「憲法審査会-違憲」後の動向(12)
「憲法審査会-違憲」後の動向(12)
【衆議院】
8時55分から予算委員会、午後1時から倫理選挙特別委員会。
【参議院】
10時から総務、文教科学、経済産業、国土交通、環境‐各委員会。
特に衆議院予算委員会では、各会派から「漏れた年金」問題と「戦争関連法案」を中心に集中質疑が行われた。「戦争関連法案」では安倍総理は、従前どおり「安全保障環境が根本的に変容したから集団的自衛権行使が必要になった」と「独自の解釈合憲論」を繰返すに留まった。
「維新」の「戦争関連法案」対案ポイントが小出しに明らかになってきたが、そのポイントの一つは「経済危機」だけで「存立危機事態(自衛隊派遣)」と看なさない。
二つ目のポイントは、最大の争点である「集団的自衛権行使容認が憲法違反であるか、どうか」については一切、触れず、集団的自衛権行使容認⇒「戦争関連法案」等の具体運用について「対案」なるものを述べるに留まっている。いずれにしても今頃になって「対案」を出す事の政治的効果は「与党の単独採決」を避ける(「アベ」の願望でもある)根回し・地ならしである事は明らかだ。何度も言うが民主党「枝野」さんをはじめとするマジメなリベラル派は「新右翼‐『維新』」との「騙され共闘」等、一切、無視して「院内・院外のリベラル派の総結集」に全力を挙げてもらいたいと思う。
逆に言えば、それしか廃案に追い込む展望はない。
《「憲法審査会-違憲(6月5日)」以降のあれこれ⑥》
<自民党;村上議員が涙を流して独白 安倍政権の「戦争法制」を批判>
安倍内閣が憲法解釈の変更により進める「戦争法制に『反対』」の立場から発言を続ける元国務大臣-自民党衆議院;村上議員がFM放送局-WAVE JAM THE WORLDの単独インタビューに応じた。
そもそもは先週10日、衆議院議員会館で「戦争関連法案」に関する勉強会が開かれ、村上議員がマイクを握り「学者が揃って違憲といっているのに、それを無視するのは傲慢だ」と自身が所属する自民党執行部を公然と批判する場面があった。
その後、村上議員に同調する同僚議員は現れず、与党内で文字通り「孤軍奮闘」している。
村上議員はどのような想い、どのような経緯があって「戦争法制反対」を発言するに至ったのかインタビューした。
安倍政権が憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認の根拠とした「砂川判決」については、真っ向から政府の解釈は間違っていると否定。高村副総裁などを「ダブルバッチ」と言い放し、弁護士であり政治家である自民党議員達に対して「大学の試験であれば、こんな解釈は落第だ」と批判した。
また小選挙区制や派閥の崩壊などによって自民党内の多様な意見が失われたと語る一方で、小泉総理大臣による郵政解散選挙で当時の武部自民党幹事長らが、いわゆる刺客と呼ばれる対抗馬を選挙区に送り込み、抵抗勢力を一掃していった記憶が今も現職の議員達を萎縮させていると話した。
また政治家になるのを夢見ていたという村上議員の叔父が、かつて20代前半で太平洋戦争で戦死したことなどを振り返り、若い自衛隊員を戦地に送るのにも関らず、そうした隊員達の命をどう守るのかなど、人命に関する議論が優先されていないなど、悔しさを滲ませながら、涙ながらに心情を吐露した。村上議員は地元愛媛を地盤に10回の当選を経験しているベテラン議員。その村上議員が安倍政権に対して「自由と民主を守る自民党であるべきだ」と真っ向から批判の声を強めている。
<答弁と矛盾…“戦争法案”守護神と化した高村副総裁の二枚舌>
国民に広がる「戦争法案は違憲」の“火消し役”に乗り出した自民党の高村副総裁(73)。
「憲法と集団的自衛権の解説ならオレに任せろ」と出張ってきたが、14日のNHK「日曜討論」では野党の集中砲火を受けてシドロモドロになった。
「自衛のための必要な措置が何であるか考え抜く責務がある。これを行うのは憲法学者でなく我々のような政治家だ」11日の衆議院憲法審査会で、こう強弁した高村副総裁。
