「働く者の労働ニュース3」
「働く者の労働ニュース3」
{「塾のブラックバイト」厚生労働省が改善要請}
大学生らを酷使する「ブラックバイト」の問題で、厚生労働省が学習塾業界に、適正に賃金を支払うよう異例の要請を行った。「未払い賃金」といった相談が労働組合などに相次いでおり、業界全体で改善に取り組むよう求めている。
講師らが授業時間の前後に働かされているのに賃金が支払われていない事例があり、厚労省が調べていた。残業の割増賃金を支払わなかったり、時給が最低賃金を下回ったりする例もあったという。
厚労省は相当に塾業界で不適切な労務管理が広まっている可能性があると判断。労働基準局長からの改善要請文を全国学習塾協会や私塾協同組合連合会など関係7団体に3月末に送った。
要請文では、労働基準監督署が実際に指導した違法なケースを例示している。授業後に生徒からの質問対応をさせる際に、時間給ではなく一律「100円」だけ払っていた事例もあったという。
全国学習塾協会は、約470の塾運営会社などに内容を伝えて法令順守を徹底させるようにした。
担当者は「見直しを進めていきたい」という。ただ、業界団体の中には「会員への指導に強制力はなく対応は任意」というところもある。団体に加盟していない小規模の塾も多いため、改善要請が十分に伝わらない可能性は大きい。
■厚労省の「ブラック塾」指導例
◎授業開始20分前に講師を出勤させ会議を行ったのに、賃金を支払わない。【未払い賃金】
◎報告書やカリキュラム作成を授業の前後にさせていたのに、労働時間として認めない。
◎90分の事務作業で1200円(時給換算800円)しか支払わず、最低賃金額を下回った。【最低賃金法違反】
◎夏季講習等で1コマ90分の授業を1日7コマ(計10時間半)させ、必要な手続きをせず1日の法定労働時間(8時間)を超えた。【法定労働時間違反】
{「長時間労働」「自爆営業」ブラックバイトの実態}
大学生らに「ブラックバイト」が広がっている。アルバイトなのに勉強できないほど働かされたり、ノルマを達成できないと自腹で商品を買わされたり。数年前から問題視されてきたが、一向に改善は進まない。大学等が注意を呼びかけ、ようやく厚生労働省も4月から本格的に警鐘を鳴らし始めた。
【事例】
大手コンビニチェーンで昨年11月まで1年半ほど働いた男子大学生(20)は、うな重やお中元の販売ノルマを課せられたという。おでんのキャンペーンの週には「家族や友達に も声をかけて100個は達成を」とオーナーに言われた。親にも一部出してもらって自宅用に数千円、50個以上を購入。残りは親戚に頼んだ。
未達なら反省文を書かされ「罰ゲーム」として勤務時間外にゴミ捨て場の掃除等を無給で命じられる。オーナーが怖くて自腹購入がバイト仲間で常態化していたという。負担は1回あたり数千円でも、学生にとっては大きな出費になる。正社員でもノルマ達成の「自爆営業」は問題になっているが、弱い立場のバイトにもしわ寄せがいっている。
大手コンビニ側は「本部から販売を強要するよう指示を出すことは一切ない」という。ただ、大半の店舗の運営はオーナーに任されていて、別の店のオーナーは「販売目標をバイトにお願いしたことはある」と認める。
弁護士達でつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は昨夏、全国27大学の約4700人を調査。バイト経験者約2500人の7割弱が勤務時間を無理に決められたり、契約時と労働条件が異なるといった不当な扱いの経験があった。
「バイトで疲れ、学業が疎かになる」という意見もあった。
こうした例は以前から指摘されていたが、小売りや飲食業ではバイトに正社員並みの役割を求める例も多く改善が進まない。一人暮らしの学生等は収入をバイトに頼り、辞めにくい場合がある。
新年度に入り、大学側も警戒を強める。法政大学キャリアデザイン学部は4日の集会で、授業に支障が出ないよう注意する文書を約300人に配った。一部の労組やNPO法人も大学等で説明会を開き、無理な勤務は拒否できること等を訴える。
