「憲法審査会-違憲」後の動向(5)
「憲法審査会-違憲」後の動向(5)
<「労働者派遣法案で採決強行!」⇒民主党・共産党で阻止!>
【年金問題が先だ】
労働者派遣法改悪案の審議を巡り与野党が激しく対立した。衆議院厚生労働委員会で審議の終結を押し切ろうとする自民党に対し、民主党議員が与党議員の委員室への入室を阻止するなど騒然となった。反発する民主党、共産党は他の委員会(衆議院特別委員会も含む)の出席も見送った。
衆議院厚生労働委員会で民主党と共産党は、日本年金機構から約125万件の個人情報が流出した問題の徹底解明を最優先させることを主張していた。これに対し自民党・公明党の両与党は「維新」が提出した「同一労働・同一賃金」推進法案を修正して賛成することと引き換えに派遣法改悪案の審議終結と採決への協力を取り引きした。この「取り引き」に民主党、共産党は反発。民主党は同委員会の開催を防ごうと約30人の議員が入り口でバリケードを作り、入室する与党議員や安倍首相に「採決の強行はやめてください」「年金問題が先だ」と訴えた。
しかし与党と「維新」は同委員会を開催、民主党と共産党は欠席した。安全保障関連法案を審議する衆議院特別委員会でも与党と「維新」が出席し、民主党と共産党は欠席するという事態になった。
<労働者派遣法改悪案「きょうは採決せず」>
民主党・共産党の奮闘により衆議院厚生労働委員会は理事会を開き、自民党の渡辺委員長が12日は採決を行わない考えを示した。それでもなお、民主党等は「来週以降も審議を続けるよう求めたが、渡辺委員長が、これには拒否した」ため審議に応じていない。
この後、同委員会が開催したが、民主党と共産党の委員は審議に応じず、渡辺委員長を取り囲んで一時、入室を阻止するとともに、委員室で着席せずに抗議を続け、開会は予定より約10分遅れた。
また委員室の外では安倍総理が入室する際、民主党の議員が「『漏れた年金』の審議が先だ」等と訴え一時騒然!しかし与党側は経団連」との裏約束も有り、何としても「今国会で同改悪案を確実に成立させる」ため、来週中には衆議院を通過させる方針だ。
<労働者派遣法改悪案が当面の重要課題>
自民党;渡辺委員長が職権で12日に安倍総理の出席を求めて質疑を行って即、終局することを決めた。これに対し理事会で民主党等は「採決ありきの姿勢であり、到底容認できない」として与党側の委員会運営に反発し民主党と共産党の委員は来週以降も質疑を続けることを確約するよう求め抗議を続けている。
また自民党は、渡辺委員長が質疑終局を宣言する際、委員長席を取り囲んで議事を妨害したとして、民主党3人の委員に対する懲罰動議を衆議院に提出した。
これに対して民主党と共産党は、なお「極めて乱暴な国会運営である上、議論は全く尽くされていない」として質疑を続けるよう求めている。また「戦争関連法案」を審議する衆議院特別委員会等も欠席する等、与野党の対立が激しくなっている。
<最後は「自民」の助っ人「維新」を当てにするな>
「維新」は結局、労働者派遣法改悪案についても「骨抜き均等待遇」で妥協し、少なくとも反対はしても衆議院採決は容認する見通し。民主党が「与党のサポーターだ」と批判すれば「維新」は「何でも反対するだけの野党(⇒そんな野党はない!自惚れるな!)は古い」と反論する等、両党幹部の間では相互不信が増幅。この余波で、今国会最大の焦点である「戦争関連法案」の野党共闘にもほころびが露呈した。
でも私は、これでよいと思っている。元々「維新」など腐った自民党議員の寄せ集めで「共闘」の対象とすること自体が間違い。ハッキリ言って「枝野」は「共闘哲学」が甘い。
今、民主党が一番、大切な事は、本来の「民主党の背骨と『らしさ』をしっかり見につけること」。枝野さん自身が昨年の総選挙で「民主党らしく闘った候補者は勝ち残った」と言ったではないか。
その意味でも「目的と手段」が一定範囲で共通するリベラル派との共闘・共同の行動を深める方が、ずっと将来展望が切り開かれるし実効性も高い。もう自民党の腐れリンゴ「維新」など相手にせず、少々、議席数が少なくとも共産党・社民党・「生活」・民主党リベラル派・自民党「反『アベ』平和(ハト派―古賀グループ等)等のマジメな幅広リベラル戦線を目指しながら「いつまで経っても派遣法案」「残業代ボッタクリ法案」そして「いつでもどこでも『我が軍』派遣法案」等への闘いを、院外の闘い(学者・弁護士会・労働組合・市民等)とも呼応・連携して取組めば、意外と安倍政権はもろく、世論は我が方に傾き展望は切り開かれる。少なくとも「維新」とゴジャゴジャと疲弊して自民党が「『維新』ワナにはまった」と憎み笑いされるより、この方が高尚で大胆かつ可能性があり民主党のためにもなる。
