「戦争法案-反対」の蠢き(12)

「戦争法案-反対」の蠢き(12)


《「戦争関連法案」参議院審議まで今、なすべきこと》
 「戦争関連法案」の参議院実質審議が27日からになりそうだ。それまでに今、成すべき事は「戦争関連法案-反対」の世論を更に盛り上げ持続的、継続的な集会・デモはもとより「強行採決‐抗議・無効署名・団体声明」等を引き続き追求し「参議院審議」が始まったときは、圧倒的な世論優勢の下に「参議院審議」をスタートさせる事だ。「アベ」は側近・記者に「徴兵制だの戦争に巻き込まれるだの、悪いイメージを付けられ過ぎた」とぼやいたそうだが、それは違う。そこは我々が、この「戦争関連法案」の本質を国民に暴き、国民は国民で「アベ」が誤った結論(例;拡大解釈違憲⇒合憲、等)をヘタクソに説明すればするほど、国民はワカリヤスク「これは欺瞞だ!」と見抜いてしまったのだ。
 参議院審議では、より明確に「戦争関連法案」の論理破綻と「安倍内閣‐死に体状態」に追い込み「早期廃案」を目指そうではないか。
 
《まだ「戦争関連法案‐賛成」の方へ》

 話は変るが世論調査結果によると総体的に「30代男性」に「戦争関連法案‐賛成」が多いらしい。(と言っても、ほぼ半々だが)実際に「30代男性-戦争関連法案‐賛成」に話してみたが、ハッキリ言って話しぶりはインテリぶっているが実際の論理内容は結構、感覚的だ。例えば「『集団的自衛権行使容認‐日米軍事同盟の強化』による軍事的抑止効果が高まる」という「アベ」理論のマネ。しかし実際の米国の国際的外交評価は結構「軍事的力の政策‐好戦国」と思われており敵国的、あるいは快く思っていない国々はいくらでもある。そんな事は数カ国でも海外視察すれば直ぐわかる。その上、米国自身が「軍事的に力の低下」が解っているから「集団的自衛権行使」で「日本-我が軍」に「いつでも、どこでも米国軍とコンビ」で「世界を仕切ろう」としているのだ。
 そして具体的な「国際的な紛争」の可能性と言えば、中東情勢(IS含む)と中国の海洋進出だが、いずれにしても「日本-我が軍」が「アベ」が言う「安全な所から後方支援‐危険になれば撤退」等、できるはずもなく、むしろ戦時の常識として「あの後方から弾薬を運んでいる『日本-我が軍』から、やっつけろ!」という事の方が、より現実的に考えられる。戦争に真摯なルール等ないのだ。いくら「アベ」と同世代の「戦争を知らない子供達」の私でも十分に想像できる。第一「アベ」自身が右翼ゴロ「百田」に気を許したのか「『危険になれば、お先に撤退』なんてできないよね~」とお気楽に話している。結論的に言えば「世界一戦争仕掛け国家=米国」とコンビを強化することは、それだけ「日本の自主・平和外交路線が制約され、米国の世界軍事戦略に付き合わされる」事だけは頭に叩き込んで欲しい。しつこいが「『集団的自衛権行使容認‐日米軍事同盟の強化』による軍事的抑止効果が高まる」で納得・思考停止しているところが「感覚的思考」から脱却していない。
 余談だが、どうも「大阪都構想」のときもそうだったが、この30代男性には最後の結論部分で思考力に乏しい方が多い。お仕事が忙しくて、給与が少なくてストレスも溜まっているのだろうが‐。実際の話「会社の景気が悪いので、ここで一発『大阪都構想』!」と聞いたときはひっくり返った。その点、女性の方が「子育て・生活と戦争」と極めて現実問題と照らし合わせて「戦争関連法案-反対」を唱えている。
「30代男性-戦争関連法案‐賛成」の方も、せめて「自分が、自分の子供が、孫が」、「我が軍」に駆り出されたら「軍事的抑止効果の為に行ってくる(行かせる)」と自信を持っていえるかどうか、それ位の「現実感覚思考」位は行ってもらいたい。

