コラムーひとりごと58 「『大阪都構想』あれこれ」

コラムーひとりごと58
「『大阪都構想』あれこれ」




{連載シリーズの決意}
<「リベラル広場」を始めた動機>
先ず私が「リベラル広場」を運営する事にしたのは、これまでの諸原稿でも解るように、私は元々、中学生の頃から「部落解放運動」から始まる社会運動活動家である。
細かい変遷はともかく私が定年退職する2~3年前から、徐々に感じる体調変化-鬱病から突然の「意識喪失-転倒」。そして頚椎症性脊髄症の発覚。急遽に頚椎にスペーサーという金属板のような物を頚椎に5~6枚も貼り付ける手術を受けた。
そして一時は歩行不能となったのだが、その後のリハビリで、何とか歩行可能に。それで昨年3月末に退院したのだが、半月ほどで再び歩行困難になり大学病院で再検査。その結果は「サルコイドーシス」という難病だった。正直言って「中途障害」になり「モルヒネで尊厳死」も考えた。でも、それを勇気付けたのが子供達と、生粋の活動家気質。何かを社会に発信しなければと「在宅でもできる社会運動」として「リベラル広場」を始めたのである。少し自慢話は「リベラル広場」の原稿は全て自筆文書である。他の類似ブログもよく見るが「自筆文書」で完結しているのは、あまり見ない。そんな「差別化」「区別化」もあることも含めて愛読して欲しい。

<「橋下-財政再建」の実態>
私が「橋下」を直接的に知ったのは「大阪府知事就任挨拶」だ。「君達は倒産会社の従業員だ!これから『徹底した財政再建』に取組む。嫌な者は辞めてもらって結構」と最初からケンカ腰。確かに職場の雰囲気は一変した。早速「財政再建プロジェクトチーム」が立ち上がって「事業見直し」等が始まったが、その見直し手法は「ポリシーなき知事免責手法」だった。具体的に言うと長方形の会議机に財政課長(総務省(?)から出向;キャリア)を筆頭に「財政再建プロジェクトチーム」の面々が並ぶ。向い側には我々「事業推進部局」が部長を筆頭に並ぶ。
橋下元知事は、その間の「お誕生席」みたいなところに座るのだが、あまり何も言わない。そこで「事業推進部局」が特に懸案事業について継続の必要性を説明するのだが、財政課長が「この事業は、元は同和事業ですよね?」と元同和事業というだけで全面カットしようとする。「事業推進部局」側は「元は同和事業でも、今は一般施策として事業見直しも行っている」と反論しても財政課長は「元同和事業は見直しですよね」と差別者丸出しに譲らない。そこで知事がジャッジ!「廃止も含めて見直すように。ハイ、次!」大体、こんな調子で進むのだから、私が「ポリシーなき、何でもバッサリ事業カット」と揶揄するのも解ってもらえると思う。それと橋下元知事は裁判官のように振舞うだけで、自ら身を乗り出して「必要・不必要」を議論判断する事は殆どなかった。こうした橋下元府知事の対応を「橋下」ブレーンで「反公務員・御用学者」の慶応大;上山教授は「彼が以前から考えていた役人の扱い方だ」と褒めていたが、私から言わせば「橋下」らしい「自分は高い所から見て手は汚さない」というズルサが出ただけと側近も含めて信用されない「橋下元知事」の始まりに過ぎない。
なお笑い話ではないが「財政再建プロジェクトチーム」が「『啓発』と名の付く事業は全て廃止」という査定方針が流れた。当時、私は「就職差別解消啓発・指導事業」を行っていて案の定、一旦はゼロ査定。そこで再度の予算要求チャレンジで、事業内容はあまり変えずに「就職差別解消施策」と事業名称を変えて予算要求レクに挑んだら、アッサリOK。実際の財政査定能力もないのに査定権限を振回す大阪府財政当局の愚か加減がよく解る。

