コラムーひとりごと53 「最近の『労働情勢』」
コラムーひとりごと53
「最近の『労働情勢』」
{メーデーを節目に「最近の『労働情勢』の紹介」}
5月1日は「メーデー」だった。実は私は前職採用(1975年)から約2005年頃まで「メーデー参加」と「職場の慰安旅行」は欠かしたことが無かった。特に「メーデー毎回参加」は自分が常に何らかの組合役員を行っていたからであるが、それだけに労働情勢の関心も知識も豊富だった。
でも今は「障害者-年金生活」の中で若干「労働情勢」の認識も乏しくなってきている。そこで最近の「労働情勢の動き」を不十分ながら情報収集したので、一緒に再認識にお手伝い願いたい。
<賃上げ「大手は高水準-問題は中小企業への波及効果」>
経団連は16日「大手企業の今春闘賃上げ月額8502円;上昇率2.59%」を発表した。確かに額では21年ぶり、上昇率で18年ぶりの高水準だった。この高水準の賃上げ結果の要因の一つは「従業員500人以上;東証1部上場の大企業(62社)」でかつ相当に業績の良い大企業に限られて集計されたからだ。しかも「業績が良い」と言っても実際に輸出産業を中心に「海外売れ行き」が特段に好調なのではなく、むしろ、この間の「円高為替差益」によるところが多い。つまり実体経済の伴わない「バブル的」なものなのである。
もう一つの「今春闘の『高水準の賃上げ結果』」の理由に安倍総理の経団連への「賃上げ要請」があるという。この経団連への「賃上げ要請」には「アベノミックス成長戦略-デフレからの脱却」政策の一つとして取組まれた。本当に安倍総理の「賃上げ要請」に応えたのだったら、今春闘に限らず毎年「賃上げ要請」して頂いても結構なのだが実は、これには経団連会長も洩らしてWEBニュースにも流れたが(今は消去されている)後の「残業代ゼロ法案・労働者派遣法改悪法案(いつまで経っても派遣労働者法案)」を成立させる」という「裏取引」があったからなのだ、つまり安倍総理にしてみれば「『アベノミックス成長戦略-デフレからの脱却』が成功のプロセスにある」という看板は、どうしても下ろしたくない。
殆どの経済アナリストやマスコミのコメンテーター等は「アベノミックスは既に破綻している」と認識しているが、それをテレビ等で安倍総理に質問すると一気にご機嫌悪くなってイアホーンを外したりする。つまり安倍総理にしてみれば少しでも「アベノミクス成功のプロセス」の好材料が欲しいのだ。だから経団連に「賃上げ要請」をする。経団連も経団連で、それで一過性でも安倍総理の顔が立ち後の「残業代ゼロ法案・労働者派遣法改悪法案(いつまで経っても派遣労働者法案)」で返して貰えるなら、こんな美味しい話はない。
ただ、それでも安倍総理にとって危うい問題が残る。それは一応「大企業-高水準賃上げ結果」も、圧倒的に多い中小企業に波及しなければ「国民総体としての個人消費の高まり」にはならない。ならないどころか既に「実質賃金の目減り」は政府統計でも明らかになっているし、日本商工会議所をはじめとする中小企業団体は「中小企業にとって見れば依然として厳しい」といったコメントが相次いで出されている。つまり安倍総理が、いくら粉飾・主観的認識で「まだまだ!」と思っても、もう既にアベノミックスは破綻しているのだ。私は「アベノミックス破綻」が、もっとあからさまになるのは、本年7~8月頃と見ている。
<「残業代ゼロ法案・いつまで経っても派遣労働者法案」の問題点>
安倍総理は両法案とも「遅くとも今年中(夏)には成立を目指す」と大言壮語しているが実際、今からでも遅い位だが連合をはじめ労働団体は相当、国会内は当然の事、国会外でも大きな大衆行動(集会・デモ・署名活動に「残業代ボッタクリ法案・一生派遣身分法案」といった解り易いネーミングで反対世論を巻き起こさないと、今回ばかりは廃案は厳しい。
