コラムーひとりごと47 統一地方選挙結果から見える有権者の政治的民度

コラムーひとりごと47
統一地方選挙結果から見える
有権者の政治的民度


{「政治的民度」が低い有権者意識}
先ず今回の統一地方選挙結果論評よりも、ある一定の有権者の方々には挑発的に問題指摘することを重きにさせて頂くことを断っておく。
何故「『政治的民度』が低い有権者意識」と前記標題を付けたかと言うと、その一つが軒並みに「低い投票率(戦後最低-道府県議会選挙)」。
確かに「投票する政党がない」とか「投票しても何も変らない」とか「多忙だ」とか感情的には解らないのでもないが、だからといって「棄権」の正当化理由にはならない。もっと言えば「物価や税金が高い」とか「親の介護・子供の保育に何とかして欲しい」とか行政的な不満があっても折角の政治的発言の最低手段である「投票行動」を放棄したのだから文句を言う資格等ない。それこそ「自己責任」だ。
 多少、余談だが私が公務員時代、ある府民が窓口で無理難題を言ってきて「わー!わー!」と公務員悪口も言いまくる。それで、別件(本人の言い分)の必要もあって当人の税金の納入状況を問合せてみると「滞納者リスト」に堂々と出ている。結局は、その事は言わずに多少、強引にお引取り願ったのだが、本音として「公務員をなめるな!」とだけは言いたい。
話は脱線気味だが、今回の統一地方選挙で棄権した方も今度の「大阪都構想(特別区に再編)」住民投票には棄権せずに「よく考えて」投票して欲しい。軽々しいイメージで投票判断しないように。

{橋下「大阪維新の会」に投票した大阪有権者の「政治的民度」}
 今回の統一地方選挙で「大阪維新の会」候補に投票した方の最も多い理由が、後の「大阪都構想(特別区に再編)」住民投票とも絡んで「二重行政の解消-税金の無駄遣いを無くせ!」に橋下市長率いる「大阪維新の会」なら英断・実行してくれるだろうという期待感である。でも「大阪維新の会」候補に投票した方の「政治的民度」の限界性が、そこまでである。どうも「大阪府と大阪市に二重行政があって、税金の無駄使いがある」とスリコミのように思い込んでいるようだが、具体的に、どの事業・どの施策・どの施設の事ですか?解らなかったら「大阪維新の会」事務所でも行って聞いてください。
 おそらく「図書館とか~、病院とか~」と言うかもしれないが、ハッキリ「この施設とこの施設を、このように統合する」といった具体解決案も含めては出ないはずだ。強いて言えば「大阪府立大学と大阪市立大学の統合」と「水道事業の一元化」の二つは言う可能性があるが、先ず「大学統合」については、既に「大阪市議会で統合否決」されている上に両大学とも「人気大学」でニーズは共に充足されている。つまり「二重行政の解消」の意味がないのだ。
 次に「水道事業の一元化」についての「二重行政」指摘は、あながち誤りとはいえないが、それは元々「大阪都構想(特別区に再編)」で一挙、解決できるものではない。
それは「大阪府と大阪市」だけに留まらない他市町村への共同した大阪府水道供給事業にも大きく影響する話しだからだ。(詳細は自分で勉強して!)ただ「一元化」はともかく「コスト削減」の面だけで言うと「コスト削減額を25年間で1900億円程」と試算されており、この内1300億円程は府単独でコスト削減できるものであり全く大阪市は関係ない。つまり二重行政を解消しなくても府単独の削減決断で1400億円程が削減可能なのだ。更に残りの500億円程が府と市が通常に協調することで削減可能だと言われている。すなわち「大阪都構想(特別区に再編)」なる大仕掛けをしなくても「府・市強調で残り500億円」でコスト面での問題は解決する。なお、このような現実的なコスト削減試案があっても大阪府は、コスト削減したことはない。
 この二つ以外に「二重行政解消-税金の無駄使いはなくせ!」に該当するものはなく、耳障りの良いスローガンだが具体論はない。橋下市長には申し訳ないが、大阪府は大阪府で太田知事までに「厳しい財政再建見直し」を行い「二重行政解消-税金の無駄使いをなくせ!」に取組み、もう終わったのだ。「思い込み」だけは止めて欲しい。

{「税金の無駄使い」は、むしろ「橋下」}
 
 橋下元府知事は就任直後の「職員挨拶」の中で「君達は倒産会社の従業員と思え!」と強弁し、その後、早速に職員の人件費の大幅削減をはじめ「何でもバッサリ」の事業費カット。確かに単年度では黒字転換したが、その一方で、かねてからの関経連の提言「本庁舎の移転」で大阪市のWTCを咲洲庁舎として85億円で購入。このビルは不便地の上にオンボロビル。既に33億円の改修費をかけて、なお14億円の改修費がかかる。
 橋下元知事も「僕の読みが甘かった」と認めているが、ならばと既に「住民損害賠償請求」されている。つまり少なくとも橋下元知事は全体としては赤字を、むしろ増やしたのだ。他にも「そんなことをするなら人件費を返せ!」との声が出るほど「不要不急・失敗政策」の連続。例えば「校庭に芝生を」「水都大阪」「御堂筋イルミネーション」「ぎょうさん買うたろう商品券」等々、不発・失敗政策ばかり。何が「君達は倒産会社の従業員と思え!」だ、そして橋下元府知事は、何の反省の弁も無しに「ババだけかけて」大阪府から大阪市長に転進。それでも橋下市長に「二重行政解消-税金の無駄使いをなくせ!」に期待したり、ミーハー的に「橋下さん、やんちゃで頑張ってるやん」と言うのを聞くと、大阪市民の「政治的民度」の底が見える。元「橋下」に使えた身として言わせて頂ければ、弁護士(債権取立て等)だけに「脅かしたり、賺したり」のディベートと理解力は優れている。だから「駆け引き」という意味で「政治」は長けている。でも元鳥取県知事片山さんのような「行政手腕」は、本人の自信の能書きの割には全く素人「ゼロ」だ。
 私は政治家(候補者)を評価する「政治的民度」を上げるためには「言葉」や「パフォーマンス」は無視して実際、掲げている政策と、それに応じた政治行動だけを冷静に検証する感性と思考を癖付けることが重要だと強く指摘しておきたい。
(民守 正義)