59年の「砂川事件の最高裁判決」を下に同様の主張を繰り返したが、野党側から「判決は集団的自衛権が日本にあるとは一切言っていない。曲解している」と攻められるとタジタジになった。追い詰められた高村副総裁は「(砂川判決は)個別も集団も言っていない」「合わせて一本」等とゴニョゴニョ。終いには「今度の法案には個別とも集団とも書いてないのですよ」と逆切れし、野党議員の失笑を買う始末だったが、論理破綻はムリもない。過去の国会で、現行憲法下で集団的自衛権の行使を強く「否定」していたのは、他ならぬ高村副総裁本人だったからだ。99年2月の衆議院安全保障委員会。自由党の故・塩田議員が、憲法9条と自衛権の関係を質問。すると当時外相だった高村副総裁は「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲に留まるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない」と答弁していたのだ。
さらに塩田議員が「集団的自衛権はあるけれども、これは行使しない、また行使できない、それは本当に権利と言えるのか」と食い下がると、高村副総裁は 「日本国国民自身が自らの憲法をつくって、それは行使しないと、その集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけですから当然、日本国政府は、それに縛られる」と強調。「その従来の憲法解釈は変えないとされている」と一蹴した。まるで今と真逆の答弁ではないか。
政治評論家;山口朝雄さんはこう言う。
「法解釈や答弁がその都度、クルクル変わるなんて、政治家としても法律家としても失格です。要するに理念も矜持もない。ただ権力側にいたいだけの政治家なのです」
野党は「アベ」の理論的拠所にしている「高村の詭弁」矛盾を丸裸にする事は重要だ。
<口を開けば問題発言…中谷防衛相の“末期症状”に呆れる識者 >
「現在の憲法を如何に、この『戦争法案』に適用させていけばいいのか」。10日「戦争関連法案」を審議する衆議院特別委員会で、立憲主義を否定する冒頭のトンデモ発言を、やっと撤回した中谷防衛相。舌の根も乾かぬうちに、この日の特別委員会で、再び憲法軽視の発言が飛び出した。
昨年7月の閣議決定で、集団的自衛権の行使を容認した政府の憲法解釈について、中谷大臣は「将来的に安全保障環境が変われば、解釈が再変更される可能性もある」との認識を示し、こう言った。
「時代の背景と共に、憲法で許される必要最小限度の範囲で(集団的自衛権を行使できると)政府として考えている。これからも考えていく」。質問した民主党;寺田議員は「(戦争法制の)法的安定性が損なわれる」と批判したが、時の政権の安全保障環境の認識一つで、憲法解釈を恣意的にコロコロと変えてしまうなんて、ムチャクチャな発想だ。
「中谷防衛相は憲法の位置づけを本当に理解しているとは思えない。憲法は言うまでもなく、国家の根幹を成すもの。その解釈が政権のサジ加減で変われば、憲法そのものの有名無実化につながる。中谷防衛相は憲法の何たるかを知らないのなら、大臣以前に政治家失格」(政治学者・五十嵐仁)
もはや中谷防衛相は口を開けば問題発言連発という末期的症状である。
そろそろ誰か引導を渡してあげたらどうなのか。
<「砂川判決は米国の集団的自衛権について言及。日本のではない」>
6月15日、慶応大学;小林名誉教授、早稲田大学法学学術院;長谷部教授が記者会見。
「砂川判決は米国の集団的自衛権と日本の個別的自衛権について言及しただけで、日本の集団的自衛権については触れていない」と現政権の解釈を否定。
小林教授は「安倍政権による憲法破壊だ」と厳しく非難し、独裁政治の始まりであると語気を強めた。
両氏に「砂川判決を根拠に憲法解釈による集団的自衛権行使容認を打ち上げた推進役は誰か?」と尋ねた。答えは両者とも「知らない」。会見後、長谷部教授は「安倍政権になってからの動き。小選挙区制で公認欲しさに誰も異論を唱えられないのでは?」と指摘した。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
《6月18日「国会審議」状況等》
