「憲法審査会-違憲」後の動向(4)
「憲法審査会-違憲」後の動向(4)
《6月11日「衆議院憲法審査会」で再度、与野党激突!》
<「合憲か意見か?」⇒与党「決めるのは政治家」と自惚れ発言(高村)
;野党「憲法との整合性があった上での政治」(枝野)>
衆院憲法審査会は11日、前回会合で参考人の憲法学者3人が「憲法違反」と批判した「戦争関連法案」について与野党が再戦・激論を交わした。自民・公明両党は、前回学者の違憲主張に具体的には反論せず(できず)「戦争関連法案は合憲だ」と結論だけ強弁し「国の安全保障政策を決めるのは政治家だ」と開き直った。要はただ「違憲じゃない!」と言い捲くっているだけのこと(火消し)。
これに対し民主党は、専門家の主張を援用して法案の土台を崩す戦術に出た。例えば「憲法9条において砂川判決では『個別』『集団』を問わず『自衛権』を否定していないと今更いうなら、歴代内閣が踏襲してきた『集団的自衛権は違憲』との政府見解と明らかな矛盾」と指摘した。
<菅官房長官の「お茶目なエエ加減答弁」>
「戦争法制を合憲と考える学者がたくさんいる」と豪語していた菅義偉官房長官が、10日の衆院特別委員会で「数の問題ではない」とトーンダウン。事実上 前言を撤回した。合憲派の学者について「スガ」は「10人ほどいる」と言いながら3人の実名を挙げた。
一方、法案の廃案を求める憲法学者は200人を超え「戦争法制違憲論」は日増しに強まっている。
辻元議員(民主)は「勝負どころだ!『合憲派の学者が、こーんなにいる』と示せなければ、法案は撤回した方がいい」とたたみかけた。でも、この場面で「スガ」が実名を挙げた学者は、たったの3人。
内、一人ぐらいは私も知っているが「憲法学者」と言えるかどうかも疑問な「御用政治学者」。まあ政府が政府側参考人として出すのは勝手だが、国際的にも憲法学界的にも政府の権威に嘲笑を浴びる学者である事は覚悟しておいた方がよい。
10日-特別委員会では「維新」の高井議員も「212人の憲法学者が違憲だと表明し、どんどん増えている。国民の関心事だから合憲派は何人いるか?」と質問。「スガ」の「私が知っている方は10人程度いる」との答弁に、高井議員は「極めて少ない」と突き放した。
「スガ」は終了後の記者会見で「憲法学者のどの方が多数派で、どの方が少数派かは重要ではない」と述べ、多数の憲法学者の批判は審議に影響しない(要は無視―開き直り)との見方を改めて示した。
<砂川判決は「高村」のカビ>
そもそも砂川判決は、与党協議の間でも「集団的自衛権を視野に入れた判決ではない」として「封印」した経緯がある。それでも、またもや「高村」が砂川判決に拘るのは余程「妙案だ」と思い込んでいるのかも知れないが、憲法学会では「集団的自衛権には何ら関係のない『お門違い判決』であることで、とっくに決着がついている。だから「違憲派が圧倒的多数」なのだ。「高村」の法的知識にはカビが生えているとしか思いようがない。そのくせ「安保政策に責任を持つのは私達-政治家」と大した能力もなく思い上がるのだから、本当に始末に悪い。いずれにしても安倍政権は「頭で負けても数で勝負!」と審議強行する様相だ。
国会内では少数であっても連日の集会、デモ・署名等々の大衆行動には政府もたまらない。
学生時代、公安当局も「本当は、それが一番、困る」と言っていた。学者・法曹界・弁護士・労働組合そして国会議員も、たまには院外に出て「反『アベ』反『戦争法案』」の闘いの輪を広げようではないか。(連合さん、しっかりしてね♪)
《古賀誠元自民党幹事長「安倍首相に対抗する勢力必要だ」》
「政高党低」と言われるとおり、リベラル派の谷垣幹事長ら党幹部が、安倍首相に抵抗する気配はない。かつてのように党内で活発な議論が交わされる場面がめっきり少なくなった自民党を、古賀元自民党幹事長(74)はどう見ているのか。
何より危機感を感じるのは、政党による政府へのチェック機能が著しく劣化しているのではないかという点だ。
