の姑息なやり方に憤りの声を上げた坂本さん。
女性が戦争への拒否感を示す事に理解を示すと共に、若者達が危機感を覚え声を上げた事を称えた。会場にいた高千穂大-五野准教授はこう言った。「坂本さんは日本の危機的な状況をしっかりと理解している。『戦争法案』を危惧し、声を上げずにはいられなくなったのではないか。世界中にいる多くのファン達も共感するでしょう」
「SEALDs」の中心メンバーAさんは、坂本さんに、こんなメッセージを送った。
「体調が万全でない中、わざわざ声を上げてくれて、とても感謝しています。体調がよくなったら、ぜひ一緒に国会前抗議に参加してほしい」日増しに拡大する「戦争法案」反対デモ。坂本さんだけでなく、今後も著名人の賛同者が増えるのは確実。いよいよ廃案が現実味を帯びてきた。(日刊ゲンダイ)
(民守 正義)