コラムーひとりごと42 「朝日」購読で「産経」バッシング
コラムーひとりごと42
「朝日」購読で「産経」バッシング
《久しぶりの「朝日」新聞購読の動機》
実は私は、橋下元知事就任直後の大幅賃金合理化と残業手当削減の中で、なんと10万円程度の賃金切下げをくらった。やむなく私は、それまで購読していた毎日新聞の購読を止めるとともに、その他「赤旗」「前衛」に「友好関係運動団体」「NPO団体」等々の機関紙代・カンパ等を、ほぼ全て断り支出削減に努めた。
でも最近、ブログ「リベラル広場」の運営や、自宅でもできる「社会運動への参加」を考えると、やはり最低限、奥行きのある新聞情報の入手は、ぜひ必要ということで朝日新聞の購読に至った次第である。
では何故、「朝日」か。それは本ブログ「リベラル広場」で3/6掲載「府教委『朝日』教材不使用通達と安倍政権の『横暴メディア介入』」でも述べているとおり、私なりの四大紙への印象・評価があるからである。その印象・評価を再掲すると「読売」はナベツネの独裁的経営の保守新聞。「毎日」は、リベラルとまでは言えないが比較的、政府・財界とも一定、距離を置いた論調が見られる。「産経」は創立時から財界の支援を受けた経緯からしても「報道新聞」というより「安倍政権・財界の広報紙」と言った方が、的を得ている。これらの新聞と比べて「朝日」が、吉田証言等の誤報道謝罪があったにせよ、最もリベラルで他新聞とは一線を画す。それだけに右翼紙「読売」「産経」等の「『朝日』バッシング」は凄まじく、特に吉田証言等の誤報道謝罪以降、「読売」より増して「産経」が、その急先鋒。そこで、こちらこそ「産経」バッシングをさせてもらいたい。
《「産経」こそ強引な販売手法・謝罪なき「捏造」の常習犯》
(1)あれは1980年代前半の事で、大まかに言うと当時「産経」は「行革・公務員攻撃キャンペーン」を行っていて、私が勤めていた役所幹部に「産経」営業幹部が「公務員なら(行革推進の立場で)『産経』を職員に購読させよ」と圧力をかけ、その役所幹部は口コミで「できるだけ『産経』を購読するように」と「おふれ」を出した。
当時、私は自治労関係組合役員であり、組合内でも問題になったことを覚えている。中には「産経」の横柄な営業ぶりに「不買運動をしよう」という意見も多かったが結局、無視することに決めた。この出来事は「産経」の組織的営業活動ではないとも思うが、そういう横柄な会社体質があることは、他の取材態度・手法(取材原稿を役所広報担当者に作成させる)等でも、よく聞く話だ。
(2)不適切・捏造等、問題となった報道等
①2001年、在日米軍兵士による女性暴行事件について、「こちらも相手にすきを見せないこと」「日本の至るところで風紀が緩んでいるのではないか」と被害女性にも問題があったような論評をした。
②広島平和記念式典で発表される広島市長平和宣言を毎年、批判しており、近年は「反米的である」「北朝鮮を批判せよ」との式典の趣旨を歪曲した主張がなされている。
③インドの核保有について、1998年5月の主張では「インドが核による安全保障を標榜すれば(省略)日本はインド、パキスタンの核、ミサイル開発に神経質であらねばならない」と述べていたのが、2006年3月の主張では「インドは民主主義国で、独裁国家等と同列には語れない」と唐突にインドの核保有を是認する旨に一変させている。
④2010年11月横浜地裁で裁判員制度初の死刑判決が下され、裁判長が判決言渡し後「裁判所としては控訴することを勧める」と説諭したことについて「被告に控訴を勧めるとは何事か」「そんな自信のない裁判官はプロ失格」と批判した。しかし刑事訴訟法規則第220条で「被告人に対する上訴裁判所・上訴期間の告知義務」同221条「裁判長の説諭権」が定められての事だった。
