デモ・集会参加と「就職差別」

デモ・集会参加と「就職差別」


最近SEALDs に掲載された「デモに参加すると就職に不利?『人生詰む』飛び交う(2015年7月30日付け)」記事等を見ると「デモ・集会に参加すると就職に悪影響になるのかなー」と不安を抱く「リベラル若者もいるのかと心配して思わず筆を取った。
先ず私自身の自己紹介だが、私は本ブログ「リベラル広場」管理責任者であり、主な活動・掲載意見記事等は、本「リベラル広場」を眺めて頂くことで省略する。そして、こうした民主主義・リベラル政治主張に加え関連団体との連携、更に対抗する団体等への抗議活動等も時々、行っている。そして更に更に!資格と民間企業~公務員時代の経験を活かして「産業カウンセリング」「労働相談」「採用コンサルティング」「人権相談」等にも年に然程の件数はないが、各々に関っている。その専門的立場で上記「若者」の疑問に答えてみよう。その前に、おそらく今回の「冒頭SEALDs記事」の契機にもなったのではないかと思わしき「行橋市議会議員;小林しんや」HPについては一応、角から角まで読まさせて頂いた事は付言する。随分、お若いのに保守的なのですね。
先ず結論的に言って「集会・デモに参加したからといって就職に不利」は有り得ない。そりゃー面接時に受験者自ら積極的に「私、集会・デモに参加した事があるの~」なんて言って、それを嫌悪した面接担当官が「不合格」にする事はあり得る。しかし採用面接で基本的に評価対象となるのは「本人の適性・能力(ヤル気度・礼儀等も含めて)」であって「デモ・集会等の参加経験」等は仕事上の「本人の適性・能力」とは関係なく、言う必要もなければ「面接担当官が、その経験の有無」を聞いてもいけない。【職業安定法5条の4(求職者等の個人情報の取扱い)⇒労働大臣指針「求職者等の個人情報の取扱い」;平成11年労働省告示第141号】だから面接担当官が唐突にも「デモ・集会等の参加の経験がありますか?」なんて聞いて、受験者が立腹!事業所所轄のハローワークまたは各都道府県労働局職業対策課に通報し「事実調査・行政指導」等を求めれば2週間以内にハローワーク職業指導官が当該事業所に直接、出向いて上記対応する事になる。(思想・信条に関る就職差別に繋がる質問)
なお少なくとも大阪府内では求人側からの「身元調査」や「悪質な差別発言・暴言」等があればハローワーク対応のみならず、人権団体・大阪府も共に入って「事実確認⇒謝罪と今後の再発防止策」等まで求められる事が多い。
そこで「行橋市議会議員;小林しんや」HPを見てみると、確たる証拠を上げて断言調の部分は少ないが、あたかも民間企業においては「調査会社の活用」があったり「警察に照会しても警察職員の人数が少なく対応しきれない」等と記載しているが、先ず「調査会社の活用」については無いと判断するのが妥当だろう。と言うのは「調査会社の活用」は実際には採用コストとの関係で採算に合わない事に加えて、最近の求人企業は「就職差別企業」としてリスクを負う事の大変さを貴方よりも、よく御存知で「結局、ある程度の採用試験で振いをかけたら、後は会社が育てるさ」とポジティブ志向で考える企業が殆どだからだ。
それから「警察に照会しても警察職員の人数が少なく対応しきれない」については、私自身が、かつての労働行政の中で府警本部(主に公安関係)と年に1~2回ほど「意見・情報交換、交流」の場があったが、ハッキリ言って警察は、職員数の多少に関らず一民間企業の求職者の素行調査等に協力しない。それこそ官公庁が「素行・身元調査」に協力する訳で重大問題だ。おそらく貴方が相当の推測を交えて記載したのだろうが「若者がデモに行くのが気に食わない」からとしても、あまりにもエエ加減な事は言わない方がよい。
 そして最後に貴方のHP内容全体を通して「求人企業側の人権侵害」は何も触れず、むしろ「求人企業の(差別であっても)当然の選択権」との信条で記載されているように思える。
従って「就職差別を助長するHP」として福岡労働局・福岡県内人権団体等に、少なくとも情報提供させて頂く事を考えているので、その時は適切な対応をよろしくお願いしたい。
そしてSEALDsの若者達に言いたい。盛り上がるSEALDsの闘いに苦々しく思い、幼稚なデマゴギーで何とか押さえ込もうとする薄汚い大人達は気にせず「今だかららできる平和を守り、次の世代にも引き継ぐ闘いに挑んで欲しい。オッチャンも頑張るで~(^_-)-☆
【参考文献①「大阪府/採用と人権」②本「リベラル広場」2015年01月16日(金)付け掲載「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ(人事採用者向けに作成しています)

