「戦争法案-反対」から「安倍政権‐打倒へ」(1)

「戦争法案-反対」から「安倍政権‐打倒へ」(1)

《「戦争法案」衆議院平和・安全保障特別委員会で「強行採決」警戒警報!》
既に上記タイトルを前回「『憲法審査会-違憲』後の動向(18)」で掲載した。
そこで与党側が今月半ばを目途に「戦争法案」について衆議院平和・安全保障特別委員会による「強行採決」が行われる前に、もう一度、僭越ながら参謀的に戦略・戦術を考え見直した結果、むしろ積極的に「戦争反対派」が「反‐戦争関連法案」から「反‐安倍政権・打倒!」スローガンを掲げて世論リードした方が得策と考えた。その意味で本稿(1)前段では、これまでの「各界・著名人等」で「未公開!戦争関連法案反対」の声・原稿を一挙、掲載して先ずは「前段!戦争関連法案‐反対!」キャンペーンを展開したい。
読者の皆様には、ぜひ、このキャンペーン期間中は特に、この「リベラル広場」の「拡散」をよろしくお願いしたい。そして、何としても「安陪内閣支持率」急落・「強行採決するにも、ちょっと恐いよ~♭」と言う雰囲気を作り出そうではないか。

《「戦争関連法案‐反対!」の声・抗議行動が、まだ押し寄せる!》
<政府の砂川判決“曲解”に高知県内の法律家が怒る>
〔「法治国家と言えなくなる」「合憲の根拠なし」〕
 「戦争関連法案」の「合憲」の根拠として、安倍政権が1959年の「砂川事件」の最高裁判決を再三持ち出しているが、この姿勢に対しては高知県内の法曹界や研究者も強く反発している。「集団的自衛権は必要か、国際情勢はどうか、という以前の問題。法治国家かどうかが問われている」との譲れぬ一線があるからだ。砂川判決への言及が増えたのは、6月4日の衆院憲法審査会で、自民党推薦を含む憲法学者3人が「違憲だ」と指摘してからだ。6月17日の党首討論でも安倍首相は「戦争関連法案」の「合法性に確信を持っている」と、またしても砂川判決に言及した。これに対し元裁判官-溝渕勝さんは「判決文のどこをどう読んだら集団的自衛権行使の根拠になるのか」と語気を強める。「砂川事件が起きた50年代は自衛隊の存在が違憲かどうかを争っていた時代。裁判も『そもそも日本は自衛権を持てるのか』ということが争われました。(この最高裁判決等を基に)その後、個別的自衛権の範囲に限って自衛隊はぎりぎり合憲との解釈を定着させてきたのは歴代の自民党政権です」
 溝渕さんは5月から市民団体「高知憲法アクション」の呼び掛け人として「戦争関連法案」に反対している。「一内閣が憲法の枠を超えて解釈変更できるなら、法治国家が成り立たない。『戦争法案』は明らかに違憲。殆どの裁判官が違憲と判断するはずです」安倍政権はこの間、砂川判決が認めた「主権国としての固有の自衛権」には集団的自衛権も含まれるとの姿勢を崩さず、首相も「決めるときは決める」と今国会での成立を宣言している。

 ただ実際に「戦争法案」が違憲かどうかを裁判所で審理するためには、自衛官が出動命令を拒否して処分されたり、海外で戦死者が出たりする等、具体的な「出来事」に基づく訴訟がないと難しい。溝渕さんも「与党が数の力で採決し、集団的自衛権が既成事実化される恐れが強い。そうなってからは覆しづらい」と話す。高知弁護士会は6月末「戦争法案」の速やかな廃案を求める会長声明を出した。会長は「安保強化の必要性など、弁護士にもいろいろ意見があるけど、法案が解釈改憲の限界を超えている点では、ほぼ異論はない」と言う。
 「私自身は自民党支持者ではないけど、これまで自民党の政策に賛成することが多かった。そんな人でも『おかしいのじゃない?』と思う内容です」声明作成に際し、かつて司法試験突破を目指して何度も読み込んだ憲法のテキストを書庫から出してきた。法曹界を目指す人達のバイブル的存在、芦部信喜氏の「憲法」(岩波書店)。芦部信喜氏の「憲法」には、日本では「集団的自衛権は認められない」とはっきり書いている。「砂川事件は必ず習います。しかし集団的自衛権を『行使できるという学説もある』といった説明は一切なかった」集団的自衛権の行使容認には憲法改悪が必要。その考えに揺らぎはない。「なぜ憲法があるのか。人の支配ではなく法の支配だからです。権力を縛るためです。権力を持つ人間が相当な裁量を持って(憲法の解釈を)変えられるという考えは全くの矛盾ですね」
 衆議院憲法審査会は6月15日に高知市で公聴会を開いた。意見陳述人6人のうち、解釈変更による集団的自衛権の行使を容認したのは尾﨑正直知事だけ。反対した一人で、憲法学の岡田高知大学准教授は言う。
「本来なら憲法改正の国民投票で決めるべきです。政府が解釈で変えるのは、主権者である国民から憲法改正の権利を奪うこと。今、行われているのは国民主権の否定です」

