コラムーひとりごと62 「敗戦70年―日本とドイツ」
コラムーひとりごと62
「敗戦70年―日本とドイツ」
{「敗戦70年―日本とドイツ」が学ぶもの}
<「日本とドイツ」の関係>
3月上旬、ドイツのメリケル首相が訪日した。訪日の目的は、6月開催予定の先進7カ国(G7)の議長国として事前調整のためだった。日本とドイツの関係は、戦時中は「日・独・伊三国同盟」に象徴的なように、自国のファシズム台頭で「領土拡大・植民地政策」に邁進した。でも連合国に敗戦した後の置かれた状況は全然、違う。ドイツは「冷戦構造」の最先端にあって「東・西ドイツ」に二分割された。それに対して日本は米国を中心とした西側諸国の一員として、主に経済成長を成し遂げていった。
メリケル首相は今回の訪日の際にも「内政干渉」等とも捉われないように言葉を選びつつ、次のようにドイツの経験・教訓を話した。先ず①近隣諸国の「過去の侵略・植民地政策の謝罪」から始まり、今日もなお謝罪し続けている。フランスがドイツの謝罪に寛容だった事も含め、こうした謝罪の積み重ねが、今日のEUでの確たる地位を得た。
②更にドイツの原発依存度が23.3%であるが「福島第一原発事故」を教訓に今後「脱原発」に切替えていくと言う。
このようなメリケル首相の発言は、逆に「具体的助言」ではないだけに安倍総理にとっては「耳の痛い話」だったかもしれない。
<「日本とドイツ」世論調査結果(「朝日」)>
【愛国心】「愛国心」について、日本で総じて「ある」と答えたのは83%で大半を占めた。逆に総じて「ない」は16%だった。
一方ドイツでは「ある」が67%「ない」が30%だった。因みに「愛国心は学校で教えるべきか」かという質問について、日本では「教えるべき」が43%「そうは思わない」が50%で大差がない。これに対しドイツでは「教えるべき」は35%で「そうは思わない」が60%で、ドイツの方が「国家愛国心教育」には否定的だ。更に「外国軍隊が攻めてきたら~」という質問では、日本では「戦う」31%「逃げる」が35%で、ほぼ横並び。「降参する」は15%だった。ところがドイツでは「戦う」が52%と半数を超え、「逃げる」23%「降参する」12%だった。
更に上記質問を男女別に見ると、日本では「戦う」の内、男性45%女性19%だった。
ドイツでは「戦う」の内、男性61%女性44%だった。
加えて年代別に見ると、日本で「戦う」は20歳代が19%で最も少なく、年代が上がると共に増加傾向にあり、60歳代以上では4割近くなる。一方ドイツでは60歳代以下は各年代とも「戦う」が5割台で70歳以上は36%に経る。
【将来展望】敗戦70年の日本とドイツの歩みの評価について、日本では「よかった」は22%で「どちらかと言えばよかった」は63%だった。
ドイツでは「よかった」は47%で「どちらかと言えばよかった」は40%で両国民とも肯定的だが,ドイツの方がより強い。
今後の見通しもドイツでは「よくなる」34%で「悪くなる」23%を上回る。これに対し日本は「よくなる」は13%で「悪くなる」34%の方が多い。これが安倍政権の「米国一辺倒軍事同盟体制」に日本国民の意識の中にも浸透し「米国以外には無関心⇒重要外交関係にある主要国との認識不足の現れでなければよいのだが-」と少し、憂慮する次第である。
次に「自国を巻き込んだ大戦の可能性」を質すと、日本では「ある」が50%だったのに対しドイツは62%と多かった。
特に日本だけの質問で「今の社会に民主主義が根を下ろしているか」を質問したところ「そう思う」が62%で「そう思わない」が32%であった。
【ヘイトスピーチ】「国内外国人や他民族を見下すような風潮があるか」を質したところ、日本では「ある」が45%で「ない」は51%だった。”これに対しドイツでは「ある」は計74%で「ない」の計23%を大きく上回った。
次に日本のみに「在日韓国・朝鮮人に対する差別を見聞きした事があるか」を質したところ「ある」が39%いた。「ネット上で差別的書き込み等を見たことがあるか」との質問には「ある」が25%で、特にネット利用する事が多い20~30歳代では「ある」が50%だった。
更に最近、社会問題化している「ヘイトスピーチ」について「問題がある」と答えたのは73%だった。更に「問題ではない」が18%だったが、私にしてみれば「差別肯定論者」18%は「異常値」とも言える数値だと言わざるを得ない。
なお「ヘイトスピーチに関心がある」という人(計35%)の内、「問題がある」と答えた人は93%と圧倒的多数だ。「問題ない」は僅か6%だった。しかし「関心がない」人(計61%)で「問題だ」と答えたのは65%で「問題でない」は27%にも上り「無関心層」の人権感覚の無さが露呈した。
{本来、あるべき「日本の外交政策」}
今回のドイツ;メリケル首相の訪日で、改めてドイツがEU諸国の中でもフランスと肩を並べて重要なキイ=主要外交国であることを思い知らせた。普段、我々がグローバルに世界情勢を広範な目で眺め分析する事に即時思考にならないのは、あまりにも安倍政権の基本軍事・外交政策が「米国一辺倒軍事同盟体制」のみであり、加えて、そのための「戦争一連法案」を強引に一括可決を目指していること、安倍総理が「集団的自衛権で米国の戦争に巻き込まれる事はない。むしろ武力脅威の虞がなくなった」とまで「真っ赤なうそ(20世紀冷戦構造型‐力の均衡バランス論)」をついて、国民をマインドコントロールしていることが大きいと思う。報道ステーション;古賀コメンテーターが言っていたように「安倍総理にとってみれば、米国の正義が日本の正義だ」が安倍総理の「対米一辺倒-好戦的外交政策」である以上、社民党・共産党を中心とするリベラル派は、野党外交も含めて、真に「積極的平和主義(非軍事部門による外交政策)に基づき特定国に偏らないニュートラルな平和・文化交流のパイプづくりと実際の交流事業を官邸・外務省なんか無視して独自の外交チャンネルを構築していけばどうかと思う。
そして、そうした官邸がイライラする独自の「野党外交政策」の積み重ねが「戦争法案」廃案にもなると思うのだが-。多少、素人考えだが検討していただければと思う。
(民守 正義)
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