シリーズ4 「橋下市長」「大阪都構想」批判
シリーズ4
「橋下市長」「大阪都構想」批判
【①「大阪都構想」住民投票が告示日4月27日(月)告示5月17日(日)投票で決定した。特にこの住民投票は「賛成」または「反対」/投票総数(投票率は関係ない)で過半数を得た方に決定するため《「関心がない」とか「よく解らない」「反対だから」といって棄権すると、実質的に「賛成」と同様の効果をもたらす。ぜひ投票所に行って「反対」の記入をして欲しい。(投票は「反対」「賛成」を自分で記入する「自書方式」である。「○・×」方式ではない)
②なお今後、投票日まで随時、ブログ「リベラル広場」に「標題名」を「シリーズ掲載」していく。ぜひ趣旨に賛同の方は、大阪市内在住の方を中心に本ブログ「リベラル広場」を宣伝・拡散して欲しい。(市選挙管理委に「公選法違反」にならない事を確認済み)】
《現在の「大阪都構想」案は》
現在の{大阪都構想}について、今日時点(4月上旬)で、それなりに市民の関心も高まってきたようである。新聞各紙の世論調査も4月6日時点で出揃い、概ねの世論調査結果は「賛否拮抗」または「『反対』が『賛成』を上回る」ものだが具体内容については「よく解らない(橋下市長の説明不足)」が7割を超える等、世論調査結果だけに実際の「市民の投票行動」が、どう出るかは、まだ安易に予測できない。
特に私は三点の事柄について指摘しておきたい。一つは「棄権防止」だ。冒頭にも記載したとおり「反対」であれ「賛成」であれ、全体として「賛・否、決する」のは「賛成」or「反対」/投票総数(投票率は関係ない)で過半数を得た方で決定する。
だから大阪市選挙管理委員会も「棄権は危険」とキャンペーンを張って欲しい。各会派も「反対」or「賛成」の主張と同時に「投票所に行こう!」と宣伝して欲しい。特に公明党大阪は「大阪都構想(特別区に再編)」に公党としての見解を明らかにしていないのだから、せめて「棄権防止ぐらい、取組んでくれや!」と言いたい。余談だが府知事選挙・大阪市長選挙のときは、殆ど「棄権防止」ばかり呼びかけていた「大阪維新の会」が今回の「住民投票」では、全くと言っていいほど呼びかけていない。その真意は府知事選挙や市長選挙では「浮動票狙い」で「投票率が上がれば勝算も上がる」と見ていたからである。でも今回の「住民投票」は、その逆で「投票総数が上がる」ことは「自ら不利を招く」と見ている。失礼だが「大阪維新の会」の浅知恵が見える。
二つ目については「よく解らない(橋下市長の説明不足)」が7割を超えていることだ。
私から言わせれば「橋下市長の説明不足」ではなく「詳しく説明すれば、するほどボロが出る」からで「二重行政の解消」も粉飾計算は別として具体的に「これが無駄だ!」と言えるものが先ずないのだ。詳しくは後述する。
三つ目は一旦「大阪都構想(特別区に再編)」が実現すれば、後で「こんなはずでなかった」と思っても、もう後戻りできないということだ。この「大阪都構想(特別区に再編)」は、法律上は2013年2月施行「大都市地域特別区設置法」に基づくもので「大阪都構想(特別区に再編)」への移行手続等が定められているが、それをまた戻す規定はないのだ。だから「市民の判断ミス」は終身刑。それだけに「棄権は危険」の意味も解って頂けると思う。それでは「大阪都構想(特別区に再編)」の概要説明から始めよう。
{「大阪都構想((特別区に再編))とは」
「大阪都構想」には「大阪都構想(協定書)」と「大阪都構想(特別区に再編)」と二つの呼び方があるが、今回の住民投票で具体的に問われているのは「政令指定都市-大阪市を廃止し、現行24区を5区の特別区に再編し大阪府に編入する事」の賛否を問うものなので、そこの「5区再編」に着目して「大阪都構想(特別区に再編)」と呼ぶ。
<「大阪都構想(特別区に再編)」の概要>
◎この構想の目的は、政令指定都市の大阪市を廃止して、現行24区を5区特別区に再編し、大阪府(大阪都)に編入する。
【参考】〔再編後「東区」〕-城東区、東成区、生野区、旭区、鶴見区
〔再編後「北区」〕-北区、都島区、淀川区、東淀川区
〔再編後「湾岸区」〕-港区、此花区、福島区、大正区、西淀川区、住之江区
〔再編後「中央区」〕-西成区、中央区、西区、天王寺区、浪速区
〔再編後「南区」〕-阿倍野区、平野区、住吉区、東住吉区
