「戦争法案-反対」の蠢き(13)

「戦争法案-反対」の蠢き(13)

 《24日;民主党に「周辺事態法改正案」公開質問!》
 24日「民主党;周辺事態法改正案」について「『戦争法案-反対』の蠢き(11)」のとおり「公開質問」等を行った。既に読者等から意見・問合せ等が寄せられている。ぜひ期限までに誠意ある回答をよろしくお願いしたい。ただ読者等から既に問合せ・意見等が数件、寄せられているが私も驚くほど、どれも民主党に厳しい意見ばかりだ。いずれ中間報告する。
 なお、この「公開質問」も民主党への期待があってのことである事を、御理解頂きたい。
 
《「強行採決」(7月15日)以降のあれこれ⑤》

<瀬戸内寂聴が安倍支持ネトウヨの攻撃にも怯まずさらに激烈批判!>
 「戦争法制」が衆議院で強行採決されたが、それでもなお、この“戦争法案”に反対する声は日に日に高まっている。だが一方で戦争反対、集団的自衛権反対を表明する著名人たちへの誹謗中傷やバッシングが巻き起こるという卑劣な事態も同時に起こっている。
 先日もタレントSHELLYがツイッターで強行採決について疑問をつぶやき大炎上した。また胆のうがん等を患い満身創痍の体調ながら度々デモや集会に参加している作家-瀬戸内寂聴も「ババアは死ね!」「戦争反対というなら中国に言え!」等と批判を浴びせられた。挙げ句は「不倫していたくせに」「金をもらって集会に出ている」という聞くに堪えない誹謗中傷さえ飛び出す始末。しかし瀬戸内が、こんな事で怯むわけがない。最近になっても益々その活動、舌鋒鋭く安倍政権と「戦争法案」の大批判を展開している。
 今週発売の「女性自身」8月4日号では「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥です」と題し、こう語った。「安倍首相と与党議員達が強行採決した『戦争法案』は、日本国民を世界中で死なせ、家族を不幸にし国まで滅ぼすものだと思います」「これだけ国民に反対されている事を自覚しながら“戦争法案”を押し通した安倍首相の神経は理解しがたいですね」「戦争法制」に反対する作家、有名人の中でも、ここまで強い調子で安倍首相を非難できる人間はそう多くないだろう。そして、瀬戸内はこう言い切った。
「多くの国民が『戦争法案』に反対したという事実、そして安倍首相と政府与党がどれだけ横暴な事をしたのかという事実は、歴史に刻まれます」瀬戸内は、この「女性自身」のインタビューに答える少し前、7月10日にも京都の寂庵で定例説法を開いているが、ここでも「可愛い息子や孫が戦争に連れて行かれ、行けば殺さないと殺される。沢山殺せば褒められる」それが戦争というものの実態だと訴え、そしてこう断言した。
「安倍首相がいかに悪い政治家だったか歴史に残る」ネットでは、こうした発言について今も「単なる妄想」「何故そこまで妄想できるのに中国が戦争始める妄想はしないのか不思議」という声が浴びせられているが、これは妄想ではない。現在93歳の瀬戸内は青春期に戦争を体験している。大学1年生の時に真珠湾攻撃があり、普通の国民のように「東洋の平和を守るため」という言葉を信じ大きな感激を覚えたという。
 だが、その2年後、瀬戸内は結婚して北京に移り、そこで日本人が中国人を抑圧している様を目の当たりにし戦争に疑問を感じ始めたのだ。そして敗戦を迎え、苦労して日本に引き揚げてみると、故郷の徳島は焼け野原、母や祖父は亡くなっていた。こういう体験が「戦争にはいい戦争も悪い戦争もない」という言葉に繋がっている。
 瀬戸内は先の「女性自身」のインタビューでこんな事も語っている。
「(デモで)必死に声を上げる彼らを見て、私が連想したのは昭和18年10月に行われた神宮外苑競技場で行われた学徒動員出陣の壮行会です」
 この壮行会は戦場に赴く2万5千人の学生と、5万人の女子学生らが集まり「海行かば」を大合唱して見送ったというものだ。デモを見ながら、その光景がオーバーラップするというのは、彼ら「戦争法制」に反対する若者までが安倍首相の戦争政策に呑み込まれてしまうという恐怖をリアルに感じているからだろう。(参考‐リテラ)
                                 
