【緊急抗議】 「自民党が放送法違反!」

【緊急抗議】
「自民党が放送法違反!」



《何の権限で「テレビ朝日」と「NHK」を呼び出したのか》
自民党情報通信戦略調査会は17日「テレビ朝日」と「NHK」を呼び出し「テレビ朝日-古賀さん;政治的圧力発言」「NHK-やらせ」に関して事情聴取した。これに対しテレビ朝日系 「報道ステーション」コメンテーターを勤めていた元経済産業省官僚の古賀茂明さんが16日、日本外国特派員協会で会見し、自民党が「テレビ朝日」と「NHK」から番組内容の聴取を行うことについて「政府として手続きを踏まず、党として放送内容に口を挟むのは明らかな放送法違反」と批判した。この指摘は同日「毎日放送-ちちんぷいぷい」でも指摘され「この両放送局の問題には自民党は政権党とはいえ、一政党としての第三者に過ぎず、こうしたことができる立場にあるのか?」との意見が、ほぼ出演者全員から示された。
 この古賀さんの「自民党-放送法違反指摘」に対し菅官房長官は「一々(古賀さんの)発言にコメントしない」と見解を示す事を拒否したが、実際のところ「答えられなかった」または「答えては拙い」と思ったのが実際のところではないか。

《予想される自民党からの反論に対する「反論」》
この「自民党-放送法違反指摘」に対して自民党からは、次の二つの反論が予想される。
その一つが「自民党の両放送局呼出し・事情聴取は任意であって強制ではない」ということ。しかし確かに前記で「(自民党といえども)一政党としての第三者に過ぎず」と述べたが、とはいえ「放送局の許可権限を持っている政権与党」である。そこには「自民党=安倍政権」の実質的圧力を感じ取られても仕方ない。要は自民党の「呼出し・事情聴取」に応じぜらずをえないのである。因みに放送法第3条には「番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定されているが、実際の裁判では「実質的に干渉され、又は規律されたかどうか」が争点になり、それだけに自民党の両放送局呼出し・事情聴取は「放送法第3条違反」となる恐れが大きく、実に安易・拙速であったのである。
もう一つの自民党からの予想される反論として「『テレビ朝日』が、古賀さんの言う『圧力』について、ご指摘のような事実はない」と否定したことで「『放送法第4条-報道は事実をまげないですること』違反が明らかになり放置できない(菅官房長官等)」という言い分だ。しかし、ここにはご都合のいい飛躍がある。そもそも先に官邸と「テレビ朝日」と「圧力がなかったことにしよう」と根回しをして「圧力はなかった」と抗弁している可能性も十分ある。現に古賀さんは、2月に「イスラム国人質・殺害事件」で安倍政権を厳しく批判中、官邸からダイレクトに局の上層部に連絡があり『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』との「抗議」があったことを古賀さんをはじめ、殆どの番組関係者が知っているし、WEBニュースにも流れた。(もっとも二・三日で消去されたが-。複写は私が持っている)要は古賀さんの反論もまだで、他にも「圧力をかけた」という証拠になる「動かぬ証拠」を持っている可能性もある訳で、今直ぐに「事実と違う報道をした」と鬼の首を取ったようにはしゃぐのは、またまた拙速ではないか。
<薄汚い安倍総理のメディア戦略>
実は今から述べる事は以前から知っていたことだが、確認が取れなかったので「リベラル広場」には掲載しなかった。しかし一昨日の「毎日放送-ちちんぷいぷい」で明確かつ包括的に紹介されていたので「リベラル広場」にも掲載する。その内容は以下のとおり。
1.そもそも安倍総理は第一次安倍内閣が崩壊した大きな理由の一つに「マスコミに潰された」との被害意識が強く、第二次安倍内閣発足までの間、マスコミ各社幹部と会食に会食を重ねて親交を深め、再び政権を握ったときに、あまり政権批判しないように手なずけた事。2.但し現場スタッフには厳しい態度で臨みクレーム・圧力をかける。
 これが安倍政権の基本的メディア戦略らしい。そういえば思い当たる節が多々あるし、官邸と「テレビ朝日」の「圧力はなかった」デキレースもあながち否定できない。因みに小泉元総理は、その逆で現場スタッフを大事にしてマスコミからの批判をかわしていたらしい。

《「報道の自由」と放送法》
菅官房長官は、よく古賀さんの「官邸圧力」発言について「放送法」を持ち出して放送免許取消しもあるような恫喝発言をしているが、どうも「放送法」がどういうものか、わかっていない。「放送法」を持ち出すなら最低、次のことは解っていなければならない。
先ず関連法規に「憲法21条-表現の自由」に「報道の自由」は包含され、その「報道の自由」は「国民の知る権利」が優先的にあってこそ保障されると解されている。誰でも知っているように現行憲法は「国家の暴走から国民を守るために国家を縛る」ことを目的に存在するのだ。だから「憲法観点」から言うと「国家(官邸)が放送法を盾に放送免許取消し」を言う事自体、想定外かつ国家(官邸)の「報道の自由への不当圧力・介入」と解される可能性が大なのだ。確かに放送法第四条には「一  公安及び善良な風俗を害しないこと。二  政治的に公平であること。三  報道は事実をまげないですること。」が規定されているが、それは放送局自身が自律的に尊重すべきものであって、権力が言うべきものではない。[服部孝章・元立教大教授(メディア法)]
しつこく整理すると①事実が曲っているかは、まだ不明。仮に事実が曲っていても放送局が自律的に正す事。②そして何よりも憲法観点から「放送法」第3条「番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」が優先的に国家(官邸)が遵守しなければならないことなのだ。補足的余談だが、こんな程度の政権批判で「やれ放送法だの報道内容がどうのこうの」と「マスコミ批判」で騒ぐようでは、それ自体、政権担当能力として気が小さすぎて心許ない。
更に「国境なき記者団」が2014年2月12日に発表した「世界報道の自由度ランキング 2014」では日本は59位で「顕著な問題」に転落した。このように国際的にも日本の低い「報道の自由」批判の中で「官邸の圧力の有無」程度の争いの中で「放送免許取消し」をすれば、相当な日本への「報道の自由バッシング」を覚悟しなければならない。
安倍政権に、そんな根性があるか!

《「官邸の圧力」に屈する事は「自分の首を絞めること」と同様》
 ただ日本のマスコミも根性が無さ過ぎる。日本外国特派員協会の外国人記者(フランス・ドイツ等)では「自国で、こんなことがあると政権がひっくり返るほど大事になる」と言っている。そこで日本人記者が「あまり警察や政権権力を批判すると、記者クラブから排除される等してニュースが貰えなくなる」と言うと「そうしたことも全部、公にして批判世論を沸き起こす」と言う。これを聞くと日本のマスコミは実に従順だ。もっと「左遷・降格を恐れず、反権力思想を持て!」と言いたい。
 それとニュースの垂流しは止めてほしい。「西堺警察署自白強要事件」は、その後、どうなったのか。私共からはマスコミ各社に情報提供を再三、行っているのに何の音沙汰も無い。
 また相手が警察だから遠慮しているのか!
 「権力チェック機能」を果たせ!
(民守 正義)