政府の出す法律は与党による事前承認が必要で、自民党でいえば部会で侃々諤々の議論をしたものを政務調査会に上げ、最終的に最高意思決定機関である総務会に諮って、初めて法律として国会に提出できる。そうやって、歴代の自民党政権はバランスのとれた法律をつくってきた。
ところが今は、部会や政調、総務会で何か言うと「安倍さんに反対している」と直結させられてしまう雰囲気だといわれている。党の部会の議事録を読んでも技術論ばかりで「集団的自衛権の行使をなぜ今、問う必要があるのか」等、根っこの議論が何一つない。非常に憂慮すべき状況だ。
―古賀さんは、かつて党内のリベラル派を代表する「宏池会」の領袖を務め、今も党内に睨みをきかせている。今秋の自民党総裁選を巡っては野田聖子、岸田文雄等の擁立を水面下で目指しているとも報じられている。よく野田さんの固有名詞が言われるが、政治家としての集大成として自分に課せられた仕事の一つは、健全な政党政治を守ることだと考えている。
安倍首相も実は困っている。
党内の議論もなく、あっという間に進んでしまうと、どんどん右に行くしかなくなる。振り上げた「こぶし」を下ろす場が無くなってしまう。党内での議論があって切磋琢磨すれば、様々な知恵も出てくるし、安倍首相だってハト派の意見も組み入れた、という場面が欲しいかもしれない。そういう意味でも、ベテランの二階総務会長には存在感を示してほしい。倒閣云々ではなく、やはり対抗勢力があって初めて健全な政党と言えるのではないか。
自民党が、こんな状態になったのは、小選挙区制で党の執行部に権限が集中したからだとも言われるが、それだけではないと思う。国会議員一人ひとりの覚悟の問題だ。「なぜ政治を志したのか」という気概や見識を、今の議員は失ってきている。健全な政党政治を行う力量と経験は、今の日本では残念ながら自民党にしかない。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
《6月11日「衆議院憲法審査会」で再度、与野党激突!》
<「合憲か意見か?」⇒与党「決めるのは政治家」と自惚れ発言(高村)
;野党「憲法との整合性があった上での政治」(枝野)>
衆院憲法審査会は11日、前回会合で参考人の憲法学者3人が「憲法違反」と批判した「戦争関連法案」について与野党が再戦・激論を交わした。自民・公明両党は、前回学者の違憲主張に具体的には反論せず(できず)「戦争関連法案は合憲だ」と結論だけ強弁し「国の安全保障政策を決めるのは政治家だ」と開き直った。要はただ「違憲じゃない!」と言い捲くっているだけのこと(火消し)。
これに対し民主党は、専門家の主張を援用して法案の土台を崩す戦術に出た。例えば「憲法9条において砂川判決では『個別』『集団』を問わず『自衛権』を否定していないと今更いうなら、歴代内閣が踏襲してきた『集団的自衛権は違憲』との政府見解と明らかな矛盾」と指摘した。
<菅官房長官の「お茶目なエエ加減答弁」>
「戦争法制を合憲と考える学者がたくさんいる」と豪語していた菅義偉官房長官が、10日の衆院特別委員会で「数の問題ではない」とトーンダウン。事実上 前言を撤回した。合憲派の学者について「スガ」は「10人ほどいる」と言いながら3人の実名を挙げた。
一方、法案の廃案を求める憲法学者は200人を超え「戦争法制違憲論」は日増しに強まっている。
辻元議員(民主)は「勝負どころだ!『合憲派の学者が、こーんなにいる』と示せなければ、法案は撤回した方がいい」とたたみかけた。でも、この場面で「スガ」が実名を挙げた学者は、たったの3人。
内、一人ぐらいは私も知っているが「憲法学者」と言えるかどうかも疑問な「御用政治学者」。まあ政府が政府側参考人として出すのは勝手だが、国際的にも憲法学界的にも政府の権威に嘲笑を浴びる学者である事は覚悟しておいた方がよい。