《「強行採決」(7月15日)以降のあれこれ④》

<安倍首相の安保法制説明;フジテレビへの生出演は逆効果>
20日、安倍首相がフジテレビ報道番組『みんなのニュース』に生出演した。番組出演の意図は〈「国民の理解が進んでいない」と認める「戦争関連法案」に関し自ら国民への説明に乗り出す〉ということだったが、蓋を開けてみれば、集団的自衛権を“強盗に入られたスガくん、ケンカに強いアソウくん”というニコニコ生放送での例え話に続き、安倍首相はまたしても“ご近所さんの火事”という設定に置き換えて展開した。
 しかし司会の伊藤利尋アナウンサー曰く「総理肝いりの」模型まで使って安倍首相は火事の説明を始めたのが、その説明が訳がわからない。「アメリカの家が燃えて、横にある離れにも火が燃え移っても、日本は何もしない。でも離れの火がギューときて、日本の家が燃えたら日本の消防士が初めて出てくるけど、これからは風向きでアメリカの離れの火が日本の家まで来そうなら、日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる。でもアメリカの家までは行かない」アメリカの家の離れ?家までは行かず道の上?生肉にしか見えない炎の模型もさることながら、例え話なのに、もはや何を何に例えているかさえ解らない状態。
これにはコメンテーターの津田大介も「消防士が出なくても、隣人の誘導とか子供の安全を確保するとか、後ろからできる事もあるのでは?」と疑問を投げかけたが、安倍首相はいつもの「日米同盟の絆」を持ち出して正当化するだけだった。また「どうして、こんなに焦っているのか?」という疑問には、戸締まり論を持ち出し「かつては雨戸だけを閉めておけば泥棒を防いで、家の財産は守れた。でも今はどうでしょう。例えば振込み詐欺なんて、電話がかかってきますね。それへの対応もありますし」と回答。それもう戸締まりの話ですらないんですけど……とつっこまずにはいられなかった。同じくコメンテーターの犬山紙子が「日本でテロが起きる可能性もあるのでは?」と尋ねたときも同様だった。安倍首相は「全くないですね」と言い切り、犬山は日本でテロが起きる可能性を指摘しているのに「海外で日本人がテロに巻きこまれたら」と何故か海外の話にすり替えて説明し始めたのだ。とまあ一事が万事この調子で、対話による回答には全くなっていなかった。
 だが、そうした一般視聴者の感想とは別に、この放送に怒りをたぎらせているのは、安倍首相を神と崇めるネトウヨ達だ。彼らは一様に「伊藤アナは安倍さんに失礼すぎ」「犬山紙子?なんだこいつ。バカ国民の代表みたいな質問するな」「あー。クソみたいな番組作りにクソコメンテーターで、安倍さん可哀想」「フジじゃなく日テレに出れば良かったのに」などと立腹。フジテレビや伊藤アナ、犬山、同じくコメンテーターとして出演していた、やくみつるらが炎上状態に陥っている。しかし、このネトウヨの怒りはお門違いというものだ。そもそも今回、安倍首相は「自分の言い分をそのまま垂れ流してくれるだろう」という目論見で、わざわざフジテレビを選んだのである。実際、フジはこれまで一貫して「戦争法制」について擁護的な態度を取り続けてきた。
15日の衆議院特別委員会での強行採決時も、フジは「ホウドウキョク24」が生配信を行っていたが、そのときも辻元清美議員が「やめて!」と懇願する様子をフジの西山喜久恵アナウンサーは「(強引に採決されちゃったと)印象付ける方法ですかね」等と実況。
事実、強引に採決されようとしていたのだから、この実況こそが“強行採決ではないと印象付ける”ものだった。更に今回、安倍首相が生出演した『みんなのニュース』は、4月の放送でも米議員のマイク・ホンダ議員を「日系なのに反日」だと報じている。
「反日」等というヘイト用語を平気で使う時点で報道番組としてのあり方を疑問視せざるを得ないが、とにかくフジは安倍首相のお仲間スタンスが露骨なメディアだった。しかも今回のフジテレビ出演は、安倍─日枝久フジテレビ会長(管理者;「アベ」と癒着の「夜の会食」仲間)のトップ同士の談合で決まったものらしい。
 安倍首相は今月6日に「本当はテレビ番組に出たいのだが、どこも呼んでくれない」等とぼやいていたが、これは真っ赤な嘘。少なくともテレビ朝日やTBSは安倍首相が番組に出演したいと言えば、応じるつもりがあったという。ところが安倍首相はTBSやテレ朝では批判にさらされると怖じ気づき、盟友の日枝に泣きついて「PRの場を」と要請したらしいのだ。確かに番組を観ても犬山、やく、津田らは決して安倍首相に厳しかった訳ではかった。一応、ツッコむポーズはとるものの、安倍がトンデモ回答しても更に追求する訳でもなく、そのまま言わせっぱなし。
 更に伊藤アナにいたっては、新国立競技場の問題にも「民主党政権時代に決まった等、いろんな背景があるようですが」等と虚偽(決まったのは自民党政権下のこと)のフォローを入れていたし「戦争法制」についても、安倍首相が火事の例え話を行う前から伊藤アナは何度も“疑問を出すのは首相が説明してからで”と念を押していた。またネットでは伊藤アナが安倍首相に「戦争法制」が「中国を想定している」事を言わせようとしたと批判されているが、むしろ、これは表立っては口にできない安倍首相をアシストしようとしたと考えるべきだろう。いずれにしても、この日の『みんなのニュース』の進行は明らかに安倍の言い分を語らせてあげようという配慮の行き届いたものだった。それでもこんな事になってしまうくらい、安倍首相の説明が酷かったという事である。しかし考えてみれば、それも当然だろう。犬山も指摘していたが、集団的自衛権は隣人の火事等ではなく、人と人が武器を持って衝突するという話。このリアリティをごまかそうとするから、どんな説明を行っても説得力がないのだ。しかも国民は安倍首相の本音に少しずつ気がついてきている。
本サイトでも何度も指摘してきたように安倍首相は、かつて「日本人も血を流す」「日本人も命をかける」等と、日米同盟をつくると宣言してきた。そして今も内輪の講演や懇談では、はっきりと「中国との戦争」を意識した発言をしている。安倍首相の主張は、応援団のメディアすら正当化しようがないくらい、破綻しているのだ。これで、まだ「戦争法制」を強行しようというなら、それはもう「狂気」と呼ぶしかない。(参考‐リテラ)
                   
(民守 正義)