府教委「朝日」教材不使用通達と安倍政権の「横暴メディア介入」
府教委「朝日」教材不使用通達と
安倍政権の「横暴メディア介入」
《「府教委「朝日」教材不使用通達」で、若干の疑問》
大阪府教委は先月20日、朝日新聞が慰安婦報道の一部記事を取り消した問題を受け、高校日本史の教科書の慰安婦に関する記述内容などについて、慰安婦の強制連行を前提にした授業を行ったり、独自教材を使用したりしないよう求める通知を全ての府立高校に出した。ただ府教委は「具体的な対応は現場に委ねる」としている。
この問題については、いわゆる「吉田証言」が誤報道であった事が、朝日新聞自身が認めた事によるもので一定やむを得ない措置と私も思う。
しかし「吉田証言」の言う「従軍慰安婦の物理的強制連行」は虚偽証言だとしても「従軍慰安婦制度」自体はあったこと、「物理的強制連行」は確実な証言・証拠はないとしても「強制性」を窺わせる証言等数多くあり、全く自由・自発的な「従軍慰安婦」等、先ず存在し得ないこと等も含め、全体として「「従軍慰安婦」問題(「河野談話」程度)を歴史事実として教える事まで、「通知」は否定しているのか、公開質問する。
何故、この公開質問するかというと、一つは歴史事実としてあった「従軍慰安婦制度」自体も教えないとすると、それはそれで保守右翼の言う「自虐史観」に基く歴史の隠蔽であって、偏向教育と言わざるを得ない。もう一つの理由は、これは直接には府教委に関る事ではないが、「従軍慰安婦誤報道」や「福島原発事故・吉田調書」誤報道に対する「朝日」の謝罪以降、これを機に不必要、過剰なほど、他の報道機関(特に「産経」「読売」)や右翼評論家等の「朝日」バッシングは凄まじく、櫻井よしこ氏にいたっては、「朝日」の捏造批判に「捏造」で批判していると評されている位である(「週間金曜日」2/27)。
そういった状況の中で「従軍慰安婦制度」自体も教えないことは、結果的に「朝日」バッシング側に加担する事になり、中原教育長罷免問題(「立川さおり教育委員に対する共産党誹謗発言」)と同様、またもや「教育の中立性」も問われる事になりかねない。「教育の中立性」を守るということは、そういった「どちらにも組しない」状況判断も踏まえながら「普通に中立性を守る」頑固性が必要だということを分かって欲しい。
《「朝日」バッシングの意味するもの》
新聞四大紙の各紙の印象は、「読売」はナベツネの独裁的経営の保守新聞。「毎日」は、リベラルとまでは言えないが比較的、政府・財界とも一定、距離を置いた論調も見られる。「産経」は創立時から財界の支援を受けた経緯からしても「報道新聞」というより「安倍政権・財界の応援紙」と言った方が、的を得ているように思える。これらの新聞と比べて「朝日」が最もリベラルで他新聞とは一線を画す。それだけに新聞報道各社の販売競争の中で「朝日」は狙い撃ちされやすく、現に近年の各新聞の販売部数では「朝日」が過去最大の4%強の下げ率(直近半期=2014年後半期)となっている。ただ「産経」が、この一・二年の部数上乗せがある他は、全て著しい下落となっている。
なお「朝日」嫌いの安倍総理は「朝日」の誤報道謝罪会見を見て「これで『朝日』も大人しくなるだろう」と喜んだらしいが、新聞業界にしてみれば、「『朝日』バッシング」で自らの市場範囲を狭めるだけの自滅効果しかなく、あまり安倍政権の意向に沿った新聞業界内競争は避けた方が得策だとご忠言しておく。