<一方で「無駄遣い」の橋下元知事>
上記「事業費なんでもカット」に加え「人件費カット」も凄まじかった。私で10%近くの本給カットに残業代ゼロ。トータル一月当たり10万円位の減収となった。もっと可哀想なのは退職前の職員で、新年度に入ってから同年度3月末退職で300万円程の減額。
それでも職員は不満ながらも頑張ったが、その一方で橋下元知事は「本庁舎移転」を言い出し大阪市から2010年6月に「オンボロビルWTC」を85億円で買い取った。本庁舎移転条例は否決されたが、それでも本庁舎機能を持たせようと、今でも「本庁舎執務室-咲洲庁舎」として利用している。でも、この「オンボロビルWTC」は耐震設計すらできておらず、既に24億円の修繕費を投入。さらに14億円の修繕費が必要という。そこで今現在、ジャーナリスト西谷 文和さんをはじめ大阪府民82人が「こんな無駄遣いをして!」と2012年1月12日、松井府知事を相手取り、購入当時の「橋下」にビル購入費や一部移転費用96億3千万円を返還請求するよう求める住民訴訟を大阪地裁に起こしている。
そこで怒って問題指摘したいことが数点ほどある。一つは橋下元知事が「就任挨拶」で「君達は倒産会社の従業員だ!」と言っておきながら何故「本社家屋の移転」の発想が出てくるのだ!それも「安物買いの銭失い」で住民訴訟までされている。実際「行政の無駄」を大阪府で行い、累積赤字を増やしたのは「橋下」自身なのだ。
そして、もう一つ、怒って問題指摘したいのは、今回「維新」が二重行政の例示として「WTCとりんくうタワービル」を挙げたことだ。冗談じゃない!WTCを大阪市から買い取り、今や「WTCとりんくうタワービル」とも大阪府所有で「二重行政」に該当しない。
完全な「維新」デマ宣伝だ!さらに怒って問題指摘したいのは、こうした真実情報をマスコミに継続的・系統的に情報提供しても全く無視。特に酷いのが「MBS;ちちんぷいぷい」。 視聴者無視かつ差別視している。

<「橋下」政策は全て失敗>
とはいえ「橋下」政策がなかったわけではない。ただ何一つ、ヒット政策は無い。
その例の一つが、今や懐かしい「校庭に芝生を」。「校庭に芝生を敷くことで学校・父母(地域)・子供達の連携を」との狙いだったのだろうが、それは机上の論理で、共働きの多い今日「笛吹けども踊らず」で、せっかく数少ない実施校でも「野球部の練習の邪魔だ」と剥がしてしまった。他にも「水都大阪」「御堂筋イルミネーション」「ぎょうさん買うたろう商品券」等々も不発・失敗政策ばかりだ。
そして、これらの「橋下」政策は、イベント性が強く、「福祉」「学力底上げ教育」「暮らし」等の「日常性のある政策」は殆ど無いことが解る。
ハッキリ言って「橋下」はディベートはうまくても「行政手腕」はゼロ。更に、それなりに側近だったから言うが「橋下」の悪いところは、実力以上に「思い付きが思い上がりになり、思い込みになる」ところで、今回の「大阪都構想」も、その悪い癖が出ているように思える。しかし「橋下」本人は何の反省の弁もなく四年足らずで、大阪市長に転進して行った。

<「橋下」の思いつき政策は必ず失敗する>
私は「橋下」が行政基礎知識が乏しい上に「怒りぽっく態度も直ぐ豹変」することを知っており「大阪都構想」も知識・認識誤りが多すぎるだけに「シリーズ」で体系的・継続的に皆さんにお知らせしてきた。正直言って「シリーズ」で提供していく事には多少、疲れたが「大阪都構想」は失敗しても「校庭に芝生を」のように剥がせば済むものでもない。
車椅子生活・手のシビレに耐えながらも「大阪都構想-反対」シリーズを出し続けたのは、やはり社会運動家の性根だろうか?                  
(民守 正義)