厚労省は4月から「アルバイトの労働条件を確かめよう!」というキャンペーンを始めた。新たに働く学生に基本的なルールを知ってもらうのが狙い。バイトでも残業手当があり「会社都合で自由に解雇できない」といったポイントを示したチラシ約1万8千枚を首都圏の4大学で配った。
{塾講師の学生「労組結成」}
大手学習塾で講師として働く大学生らが本月4日「未払い賃金」などを問題に労働組合「個別指導ユニオン」を結成、塾運営会社3社に団体交渉を申入れた。今後は更に約8社に対して「未払い賃金の支払」を求めていく方針だ。
新しい労組の母体は、若者の労働相談にのるNPO法人POSSEが立ち上げた「ブラックバイトユニオン」。個別指導塾で働く大学生達から「授業時間意外にも報告書づくり等を命じられ働いているのに、それに見合う賃金が支払われない」といった相談が相次いだ。このため講師達の労働組合をつくって、労働条件の改善に取組むことにしたという。
この日、申入れたのは「A義塾」の名前で50教室を運営するB社とフランチャイズ本部のAネットワークジャパン、「C個別指導学院」として55教室を運営するD社の3社。
{共産党「ブラック企業規制法案」参議院可決}
労働者を過酷な労働に追いたて使い捨てにする「ブラック企業」に対する規制を盛り込んだ青少年雇用促進法案が4月16日、参議院ん厚生労働委員会で全会一致 で可決された。
■ 躍進受けて提出
日本共産党は「ブラック企業」問題で、労働者の運動と結んでユニクロ、ワタミなどの実態を告発し、抜本的規制を求めてきた。
共産党は2013年参議院選挙で躍進し議案提案権を獲得すると、同年10月に「ブラック企業規制法案」を提出。この法案に基く国会論戦によって、同法案を成立させた。
同法案は「残業時間の上限を年間360時間とする▽次の勤務まで11時間の休息時間を保障する▽不払い残業が発覚したら残業代を2倍にする▽採用者・離職者数など労働条件・職場環境の情報公開▽パワハラを行った企業に指導・勧告等を行い、従わない場合は企業名を公表する」など、ブラック企業の 「手口」を封じるものだ。
■ 厚労省一斉調査
厚生労働省は13年から14年にかけて、5千を超える事業所への立ち入り検査を行い、違法行為等の是正措置に乗り出した。「若者の使い捨て」という表現で「ブラック企業」を初めて対象にして監督・是正に乗り出した。厚労省内からは「(共産党から)規制法案まで出されて動かない訳にいかない」との声が上がったという。
その後も同省は、ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業について「ブラック企業」かどうかを見分ける情報となる離職率を公表する等。規制法案の内容を先取りして実施に移してきた。
「ブラック企業」の手口である「固定残業代制」の問題では、求人の一斉調査と是正に乗り出し虚偽・誇大な求人広告をしないよう業界団体等にも要請した。そして当該常国会に政府は新法案を提出し、党の規制法案で掲げた職場情報の開示等を企業に課すことにしたの。
■ 共産案との共同・連携
この法案に対して共産党は、規制をより実効性あるものとするため修正案を提案。これには社民党が共同提案に加わり、民主、維新等、与党を除く全議員が賛成した。
修正案は、規制法案で掲げた情報開示項目等を提起したもので、規制法案が党派を超えて道理があることを示すものでもあった。
一方で政府は「残業代ゼロ」制度の導入等「ブラック企業」を野放しにする法案の成立を狙っている。これに対し共産党の規制法案 は、労働時間の法的上限規制を盛り込む等、労働法制改悪を許さないものになっている。確かに共産党の「労働者保護規制」の取組みには大いに評価できるものがあり、我々リベラル派総体も、いつまでも「共産党差別集団」という意味のない排除主義は「排除」して共産党との共同・連携を強めていく必要があると考える。
{「残業代ボッタクリ(ゼロ)法案」の動向}
「残業代ボッタクリ(ゼロ)法案=労働基準法改悪」が4月3日、閣議決定され現在、「軍事関連法案」で国会審議が混乱しているものの、今国会成立を目指している。(2016年4月施行予定)
塩崎厚生労働大臣は本月24日、経済人を集めた会合で、同法案を「小さく生んで大きく育てる」と息巻いている。
{「塾のブラックバイト」厚生労働省が改善要請}