《安倍政権のメディア(テレビ等)介入》
安倍政権は、メディア対策にシビア(神経質)になっている。とりあえず「新聞報道」に関しては「『朝日』バッシング」を煽って「政権批判」を萎縮させているようである。
他にテレビにおける「介入・圧力」は、具体的に次の事柄が言われている。
(1)NHK対策-安倍政権の言いなりになる籾井氏を「お友達人事」で経営委員会会長として首に据え、「政権批判のない『どっこいしょ』国営放送づくり」を画策している。
現に籾井会長は先月18日、中期経営計画説明のため民主党の会合に出席した際、「政府とかけ離れたものであってはならない」「政府の考え方が示されていない間では難しい」等と連発し「政権からも独立した『公共放送』」の使命を果たす気骨がないどころか、「安倍政権密着型」の会長としての体しか見せていない。なお「NHK『ニュースウオッチ9』の大越キャスターが3月末で更迭」も、様々なメディア報道の共通した「安倍官邸筋から籾井会長を通じた圧力」である事は明白で、いくら「定期異動だ」と籾井会長が弁明しても「ウソつかんでよろしい」としか言いようがない。
(2)「イスラム国」人質事件で、外務省が虚偽抗議-同事件が、外務省等は昨年11月時点で把握していた事を明らかにし、後藤健二さんの妻にも昨年の時点で身代金の要求があったこと報じていた。ということは昨年「衆議院解散総選挙」告示日12月2日、同月14日投票日には、イスラム国から身代金の要求があったことくらいは総理も把握しているはず。それでも安倍総理は政局優先で総選挙を実施した訳で、「端から人質救出する気がなかった」と言われても仕方ない。安倍総理は、この矛盾点と責任問題に気がついたのか、今更に「1月20日の時点でイスラム国とは知らなかった」と言い訳している。
本年2月2日、テレビ朝日系「報道ステーション」が①上記矛盾点と②外務省は、殺害された後藤健二さんの妻にイスラム国から身代金要求メールが来ていることを安倍総理「中東訪問前」に伝えていた事。③そして外務省は、首相官邸に対して、中東訪問自体を見直すよう進言していた事。④それでも安倍総理は「行く」と決断した事、等を報じた。これに対し外務省は、同月3日「この報道内容は事実と全く異なるもの」との見解を示し、テレビ朝日側に文書や口頭で強く抗議し、この日の番組で訂正申入れをしたと明かした。しかし元々の昨年11月時点で、後藤さんの妻にイスラム国から身代金の要求メールがあったことは、今では後藤さんの妻、及び側近も認めており、外務省は、その時点で強く口止めをしたという。因みに後藤さんの妻はJAICA職員である。
では、なぜ外務省は、すぐに分かる虚偽抗議をしたのだろうか。それには首相官邸から外務省に何らかの指示があったのではないかとの憶測が出ている。つまり安倍総理が、自分に批判的な報道をすると不満を抱き、外務省を使って虚偽抗議をさせたのではないかということだ。
実際、安倍総理は「NEWS23」や「NEWS ZERO」等で気に入らない質問をされると、一方的に苛立ち発言を捲し立てたり、衆院解散直後にテレビ朝日系だけ出演しなかったりした経緯はある。憶測ではあるが「さもありなん」である。
(3)『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明と、統括のチーフプロ デューサー、そしてコメンテーターの恵村順一郎氏が番組を更迭!
