コラムーひとりごと57 「外国人記者から見た『日本メディア』」

コラムーひとりごと57
「外国人記者から見た『日本メディア』」


{「安倍政権-官邸」メディア圧力とメディア姿勢}
最近「安倍政権-官邸」のメディア圧力が目立っている。
4月16日に元「報道ステーション」コメンテーターの古賀重明さんの記者会見に数十人の外国人記者達が集まった。古賀さんはメディア側が政権との軋轢を回避し、自ら表現の範囲を少しづつ狭めていると指摘し「国民が本当の事を知ることができなくなる恐れがある」と述べた。
ドイツ紙記者は「古賀さんと全く同感だ」と話した。ドイツではメディア幹部が政権幹部と飲食したり、ゴルフをしたりする光景は「考えられない」と話す。「メディアには権力を批判的に論じる役割がある。役割を疑われる行為をする必要が無い」と断言する。
日本のメディア幹部に「爪のアカ」でも飲ませたい位の話だ。「ちちんぷいぷい」で公言していたが「第一次安倍政権」が崩壊後「アベ」は政権崩壊の理由に「マスコミ攻撃のせい」と思い込み、何度も「マスコミ幹部と会食」してマスコミ幹部を手なずけたという。その一方、マスコミ現場スタッフには厳しく、気に食わないと直ぐにイアホーンを外し一方的に喋り捲る。
そういえば「テレビ朝日」早河会長が3月31日、記者会見で「圧力めいたものは一切ない」と陳謝したが、これも菅官房長官とのデキレース。既にWEBニュース等で菅官房長官が古賀さんを攻撃する「オフレコメモ」が出回っているし「テレビ朝日」早河会長は「安倍官邸サイドの子飼い」となっているのは常識的疑惑になっている。そうか~!「フジ・サンケイ」に「読売」そして「テレビ朝日」までも「政権にニュースを頂くヒル」に成り下がったか~!「アベ」に何を食べさして貰ったんだい?公務員だったら「贈収賄罪で懲戒免職」だね。昔のメディアは、もう少し「権力チェック機能・気骨」があったように思うのだが-。こうなったら視聴者・読者も「ウソ半分」でニュースを見るしかないが但し、これからは少々の「政権圧力」がかかっても「正義面」して「報道の自由が云々」と言うな!「マスコミ権力チェック魂」を売ったのはオマエ達だ!

<外国人記者から見た日本のメディア評価>
元々、日本へのメディア評価は「政治家のスキャンダルや悪事も報じ、政府の意のままにならないイメージ」をもたれていた。ところが、ここ一年ほどの間に一部の新聞等から政権を批判する記事が減ったと感じると言われている。特にNHK等を念頭に「『政府が右と言うことを左と言う訳にはいかない』等と発言する人が会長を努めたり『南京大虐殺はなかった』と公言する(ゴロツキ右翼)『ある者』が経営委員に在籍したり。日本の政権もメディアを宣伝機関にしたがっているのではないか」と酷評している。そして更に「政策のチェックや問題点を提起するのがメディアの役割。それを制限しようとする側も、萎縮してしまう側も結局、損をするのは受け手である市民だと知るべきだ」と指摘する。
 そこに私なりに付け加えれば、今や戦時中とは違う。何も官製の「国営放送」や「自主検閲いっぱい、つまらないバラエティー番組」ばかりの民間放送を無理して見なくてもユーチューブやインターネット等々で、いくらでも選択肢はある。安倍政権はNHKをはじめメディアを官製操作したいのかもしれないが、その結果は「国民の既成メディア離れ」を起こすだけで、官製メディアを「おもしろい♪おもしろい♪」と見ているのは政府関係者だけと思惑と違う皮肉った結果になって「無駄なメディア介入」にならぬよう忠告してあげる。

{英国紙「ガーディアン」の例}
英国紙「ガーディアン」東京特派員記者は、自民党が昨年の衆議院選挙報道でテレビ局に「公平・中立」を求める文書を送ったことが気がかりだという。「『これを報じろ!or報じるな!』と言われなくても脅かす気持ちをほのめかしている」と指摘している。
 英国紙「ガーディアン」は13年、米英情報機関による情報収集の実態をスクープし政府から内部文書のデータ破壊を強要された。
 この記者は「民主主義国家でも権力が報道に圧力をかける事態は起きうる。重要なのはメディアがどう対応するかだ」と強調した。更に「日本の報道機関が圧力を受け入れているように見える事を懸念している」と語っている。全く同感だ。ある意味、政権側がメディアに圧力をかけるのは「支配装置」として当然の事だ。それを如何に抗して跳ね返すか。その気概とメディア人としてのプライドがなければ「報道の自由」など、守れるはずがない。そこには降格・降板・左遷等を恐れて「言われたとおりのチーフディレクター(具体名を上げてもよいが-)」が番組を仕切っているようでは、日本のメディアは「弱虫メディア」と言われても仕方ない。どうせ大して出世しないから「メディア使命」を守る立派な生き様を貴方の子供達に背中で見せる方が、ずっと悔いの無い「価値ある人生」を送れる。難病を抱えた61歳のオッサンが言う事だ。そうは間違いない。
 因みに自民党が「テレビ朝日」とNHKの幹部を何の権限もなく事情聴取を行った。
 もしデキレースでなければ、断れば良い事だ。こんな事ぐらいで「放送免許取消し」ができるものなら、やってみろ!裁判で政府がガタガタに負けるだけだ!

{「報道の自由」と放送法}
 菅官房長官は、古賀さんの「官邸圧力」発言について「俺なら放送法を持ち出して攻めるのだが」と放送免許取消しもあるような恫喝発言をした趣旨をWEBニュースで報じていたが、どうも菅官房長官は法政大学卒の割には「放送法」がどういうものか、わかっていない。「放送法」を持ち出すなら最低、次のことは解っていなければならない。
 先ず関連法規に「憲法21条-表現の自由」に「報道の自由」は包含され、その「報道の自由」は「国民の知る権利」が優先的にあってこそ保障されると解されている。誰でも知っているように現行憲法は「国家の暴走から国民を守るために国家を縛る」ことを目的に存在するのだ。だから「憲法観点」から言うと「国家(官邸)が放送法を盾に放送免許取消し」を言う事自体、想定外かつ国家(官邸)の「報道の自由への不当圧力・介入」と解される可能性が大なのだ。確かに放送法第四条には「(略)三  報道は事実をまげないですること。」が規定されているが、それは放送局自身が自律的に尊重すべきものであって、権力が言うべきものではない。[服部孝章・元立教大教授(メディア法)]
 しつこく整理すると①「事実がまがっているかは不明。仮に事実がまがっていても放送局が自律的に正す事。②そして何よりも憲法観点から「放送法」第3条「番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」が優先的に国家(官邸)が遵守しなければならないことなのだ。
 補足的余談だが、こんな程度の政権批判で「やれ放送法だの、報道内容がどうのこうの」と騒ぐようでは、それ自体、政権担当能力として気が小さすぎて心許ない。
 なお「国境なき記者団」が2014年に発表した「世界報道の自由度ランキング 2014」では日本は59位だったが、2015年には更に61位に転落した。これは「特定秘密保護法」制定が大きく影響しているようだが、日本のような先進国で、こんなに低い「報道の自由」ランキングも珍しい。このような「官邸の圧力の有無」程度の争いで「放送免許取消し」をすれば、相当な日本への「報道の自由バッシング」を覚悟しなければならない。
安倍政権に、そんな根性はない!                  
(民守 正義)