<衆議院・参議院各委員会で集中審議>
【衆議院】
8時55分から予算委員会、午後1時から倫理選挙特別委員会。
【参議院】
10時から総務、文教科学、経済産業、国土交通、環境‐各委員会。
特に衆議院予算委員会では、各会派から「漏れた年金」問題と「戦争関連法案」を中心に集中質疑が行われた。「戦争関連法案」では安倍総理は、従前どおり「安全保障環境が根本的に変容したから集団的自衛権行使が必要になった」と「独自の解釈合憲論」を繰返すに留まった。
<「維新」の「戦争関連法案」対案のポイント>
「維新」の「戦争関連法案」対案ポイントが小出しに明らかになってきたが、そのポイントの一つは「経済危機」だけで「存立危機事態(自衛隊派遣)」と看なさない。
二つ目のポイントは、最大の争点である「集団的自衛権行使容認が憲法違反であるか、どうか」については一切、触れず、集団的自衛権行使容認⇒「戦争関連法案」等の具体運用について「対案」なるものを述べるに留まっている。いずれにしても今頃になって「対案」を出す事の政治的効果は「与党の単独採決」を避ける(「アベ」の願望でもある)根回し・地ならしである事は明らかだ。何度も言うが民主党「枝野」さんをはじめとするマジメなリベラル派は「新右翼‐『維新』」との「騙され共闘」等、一切、無視して「院内・院外のリベラル派の総結集」に全力を挙げてもらいたいと思う。
逆に言えば、それしか廃案に追い込む展望はない。
《「憲法審査会-違憲(6月5日)」以降のあれこれ⑥》
<自民党;村上議員が涙を流して独白 安倍政権の「戦争法制」を批判>
安倍内閣が憲法解釈の変更により進める「戦争法制に『反対』」の立場から発言を続ける元国務大臣-自民党衆議院;村上議員がFM放送局-WAVE JAM THE WORLDの単独インタビューに応じた。
そもそもは先週10日、衆議院議員会館で「戦争関連法案」に関する勉強会が開かれ、村上議員がマイクを握り「学者が揃って違憲といっているのに、それを無視するのは傲慢だ」と自身が所属する自民党執行部を公然と批判する場面があった。
その後、村上議員に同調する同僚議員は現れず、与党内で文字通り「孤軍奮闘」している。
村上議員はどのような想い、どのような経緯があって「戦争法制反対」を発言するに至ったのかインタビューした。
安倍政権が憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認の根拠とした「砂川判決」については、真っ向から政府の解釈は間違っていると否定。高村副総裁などを「ダブルバッチ」と言い放し、弁護士であり政治家である自民党議員達に対して「大学の試験であれば、こんな解釈は落第だ」と批判した。
また小選挙区制や派閥の崩壊などによって自民党内の多様な意見が失われたと語る一方で、小泉総理大臣による郵政解散選挙で当時の武部自民党幹事長らが、いわゆる刺客と呼ばれる対抗馬を選挙区に送り込み、抵抗勢力を一掃していった記憶が今も現職の議員達を萎縮させていると話した。
また政治家になるのを夢見ていたという村上議員の叔父が、かつて20代前半で太平洋戦争で戦死したことなどを振り返り、若い自衛隊員を戦地に送るのにも関らず、そうした隊員達の命をどう守るのかなど、人命に関する議論が優先されていないなど、悔しさを滲ませながら、涙ながらに心情を吐露した。村上議員は地元愛媛を地盤に10回の当選を経験しているベテラン議員。その村上議員が安倍政権に対して「自由と民主を守る自民党であるべきだ」と真っ向から批判の声を強めている。
<答弁と矛盾…“戦争法案”守護神と化した高村副総裁の二枚舌>
国民に広がる「戦争法案は違憲」の“火消し役”に乗り出した自民党の高村副総裁(73)。
「憲法と集団的自衛権の解説ならオレに任せろ」と出張ってきたが、14日のNHK「日曜討論」では野党の集中砲火を受けてシドロモドロになった。
「自衛のための必要な措置が何であるか考え抜く責務がある。これを行うのは憲法学者でなく我々のような政治家だ」11日の衆議院憲法審査会で、こう強弁した高村副総裁。