大学生らを酷使する「ブラックバイト」の問題で、厚生労働省が学習塾業界に、適正に賃金を支払うよう異例の要請を行った。「未払い賃金」といった相談が労働組合などに相次いでおり、業界全体で改善に取り組むよう求めている。
講師らが授業時間の前後に働かされているのに賃金が支払われていない事例があり、厚労省が調べていた。残業の割増賃金を支払わなかったり、時給が最低賃金を下回ったりする例もあったという。
厚労省は相当に塾業界で不適切な労務管理が広まっている可能性があると判断。労働基準局長からの改善要請文を全国学習塾協会や私塾協同組合連合会など関係7団体に3月末に送った。
要請文では、労働基準監督署が実際に指導した違法なケースを例示している。授業後に生徒からの質問対応をさせる際に、時間給ではなく一律「100円」だけ払っていた事例もあったという。
全国学習塾協会は、約470の塾運営会社などに内容を伝えて法令順守を徹底させるようにした。
担当者は「見直しを進めていきたい」という。ただ、業界団体の中には「会員への指導に強制力はなく対応は任意」というところもある。団体に加盟していない小規模の塾も多いため、改善要請が十分に伝わらない可能性は大きい。
■厚労省の「ブラック塾」指導例
◎授業開始20分前に講師を出勤させ会議を行ったのに、賃金を支払わない。【未払い賃金】
◎報告書やカリキュラム作成を授業の前後にさせていたのに、労働時間として認めない。
【不十分な労働時間管理・未払い賃金】
◎90分の事務作業で1200円(時給換算800円)しか支払わず、最低賃金額を下回った。【最低賃金法違反】
◎夏季講習等で1コマ90分の授業を1日7コマ(計10時間半)させ、必要な手続きをせず1日の法定労働時間(8時間)を超えた。【法定労働時間違反】
{「長時間労働」「自爆営業」ブラックバイトの実態}
大学生らに「ブラックバイト」が広がっている。アルバイトなのに勉強できないほど働かされたり、ノルマを達成できないと自腹で商品を買わされたり。数年前から問題視されてきたが、一向に改善は進まない。大学等が注意を呼びかけ、ようやく厚生労働省も4月から本格的に警鐘を鳴らし始めた。
【事例】
大手コンビニチェーンで昨年11月まで1年半ほど働いた男子大学生(20)は、うな重やお中元の販売ノルマを課せられたという。おでんのキャンペーンの週には「家族や友達に も声をかけて100個は達成を」とオーナーに言われた。親にも一部出してもらって自宅用に数千円、50個以上を購入。残りは親戚に頼んだ。
未達なら反省文を書かされ「罰ゲーム」として勤務時間外にゴミ捨て場の掃除等を無給で命じられる。オーナーが怖くて自腹購入がバイト仲間で常態化していたという。負担は1回あたり数千円でも、学生にとっては大きな出費になる。正社員でもノルマ達成の「自爆営業」は問題になっているが、弱い立場のバイトにもしわ寄せがいっている。
大手コンビニ側は「本部から販売を強要するよう指示を出すことは一切ない」という。ただ、大半の店舗の運営はオーナーに任されていて、別の店のオーナーは「販売目標をバイトにお願いしたことはある」と認める。
弁護士達でつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は昨夏、全国27大学の約4700人を調査。バイト経験者約2500人の7割弱が勤務時間を無理に決められたり、契約時と労働条件が異なるといった不当な扱いの経験があった。
「バイトで疲れ、学業が疎かになる」という意見もあった。
こうした例は以前から指摘されていたが、小売りや飲食業ではバイトに正社員並みの役割を求める例も多く改善が進まない。一人暮らしの学生等は収入をバイトに頼り、辞めにくい場合がある。
新年度に入り、大学側も警戒を強める。法政大学キャリアデザイン学部は4日の集会で、授業に支障が出ないよう注意する文書を約300人に配った。一部の労組やNPO法人も大学等で説明会を開き、無理な勤務は拒否できること等を訴える。
厚労省は4月から「アルバイトの労働条件を確かめよう!」というキャンペーンを始めた。新たに働く学生に基本的なルールを知ってもらうのが狙い。バイトでも残業手当があり「会社都合で自由に解雇できない」といったポイントを示したチラシ約1万8千枚を首都圏の4大学で配った。