《「安全保障関連法案に反対する学者の会」が結成》
6月過日「安全保障関連法案に反対する学者の会」が結成され、既に学者・研究者718人;賛同者305人(共に6月12日14時30分現在)が名を連ねている。
【「戦争する国」へすすむ安全保障関連法案に反対します】が呼びかけ言葉だ。
私も賛同者に登録した。
《山崎拓・元自民幹事長ら4人、「戦争法案」に反対表明》
自民党で幹事長や閣僚を歴任した山崎拓・元党副総裁(78)を含む元衆議院議員ら4人が12日、日本記者クラブで会見を開き、衆議院で審議中の「戦争関連法案」に「憲法解釈を一内閣の恣意によって変更することは認めがたい」等として反対を表明した。
出席したのは山崎氏と自民党時代に政調会長を務めた亀井静香・衆議院議員(78;無所属)元新党さきがけ代表の武村正義氏(80)、元民主党幹事長・藤井裕久氏(82)の計4人。
いずれも戦前生まれ。武村氏、藤井氏もかつて自民に所属していた。
山崎氏は改憲派として知られ、防衛庁長官や党安全保障調査会長等を歴任した防衛族。小泉政権下では自衛隊海外派遣に関わった経験を持つ。「不戦国家から軍事力行使国家へとの大転換を意味し、国策を大きく誤る」などとする声明を発表した。
亀井氏は会見で「日本が戦争に負けて以来、いま最大の危機にある。我々が爺だからといって、黙っているわけにはいかない」と述べた。
《首相に1人で抗う自民党議員「歌を知らないカナリアいる」》
自分流に憲法を解釈し、戦争ができる日本へと舵を切る。そんな首相に「間違っている」と声を上げる自民党国会議員がいる。
自民党総務会は、国会に提出する法案の可否を議論する党の関門だ。
5月12日、党本部で開かれた会合に「戦争法制改悪案」がかかった。衆院愛媛2区選出の議員、村上誠一郎が執行部に詰め寄り、珍しく紛糾した。
「ここでいう武力行使とはどんなことか」「憲法との整合性はどうなる」「自衛隊員に犠牲者が出る。その覚悟はあるのか」
総務会の慣行は「異議なし」の声と拍手での議決。この日の議論は2時間を超え、採決が迫ると議決の場に居ることを拒否し村上は退席した。廊下で報道陣に取り囲まれ言った。
「日本はワイマール共和国が犯した誤りを繰り返しかねない」
第1次世界大戦で敗れたドイツは、当時としては最も民主的な憲法を制定して再出発した。ところが、ヒトラー率いるナチスは戦勝国への反発をあおり、全権委任法を議会で通してワイマール憲法を葬り去った。
「内閣が都合のいいように憲法を解釈し、自衛隊法を変え、憲法を空洞化する。そんなことを許したら三権分立も法治国家も崩れてしまう。国会議員が声を挙げないでいいのか」
2013年10月の総務会では「特定秘密保護法」に反対した。
「拡大解釈の余地がある。基本的人権を侵してまで成立させる必要性に乏しい」と、問題点を列挙しながら法案説明者の町村信孝に迫った。
この時も1人だった。
昔は違った。1985年に自民党は「スパイ防止法案」を国会提出した。党内からも異論が噴き出し、87年には8人の自民党議員が「中央公論」に寄稿した。
その中で今、現職なのは3人だけ。谷垣禎一、大島理森、そして1年生議員だった村上。「まず情報公開を」と訴えた。
28年前には若手が執行部に反旗を翻し、スパイ防止法を廃案に追い込む程の活力があった。
それがなぜ、ベタなぎのような物言わぬ政党になったのか。
「小選挙区制ですよ。公認、比例順位、選挙資金を握る執行部に逆らえなくなった」
極めつきは05年の郵政選挙。民営化に反対した議員は公認されず、“刺客”を立てられた。執行部に異を唱えると政治生命が断たれる。国会議員は「歌わないカナリア」になった。
「歌を忘れたカナリアと歌を知らないカナリアとがいる」と村上は言う。当選を重ね閣僚など枢要ポストを求める議員は、人事を握る総裁に逆らえず、歌うことを忘れる。一方、小選挙区制は「チルドレン」に象徴される短命な議員を量産。「再選されること」のみに力を注ぐ若手は政策を論じず、頭数要因として扱われ、「歌を知らない」まま入れ替わる。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
《6月12日「国会、大荒れ!」》