《「強行採決」(7月15日)以降のあれこれ【特別】》
<「安倍総理は嘘つき」「戦争法制」に反対する学生と学者が集会開催>
「戦争関連法案」に反対する学生と学者による集会が7月31日夕、東京都内で開かれた。集会は第一部と第二部のパートに分けて行われたが、主催者によると第一部には1200人以上の市民が集まり、登壇した学生や学者のスピーチの度に歓声が上がった。
司会を勤めた佐藤学習院大学教授は「今日の集会は、歴史的な事件だと考えている。
 学者と学生が共に立憲主義、民主主義、平和主義に立ち上がった。「戦争関連法案」を廃案に持ち込むまで闘おう」と呼びかけた。また日本学術会議前会長で、専修大学廣渡教授は「『戦争関連法案』は、日本を戦争ができる国にするものだ」と強調。「もし安倍(戦争)総理が本心から『戦争に巻き込まれる事はない』と言っているのなら、法案を理解できていないといえる。もし国民の目を誤魔化そうとしているなら、嘘つきという事になる」と述べた。
「戦争法案」に反対する若者達のグループ「SEALDs関西」のメンバーAさんは「戦争は人間が創りだした状況だ。人間には善悪が決まっていないが、状況次第で、どんな行動でも取れてしまう。戦争という状況にならないように努力していく事が必要だ。平和主義を自らの手で守っていきたい」と訴えた。(弁護士ドットコムニュース)

<「戦争法案」参院審議「反対」広がり多彩>

「戦争関連法案」に対する草の根の抗議は、参院で審議が始まった後も広がりをみせている。学生、非政府組織(NGO)関係者、弁護士、学者-。様々な立場の市民が「廃案に追い込もう」と声を強めている。 金曜夜に国会前デモを続ける学生グループ「SEALDs(シールズ)」は、簡易投稿サイト「ツイッター」のフォロワーが三万六千超に増え、グループは東北でも結成された。東北大法学部二年Aさんは「津波で家が流されたメンバーもいて、日常が壊れる辛さが身に染みている。だから戦争に近づくような法案への危機感は強い」。
 海外紛争地域等で支援するNGO関係者が結成した「NGO非戦ネット」は32団体に。日本イラク医療支援ネットワーク事務局長Bさんは「日本が戦争に加担し、中立的支援ができなくなるとの危機感がある」と話す。
  明日の自由を守る若手弁護士の会共同代表Cさんは、衆院特別委員会で強行採決された15日、ファクスやメールで与党議員らに 声を届けようと、交流サイト「フェイスブック」で提案した。現在は参院特別委の委員の連絡先を載せており、「来夏の参院選で改選される与党議員に声を届けて」と呼び掛ける。同法案に反対する学者の会のアピールには研究者ら一万二千人超、市民二万六千人超が賛同。衆院通過後、早稲田大や独協大の有志らが抗議を表明した。立教大でも反対の会設立集会の準備が進む。
  憲法研究者有志は6月3日に廃案を求める声明を発表し、7月14日までに235人が賛同した。28日に改めて声明を発表し、これまでに200人超が賛同した。東海大の永山教授は「同法案が憲法九条等に反する事が、国会審議で鮮明になった」と強調した。

