コラムーひとりごと55 「安保法制『戦争法案』の世論動向」
コラムーひとりごと55
「安保法制『戦争法案』の世論動向」
「朝日」は「安保法制『戦争法案』」にも関る「憲法世論調査」を行った。
今回は、その概要を紹介し「安保法制『戦争法案』の世論動向」等を探ってみたい。
{自衛隊の活動範囲}等について}
<「自衛隊の後方支援・海外活動」等について>
自衛隊の後方支援で「支援相手国・活動範囲・支援内容を広げること」について「賛成」39%で「反対」50%と「反対」が大きく上回った。これを更に男女別に見ると「男性-『賛成』46%『反対』47%」とほぼ拮抗しているのに対し「女性-『賛成』33%『反対』54%」と明確に「反対」が上回っている。これは【コラム-51「女性週刊誌に見る『女性政治意識』の変化」】でも述べたように女性の方が「生活・日常感覚で『戦争法案』を受止めている」のに対し男性は「『戦争に巻き込まれる心配』よりも、まだ頭でっかちに『日米安保戦略とは』と理屈思考で考える」傾向にあるからではないかと推察する。それでも「『自衛隊後方支援範囲拡大』で日本が戦争に巻き込まれる不安を感じるか?」は「大いに」39%「ある程度」49%とで計88%に上った。特に女性は「大いに感じる」が43%に及んだ。因みに「あまり感じない」9%と「全く~」1%との計は10%に留まった。次に「自衛隊海外容認活動」では「災害人命救助」95%「邦人救助移送」80%「国連平和維持活動」66%であった。
一方で「重要海上交通路-機雷除去(ホルムズ海峡等)」について内閣支持層・自民党支持層は共に54%、公明党支持層は42%が支持した。更に「人質邦人を武器使用で奪い返す」は21%、内閣支持層で27%自民党支持層でも26%の支持率で相当に低い。また安倍政権の「『日米軍事同盟の強化』のプラス面とマイナス面のどちらが大きいか?」は「プラス面」34%(昨年2月28%)「マイナス面」50%(同60%)と「マイナス面」の方が多いものの昨年との比較では「安倍政権」の「米国一辺倒-軍事戦略」が徐々に浸透している事が窺える。
<「憲法観」世論調査>
「憲法改正(改悪)の是非」について「変える必要が無い」は48%(昨年2月50%)「~必要がある」は43%(同44%)だった。
また「憲法9条」について「変えない方がよい」が63%(同64%)「変える方がよい」29%(同29%)で、いずれも「改正(改悪)反対派」が「賛成派」を上回っている。このことは多くの国民には現行憲法意識が定着し「改憲派」がよく言う「占領軍からの押し付けられ憲法だ」という主張自体が多くの国民には「押し付けられ改憲理由」にされている事を物語っている。
憲法を「変える必要が無い」と答えた人に「特に大切だと思う分野」を二つまで選んだところ「戦争放棄と自衛隊」が78%「国民の権利と義務」67%で他の項目を大きく引き離している。
「変える必要がある」と答えた人にも「特に変える必要があると思う分野」を二つまで選んだところ「国会の仕組み」53%が最も多く「戦争放棄」32%「憲法を変える手続」28%が続いた。憲法を「簡単に変えない方がよい」と「柔軟に変える方がよい」とでは「簡単に変えない方がよい」が58%「柔軟に変える方がよい」は35%で、まだ国民の多数は「護憲派」が多いことが判る。ただ憲法改正(改悪)を「現実的な問題」と答えた人は66%で「まだ先の問題」28%を大きく上回った。更に「憲法改正(改悪)派」の内、80%が「現実的問題」と認識。「護憲派」でも57%が「現実的問題」と認識しており「安倍政権」の「憲法改正(改悪)世論扇動」が一応、功を奏していると言わざるを得ない。
しかし、それでも現行憲法を「良い憲法」と答えてた人は63%で「良い憲法と思わない」24%を大きく上回り、概して「安倍政権」の「改憲扇動」に煽られながらも「現行憲法を全体として『我等の憲法』と支持・親近感を持っている」国民の憲法感情が表れている。
<姑息な「憲法9条改悪-二段階戦略」には反発>
自民党は先ず「緊急事態条項」や「環境権」等を盛り込んだ「憲法改正(改悪)前例」を為した上で9条改悪を目指す「二段階戦略」を取っている。こうした「二段階戦略」を「評価する」32%に対し「評価しない」は60%で「国民世論」は「正々堂々としろ!」ということだ。自民党支持層でも「評価しない」が49%で「評価する」43%よりも多かった。
更に「新しい権利や条項を憲法に加えるべき」か「今の憲法でも十分、対応できる」かは「加えるべき」は36%「今の憲法でも十分」は55%だった。特に内閣支持層・自民党支持層でも「今の憲法でも十分」が共に50%で「加えるべき」を上回った。更に「加憲」を掲げる公明支持層でも「加えるべき」は37%だった。この「加えるべき」と答えた人だけに「新たに加えるべき事項」を複数回答で挙げると「財政規律条項」67%「環境権」51%「緊急事態条項」40%だった。
<言葉の誤用「積極的平和主義」のイメージ>
安倍総理の言う「積極的平和主義」は完全に日本語の使い方として間違っている。「積極的平和主義」とは非軍事部門における外交政策のことである。
私は何度も、その事をマスコミにも指摘してきたが、誰も「安倍」に間違いを指摘しない。
その事を指摘した上で本「朝日-世論調査」では「積極的平和主義」に「良いイメージ」を抱くのは28%「悪いイメージ」を抱くのは20%「どちらでもない」は48%だった。
その中でも安倍内閣支持層では41%が「良いイメージ」だのに対し不支持層では37%が「悪いイメージ」と答えている。また安倍政権が昨年、憲法無視して「集団自衛権行使」容認した事について全体では「評価する」35%「評価しない」54%だった。ただ、これも「良いイメージ」と答えた人の内「評価する」が60%、反対に「悪いイメージ」と答えた人の内「評価しない」が87%も占めた。「武器輸出拡大」も全体は「賛成」14%「反対」80%だが「良いイメージ」の人の内、「賛成」が26%、「悪いイメージの人」の内、「反対」が95%で圧倒的比率で「反対」が占めた。更に「集団自衛権行使」等を決める「政府・政治家の判断が信用できるか」について全体は「信用できる」22%「信用できない」65%だった。
しかし、これもまた「良いイメージの人」の内、「信用できる」が47%で「信用できない」43%を、やや上回った。
そして「悪いイメージ」の人の内では「信用できない」が93%も占めた。
{まとめ}
本「朝日-世論調査」によると「安倍内閣支持率」は56%で依然として高い。しかし「支持理由」を見ると「これまでの内閣よりましだから」が53%と消極的支持理由が最も多い。上記「世論調査状況」を見ても「極右-安倍政権」の本音政策「憲法改悪・戦争法案」等には国民世論は意外と冷静・健全だ。むしろ安倍政権の「タカ派宣伝」には多少の世論影響は受けているとは思うものの、女性を中心に危機感を感じている国民感情さえ見えてくる。
その意味では、なんとなく危惧する「アベ-右ムード」にあまり動揺せずに「市民レベルの草の根平和運動」等を起こしていくことで、まだまだ闘う余地と「平和立国-日本」を取り戻す展望は十分にあると思える。もう一度、足元から見直して、誰でも参加できる工夫ある「平和運動」を考え、とりあえず「アイデア先出した者勝ち」で取り組んでみませんか。
(民守 正義)
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