古賀茂明氏といえば、元経産官僚ながら歯に衣着せぬ批判で知られる評論家。その古賀氏が、定期的に出演していた『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターを3月一杯で“更迭”されることになった。
かねて安倍官邸から敵視されていたが、直接のきっかけと見られているのが1月23日の放送。「イスラム国」による人質事件の最中で殆どのメディアが政権批判を控えている中、敢然と、しかも痛烈かつ的確な言葉で安倍総理の外交姿勢を批判した。
主な批判内容は、以下のとおり。
①(省略)わざわざ「イスラム国」を刺激するようなパフォーマンスを繰り返し、「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出す」と宣戦布告のようなことを言ってしまった。これは「イスラム国」の側からすれば交渉の余地なしということになる。つまり後藤さんを犠牲にしてでも安倍総理にとっては「イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れて欲しい」という方が重要なのだ。
②(省略)安倍総理は「アメリカの正義」を正義と思い込んでいるんじゃないか?そういうことが世界に発信されてしまい、「イスラム国」にも利用された。
放送中、官邸からダイレクトに局の上層部にも連絡があった。『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』との「抗議」だ。と言うことは、その古賀発言内容が、安倍政権にとって都合の悪い内容だから、国民に知られてはマズイ内容だから、抗議をしたのだろう。 実は、古賀氏以外にも番組統括のチーフプロ デューサー、そしてコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の2人が、古賀氏と同時に4月から更迭されるという。
(4)衆議院解散の前日。自民党がテレビ局責任者を個別に呼び出し直接文書を手渡し、更に口頭で内容に色々と注文を・・・。
自民党が衆議院解散の前日、在京テレビ各局に対して選挙報道の「公平中立」を求める文書を渡していた。その内容を見ると「出演者の発言回数及び時間」「ゲスト出演者の選定」から「街角インタビュー、資料映像」に至るまで「公平中立、公正を期す」ことを繰り返し求めている。
この文書等の問題点は、①政権与党が、出演者の発言回数・時間や、ゲスト出演者の選定、取り上げるテーマや街角インタビューの内容など、報道の内容について具体的に指示していること。②手法において、自民党記者クラブに所属する各テレビ局の責任者を個別に呼び出して文書を直接手渡し、加えて口頭でも、細かに注文をつけたこと-これは「恫喝」ともいえる印象を与えた。
[実質的には「報道の自由」「表現の自由」の侵害]
現在の政権与党である自民党が、衆議院解散総選挙前のタイミングで「『公平』『中立』を強調」することは、「現政権の政策に対して、批判的な評価を許さない」と言っていることに等しく、実質的には「報道の自由」「表現の自由」を侵害していると言わざるを獲ない。
《安倍政権の横暴・危険なメディア介入》
以上のように、事々然様にメディア介入する「安倍政権」だが、その手法は歴代自民党政権でも、あまり見られなかった「すぐに『更迭・粛清』」で「メディアの政権批判(言論)にはメディアの論説批判(言論)で返す」という、当り前の民主主義ルールに則った相互批判が成り立たず、そこには「恐ろしさ」すら感じる。
今、NHKをはじめ民間放送でも「政権批判や過去の歴史批判等のリベラル番組づくり」に萎縮が始まっており、昨年の総選挙後特別番組では、コメンテーターとして出演した、ある大物俳優が、ディレクターから一々「現憲法を評価する事は言わないでくださいね」「政権批判はしないでくださいね」と言われたらしい。また、ある友人の報道記者が言うには「安倍内閣の支持率が然程、落ちないのは、我々マスコミがあまり、政権批判になるニュースは控えてきたからだ」と露骨に言っていた。