< 自民党の安保法制PRアニメ「ヒゲの隊長」をことごとく論破!>
 自民党の「戦争法制」PRアニメ「教えて!ヒゲの隊長」が話題になっている。といっても「国民の間で『ヒゲの隊長がカワイイ』と人気」とかいう話ではない。なんと、このアニメを批判したパロディ動画が登場し、そちらに人気が集まってしまったらしいのだ。本家の「教えて!ヒゲの隊長」は元陸上自衛官で2004年のイラク派遣では第一次復興業務支援隊長を務めた経験を持つ“ヒゲの隊長”こと佐藤参院議員を模したキャラクターが、“あかりちゃん”なる女子中高生風キャラの「戦争法案」に関する質問に答えていくというもので、7月2日にYouTubeで公開された。もっとも評判は芳しくなく、インターネット上では「隊長が一方的にしゃべっているだけ」「電車の中での会話というのが意味不明」といった意見が寄せられていた。すると一週間後の9日に、これに反論する作者不明のパロディ動画「ヒゲの隊長に教えてあげてみた」がアップされる。映像は自民党のつくったアニ メほぼそのまま、ヒゲの隊長のセリフも殆ど変わっていないのだが、あかりちゃんのセリフがそっくり入れ替わっていたのだ。本家ではシンプルな質問と相槌を打つ事しか、しないあかりちゃんが、ヒゲの隊長の説明に逐一、毒舌のツッコミを入れていくというもの。すると、このパロディ動画が人気を集め、再生回数で本家の自民党アニメを抜き去ってしまったのだ。23日0時現在の両者の再生回数を見ると、本家動画が約24万回に対し、パロディ動画が約28万回。“PR”よりも“反論”が人気というこの状況は「戦争法案」強行に疑問を持つ国民がいかに多いか、の証明だろう。だが、このパロディ動画がスゴいのは本家より注目集めているというだけではない。その内容が素晴らしく、本家でのヒゲの隊長が訴える「戦争法案」の必要性を徹底的に論破しつくしているのだ。例えば反論動画の冒頭、あかりちゃん(以下あかり)はヒゲの隊長(以下ヒゲ)に対して、こう直撃する。あかり「じゃあ、ズバリ言うけど、今回の安保法制、憲法違反だよね」 ヒゲ「そーりゃ大変だ」あかり「超大変だよ。この時代に立憲主義の否定なんて。どこの独裁国家って感じ。ありえない。恥ずかしすぎて国際社会に顔向けできないのだけど」ヒゲ「そんな事ない。でも本気で心配なんだね。大事な問題だよね。政治を預かる私達も真剣に考えているんだ」あかり「真剣に考えているわりには、真剣に国民に説明する気はなさそうだけどね。国民の8割が説明不足、6割が反対って言っているのに、理解を得られなくても決めるって、首相も高村さんも言ってたよね。戦争法案って批判されたら名前だけ変えてみせたり、全く詐欺師かよって話だよ」
 ここ一ヶ月「戦争法案」を検証するのが日課になっている本サイトからみても、あかりちゃんの毒舌は的確な批判だ。この後「改憲したいならしたいで堂々と筋とおせよ」と皮肉るあかりちゃんに対して、ヒゲの隊長は“国際情勢の変化”と“ミサイルの脅威”を持ち出すのだがー。ヒゲ「実際に日本にミサイルを向けている国があるの知ってる?」あかり「中国って言いたいんでしょ? はっきり言えよ。しかもなんか最近ミサイル向けられたみたいな言い方しているけど、ミサイルの照準が向いているのは冷戦期から変わってないんだけど。何のために危機感煽っているの?」 ヒゲ「もし現実にミサイルを撃ってきたらどうする?」
 あかり「現実にミサイル撃ってきたら個別的自衛権で対応できるでしょ。あんたたちが無理やり押し通そうとしてる集団的自衛権の話とは関係ないよね。それにミサイルを撃たせないようにする事が政治なんじゃないの?ちょっと煽られただけで大騒ぎするなんてプライドだけ高くて気が安いボンボンの発想だよね」とメッタ切りにされてしまう。実際、ヒゲの隊長だけでなく、安倍首相が意味不明の比喩を用いて説明する集団的自衛権発動の具体例もまた殆どが個別的自衛権の範疇に収まるものばかり。ヒゲの隊長は、閣議決定後の首相会見と同様“自衛隊のスクランブル発進は10年前の8倍だ”と中国の脅威をアピールするのだが、これにも、あかりちゃんは「そもそも冷戦期には、それ以上の発進回数があったのに、あえて最低の回数だった10年前と比べる理由は?」と鋭く切り返すのだ。そして「北朝鮮も核実験を繰り返しているし、最近はテロや、サイバー攻撃も本当に深刻。私達日本人もいろんな脅威にさらされているんだ!」という例の決まり文句にもこう返す。あかり「サイバー攻撃とか言ってる暇あったら、先ずは年金の情報流出の件なんとかしてくんない?つーかテロって戦争に参加するから狙われるんだけど。あんたたちは戦争に参加できるようにしたいんだよね? 自分言ってることが矛盾してるの、わかってる?」