それだけに連合中央にも連合大阪にも「大衆行動も起こせない労働団体なら労働団体を返上して『労使協調・融和団体』でもやってろ!」と手厳しく言いたい。
なお「残業代ゼロ法案」の問題点は①「年収1千万円以上(厚生労働省審議会では1075万円であったのが『法案要綱』HP発表では早速1千万円以上に『こそ』と値切っている)」を対象労働者としているのだが、その「1千万円以上」は法案に盛り込むのではなく、より厚生労働大臣の裁量が効く「省令」で定めることになっている。つまり力関係次第で「年収要件は下げたい放題」なのだ。現に経団連会長は「全労働者の10%程度を対象にして欲しい」と記者会見で広言している。10%といえば500万人に相当する。2005年に出した経団連の提言では元々、対象者を「400万円以上」にするように要望して いた経緯さえある。
問題点②は「残業代の替わりに成果で支払う」と言っていたが「残業代ゼロ法案」には、そんな事、どこにも書いていない。要は本当に「残業代ボッタクリ法案」なのだ。
経団連や政府の言う事は絶対、信用してはならない。本当に次から次へとウソを付くのだ。それを肝に銘じて「反対-大衆行動」に参加・展開しよう!
なお他の問題点も含め本【リベラル広場;コラム-ひとりごと43「ついに国会上程へ!『残業代ゼロ法案』(2015年4月6日UP)」】もご一読頂きたいのと併せ、PDF【過労死促進・残業代ゼロ制度】も解り易い。
次に「いつまで経っても派遣労働者法案(労働者派遣法改悪法案)」の問題点は、派遣先事業所は永続的に(形式手続として3年毎に「過半数を代表する労働組合または従業員組織」に意見聴取をすればよい。別に反対されてもよい)派遣労働者(人)を3年毎に入れ替えさせすれば、何度も派遣労働者を使い続けることができるようになる一方、個々の派遣労働者は同一派遣先事業所には3年以上、働くことができず「自動的に3年でクビ」となることだ。
元々、労働者派遣法の制定(1985年)当時は専門26業務に限る場合と臨時的・一時的業務業務の場合に認められていた。それは常態的に必要な業務は「最初から正規雇用で雇いなさい」と言う意味でもあった。それが経団連をはじめとする財界の我儘で改悪に改悪を重ね、今回の同法改悪では派遣先事業所(企業)が「人件費コスト削減」のために「派遣労働者使いたい放題」。その一方、派遣労働者は「3年でクビ」になるから「正社員になる実質的なスキルアップ」する暇もなく、結果的に「派遣労働者の固定化⇒格差拡大」となるのだ。
まさに「いつまで経っても派遣労働者法案」である。なお更に詳しく「いつまで経っても派遣労働者法案(労働者派遣法改悪法案)」を網羅的に問題点を記載した原稿として本「リベラル広場」-「今、闘わなければ、いつ闘う!改悪労働者派遣法(2014年11月30日UP)」をぜひ、ご一読願いたい。
<「連合大阪メーデー」で「大阪都構想」反対決議>
連合大阪は「大阪市の廃止・分割は余りにも杜撰で決して容認することはできない」として異例の「大阪都構想」反対決議を上げた。連合大阪は3月下旬、連合本部幹部にも「労組を邪魔者扱いする『維新』が勢いづけば、政策実現が難しくなる」と主張。「大阪都構想-反対」の政治団体「府民のちから2015」にも資金と人員を投入し4月の統一地方選挙では「大阪都構想-反対」の自民党候補の支援もしたという。当然のことだ。今は「大阪のヒットラー;反ハシズム統一戦線」で「橋下」包囲網を形成するときだ。そういう統一戦線志向でキーパーソンになる連合大阪に大いに期待したい。
(民守 正義)
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