{塾講師の学生「労組結成」}
大手学習塾で講師として働く大学生らが本月4日「未払い賃金」などを問題に労働組合「個別指導ユニオン」を結成、塾運営会社3社に団体交渉を申入れた。今後は更に約8社に対して「未払い賃金の支払」を求めていく方針だ。
新しい労組の母体は、若者の労働相談にのるNPO法人POSSEが立ち上げた「ブラックバイトユニオン」。個別指導塾で働く大学生達から「授業時間意外にも報告書づくり等を命じられ働いているのに、それに見合う賃金が支払われない」といった相談が相次いだ。このため講師達の労働組合をつくって、労働条件の改善に取組むことにしたという。
この日、申入れたのは「A義塾」の名前で50教室を運営するB社とフランチャイズ本部のAネットワークジャパン、「C個別指導学院」として55教室を運営するD社の3社。
{共産党「ブラック企業規制法案」参議院可決}
労働者を過酷な労働に追いたて使い捨てにする「ブラック企業」に対する規制を盛り込んだ青少年雇用促進法案が4月16日、参議院ん厚生労働委員会で全会一致 で可決された。
■ 躍進受けて提出
日本共産党は「ブラック企業」問題で、労働者の運動と結んでユニクロ、ワタミなどの実態を告発し、抜本的規制を求めてきた。
共産党は2013年参議院選挙で躍進し議案提案権を獲得すると、同年10月に「ブラック企業規制法案」を提出。この法案に基く国会論戦によって、同法案を成立させた。
同法案は「残業時間の上限を年間360時間とする▽次の勤務まで11時間の休息時間を保障する▽不払い残業が発覚したら残業代を2倍にする▽採用者・離職者数など労働条件・職場環境の情報公開▽パワハラを行った企業に指導・勧告等を行い、従わない場合は企業名を公表する」など、ブラック企業の 「手口」を封じるものだ。
■ 厚労省一斉調査
厚生労働省は13年から14年にかけて、5千を超える事業所への立ち入り検査を行い、違法行為等の是正措置に乗り出した。「若者の使い捨て」という表現で「ブラック企業」を初めて対象にして監督・是正に乗り出した。厚労省内からは「(共産党から)規制法案まで出されて動かない訳にいかない」との声が上がったという。
その後も同省は、ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業について「ブラック企業」かどうかを見分ける情報となる離職率を公表する等。規制法案の内容を先取りして実施に移してきた。
「ブラック企業」の手口である「固定残業代制」の問題では、求人の一斉調査と是正に乗り出し虚偽・誇大な求人広告をしないよう業界団体等にも要請した。そして当該常国会に政府は新法案を提出し、党の規制法案で掲げた職場情報の開示等を企業に課すことにしたの。
■ 共産案との共同・連携
この法案に対して共産党は、規制をより実効性あるものとするため修正案を提案。これには社民党が共同提案に加わり、民主、維新等、与党を除く全議員が賛成した。
修正案は、規制法案で掲げた情報開示項目等を提起したもので、規制法案が党派を超えて道理があることを示すものでもあった。
一方で政府は「残業代ゼロ」制度の導入等「ブラック企業」を野放しにする法案の成立を狙っている。これに対し共産党の規制法案 は、労働時間の法的上限規制を盛り込む等、労働法制改悪を許さないものになっている。確かに共産党の「労働者保護規制」の取組みには大いに評価できるものがあり、我々リベラル派総体も、いつまでも「共産党差別集団」という意味のない排除主義は「排除」して共産党との共同・連携を強めていく必要があると考える。
{「残業代ボッタクリ(ゼロ)法案」の動向}
「残業代ボッタクリ(ゼロ)法案=労働基準法改悪」が4月3日、閣議決定され現在、「軍事関連法案」で国会審議が混乱しているものの、今国会成立を目指している。(2016年4月施行予定)
塩崎厚生労働大臣は本月24日、経済人を集めた会合で、同法案を「小さく生んで大きく育てる」と息巻いている。
(民守 正義)
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