コラムーひとりごと68 今頃になって「18歳選挙権」に一言
コラムーひとりごと68
今頃になって「18歳選挙権」に一言
実は、私は「18歳選挙権」について「反対」に近い疑問を持っていた。そして近い内に「反対」に近い問題提起をしようと思いながら、その時期を逸してしまい、最近のニュースを見ると「本月4日に衆議院本会議で全会一致で可決。本日から参議院成立」とのこと。我ながら「今頃、何をいわんや!」である。
しかし厚かましくも問題提起は問題提起とさせて頂き、酒のつまみにでもどうぞ♪
<何故「18歳選挙権」なのか?>
そもそも何故「18歳選挙権」にする必要性があるのか、自分なりにも相当、調べたが、もう一つ「ズバリ!これ!」という答えが見つからない。
もっともらしい理由に「少子高齢者社会の中で若者にも直接、政治への声を!」と言うのがあったが、一見「なるほど」と思いがちだが、私には、よく考えると、そこには「民主主義マジック」がある。真の民主主義は「多数決(形式的手続)ではなく少数意見も取り入れて全体として合意を図る努力とプロセス」にあると確信的に考える。
だとすれば現行20歳以上であっても、18歳~20歳未満の若者の意見も十分にヒアリングして、政治に反映すれば「こと足れリ」の話ではないか。
しかし、それでも直接「政治に言いたい!」と言う気持ちがあるなら、それはそれで理解できない訳ではない。
でも、その場合は個人の要望だけではいけない。少なくとも18歳~20歳未満の若者の過半数以上が「直接、言わせろ!」という強い要望があって、実際、その方が民主主義の理にかなうと合理的判断が成り立つのなら、私も「18歳選挙権」に賛成する。しかし実際の18歳~20歳未満の「政治参加要望意識」はどうなんだ?
実際の現行20歳~30歳未満の投票率でも低投票率の固定層で、なおかつ、これは賛否両論あるだろうが、この「若者低投票率層」は「無党派層・支持政党なし」が多い。
率直に言って「反論」覚悟の上で言うが「55年体制」の頃の「無党派層」は、既成政党(自民党・社会党)の「話合い・ボス交渉決着」が多く、これに対する反発と「新しい政治革新(息吹)を求める無党派層の新しい健全問題意識と行動が見られた。
しかし今の「若者低投票率層」は違う。そもそも「政治に無関心」が基本にあって、たまに選挙に関心を寄せても、その思考は思慮浅くイメージ的で「自分の生活に、どのように利害を及ぼすか」といったような「現実思考」に及ばない。せいぜい人気候補との写メールを取って「ミーハー」が少なくない。要するにハッキリ言って、今の「若者低投票率層」は不良化しているのだ。そこへ「18歳選挙権」を導入しても、態勢に影響なく拍車をかけるだけではないのか。
<「18歳選挙権」の本当の背景・思惑は?>
余談だが、かつて多くの(おそらく過半数以上)の18歳以上の若者が「我らにも選挙権を!」と政府・自民党に求めたことがある。それは1970年前後の学生運動が華やかしい頃で当時、学生運動に身を投じていた私だから鮮明に覚えている。当時の政府・自民党は佐藤内閣から田中内閣の頃だったが、政府・自民党の回答はつれなく「そんな革命を目指すような若者(学生)に選挙権を与えたら、日本の体制はムチャクチャになる」とピシャリと拒否された。それが今では「18歳選挙権」が、そんなに社会的要求にもなっていないのに何故「全会一致」で易々と認められるのだろうか。
その主な理由の一つは「若者を甘やかす社会風潮」があると思う。我々、学生運動・社会運動の世代・経験者から言わせれば「18歳選挙権を与えろ!」をスローガンに「『18歳選挙権』を与えろ!全国若者ネットワーク」でも結成し「全学スト」でも署名運動・集会・デモ等々の取組みを展開し、要は「闘って勝ち取れ!」と言いたい。
それと「NEWS23」で岸井コメンテーターが言っていたが「これから18歳以上に選挙権を付与するのに社会・政治教育、歴史教育を、しっかり教えていかないといけない」と言っていた。総論としては反対ではないが、もし教えるなら18歳になるまでに教え込んで欲しい。18歳になって本番と同時に「社会・政治教育、歴史教育」等を教えているようでは、またぞろ「ミーハー有権者」を増やすだけだ。本番「投票行動」のときには「何故、その立候補者に投票したか」が、きっちり説明できるほど「有権者として責任ある投票行動」をとるのが本来だ。もっとも「ミーハー有権者」の問題は、若者に限った問題ではないがー。
<「憲法改悪」と「18歳選挙権」>
そこで少し、うがった見方をするが「憲法改悪‐国民投票」と「18歳選挙権」との関係を調べてみた。そうすると各社世論調査にバラツキもあるものの、概して20歳代は「改憲派」と「憲法擁護派」が拮抗、後、女性は全世代で「憲法擁護派」。男性は40歳代以降から「憲法擁護派」が多数になり、総じて年齢が高いほど「憲法擁護派」が多数になる。という事は「18歳選挙権」にした方が「改憲」を狙う安倍政権には有利になることになる。しかし「憲法改悪」されて実際に戦争に行って頂くのは若者の方が可能性が高い。実際に「集団的自衛権の行使⇒戦争関連法案の適用」が現実的になってくると、この世論調査結果も大きく変る可能性は大とも言える。
最後に「若者を甘やかす社会風潮」に戻るが、今までも別稿で再三、述べてきたが「18歳選挙権」になった事を契機に「子供の就職活動や入社式に親が着いて来る」のは、もう止めませんか?「親の子離れ、子の親離れ」が疑われる。
少し、きつい事を言うが「貴方にとっては可愛いオボッチャマ、オジョウチャマでも世間では単なる若造でございます。せめて社会にできるだけ迷惑にならないように育てお送り出してください」
(民守 正義)
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