<「労働者派遣法案で採決強行!」⇒民主党・共産党で阻止!>
【年金問題が先だ】
労働者派遣法改悪案の審議を巡り与野党が激しく対立した。衆議院厚生労働委員会で審議の終結を押し切ろうとする自民党に対し、民主党議員が与党議員の委員室への入室を阻止するなど騒然となった。反発する民主党、共産党は他の委員会(衆議院特別委員会も含む)の出席も見送った。
衆議院厚生労働委員会で民主党と共産党は、日本年金機構から約125万件の個人情報が流出した問題の徹底解明を最優先させることを主張していた。これに対し自民党・公明党の両与党は「維新」が提出した「同一労働・同一賃金」推進法案を修正して賛成することと引き換えに派遣法改悪案の審議終結と採決への協力を取り引きした。この「取り引き」に民主党、共産党は反発。民主党は同委員会の開催を防ごうと約30人の議員が入り口でバリケードを作り、入室する与党議員や安倍首相に「採決の強行はやめてください」「年金問題が先だ」と訴えた。
しかし与党と「維新」は同委員会を開催、民主党と共産党は欠席した。安全保障関連法案を審議する衆議院特別委員会でも与党と「維新」が出席し、民主党と共産党は欠席するという事態になった。
<労働者派遣法改悪案「きょうは採決せず」>
民主党・共産党の奮闘により衆議院厚生労働委員会は理事会を開き、自民党の渡辺委員長が12日は採決を行わない考えを示した。それでもなお、民主党等は「来週以降も審議を続けるよう求めたが、渡辺委員長が、これには拒否した」ため審議に応じていない。
この後、同委員会が開催したが、民主党と共産党の委員は審議に応じず、渡辺委員長を取り囲んで一時、入室を阻止するとともに、委員室で着席せずに抗議を続け、開会は予定より約10分遅れた。
また委員室の外では安倍総理が入室する際、民主党の議員が「『漏れた年金』の審議が先だ」等と訴え一時騒然!しかし与党側は経団連」との裏約束も有り、何としても「今国会で同改悪案を確実に成立させる」ため、来週中には衆議院を通過させる方針だ。
<労働者派遣法改悪案が当面の重要課題>
自民党;渡辺委員長が職権で12日に安倍総理の出席を求めて質疑を行って即、終局することを決めた。これに対し理事会で民主党等は「採決ありきの姿勢であり、到底容認できない」として与党側の委員会運営に反発し民主党と共産党の委員は来週以降も質疑を続けることを確約するよう求め抗議を続けている。
また自民党は、渡辺委員長が質疑終局を宣言する際、委員長席を取り囲んで議事を妨害したとして、民主党3人の委員に対する懲罰動議を衆議院に提出した。
これに対して民主党と共産党は、なお「極めて乱暴な国会運営である上、議論は全く尽くされていない」として質疑を続けるよう求めている。また「戦争関連法案」を審議する衆議院特別委員会等も欠席する等、与野党の対立が激しくなっている。
<最後は「自民」の助っ人「維新」を当てにするな>
「維新」は結局、労働者派遣法改悪案についても「骨抜き均等待遇」で妥協し、少なくとも反対はしても衆議院採決は容認する見通し。民主党が「与党のサポーターだ」と批判すれば「維新」は「何でも反対するだけの野党(⇒そんな野党はない!自惚れるな!)は古い」と反論する等、両党幹部の間では相互不信が増幅。この余波で、今国会最大の焦点である「戦争関連法案」の野党共闘にもほころびが露呈した。
でも私は、これでよいと思っている。元々「維新」など腐った自民党議員の寄せ集めで「共闘」の対象とすること自体が間違い。ハッキリ言って「枝野」は「共闘哲学」が甘い。
今、民主党が一番、大切な事は、本来の「民主党の背骨と『らしさ』をしっかり見につけること」。枝野さん自身が昨年の総選挙で「民主党らしく闘った候補者は勝ち残った」と言ったではないか。
その意味でも「目的と手段」が一定範囲で共通するリベラル派との共闘・共同の行動を深める方が、ずっと将来展望が切り開かれるし実効性も高い。もう自民党の腐れリンゴ「維新」など相手にせず、少々、議席数が少なくとも共産党・社民党・「生活」・民主党リベラル派・自民党「反『アベ』平和(ハト派―古賀グループ等)等のマジメな幅広リベラル戦線を目指しながら「いつまで経っても派遣法案」「残業代ボッタクリ法案」そして「いつでもどこでも『我が軍』派遣法案」等への闘いを、院外の闘い(学者・弁護士会・労働組合・市民等)とも呼応・連携して取組めば、意外と安倍政権はもろく、世論は我が方に傾き展望は切り開かれる。少なくとも「維新」とゴジャゴジャと疲弊して自民党が「『維新』ワナにはまった」と憎み笑いされるより、この方が高尚で大胆かつ可能性があり民主党のためにもなる。