そこに「残業代ゼロ法案」「労働者派遣法改悪法案」「周辺事態法改悪の動き」そして「憲法改悪」と反動法案等が目白押しだ。「報道規制+反動諸法案の強行」では、さすがに「危険な安倍政権」を感じざるを得ない。そこで二つの事をお願いしたい。一つはマスコミ関係者に対して「官邸圧力であろうが、会社幹部であろうがビビルな!マスコミ人の気概をもって現場を守れ!」と言いたい。官邸であろうと、会社幹部であろうと「現場が動かなければ、奴等は成り立たない」のだ。
もう一つは連合等労働組合や民主党・共産党等が共同して「安倍政権のメディア介入を吹っ飛ばせ!」集会・デモ・署名等を大々的に提起して欲しい。学生運動時代に警察権力が正直に言っていたが、「権力にとって一番いやなのは選挙ではなく、集会・デモ等で大衆的に騒乱状態になることだ」と言っていた。久しぶりに「扇町プールいっぱい」「御堂筋、道幅いっぱい」の集会・デモ等をやってみようではありませんか。
安倍政権の「横暴メディア介入」
《「府教委「朝日」教材不使用通達」で、若干の疑問》
大阪府教委は先月20日、朝日新聞が慰安婦報道の一部記事を取り消した問題を受け、高校日本史の教科書の慰安婦に関する記述内容などについて、慰安婦の強制連行を前提にした授業を行ったり、独自教材を使用したりしないよう求める通知を全ての府立高校に出した。ただ府教委は「具体的な対応は現場に委ねる」としている。
この問題については、いわゆる「吉田証言」が誤報道であった事が、朝日新聞自身が認めた事によるもので一定やむを得ない措置と私も思う。
しかし「吉田証言」の言う「従軍慰安婦の物理的強制連行」は虚偽証言だとしても「従軍慰安婦制度」自体はあったこと、「物理的強制連行」は確実な証言・証拠はないとしても「強制性」を窺わせる証言等数多くあり、全く自由・自発的な「従軍慰安婦」等、先ず存在し得ないこと等も含め、全体として「「従軍慰安婦」問題(「河野談話」程度)を歴史事実として教える事まで、「通知」は否定しているのか、公開質問する。
何故、この公開質問するかというと、一つは歴史事実としてあった「従軍慰安婦制度」自体も教えないとすると、それはそれで保守右翼の言う「自虐史観」に基く歴史の隠蔽であって、偏向教育と言わざるを得ない。もう一つの理由は、これは直接には府教委に関る事ではないが、「従軍慰安婦誤報道」や「福島原発事故・吉田調書」誤報道に対する「朝日」の謝罪以降、これを機に不必要、過剰なほど、他の報道機関(特に「産経」「読売」)や右翼評論家等の「朝日」バッシングは凄まじく、櫻井よしこ氏にいたっては、「朝日」の捏造批判に「捏造」で批判していると評されている位である(「週間金曜日」2/27)。
そういった状況の中で「従軍慰安婦制度」自体も教えないことは、結果的に「朝日」バッシング側に加担する事になり、中原教育長罷免問題(「立川さおり教育委員に対する共産党誹謗発言」)と同様、またもや「教育の中立性」も問われる事になりかねない。「教育の中立性」を守るということは、そういった「どちらにも組しない」状況判断も踏まえながら「普通に中立性を守る」頑固性が必要だということを分かって欲しい。
《「朝日」バッシングの意味するもの》
新聞四大紙の各紙の印象は、「読売」はナベツネの独裁的経営の保守新聞。「毎日」は、リベラルとまでは言えないが比較的、政府・財界とも一定、距離を置いた論調も見られる。「産経」は創立時から財界の支援を受けた経緯からしても「報道新聞」というより「安倍政権・財界の応援紙」と言った方が、的を得ているように思える。これらの新聞と比べて「朝日」が最もリベラルで他新聞とは一線を画す。それだけに新聞報道各社の販売競争の中で「朝日」は狙い撃ちされやすく、現に近年の各新聞の販売部数では「朝日」が過去最大の4%強の下げ率(直近半期=2014年後半期)となっている。ただ「産経」が、この一・二年の部数上乗せがある他は、全て著しい下落となっている。