◎この「特別区」は、中核市程度の権限と財源を持ち、公選制の区長を置く。
【参考-中核市】日本の大都市制度には、政令指定都市・中核市・特例市がある。
中核市には政令指定都市に準じた事務の内、福祉に関する事務に限られて委譲されている。
◎広域行政に関わる部分を「大阪都」に、地域行政に関わる部分を「特別区」に各々、移譲・統合する。
<橋下市長の主張するメリット>
◎「大阪府と大阪市の二重行政」の解消
◎大阪都知事に権限を集中する事で、長期的成長戦略を立案し実行する事ができる。
◎「特別区」による、地域の実情に応じた小回りの利く地域サービスの実現
[「橋下市長の主張するメリット」批判]
{「『大阪府と大阪市の二重行政』解消」批判}
●「大阪府と大阪市の二重行政解消」と言っているが具体的に何を「二重行政」と言っているのかは水道事業を除いて明確に示していない。例えば「大阪市立大学と大阪府立大学と二つ、あるから二重行政」と思い付きのように言った事があるが、それを言うなら「(国立)大阪大学」も入れて「三重行政」と言わなければならない。「二重行政」とは「類似の施設・サービスがあるから二重行政」と言う単純なものではない。各々が役割・機能・地理的条件で分担化され、府民ニーズにもダブりもなく共に充足されているなら、それはむしろ「望ましい行政サービスの体制」と評価されて良いぐらいだ。確かに過去(太田元知事以前)に「二重行政」と指摘された事業・施設があったが、既に厳しい財政再建計画で見直され、今では「皆無」と言ってよい。仮に見直すべき「二重行政」の対象がまだあったとしても、何も「大阪都構想」という大層な事をしなくても「市・府の協調協議」で十分、解決可能だ。更に加えて言うなら「福祉」「教育」等でキメ細かな行政サービスが求められる施策については「二重行政」云々ではなく、住民ニーズに対応した行政サービスの提供を講じなければならない事は言うまでもない。
従って総じて橋下市長の「二重行政の解消」は架空のメリットで、当然に、これによる財政上の余剰金(無駄)が発生する余地はない。
●水道事業の「二重行政」指摘は、あながち誤りとはいえないが、それは「大阪都構想」で一挙解決できるものではない。ただ「コスト削減」の面で言うと「コスト削減額を25年間で1900億円程と試算されており、この内1300億円程は府単独でコスト削減できるものであり、全く大阪市は関係ない。つまり二重行政を解消しなくても府単独の取組みで1400億円程が削減可能なのだ。
更に残りの500億円程が府と市が協調することで削減可能だと言われている。すなわち「大阪都構想」なる大仕掛けをしなくても「府・市強調で残り500億円」でコスト面での問題は解決する。
なお、このような現実的なコスト削減試案があっても大阪府は、コスト削減したことはない。
{「大阪都知事に権限集中→長期的な成長戦略を立案・実行可能」批判}
これについては全く論拠のないウソに近い空論である。先ず「大阪都知事に権限を集中」と言っても「各市・各特別区の意見聴取・調整」無しには成り立たない話。それもしない「権限集中」なら「独裁・地方分権に逆行」となる。加えて堺市(一定部分)が大阪都に編入しない事が明確になった今、要は今までの大阪府知事の権能と何ら変わるものはない。
もし「長期的な成長戦略を立案・実行可能」が大阪都(府)以外の近隣府県まで含む影響力を意味しているなら、それは思い上がりで今までどおり「関西広域連合」で地道に取組んだ方がよい。
少なくとも「沖縄米軍基地を神戸空港へ」と余計な事を言って、兵庫県知事にお叱りを受けないように。
{「『特別区』による、地域の実情に応じた小回りの利く地域サービスの実現」批判}
これも全く論拠のないウソに近い空論で、実際に巷では24区から5特別区に再編する事で「区役所が遠くなる」とブーイングの嵐である。ましてや「特別区」間の財政バラツキが危惧され、加えて一つの「特別区」が広域化されることで「小回りの利く地域サービスの実現」が空論に聞こえるのである。要するに市民は現状で何の不満・不便は感じていない。 ハッキリ言って「余計な事をするな!」と言いたい。
それでは各政党会派は、どのような主張・論戦を行っているのだろうか。
次回シリーズで紹介し論評する。
(民守 正義)
0コメント