10日-特別委員会では「維新」の高井議員も「212人の憲法学者が違憲だと表明し、どんどん増えている。国民の関心事だから合憲派は何人いるか?」と質問。「スガ」の「私が知っている方は10人程度いる」との答弁に、高井議員は「極めて少ない」と突き放した。
「スガ」は終了後の記者会見で「憲法学者のどの方が多数派で、どの方が少数派かは重要ではない」と述べ、多数の憲法学者の批判は審議に影響しない(要は無視―開き直り)との見方を改めて示した。
<砂川判決は「高村」のカビ>
そもそも砂川判決は、与党協議の間でも「集団的自衛権を視野に入れた判決ではない」として「封印」した経緯がある。それでも、またもや「高村」が砂川判決に拘るのは余程「妙案だ」と思い込んでいるのかも知れないが、憲法学会では「集団的自衛権には何ら関係のない『お門違い判決』であることで、とっくに決着がついている。だから「違憲派が圧倒的多数」なのだ。「高村」の法的知識にはカビが生えているとしか思いようがない。そのくせ「安保政策に責任を持つのは私達-政治家」と大した能力もなく思い上がるのだから、本当に始末に悪い。いずれにしても安倍政権は「頭で負けても数で勝負!」と審議強行する様相だ。
国会内では少数であっても連日の集会、デモ・署名等々の大衆行動には政府もたまらない。
学生時代、公安当局も「本当は、それが一番、困る」と言っていた。学者・法曹界・弁護士・労働組合そして国会議員も、たまには院外に出て「反『アベ』反『戦争法案』」の闘いの輪を広げようではないか。(連合さん、しっかりしてね♪)
《古賀誠元自民党幹事長「安倍首相に対抗する勢力必要だ」》
「政高党低」と言われるとおり、リベラル派の谷垣幹事長ら党幹部が、安倍首相に抵抗する気配はない。かつてのように党内で活発な議論が交わされる場面がめっきり少なくなった自民党を、古賀元自民党幹事長(74)はどう見ているのか。
何より危機感を感じるのは、政党による政府へのチェック機能が著しく劣化しているのではないかという点だ。
政府の出す法律は与党による事前承認が必要で、自民党でいえば部会で侃々諤々の議論をしたものを政務調査会に上げ、最終的に最高意思決定機関である総務会に諮って、初めて法律として国会に提出できる。そうやって、歴代の自民党政権はバランスのとれた法律をつくってきた。
ところが今は、部会や政調、総務会で何か言うと「安倍さんに反対している」と直結させられてしまう雰囲気だといわれている。党の部会の議事録を読んでも技術論ばかりで「集団的自衛権の行使をなぜ今、問う必要があるのか」等、根っこの議論が何一つない。非常に憂慮すべき状況だ。
―古賀さんは、かつて党内のリベラル派を代表する「宏池会」の領袖を務め、今も党内に睨みをきかせている。今秋の自民党総裁選を巡っては野田聖子、岸田文雄等の擁立を水面下で目指しているとも報じられている。よく野田さんの固有名詞が言われるが、政治家としての集大成として自分に課せられた仕事の一つは、健全な政党政治を守ることだと考えている。
安倍首相も実は困っている。
党内の議論もなく、あっという間に進んでしまうと、どんどん右に行くしかなくなる。振り上げた「こぶし」を下ろす場が無くなってしまう。党内での議論があって切磋琢磨すれば、様々な知恵も出てくるし、安倍首相だってハト派の意見も組み入れた、という場面が欲しいかもしれない。そういう意味でも、ベテランの二階総務会長には存在感を示してほしい。倒閣云々ではなく、やはり対抗勢力があって初めて健全な政党と言えるのではないか。
自民党が、こんな状態になったのは、小選挙区制で党の執行部に権限が集中したからだとも言われるが、それだけではないと思う。国会議員一人ひとりの覚悟の問題だ。「なぜ政治を志したのか」という気概や見識を、今の議員は失ってきている。健全な政党政治を行う力量と経験は、今の日本では残念ながら自民党にしかない。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
(民守 正義)
0コメント