なお「朝日」嫌いの安倍総理は「朝日」の誤報道謝罪会見を見て「これで『朝日』も大人しくなるだろう」と喜んだらしいが、新聞業界にしてみれば、「『朝日』バッシング」で自らの市場範囲を狭めるだけの自滅効果しかなく、あまり安倍政権の意向に沿った新聞業界内競争は避けた方が得策だとご忠言しておく。
《安倍政権のメディア(テレビ等)介入》
安倍政権は、メディア対策にシビア(神経質)になっている。とりあえず「新聞報道」に関しては「『朝日』バッシング」を煽って「政権批判」を萎縮させているようである。
他にテレビにおける「介入・圧力」は、具体的に次の事柄が言われている。
(1)NHK対策-安倍政権の言いなりになる籾井氏を「お友達人事」で経営委員会会長として首に据え、「政権批判のない『どっこいしょ』国営放送づくり」を画策している。
現に籾井会長は先月18日、中期経営計画説明のため民主党の会合に出席した際、「政府とかけ離れたものであってはならない」「政府の考え方が示されていない間では難しい」等と連発し「政権からも独立した『公共放送』」の使命を果たす気骨がないどころか、「安倍政権密着型」の会長としての体しか見せていない。なお「NHK『ニュースウオッチ9』の大越キャスターが3月末で更迭」も、様々なメディア報道の共通した「安倍官邸筋から籾井会長を通じた圧力」である事は明白で、いくら「定期異動だ」と籾井会長が弁明しても「ウソつかんでよろしい」としか言いようがない。
(2)「イスラム国」人質事件で、外務省が虚偽抗議-同事件が、外務省等は昨年11月時点で把握していた事を明らかにし、後藤健二さんの妻にも昨年の時点で身代金の要求があったこと報じていた。ということは昨年「衆議院解散総選挙」告示日12月2日、同月14日投票日には、イスラム国から身代金の要求があったことくらいは総理も把握しているはず。それでも安倍総理は政局優先で総選挙を実施した訳で、「端から人質救出する気がなかった」と言われても仕方ない。安倍総理は、この矛盾点と責任問題に気がついたのか、今更に「1月20日の時点でイスラム国とは知らなかった」と言い訳している。
本年2月2日、テレビ朝日系「報道ステーション」が①上記矛盾点と②外務省は、殺害された後藤健二さんの妻にイスラム国から身代金要求メールが来ていることを安倍総理「中東訪問前」に伝えていた事。③そして外務省は、首相官邸に対して、中東訪問自体を見直すよう進言していた事。④それでも安倍総理は「行く」と決断した事、等を報じた。これに対し外務省は、同月3日「この報道内容は事実と全く異なるもの」との見解を示し、テレビ朝日側に文書や口頭で強く抗議し、この日の番組で訂正申入れをしたと明かした。しかし元々の昨年11月時点で、後藤さんの妻にイスラム国から身代金の要求メールがあったことは、今では後藤さんの妻、及び側近も認めており、外務省は、その時点で強く口止めをしたという。因みに後藤さんの妻はJAICA職員である。
では、なぜ外務省は、すぐに分かる虚偽抗議をしたのだろうか。それには首相官邸から外務省に何らかの指示があったのではないかとの憶測が出ている。つまり安倍総理が、自分に批判的な報道をすると不満を抱き、外務省を使って虚偽抗議をさせたのではないかということだ。
実際、安倍総理は「NEWS23」や「NEWS ZERO」等で気に入らない質問をされると、一方的に苛立ち発言を捲し立てたり、衆院解散直後にテレビ朝日系だけ出演しなかったりした経緯はある。憶測ではあるが「さもありなん」である。
(3)『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明と、統括のチーフプロ デューサー、そしてコメンテーターの恵村順一郎氏が番組を更迭!