⑤1993年11月11日、清沢平・元大昭和製紙副会長の逮捕直前単独インタビューを夕刊に掲載したが「インタビューに答えた人物は弟だった」として、翌々日に訂正報道した。
⑥1995年、一連のオウム真理教事件において「警察庁長官襲撃事件 監視カメラに犯人の姿 南千住駅」「横浜異臭事件 毒ガスホスゲンの症状」「オウムに内乱罪適用へ」等の誤報虚報を連発した。(謝罪無し)
⑦2002年「小泉首相10月訪中決定」との記事を一面スクープとして掲載したが、実際には小泉退陣まで訪中は実現しなかった。(謝罪無し)
⑧2003年6月、大前研一が社長を務めるコンサルティング会社と当時、不正資金提供事件で元会長らが商法の特別背任罪に問われていたダスキンとの契約について「疑義を呈する関係者の見解」を掲載。大前側は「事実無根の記事で名誉を傷つけられた」として「産経」に対し2億円の損害賠償訴訟を起こした。2005年1月、東京地裁は「コンサルティング業務は無形のものであり、報告書等がないからといって業務をしていない疑いがあると即断したのは拙速だ」と指摘し「産経」に200万円の支払いを命じた。
⑨2005年4月15日、第14回地球環境大賞授賞式に関連して秋篠宮文仁親王が全く言及していない「また今年からフジサンケイグループが一体となってこの顕彰制度を主催することになり~」と虚偽記事を掲載した。保守新聞の「皇室利用主義」が露呈した。
⑩2005年5月、フィリピンのミンダナオ島に旧日本兵3人が生存しているとの記事を掲載した。3人の具体的な氏名まで報道し、日本大使館員も現地調査を行うなど、大騒ぎになった。しかし当該旧日本兵は存在しないことが判明。
⑪本年2月4日に「産経」が「イスラム国寄り?発言、野党・元官僚続々」と題した記事を報道し、安倍首相を批判した人達の名前を一覧にして取り上げた。この一覧には共産党:小池議員や民主党:枝野議員、生活の党:山本太郎議員等の名前が並んでおり「産経」は根拠なく彼等が「イスラム国寄り」の発言をしたかのように取り上げている。
《「産経」の報道機関としての自覚・使命は終わっている》
「産経」の「捏造・誤報道・歪曲記事」を探し出したら「出るわ、出るわ」で最近の問題報道までに辿り着かなかったぐらいだ。例えば最近「南京大虐殺はなかった」との論陣を張っているが、1976年6月23日の「産経-『蔣介石秘録』」には「戦闘員・非戦闘員、老幼男女を問わない大量虐殺は二カ月に及んだ。犠牲者は三十万人とも四十万人ともいわれ、いまだにその実数が掴みえないほどである」と記し、明らかに南京大虐殺があったことを認めている。もちろん、今日に至るまで「見解の変更」を明らかにしたことはない。このように「朝日」と「産経」と見比べると「吉田証言」等で自ら謝罪し社長引責の意思も表明した「朝日」の方が、報道機関としての真面目さ、リベラル性を感じる。
それに対して「産経」の基本志向は、ニュース報道自体は二の次で「ニュースを利用して『政府宣伝と政府批判を叩く』ことにある」としか思えない。その意味で「産経」の報道機関としての自覚と使命は放棄され終わっている。
ただ、そんな「産経」でも「安倍政権」と一緒になれば「朝日」をはじめとする「良心的報道機関バッシング」と「報道の自由」への抑制・不当圧力の手先・道具ぐらいはできる。つまり、まともな報道機関の足を引っ張る事ぐらいはできるのだ。
今、「安倍政権」下の中で「右翼ムード」が漂っている。それだけに、もう上付いた「右翼ガス」に惑わされず、「何が真実か」「何が将来の狙いなのか」読者・有権者の洞察力も試される。
(民守 正義)
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