コラムーひとりごと67 『中国人学生の親日感』

コラムーひとりごと67
『中国人学生の親日感』


中国で日本語を学ぶ学生の〔日本観〕―民間団体「国際交流所」が約1万2千人にアンケート調査した。

{『親日感』は増大}
<約7割が『親しみ』>
日本への「親しみ」回答をした割合は70.1%。なんと10年前の前回調査より21.5ポイントも増加した。一方、「親しみを感じない」は23.1%に留まり、前回調査より15・7ポイント減少した。
「親しみ」を感じる理由について「抗日ドラマや教科書等を見て、日本は残虐な国だと思っていたが、日本語の勉強を始めると日本が好きになった」が典型的で、大学進学後に日本文化を知り、日本人と直に接することで、日本への見方が好転したとの意見が目立った。
アンケート実施団体「同研究所」所長は「日中貿易の拡大や中国観光客数の増加、文化交流の広がり等を通して、中国人間で日本への関心が大きく高まっている」と指摘する。
また「10年後の日本と中国は、どんな関係になっているか」との質問に対しては【「今より問題多い関係」+「敵対関係」=「悲観的見方」】が20.4%で前回調査より8ポイント減少した。逆に「今より親しい関係」は49.1%と前回調査より7.4ポイント増加した。

{『歴史認識』にはシビアな意見}
歴史認識問題については「侵略の事実を率直に認めて欲しい」「日本の首相は、戦前の軍国主義を象徴している靖国神社に参拝しないで欲しい」「戦争の事実を正確に教科書に書いて子供達に伝えるべきだ」等と日本への批判が大半を占めた。特に日本は1995年「村山談話」、2005年「小泉談話」を発表しているが「日本は一度も中国に謝罪したことがない」の記述も有り、中国学生達の間には「両談話」の存在が、あまり知られていないことも窺える。
また中国では日本語を勉強してから日系企業に就職を目指す学生も多いことから「日本への偏見を捨て、客観的に見つめるべきだ」との意見や「日本に対する『憎しみ教育』を中止すべきだ」と中国政府への批判的要望も出ている。

{『国民レベルの日中友好』が重要}
これまでの「日中友好関係」は、その時々の外交諸問題・懸案事項が具体的にあって先鋭したときに、中国は国民レベルへの「反日感情の扇動」も含めて「日中関係悪化」を招いていると思われる。例えば今「尖閣諸島の領土権」がシビアな外交問題・反日感情の元凶になっている。私は「どちらの国の領有権か?」について最低「国際司法機関等への裁定・調停等」による「国際社会の監視・協議」で決するべきことと思っている。でも、それは理想論で現実は、日中首脳の対立交渉と中国漁船の船団的突進。とても私の理想論どころか、話合い解決のきっかけも掴めない。そして、その時に反日感情も、過去の日本の侵略行為ともミックスして煽られる。私は、こんなことをしていても日中関係は一進一退で真に「日中友好関係」は確立できないだろうと思う。そこで中国政府の理解も必要なことだが、日中首脳交渉と民間レベルでの日中交流と分けて、そこに日中政府は干渉しない。つまり生身の日中交流と日中政治的対立とは区別することが、理想論であっても、でもそれしかない当面の「日中友好関係の推進方策」だと思う。なんとか日中首脳(正直、特に中国)が「民間文化交流の推進」と「日中領土問題」と二元交渉ができればと思う。
最後に四川省大地震のときに、中国の救助隊が比較的、粗雑に遺体を扱っていたが、日本の救助隊は丁寧に遺体を扱い、包んで敬礼して送り出す。それを見た中国人被災者達が「かっこええぞ!日本人!」と褒め上げたという。私は、せめて、そんな「日中友好関係」になればと思うのだが―。
(民守 正義)