<違憲の「戦争法案」を強行採決した事で日本は民主国家でも法治国家でもなくなった>
今から20年前、戦後50年を迎えたとき、日本が半世紀の間、平和だった理由を巡って朝日新聞と読売新聞との間で論争があった。朝日新聞が「憲法9条のおかげだ」と主張したのに対して読売新聞は「憲法ではない。日米安保のおかげだ」というのである。
 ちょうど読売新聞が1994年11月3日に「読売の憲法改正試案」を発表し、朝日新聞が95年5月3日に「護憲大社説」を発表して「朝・読の憲法対決」といわれた直後だっただけに、この論争は当時、話題を呼んだ。
 それから20年、その間に米同時多発テロがありアフガン戦争、イラク戦争があり、イラク戦争では米国の要請を断りきれず「戦後復興の支援に」という事で自衛隊を派遣。駐屯地に何度か砲弾が撃ち込まれたが、幸運にも死傷者は出さずに済んだ。国連安保理の決議もない「理のない戦争」でさえ、米国の要請を断りきれなかった事で「もし憲法9条の歯止めがなかったら、ベトナム戦争や湾岸戦争への派兵も日本政府は断りきれなかったに違いない」と分かって、 冒頭の「朝・読論争」の勝者は自ずと明らかになった。
 それにイラク戦争は、後で分かった事だが、大義名分とされていた大量破壊兵器も存在せず、また戦争の結果も「民主国家を建設する」どころか、いまだに混乱が収まらず、鬼っこの「イスラム国」まで生み出してしまったのだ。「憲法9条のおかげで、かろうじて戦争に巻き込まれずに済んでよかった」というのが大方の日本人の気持ちだった。
 ところが安倍政権になって憲法9条の解釈を変え、歴代政権が「集団的自衛権の行使は憲法違反だ」としてきたことを突然、閣議決定で集団的自衛権行使容認を決め、それに伴う「戦争関連11法案」を国会に提出したのである。それには驚いたが、私がもっと驚いたのは、読売新聞の姿勢だった。20年前の 朝・読論争にも多少関りを持った私の目から見ると、読売新聞は安倍政権に対して「そんな姑息な事はやるな。正々堂々と憲法を改正して集団的自衛権を 行使できるようにせよ」と主張するだろうと思っていたからだ。
それが安倍政権の姑息なやり方に同調するとは、安倍政権にもガッカリしたが、読売新聞の姿勢には、もっとガッカリさせられた。

【「国民の理解は進んでいない」と認めながらの強行採決とは!】
 7月15日「戦争法案」は衆院特別委員会で強行採決、翌16日の衆院本会議で可決された。9月27日まで国会会期を延長して、参院での審議が紛糾しても「60日ルール」を適応して、何が何でも成立させようというのが政府・与党の姿勢である。しかも安倍(戦争)総理は強行採決の後、国民の理解は進んでいない事を自ら認める発言もしているのだ。やはり米議会で「夏までに成立させる」と約束してしまった為の強行なのか、あるいは国民世論等、最初から眼中にないのか、いずれにせよ国民も憲法も無視した暴挙である事は間違いない。
 いや、国民の理解は進んでいないのではなく「安保法案はだめだ」という国民の理解は、どんどん進んでいたのだ。国会審議が始まり、特に与党の推薦者を含む3人の憲法学者が揃って「憲法違反だ」との見解を発表した辺りから、各社世論調査でも反対意見が増加の一途を辿っているのである。読売新聞社の多少、誘導的な質問に対するものでさえ、6月調査で賛否が逆転し7月調査で更に賛成が減り、反対が増えているのである。
 全国の殆どの憲法学者をはじめ物理学や天文学、更には医学や生命科学の学者まで1万人近い「学者の会」が反対声明を出したり、女性弁護士160 人が街頭に立ったりと反対の輪が広がる一方、国会を取り巻くデモの人波も、どんどん増えて特別委での強行採決と衆院可決の夜は何万人という人達が手製のビラを掲げて行進した。しかも近年めっきり姿を消したといわれていた若者達、学生達の姿が目立ったのだ。岸内閣を倒した「60年安保騒動」を思い起こさせるものがある。もちろん60年安保のような激しさはないが、組織による動員ではなく、一般市民が自らの意志で参加している強さを感じさせるものがある。地方議会での反対決議や地方都市への集会やデモの広がりも、最近にない盛り上がりを見せている。

