コラムーひとりごと48 統一地方選挙結果(前半)と民主党

コラムーひとりごと48
統一地方選挙結果(前半)と民主党



{「統一地方選挙結果」の特徴}
 《そもそも選挙に関心が無い》
 前回の「コラム47」では「『政治的民度』が低い有権者意識」と題させて頂いたが、今回は素直に「統一地方選挙結果(前半)」を論評させて頂きたい。
 選挙結果は「今更」と言うぐらい皆さんも御存知だが、一応その特徴の一つが「低い投票率(戦後最低-道府県議会選挙)」。もう一つが自民党・共産党の善戦。
 テレビで今回の「選挙結果」を「貴方なら新聞の見出しをどうつけるか」と言うのが行っていたが、私なら差し詰め「低い投票率の中で自民・共産が善戦」と付けるだろう。
 それにしても、この選挙結果をどう見るかだ。先ず「低投票率」だが、確かに自民党が40府県議会で第一党になる等、相当の前進だが、それは前回(12月)の衆議院選挙で米国政府高官が論評したように「自民党の大勝と言うより他党の自滅的敗北」と評したことが今回の統一地方選挙(前半)でも言えるのではないか。つまり「与野党激突!盛上がり選挙」の中の「自民党大勝」ではなく「シラケ・アキラメ」の中で「こそっと自民党圧勝」と表現した方が的確だと思う。では何故、多くの国民が政治に「シラケ・アキラメ」が蔓延したのか?それは株価が2万円に届く等、一見「アベノミックスの効果」が出ているように見えるし、安倍政権も、そう宣伝したがる。しかし、それは一部の大企業・金融資本や多くの株を有する富裕層ぐらいで、給与所得者をはじめとする勤労者は「実質賃金の目減り」「非正規雇用の増大-格差拡大」で「アベノミックスの効果の享受」どころではない。そこに追い討ちをかけるように、最近では報道ニュース等で、司会者・コメンテーターから「アベノミックスの恩恵は、圧倒的に多い中小企業に働く方々には浸透していないのではないか?」と疑問を呈しただけで直ぐに官邸から「報道が偏向している」とクレームが付き、マスコミも政府批判を自粛する。
 あるメディア評論家に言わすと、あまり権力が「報道規制・圧力」を常態的にかけると国民はマスコミを信用しなくなり、それは大衆心理として「怒り」に向くのではなく「シラケ・アキラメの無関心」に向くという。そういえば今の世相が、このメディア評論家の言う世相に似ているとするならば、結局はズルズルと「アベチャン」が願望する社会=「いつでも、どこでも自衛隊派遣」「安くて首切り便利な雇用制度(残業代不払い(ゼロ)法案・いつまで経っても派遣労働者改悪法案、等々)に引きづられていくのだろう。

《自民党・共産党の善戦は何故?》
 41道府県議選(総定数2284)では、自民党が24年ぶりに総定数の半数を超える1153議席(追加公認は含まない)を獲得。大阪府を除く40道府県で第1党となり、24県で過半数の議席を得た。また共産党は前回議席80議席を大きく上回る111議席を得て、あながち共産党の言う「自共対決時代」が誇大宣伝とも思えなくなってきた。特に安倍政権が今回の統一地方選挙結果を追い風に、国民世論では「反対」の方が多いにも関らず、一層「憲法改悪」「安保法制関連法案」等を国会論議軽視・スケジュール有りきで推し進めようとしている。今、この安倍政権の目論見に真正面から対抗できるのは共産党ぐらいであろう。その意味では安倍政権にとっては「自民党大勝はいいけれど、共産党の躍進が気になる」心境だろう。
 こんなときに警戒しなければならないのは「謀略」。安倍政権なら、やりかねない。共産党は民主党とは違うのだから、脇をしっかり締めて着実に取組んで頂きたい。そこで何故、自民党と共産党が前進したかだが、前章で述べた政治的無関心・棄権が多い中で、それでも「投票には行こう」と思う真面目な有権者の中には、消去法で「自民党でも入れとこか」と言う「安全志向」と安倍政権には不満で、かつての「革新」と言える政党が共産党(または社民党)位しかなく「革新の受け皿」として共産党を選択したという二極化が図られた結果ではないかと思う。だから民主党政権に移行するまでの過程で「革新と言うカテゴリーは、もう古い」と言わんばかりに「新進党」や「魁」「日本新党」等々が出来ては潰れ、出来ては潰れしたが結局「ブレナイ事」の大切さが教訓だ。

《民主党の後退は「連合」と連帯責任》
 民主党は共産党の前進を尻目に道府県議会選挙で前回選挙結果346議席から264議席に減少した。近年まで政権党とは思えないほどの低落振りだが多少、同情的に言えば民主党政権になって直後から「民主党バッシング」は凄まじく、不運にも東日本大震災もあって厳しい政権運営を強いられた。要は自民党のみならず経団連をはじめとする財界も官僚もマスコミも「自民党以外の政権は全て許容できない」として一刻も我慢ならないほど、早く潰したい政権だったのだ。逆に言えば政権交替・運営とは革命に近いほど、革命的警戒心と財界・保守層との激しい対立を覚悟した国家・政権ビジョンを掲げ、広範な勤労者国民の圧倒的支持を武器とした闘うポリシーがなくては成し遂げられないのだ。民主党政権の失敗は、そこが教訓になっていなければ、やっぱり「民主党は脇の甘い思慮の浅いお人好し集団」として敗北に甘んじなければならない。
 そして、その民主党政権敗北の反省・総括が未だ不十分で、その「政権崩壊ショック」が統一地方選挙結果まで引きずったと見るのが妥当だろう。その意味で枝野幹事長が「民主党らしさ」を持って闘った候補者は勝ち残った」とのコメントは正しい。何も国民受けするのは「現実的」と「自民党的」になることと混同して「右」に擦り寄る事ではないのだ。そんなマスコミの煽り・扇動に乗るよりも、むしろ「対立軸」を明確にした「民主党らしさ」を全面に出した方が有権者は選択しやすい。少なくとも共産党は、それで勝利したのだ。

<連合は「民主党勝利」のために何をしたのか>
 もう紙幅の関係もあるので結論的に言うと連合が民主党応援したことは①産別・単組の候補者推薦・支持決定②組合員名簿・支持者カードの提供③単組の力量に寄りけりだが、たまのビラ配り、電話作戦ぐらいで戸別ビラ・葉書配布ができれば上出来だ。要は連合は「民主党の支持団体」と言うが口ばかりで実働部隊がいないのだ。大阪では、その実働部隊を自治労(大阪市職・市従等)が担っていたのだが、御存知のとおり橋下市長の厳しい監視の下に動けない。その結果、府議会民主党1大阪市議会0という燦々たる事となったのだ。
 私個人としては、そもそも労働団体が特定政党を支持・協力関係を結ぶ事自体が反対だ。何故かと言うと「大衆団体」と「政治団体」の各々の独自使命と自立心を双方とも混同し損なうからだ。
 そうは言っても、これまで自動的に「民主党候補-ハイ!連合推薦」と決めてきたのだから、連帯して責任所在と対応策を示すべきで、場合によっては引責辞任も含めて考えて欲しい。何も悪い事をしていない「要論文」で電機連合に侘びを入れることが出来る連合幹部なら、それぐらいの責任は取れるだろう。
(民守 正義)