 とにかく一つひとつの説明をぐうの音も出ないほど叩き潰し「狂った政権が一番の脅威だってのは私もびっくりだけど」というオチまでつける。まさにフルボッコというやつである。さらに動画内でヒゲの隊長が強調する“安保法制によって抑止力が高まれば戦争が起きにくくなる”という論については、 こう畳み掛けるのだ。
 あかり「抑止力って言葉、ほんと好きだよね。対テロ戦争にそんな抑止力なんて効かないし、アメリカ見てみなよ。日本は今まで戦争しない国として様々な平和貢献をしてきた。特に紛争地域、貧困地域における民間レベルの活動は、本当に大きな信頼を得ている。それこそが一番の抑止力でしょ? なのに、そんな事も無視して無駄なマッチョイズムを政治に持ち込むわ、そのために憲法違反まで侵して突っ走っちゃうわ……あんたのとこのボスに一言伝えてあげてよ『狂っていますよ』って。簡単でしょ」
 ヒゲ「(ニッコリして)あはん。そんなに簡単じゃあないんだ」あかり「でしょうね」
 ヒゲ「(突如3体に増殖して)でも何重にも備えることは大事」あかり「増えてんじゃねえよ、キモいな」
 とまあ、万事がこのような感じで、キレッキレのあかりちゃんに思わず吹き出してしまうのだが、やはり特筆すべきは、本家動画で自民党が尻切れトンボに終わらせた、徴兵制についての議論だろう。
 あかり「最後に一つ、徴兵制に関して。憲法を軽んじて解釈改憲しようとしているくせに、なぜか徴兵制に関してだけは『憲法で禁じられているから』と言って絶対にしないと言い張っている」 ヒゲ「そんなこと‐」あかり「あなた達の狙っているのは経済的徴兵制だから。日本は今、貧困大国になろうとしてる。大学に通いたくてもお金のない18歳の若者に、他の仕事とは比べものにならない厚遇で自衛隊入隊の手紙が来る。そうやって自発的に軍隊に押し込むんだよ。アメリカがそうしているみたいに」ヒゲ「そんなことないから」
 あかり「本音をいえば徴兵もしたいんじゃないの?そういうマッチョなの大好きだもんね。訓練受けさせて思想教育して美しい日本人が作れるとでも思ってるんでしょ。選挙権を18歳にまで引き下げたのも、その関係だもんね」ヒゲ「絶対にありえない、だって、だって、だって」あかり「ほらね、その先言えないでしょ?図星だもんね。あんた達が間抜けな事ばかり言っている間に国会前は法案に反対する人達で溢れかえるよ。もし来てくれたら“主権在民”っていう中学で習う単語について教えてあげるね。待っていますよ、佐藤議員」
 繰り返すが、ヒゲの隊長のセリフは「だって─」のあと説明しないことも含めて、ほぼ本家動画と同じである。
いやはや、反論動画でここまで完膚なきまでにやられるとは。そもそも今回のPR動画に自民党が佐藤議員を起用したのは、イラク派兵を知る自衛官OBという経歴を見込んでのものだろう。いわば“戦場のプロフェッショナル”として説得力のある説明を期待されていた訳だ。
 しかし結果は、どこの誰とも知れない人に完膚なきまでに論破されてしまった。結局「戦争法案」というのは、安倍首相ら政府だけでなく自衛隊の制服組すら、自分たちの願望以上の事は語れないということらしい。ほんと、なんなんだろう、こ のグダグダ法案は。
 しかも恐ろしいのは、この動画について佐藤議員が22日ツイッターで〈中身は間違っているけど、佐藤も思わず吹いた〉〈なかなかよく出来ている。現時点で本家が24万回再生、パロディーが27万回再生。共にすごい再生回数だ、関心が高い!〉と語っている事だ。「思わず吹いた」って、国民を戦争に巻き込む法案をつくっておいて、反論に対してこういうノーテンキなコメントを出すとは、いったい、どういう神経を しているのか。それとも論破された事自体を理解できていないのか? いずれにしても安倍政権と自民党の反知性主義、恐るべしである。(リテラ)
【参考;【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみた
  【https://www.youtube.com/watch?v=L9WjGyo9AU8】
(民守 正義)