コラムーひとりごと13 映画と私

コラムーひとりごと13 「 映画と私」



今回は娯楽ネタで気楽に「映画」の話題提供。
{私の映画との親しみ}
最近は、身体障害もあって、殆ど観ることはないが、昔は娯楽も映画位で、少年時代から映画をよく観た。よく観た映画といっても、だいたいは「怪獣映画」と加山雄三の「若大将シリーズ」。この二つの映画は、二本立てセットが多く、お得な気分。でも観に行こうとするには、小遣いのやりくりと親の目もそらさなければならないので、いつも兄と相談・様子を窺って、宿題もせず、内緒で仲良く行った思い出がある。
お兄ちゃん、今更にありがとう。

{人生に影響を与えた「映画」}
<若かりし頃の映画は>
でも本格的に映画を観まくったのは高校・大学時代。この頃の映画はCGもなく、今のような米国・SF・対戦映画ばかりでなく、フランス映画、ソ連映画、インド映画なども、数多くはなかったが、時々はあったと思う。今はUSJでも米国映画ばかりで正直、言って映画文化も米国一辺倒に飽きが来る。映画産業が盛んな国は他にも多く、国際的視野で映画文化を楽しみたい。

<今でも思い出深い映画-「裸の19歳」>
「本格的に映画を観まくったのは高校・大学時代」と言ったが、その中でも、今も最も印象深いのは、原田大二郎デビュー作「裸の19歳」。
実際にあった永山則夫(刑死者)の連続ピストル射殺事件(1968年~1969年)を題材にした映画で、映画自体はモノクロで、それだけにリアル感がある。事件は、4人の殺人事件で許せないものだが、ストーリーは、故 永山さんの幼年期からの悲惨な生立ちから描いており、鑑賞後は茫然自失、立ち上がることもできず、気がつけば、もう一度、鑑賞していたのを覚えている。当時は私も19歳位で「こんな境遇で育ったら、反社会的犯罪行為に走っても、やむを得ないのではないか」と思った位である。
近年、この映画を、もう一度、見たいとビデオレンタル店で探したが、どこにもない。
皆様にも観ていただきたいし、良き情報があれば提供して頂きたい。

<今でも思い出深い映画-「生きる」>
監督-黒澤 明;主演-志村喬で、映画自体は1952年作品なので、おそらく鑑賞したのはリバイバルものだったのだろう。ストーリーは、大まかに「市役所で無気力に市民課長を務める主役-渡辺が、ある日、自分が胃癌だと悟り、余命幾ばくもないと考え享楽に走る。ある日、部下の女性に出会って、色々と話す内に『自分にも、まだできることがある』と気付き、次の日市役所に復帰する。復帰した渡辺は、住民の強い要望である公園づくりのため、頭の固い役所の上司らに粘り強く働きかけ、脅迫にも屈せず、ついに公園を完成させ、雪の降る夜に完成した公園のブランコに揺られて息をひきとる」といった話。
この映画を見た頃は、公務員の傍ら教師を目指して仏教大学通信教育を受けていたのだが、正直、気力が萎えてきた頃でもあった。結局は、このまま公務員を続けることにしたのだが、その決意の一端を担ったのが、この「生きる」だ。つまり「公務員でも世の役立つことは、たくさんある」と思い至ったのだ。
話の趣旨が変わるが、この時の初心と多少、民間企業にも働いた経験もあって、府民が窓口等に来られた時に態度が横柄だったり、「これはウチの仕事と違う」と排他的な態度を取る職員を見ると、大概、注意してしまう。
因みに一府民と話すときは「アナタ」と言わず「オタクサマ」と言おう。それだけでも丁寧な対応に聞こえる。

<今でも思い出深い映画-「独裁者」>
ご存知、チャップリンの映画だが、チャップリンの映画は、殆ど全部見た。その中でも最も印象深いのが「独裁者」。ストーリーは省略するが、描かれているのはナチスドイツとヒットラーへの風刺。特に感動的だったのは、ラストシーンのスピーチ。「私の声が聞こえる人達に言う、『絶望してはいけない』」は有名な言葉で、私の社会活動や闘病等、様々な面で精神的エネルギーの源泉になっている。
ところでチャップリンの作品には、ユーモアの陰に鋭い社会諷刺、下町の人々の哀愁や怒り、涙までも描かれており、純粋に笑いのみを追求する他のコメディアンとは違う。
従って日本の人気あるコメディアンが「日本のチャップリン」と比喩するが、足元にも及ばない。逆に言えば、ユーモアの陰にある主張、風刺、人間性等が理解できなければ、チャップリン映画を見たことにならない。
因みにチャップリンが描く主張・社会風刺等が「容共的だ」として、米国トルーマン政権の法務長官から事実上の国外追放命令を受けた(後程、召還)。
それほどの芯のある人物であることは知っておくべきことである。

<これからの期待する映画>
冒頭、「最近は映画を見ない」と言ったが、やはり感動する映画、じっぅり考えさせられる映画は観たい。特に年齢が年齢だけに、人生を見つめ直し、もう一度「生きる」ことに向き合うことになる映画を観たい。
これからは高齢者社会。映画制作会社の皆さん。高齢者にも感動を与える映画製作もよろしく。
(民守 正義)