59年の「砂川事件の最高裁判決」を下に同様の主張を繰り返したが、野党側から「判決は集団的自衛権が日本にあるとは一切言っていない。曲解している」と攻められるとタジタジになった。追い詰められた高村副総裁は「(砂川判決は)個別も集団も言っていない」「合わせて一本」等とゴニョゴニョ。終いには「今度の法案には個別とも集団とも書いてないのですよ」と逆切れし、野党議員の失笑を買う始末だったが、論理破綻はムリもない。過去の国会で、現行憲法下で集団的自衛権の行使を強く「否定」していたのは、他ならぬ高村副総裁本人だったからだ。99年2月の衆議院安全保障委員会。自由党の故・塩田議員が、憲法9条と自衛権の関係を質問。すると当時外相だった高村副総裁は「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲に留まるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない」と答弁していたのだ。
さらに塩田議員が「集団的自衛権はあるけれども、これは行使しない、また行使できない、それは本当に権利と言えるのか」と食い下がると、高村副総裁は 「日本国国民自身が自らの憲法をつくって、それは行使しないと、その集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけですから当然、日本国政府は、それに縛られる」と強調。「その従来の憲法解釈は変えないとされている」と一蹴した。まるで今と真逆の答弁ではないか。
政治評論家;山口朝雄さんはこう言う。
「法解釈や答弁がその都度、クルクル変わるなんて、政治家としても法律家としても失格です。要するに理念も矜持もない。ただ権力側にいたいだけの政治家なのです」
野党は「アベ」の理論的拠所にしている「高村の詭弁」矛盾を丸裸にする事は重要だ。
<口を開けば問題発言…中谷防衛相の“末期症状”に呆れる識者 >
「現在の憲法を如何に、この『戦争法案』に適用させていけばいいのか」。10日「戦争関連法案」を審議する衆議院特別委員会で、立憲主義を否定する冒頭のトンデモ発言を、やっと撤回した中谷防衛相。舌の根も乾かぬうちに、この日の特別委員会で、再び憲法軽視の発言が飛び出した。
昨年7月の閣議決定で、集団的自衛権の行使を容認した政府の憲法解釈について、中谷大臣は「将来的に安全保障環境が変われば、解釈が再変更される可能性もある」との認識を示し、こう言った。
「時代の背景と共に、憲法で許される必要最小限度の範囲で(集団的自衛権を行使できると)政府として考えている。これからも考えていく」。質問した民主党;寺田議員は「(戦争法制の)法的安定性が損なわれる」と批判したが、時の政権の安全保障環境の認識一つで、憲法解釈を恣意的にコロコロと変えてしまうなんて、ムチャクチャな発想だ。
「中谷防衛相は憲法の位置づけを本当に理解しているとは思えない。憲法は言うまでもなく、国家の根幹を成すもの。その解釈が政権のサジ加減で変われば、憲法そのものの有名無実化につながる。中谷防衛相は憲法の何たるかを知らないのなら、大臣以前に政治家失格」(政治学者・五十嵐仁)
もはや中谷防衛相は口を開けば問題発言連発という末期的症状である。
そろそろ誰か引導を渡してあげたらどうなのか。
<「砂川判決は米国の集団的自衛権について言及。日本のではない」>
6月15日、慶応大学;小林名誉教授、早稲田大学法学学術院;長谷部教授が記者会見。
「砂川判決は米国の集団的自衛権と日本の個別的自衛権について言及しただけで、日本の集団的自衛権については触れていない」と現政権の解釈を否定。
小林教授は「安倍政権による憲法破壊だ」と厳しく非難し、独裁政治の始まりであると語気を強めた。
両氏に「砂川判決を根拠に憲法解釈による集団的自衛権行使容認を打ち上げた推進役は誰か?」と尋ねた。答えは両者とも「知らない」。会見後、長谷部教授は「安倍政権になってからの動き。小選挙区制で公認欲しさに誰も異論を唱えられないのでは?」と指摘した。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
(民守 正義)
0コメント