《「安全保障関連法案に反対する学者の会」が結成》
6月過日「安全保障関連法案に反対する学者の会」が結成され、既に学者・研究者718人;賛同者305人(共に6月12日14時30分現在)が名を連ねている。
【「戦争する国」へすすむ安全保障関連法案に反対します】が呼びかけ言葉だ。
私も賛同者に登録した。
《山崎拓・元自民幹事長ら4人、「戦争法案」に反対表明》
自民党で幹事長や閣僚を歴任した山崎拓・元党副総裁(78)を含む元衆議院議員ら4人が12日、日本記者クラブで会見を開き、衆議院で審議中の「戦争関連法案」に「憲法解釈を一内閣の恣意によって変更することは認めがたい」等として反対を表明した。
出席したのは山崎氏と自民党時代に政調会長を務めた亀井静香・衆議院議員(78;無所属)元新党さきがけ代表の武村正義氏(80)、元民主党幹事長・藤井裕久氏(82)の計4人。
いずれも戦前生まれ。武村氏、藤井氏もかつて自民に所属していた。
山崎氏は改憲派として知られ、防衛庁長官や党安全保障調査会長等を歴任した防衛族。小泉政権下では自衛隊海外派遣に関わった経験を持つ。「不戦国家から軍事力行使国家へとの大転換を意味し、国策を大きく誤る」などとする声明を発表した。
亀井氏は会見で「日本が戦争に負けて以来、いま最大の危機にある。我々が爺だからといって、黙っているわけにはいかない」と述べた。
《首相に1人で抗う自民党議員「歌を知らないカナリアいる」》
自分流に憲法を解釈し、戦争ができる日本へと舵を切る。そんな首相に「間違っている」と声を上げる自民党国会議員がいる。
自民党総務会は、国会に提出する法案の可否を議論する党の関門だ。
5月12日、党本部で開かれた会合に「戦争法制改悪案」がかかった。衆院愛媛2区選出の議員、村上誠一郎が執行部に詰め寄り、珍しく紛糾した。
「ここでいう武力行使とはどんなことか」「憲法との整合性はどうなる」「自衛隊員に犠牲者が出る。その覚悟はあるのか」
総務会の慣行は「異議なし」の声と拍手での議決。この日の議論は2時間を超え、採決が迫ると議決の場に居ることを拒否し村上は退席した。廊下で報道陣に取り囲まれ言った。
「日本はワイマール共和国が犯した誤りを繰り返しかねない」
第1次世界大戦で敗れたドイツは、当時としては最も民主的な憲法を制定して再出発した。ところが、ヒトラー率いるナチスは戦勝国への反発をあおり、全権委任法を議会で通してワイマール憲法を葬り去った。
「内閣が都合のいいように憲法を解釈し、自衛隊法を変え、憲法を空洞化する。そんなことを許したら三権分立も法治国家も崩れてしまう。国会議員が声を挙げないでいいのか」
2013年10月の総務会では「特定秘密保護法」に反対した。
「拡大解釈の余地がある。基本的人権を侵してまで成立させる必要性に乏しい」と、問題点を列挙しながら法案説明者の町村信孝に迫った。
この時も1人だった。
昔は違った。1985年に自民党は「スパイ防止法案」を国会提出した。党内からも異論が噴き出し、87年には8人の自民党議員が「中央公論」に寄稿した。
その中で今、現職なのは3人だけ。谷垣禎一、大島理森、そして1年生議員だった村上。「まず情報公開を」と訴えた。
28年前には若手が執行部に反旗を翻し、スパイ防止法を廃案に追い込む程の活力があった。
それがなぜ、ベタなぎのような物言わぬ政党になったのか。
「小選挙区制ですよ。公認、比例順位、選挙資金を握る執行部に逆らえなくなった」
極めつきは05年の郵政選挙。民営化に反対した議員は公認されず、“刺客”を立てられた。執行部に異を唱えると政治生命が断たれる。国会議員は「歌わないカナリア」になった。
「歌を忘れたカナリアと歌を知らないカナリアとがいる」と村上は言う。当選を重ね閣僚など枢要ポストを求める議員は、人事を握る総裁に逆らえず、歌うことを忘れる。一方、小選挙区制は「チルドレン」に象徴される短命な議員を量産。「再選されること」のみに力を注ぐ若手は政策を論じず、頭数要因として扱われ、「歌を知らない」まま入れ替わる。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
(民守 正義)
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