【内閣支持率も急落、新国立競技場計画の白紙撤回でも戻らず】
 国民の反対は「戦争法案」に対してだけに留まらず、各社世論調査でも内閣支持率が急落した。それには政府・与党も大慌てで、もう一つ、国民の圧倒的多数が反対してきた新国立競技場の建設計画を白紙に戻した。安倍(戦争)総理が「見直しはしない」と言明していたのを、あっさり撤回したのには驚いたが、しかし政府・与党の思惑通りにはいかなかった。各社の緊急世論調査によると、新国立競技場の見直しは高く評価しながらも内閣支持率は戻るどころか、落下の 一途なのである。毎日新聞の調査では支持35%、不支持51%、朝日新聞調査では支持37%、不支持47%に。国民もよく見ているというべきか。
 それはそうだろう。国立競技場はよくある(あってはならないのだが)税金の無駄遣いという問題なのに対して「戦争法案」の方は国民の命と日本の未来がかかっている問題だからだ。同じ撤回するなら「戦争法案」の方を白紙に戻してほしかった。そうすれば支持率も反転しただろう。
 ところで「戦争法案」はこれからどうなるのだろうか。「政界は一寸先が闇」といわれているが、これから9月末までの2カ月余に「何かが起こる」ような気がしてならない。
 参院での審議が始まって野党ががんばり、廃案に追い込めれば、それが最もいい変化であろう。来年に参院選挙が控えているだけに、衆院と同じ事を繰り返しているだけなら参院無用論に発展しかねないと、参院が本来あるべき「良識の府」ぶりを発揮してくれたら素晴らしい。特に60日ルールを適用してしまっては、参院無用論が再燃しかねないと、与党内、特に公明党内から反対論が出てくる可能性も否定できない。
 もう一つ、9月の自民党総裁選は安倍の独走だといわれているが、もし誰か対立候補が出てくれば、予想外の逆転劇が見られるかもしれない。かつて党内の圧倒的な予想を覆し、小泉純一郎が世論の後押しで総裁選に勝利した例もあったからだ。ただ、いずれの場合でも国民やメディアが「戦争法制」に反対の意志を貫き通している事が大事だろう。政府・与党が「法案を通してしまえば、国民は諦めるさ」と高を括っている通りになってしまっては、起こるべき変化も起こらなくなってしまう。その点、市民の反対の意思表示も衰えていないし、メディアも読売、産経新聞を除けば、大半の地方紙を含め市民の動きを丹念に報じている。
 ちょっと心配なのは、そのメディアの中核になるべき朝日新聞の姿勢だ。昨年の慰安婦報道の余波がいまだに収まらないのか、委縮したかのような報道が時々見られる事だ。例えば読者からの投書欄や識者の声で賛否の両方を無理やり並べて公平さを示そうとしたり、立ち上がった東大生や女性弁護士の動きを報じなかったりもその一つ。
 メディアのOBたち50人が名を連ねて、首相経験者12人に「戦争法案」をどう思うかを問う質問書を送った記者会見も、毎日新聞や東京新聞は写真入りで報じていたのに、朝日新聞には一行も載っていなかった。百歳の朝日新聞の大OB、むのたけじ氏が、わざわざ記者会見に出てきたというのにである。

【イランの核開発を巡る合意は、久しぶりの明るいニュースだ】
 その他、今月のニュースではイランの核開発を巡る6カ国との協議が合意に達したというのは、久しぶりの明るいニュースだった。というのは5年おきに開かれている核不拡散条約の協議が今年4月に開かれたのに、核心の中東の核問題を巡るテーマで、イスラエルの意向を忖度した米国等の反対で 合意文書の作成が、できなかった後だけに一歩前進と評価できるからだ。イスラエルの反対の意向を抑え込んだオバマ米大統領の久々のヒットである。
 いつも言うことだが、核不拡散問題は元々、不公平な条約である。国連の安保理国の5カ国だけは核兵器を持っていい、他の国は持ってはいけない、というダブルスタンダード(二重基準)なのだ。その上に核不拡散条約に加盟せず、秘かに核兵器を所持していると言われるイスラエルに対して、米国等が文句を言わないのは、もっとひどい二重基準だ。そのため最初は止めさせようとしていたインド、パキスタンの核兵器所持にも文句が言えなくなり、イランと北朝鮮だけに焦点が当たっていたのである。イスラエルの核に対抗してイランが核開発を秘かに進めているのではないかと言われ、イスラエルが空爆も辞さないと脅していた問題だけに、イランが核開発はしないと6カ国と合意した事は、世界をホッとさせるニュースだった。イランとの合意成立で、安倍首相がしきりに例として挙げていたホルムズ海峡での機雷掃海に自衛隊を派兵する問題に、現実味がなくなった事も大きい。とにかくナチスに虐殺されたユダヤ民族が、中東ではパレスチナ人を虐殺しているという構図に米国が介入してイスラエルを抑えない限り、中東に平和は来ない。イランと米国との合意にイスラエルが反対を表明しているだけに、この合意が壊れる事のないよう、日本も応援していきたいものである。
 もう一つ、日本の宇宙飛行士、油井亀美也さんと米国・ロシアの飛行士の3人がロシアのロケット、ソユーズで宇宙に打ち上げられ、国際宇宙ステーションISSで長期間の活動を始めた事も嬉しいニュースだった。ウクライナ問題を巡って米露の関係がギクシャクしている中、日米露3カ国の宇宙飛行士が仲良く生活を共にし「国境線なんて見えないよ」といわれる宇宙で科学観測に従事する姿は、未来の地球の縮図を示すものとして、私達に明るい希望を抱かせてくれるものだ。
(民守 正義)