古賀茂明氏といえば、元経産官僚ながら歯に衣着せぬ批判で知られる評論家。その古賀氏が、定期的に出演していた『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターを3月一杯で“更迭”されることになった。
かねて安倍官邸から敵視されていたが、直接のきっかけと見られているのが1月23日の放送。「イスラム国」による人質事件の最中で殆どのメディアが政権批判を控えている中、敢然と、しかも痛烈かつ的確な言葉で安倍総理の外交姿勢を批判した。
主な批判内容は、以下のとおり。
①(省略)わざわざ「イスラム国」を刺激するようなパフォーマンスを繰り返し、「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出す」と宣戦布告のようなことを言ってしまった。これは「イスラム国」の側からすれば交渉の余地なしということになる。つまり後藤さんを犠牲にしてでも安倍総理にとっては「イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れて欲しい」という方が重要なのだ。
②(省略)安倍総理は「アメリカの正義」を正義と思い込んでいるんじゃないか?そういうことが世界に発信されてしまい、「イスラム国」にも利用された。
放送中、官邸からダイレクトに局の上層部にも連絡があった。『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』との「抗議」だ。と言うことは、その古賀発言内容が、安倍政権にとって都合の悪い内容だから、国民に知られてはマズイ内容だから、抗議をしたのだろう。 実は、古賀氏以外にも番組統括のチーフプロ デューサー、そしてコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の2人が、古賀氏と同時に4月から更迭されるという。
(4)衆議院解散の前日。自民党がテレビ局責任者を個別に呼び出し直接文書を手渡し、更に口頭で内容に色々と注文を・・・。
自民党が衆議院解散の前日、在京テレビ各局に対して選挙報道の「公平中立」を求める文書を渡していた。その内容を見ると「出演者の発言回数及び時間」「ゲスト出演者の選定」から「街角インタビュー、資料映像」に至るまで「公平中立、公正を期す」ことを繰り返し求めている。
この文書等の問題点は、①政権与党が、出演者の発言回数・時間や、ゲスト出演者の選定、取り上げるテーマや街角インタビューの内容など、報道の内容について具体的に指示していること。②手法において、自民党記者クラブに所属する各テレビ局の責任者を個別に呼び出して文書を直接手渡し、加えて口頭でも、細かに注文をつけたこと-これは「恫喝」ともいえる印象を与えた。
[実質的には「報道の自由」「表現の自由」の侵害]
現在の政権与党である自民党が、衆議院解散総選挙前のタイミングで「『公平』『中立』を強調」することは、「現政権の政策に対して、批判的な評価を許さない」と言っていることに等しく、実質的には「報道の自由」「表現の自由」を侵害していると言わざるを獲ない。
《安倍政権の横暴・危険なメディア介入》
以上のように、事々然様にメディア介入する「安倍政権」だが、その手法は歴代自民党政権でも、あまり見られなかった「すぐに『更迭・粛清』」で「メディアの政権批判(言論)にはメディアの論説批判(言論)で返す」という、当り前の民主主義ルールに則った相互批判が成り立たず、そこには「恐ろしさ」すら感じる。
今、NHKをはじめ民間放送でも「政権批判や過去の歴史批判等のリベラル番組づくり」に萎縮が始まっており、昨年の総選挙後特別番組では、コメンテーターとして出演した、ある大物俳優が、ディレクターから一々「現憲法を評価する事は言わないでくださいね」「政権批判はしないでくださいね」と言われたらしい。また、ある友人の報道記者が言うには「安倍内閣の支持率が然程、落ちないのは、我々マスコミがあまり、政権批判になるニュースは控えてきたからだ」と露骨に言っていた。
そこに「残業代ゼロ法案」「労働者派遣法改悪法案」「周辺事態法改悪の動き」そして「憲法改悪」と反動法案等が目白押しだ。「報道規制+反動諸法案の強行」では、さすがに「危険な安倍政権」を感じざるを得ない。そこで二つの事をお願いしたい。一つはマスコミ関係者に対して「官邸圧力であろうが、会社幹部であろうがビビルな!マスコミ人の気概をもって現場を守れ!」と言いたい。官邸であろうと、会社幹部であろうと「現場が動かなければ、奴等は成り立たない」のだ。
もう一つは連合等労働組合や民主党・共産党等が共同して「安倍政権のメディア介入を吹っ飛ばせ!」集会・デモ・署名等を大々的に提起して欲しい。学生運動時代に警察権力が正直に言っていたが、「権力にとって一番いやなのは選挙ではなく、集会・デモ等で大衆的に騒乱状態になることだ」と言っていた。久しぶりに「扇町プールいっぱい」「御堂筋、道幅いっぱい」の集会・デモ等をやってみようではありませんか。
(民守 正義)
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