〔砂川事件と最高裁判決〕
 米軍立川基地で1957年7月、基地反対のデモ隊の内7人が基地に侵入したとして、刑事特別法違反罪で起訴された。1959年3月の一審・東京地裁は「米軍駐留は憲法9条で禁止された戦力の保持に当たり違憲だ」として全員を無罪にし検察側が最高裁に跳躍上告した。
 1959年12月、最高裁は「①憲法9条は日本固有の自衛権を否定していない②米軍駐留は憲法に反しない③高度な政治性を持つ条約は極めて明白な違憲でない限り違憲かどうか法的判断を下せない」と判断。「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛措置を取り得る」とした。
 しかし、この部分は判決を導く直接の理由付けではなく“傍論”と呼ばれる部分で示された。また裁判の争点は駐留米軍の合憲性にあり、与党公明党の北側副代表も以前「裁判では集団的自衛権は問題になっていない」と述べていた。
最高裁の審理過程では、当時の駐日米大使が日本の外相に跳躍上告を促す圧力をかけ、最高裁長官と密談して介入したことが米側の公文書で明らかになっている。日本側も関連文書を2010年に公開している。

<「安保法案を廃案に」 高知弁護士会が声明>

国会で審議されている「戦争関連法案」について、高知弁護士会は「憲法9条の恒久平和主義に違反しており、速やかに廃案とすることを求める」との会長声明を6月29日までに出した。声明は、集団的自衛権の行使を容認する同法案は、従来の政府の憲法解釈と整合せず、4日の衆議院憲法審査会でも与党推薦を含む憲法学者3人が、いずれも「9条違反」と明言したと指摘。2014年7月、政府が集団的自衛権を行使できるとの閣議決定をしたのは「政府の恣意により事実上、憲法9条を空文化しようとするに等しく、立憲主義に違反して到底、許されない」と批判し閣議決定の撤回も求めている。

<「安保法案は法的にアウト・愚策」小林慶大名誉教授>
「戦争関連法案」の国会審議が続いている。6月22日には戦後最長となる95日間の会期延長も決まった。自衛隊が海外で他国軍と 一体的に活動し、武器や弾薬も届ける。こうした活動は日本に何をもたらし、私達の社会をどう変えるのか。4日の衆議院憲法審査会に参考人として出席し「法案は憲法違反」と述べて大きな反響を呼んだ小林慶応大学名誉教授に、法案の問題点を語ってもらった。
〔実態は戦争参加〕
「集団的自衛権の行使や『後方支援』という法制度自体、法的にも政治的にも、そして経済的にもアウトです。愚策です」「後方支援」とは、海外で米軍等の他国軍向けに弾薬補給や人員・物資の輸送を行う活動を指す。「『戦争関連法』は最前線で引き金を引く事以外、全てできるようにする内容だ。兵隊の輸送も送迎も出発する飛行機への給油も帰って来た兵隊の宿泊提供や治療もできる」
 「『後方支援』は日本独特の概念です。後ろから参加しているだけで、戦争参加以外の何物でもありません。銀行強盗を銀行まで送迎したり、逃げる車に給油してあげたりして、無罪という訳にはいかないのと同じ。憲法9条に完全に違反しています」
〔開き直る政権〕
 「イラク特措法等に基づく自衛隊の海外活動も「後方支援」の名の下で行われた憲法違反の行為」と小林教授は指摘する。「アフガニスタン戦争では、米軍が敵側の人間や情報の出入りを抑えるためインド洋の海上封鎖をしていました。これに給油した自衛隊の活動は戦争参加に当たる。イラクでも航空自衛隊は『国連職員と物資を輸送する』と説明しましたが、実際は武装米兵を空輸していた。
 まさに『後方支援』と称した戦争参加でしょう」「今までは特措法で『ちょっとだけよ』と憲法違反を行っていたわけです。『戦争法案』は、それを、いつでも行えるようにしている。ひどくなっている」憲法学者を中心に法案に反対する声は強い。一方、政権や与党は「法的には違憲かもしれないが政治的に必要だ」と強調する。「2014年7月に(集団的自衛権の行使を認める)閣議決定したときから、安倍首相は『丁寧に説明する』と言っていたのに、一度もしていない。どん詰まりまで来て、『うるさいな!これで行くんだ』と言わんばかりの開き直りです。議論以前の問題です」
 憲法を軽視する政治の先に何があるのか。「憲法は国民が政治に与えた最高の約束事です。政治が憲法を無視するということは『政治が独り歩きする、独裁政権が生まれる』ということです。第2次世界大戦で日本は国家総動員法によって憲法を停止して戦争に突入しました」
 「今回の独裁政権は『憲法なんか無視してアメリカを助けるために戦争に行け』と言っているようなものです。これで悪影響がないと思う人っているのでしょうか?」
【用語解説‐特措法と恒久法】自衛隊はこれまでにも2001年のテロ特措法に基づき、インド洋で米艦船などへの補給活動を実施した。2003年のイラク特措法でも、自衛隊はクウェートを拠点にして米軍などに給水や人員・物資を輸送している。
 現在審議中の「国際平和支援法」はこうした時限立法とは違う恒久法だ。自衛隊の海外での「後方支援」をいつでも可能にし、活動範囲も「非戦闘地域」から「現に戦闘行為を行っている現場(戦場)以外」に広げる。支援できる場所は日本周辺に限らない。
(次号に続く;民守 正義)